みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
6.《ネタバレ》 ラストレター、それは25年という時間を越えて、「Love Letter」に認めた (最初で) 最後の恋文。 現代劇でありながら、頑なにインターネットやメールが登場しません。想いを込めて、手紙を書くこと。期待と愛を込めて、手紙を投函すること。首を長くして、手紙を待つこと。こんな気持ちが懐かしいけれど、廃れつつある今となっては逆に新鮮に感じるから不思議なものだ。岩井俊二監督は、直筆 (という行為) にいつまでもこだわり続ける・・。 そして、、あのトヨエツと中山美穂さんが、何ともやさぐれた役でご登場します。「Love Letter」の二人とは縁もゆかりもない役ですが、私はどうしてもあの茂と博子のその後の姿にも思えてなりません。 (でなければ、こんな役にあえてこの二人をペアで使う必要は全くない) 「お元気ですか? 私は元気です」 忘れられないあの感動から25年、振り返れば時間とはただただ残酷だった。 ・・いや違う、その逆かもしれない。きっと時間のおかげ、なんだろう。過ぎゆく時間とともに、その一瞬がいつまでも輝きを増すのだ、きっと・・。 【タケノコ】さん [映画館(邦画)] 8点(2020-01-24 21:18:07)(良:1票) 5.《ネタバレ》 遅すぎた邂逅は、それでも何かを癒し、未来を生む。 いびつで、拙く、寓話のように非現実的だけれど、それは僕自身が「Love Letter」から25年来、愛し続けた世界観そのものであり、“優しい嘘”は、あの時と変わらずに心を揺らした。 僕が中学生の頃、「スワロウテイル」を観て、岩井俊二という映画監督の存在を初めて知った。 「映画」というものを自身の趣味として積極的に観始めたばかりの頃で、見識が浅い子供だった僕は、映し出されている映画世界のどこまでが現実で、どこからが非現実なのか、その境界線を判別できなくて、大きな戸惑い共に衝撃を受けた。 無論それは、あの“イェン・タウン”という異世界に対してリアリティを感じたというわけではなく、エキセントリックな「寓話」として映し出された空間に妙な生々しさと、現実世界と地続きの真理めいたものを感じたからだと思う。 以来僕は、二十数年に渡り、この映画監督が生み出す“世界”の虜になり、憧れ続けてきた。 時間は瞬く間に過ぎ去り、中学生の男子は、アラフォーのおじさんになった。 2016年の「リップヴァンウィンクルの花嫁」以来4年ぶりの最新作に対しては、少々気が引けていた部分があった。 「Love Letter」の二番煎じとまでは言わないまでも、何となく懐古的な雰囲気を携えたイントロダクションに懸念を感じていたこともあるが、何よりも僕自身が、“ラブストーリー”というものに対して、とんと縁遠くなってしまっていたことの影響が大きい。 四十路前のおじさんになってしまった自分が、中学生時代から憧れ続けてきた映画監督が新たに生み出したラブストーリーを目の当たりにして、照れずに、素直に受け入れることができるだろうか。そういう「危惧」が無意識下にあったように思う。 でも、そんな危惧や懸念は、序盤の何気ないシークエンスに触れた途端に消え去っていった。 少年少女たちの他愛もない台詞回し、どこか無防備な役者たちの自然体の演技、ただひたすらに美しい映像世界、ファーストカットからの一つ一つに対して、「ああ、岩井俊二の映画だな」とストンと腹に落ちる感覚を覚えた。 松たか子、福山雅治が演じる主人公たちは、奇しくも高校卒業から二十数年を経た“おばさん”、“おじさん”。 この上なくセンチメンタルで、ロマンティックなラブストーリーであることは間違いないけれど、この映画は、まさに「Love Letter」から25年が経った“僕たち”のための作品だった。 二十数年の年月は、劇中の登場人物たちにとっても、現実世界の僕たちにとっても、同じように長く、一口で語れるものではない。 色々なものを失い、色々なものを得るには充分な時間であろう。 過ぎ去った時間のあまりにも眩い「光」を愛するあまりに、逆にその呪縛から抜け出せずにいた売れない小説家の男。 不意に訪れた邂逅により、彼が突き付けられた“現実”はあまりにも厳しく、尽きせぬ悔恨と共に容赦なく「闇」の中に突き落とされる。 