みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
7.《ネタバレ》 90年代初頭に起きた、アイススケート現役オリンピック選手によるライバル・スケーター襲撃事件。いわゆる「ナンシー・ケリガン襲撃事件」。本作はその首謀者とされ、後にアイススケート界を永久追放されることになったトーニャ・ハーディングやその関連人物たちへのインタビューを基に構成された彼女の半自伝映画だ。まあ冒頭に示される「大いに異論はあると思うが…」という言葉通り、彼女の言い分に全面的に寄り添った内容となっているのですが、本作のテーマはそこじゃないんですよね。真相はどうあれ、彼女を含め本作に登場する実在の人物たちがどいつもこいつも大バカ者でどうしようもないクズばっかりなんですよ。もう見ていて清々しいくらいのクズのオンパレード(笑)。トーニャの母親もこれがまあ強烈な自己中おばさんで娘を虐待しながら周りに悪態ばかりつくクズ。彼女の夫も酒に酔っては暴力を繰り返す典型的なDV男。誇大妄想の末、自分の器の小ささを押し隠すために出鱈目な計画を思いつく彼女の元ボディガードもどうしようもない大バカ者。そして彼女自身もまた、後先考えず感情の赴くままに行動し様々な問題を引き起こす典型的なトラブル・メーカー。まぁ貧困の問題はあっても、誰も彼も自業自得としか言いようがありません。でも、なんか嫌いになれないんですよね~、この人たち。みんな生きることに真剣で、ただひたすらエネルギッシュに自らの幸せを追い求めてる。ちょっと人生の計画性というものが、どいつもこいつも複雑骨折しているだけで(笑)。このクズっぷりは最後まで徹底されていて、事件後にトーニャが母親と和解しようと抱き着くところでもすぐに盗聴器を持ってることが判明し、またしても罵り合いの大喧嘩が始まるとこなんてもう笑っちゃいましたわ。そして、スケート界を永久追放された後もボクサーに転身ししたたかに生きていった彼女の貪欲さには、もはや呆れを通り越して逆に拍手を贈りたくなっちゃいました。生きることになんとなく疲れた時なんかにこの映画を観たら、また明日から前向きに生きられそうですね。素行不良のはねっかえり娘を演じたマーゴット・ロビーも嵌まり役でした。うん、なかなか面白かったです。7点!! 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2019-06-25 22:51:10)(良:2票) 6.当時、事件が話題になったことを憶えています。なんてひどい人間だと思いました。でも、映画鑑賞後、人間そんな単純に総括できるものではないと感じました。この映画も真実だけが描かれているわけではないようです。確かなのは、彼女がトリプルアクセルを成功させる実力者だったこと、実力に見合った人生を送れなかったことですね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 8点(2019-02-03 22:46:05) 5.“トーニャ・ハーディング”が、テレビカメラ越しに、やや諦観しているような真っ直ぐな眼差しで、軽薄な「大衆」に向けて、「あなた」という呼びかけと共に、静かな怒りと諦めをぶつける。 「あなた」というのは、まさに自分自身のことだと思えた。 1994年のリレハンメル五輪のあの冬、僕は13歳からそこらだったと思うが、トーニャ・ハーディングが途中で演技を止めて、審判席に詰め寄る光景をよく覚えている。 そして、僕は確かに、彼女のその様を、「往生際の悪い女だ」と、好奇と侮蔑を携えて見ていたことも、よく覚えている。 年端もいかない“ガキ”だったとはいえ、断片的に伝え聞いていたのであろうワイドショーの情報と、衛星中継の一寸の光景だけで、そういった底意地の悪い感情を抱いてしまったことは、恥ずべきことだったと思う。 結局、何が「真実」かなんてことは分からないけれど、自分も含めた大衆の無責任さは痛感せざるを得ない。 それにしても、一流アスリートとオリンピックを巻き込んだあの一連のスキャンダル事件を、このような形で、スポーツ映画としても、一人の女性像を描き出す作品としても成立させ、見事な傑作として完成させてみせたことには驚かされた。 マーティン・スコセッシの犯罪映画のようでもあり、デヴィッド・フィンチャーの実録映画のようでもあり、最新の撮影技術を駆使した確固たるスポーツ映画でもある今作は、極めて芳醇な多様性を孕んでいて、最初から最後まで決して飽くことがない。 二十数年前のスキャンダルを知っていても、知らなくても、面白みを堪能できる作品に仕上がっていることは、虚偽と真相、フィクションとノンフィクションの境界を描く今作が、大成功を収めていることの表れだろう。 演者で特筆すべきは、やはりなんと言ってもマーゴット・ロビー。 どこまでも愚かであり、どこまでも不憫な実在の女性像を見事に表現しきっている。そして、間違いなく世界トップクラスのフィギュアスケーターだったトーニャ・ハーディングを演じるにあたってのアスリートとしてのアクションも、極めて高い説得力と共に体現していたと思う。 ラストシーン、スケート界から追放された主人公は、ボクシングのリング上で、アッパーカットを浴び宙を舞う。 その様をかつての“トリプルアクセル”と重ねて映し出すという「残酷」の後、リングに打ち付けられた彼女は再びこちらを見つめてくる。 この映画は、無責任な好奇の目に晒され続けた彼女が、それを浴びせ続けたこちら側を終始見つめ返す作品だった。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 9点(2019-01-18 07:45:19)(良:2票) 4.《ネタバレ》 終幕間際に「真実なんかない。全部ウソっぱちよ。みんなに各々の真実があって運命に抗えない。これが私の物語。これが真実よ」とトーニャが言うわけです。いかにも往生際の悪い犯人の言いそうなセリフで、疑惑が再燃するのですが、しかし。おおむね、これが真実なんじゃないですか。少なくとも、ワタシにとっては真実。だって、滅茶苦茶、不穏で不埒で不束で、面白いんだもの(不真面目?)。少なくとも、ワタシ、20数年前に感じた「何か変なの」ってのが、この映画で腑に落ちました。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 9点(2019-01-14 15:12:05)(良:1票) 3.《ネタバレ》 毒気もあり、メタフィクション的笑いにも満ちている佳作。楽しめる。キャストも全て個性的。一番びっくりしたのが、母親に背にのっているオウム。役つくりと思っていたが、本人のドキュメントフィルムに同じシーンがあるのには、一番びっくり。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-01-08 14:59:39) 2.《ネタバレ》 日本人が今でも覚えている事件を映画化。映画として、とてもテンポがよく描かれていて観やすい。にしても、お母さんがきついねえ。現代ではアスリートはあらゆる面で節制に節制を重ねている印象があるが、食べたいもの食べて酒とタバコ(はどうかな?)を嗜みながら、それでも世界の頂点に立つ姿はとても人間的だし共感します。 【kaaaz】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-11-24 01:09:02) 1.あの事件を知る年代の人にとっては、当時の出来事を思い出しながら見ると、とても興味深く感じられます。映画としてもテンポが良く、とても見やすいです。ブラックユーモアが満載で、実際の出来事を考えると、笑えない箇所もいくつもあります。実在の人物の半生とは思えないほどの、波乱万丈な物語です。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 8点(2018-05-25 23:20:22)(良:1票)
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