けれど、その邂逅は、男を呪縛から解き放ち、「闇」の中から新しい「光」へと導いてもいく。 “幻影”のように美しく光り輝く二人の少女に対峙した彼は、決して取り戻すことができない時間の無情さを痛感したと同時に、悔恨も、贖罪も、悲しみも、感謝も、すべてひっくるめて歩むべき「未来」を見出したのだろう。 “信奉者”としての贔屓目は多分にあろうとは思う。 ただ、岩井俊二の映画作品と共に、僕は僕なりに、二十数年の“紆余曲折”を経てきたわけで。 その上で得られたこの新たな感動を否定することなどできやしない。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 9点(2020-01-21 23:05:14)(良:1票) 4.《ネタバレ》 福山雅治がトヨエツに語りかける疑問「あんたは一体何者なんだ?」。 アタシ、トヨエツは「時の悪魔」みたいな存在だと思ったのね。 「この瞬間が永遠に続けばいい」って想い、それを容赦なく奪い、破壊する時の流れ、その残酷さ。トヨエツは変化をもたらすこと=時間を動かすことで総てを変えてしまって。 それに抗えるのは書くこと。時の流れは止められなくても、この世界に記憶を残し、心を残すことで、その瞬間を留めることはできて。 写真も同じ。そして映画も同じ。 映画に永遠の一瞬を刻む岩井俊二ならでは、なのだと思うわ。ビニール傘を差して立つ二人の夏の少女の写真、あそこに岩井俊二という作家と、広瀬すずと森七菜という女優と、この映画の描くテーマと、この映画の在り様そのものと、そして過去と現在と未来を結ぶ「永遠の一瞬」が収まっているのね。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 9点(2020-01-20 21:34:03)(良:1票) 3. 未咲がそれまでずっとしていたマスクを、妹に促されて外す。その瞬間のうわっとした感覚を若い乙坂と共有できて本当に嬉しかった。(まあ、部屋中にポスターを貼り、数ヶ月前まで毎日朝ドラを精魂こめてみてた人間が言う言葉でもないがw) 乙坂も妹もDV元旦那も、みな未咲への思い、追憶を捨て去ることはなくそのなかで生きていく。 美貌だけじゃなく、声が醸し出す雰囲気、存在感が毎度のことながら実に心地よい。 妹(従姉妹)もよかった。 【rhforever】さん [映画館(邦画)] 10点(2020-01-18 19:35:32)(良:1票) 2.大名作。しかも3行で感想など書かせないような深い映画。 演出も素晴らしい、単純に怒鳴ったり殴ったり号泣したり殺したりする臭い映画じゃない。 いちいち説明がないのでわからない人にはピンとこないと思う。 ただ、「わかってしまった」感受性の強い人は号泣だろう。 あえていうとカエルノウタの歌詞がさまざまな問題を暗示します。 「墓標に花を手向け 僕らはこの先へ行こう」 ラスト・レターに託された真実。 すごすぎる。 あと少女たちの仕草、一挙一動。 これ全部監督の指導があったでしょう。冷徹に計算されつくされた指導。 さすが岩井俊二。 【うさぎ】さん [映画館(邦画)] 10点(2020-01-17 20:09:08)(良:1票) 1.《ネタバレ》 手紙を通して過去と未来を繋ぐという枠組みは「Love letter」と同じだが、それ以上でも以下でもなく。 現代においては何故スマホではなく手紙を使ったやり取りになるのかというのがごく自然な流れで行われるのでそこは良かったし、一方通行だった手紙が徐々に双方向、さらには第三者が介入していくというのは面白い展開だった。 しかし、物語的にちっとも前に進んでいかないというか、同じ所をただグルグル回っているだけのような気がして、そこまで感動したりとかはなかった。 せめて、福山雅治がトヨエツをぶん殴るぐらいのアツい展開があれば良かったのだが…。 とは言え、昔の岩井俊二を思わせる落ち着いた展開が心地良かったのと、「Love letter」においては全く意味の無かった中山美穂による二役が、本作の広瀬すずと森七菜のニ役にはちゃんと意味があったのでそこは良かった。 【ヴレア】さん [映画館(邦画)] 6点(2020-01-17 17:34:19)
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