みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
57.《ネタバレ》 もはやジブリは誰が監督でもそれほど差はない。これはほめ言葉です。つまりアリエッティにせよ、コクリコ坂にせよ、ポニョにせよ、レベルはほぼ同じで高水準です。誰がメガホンをとろうがジブリはジブリであり、監督が違えども、選手は同じなのです。本作品をみて改めてジブリの絵は「ヘタウマ」に変化しつつあると思った。本当は俺たち、写真のようにリアルティのある絵を描けるんだぜ、だけどそういう路線には進まないんだぜ、とジブリは言っているのです。彼らの矜持にたいし、私は畏敬の念を感じずにはいられない。よくピカソの絵は下手なんじゃないの?という議論が持ち上がる。ひょっとしてジブリの創り出す絵はピカソ的方向に向かっているのではないか?つまり多視点への挑戦です。表現力の追及です。さらに古き良き時代がノスタルジーとして描かれている。かといって単なる懐古主義に終始しているわけではなく、未来への希望が前面に打ち出されている。実は学園闘争の描写は「挑戦」に対するメタファーになっており、そこに人間賛歌が描かれている。しかも小難しいメッセージがない。もし駿が今映画を作っているならば、原発問題へのメッセージまでも織り込みそうでかえって怖い。我々映画ファンは、外国人に褒められるようなバカなアニメ映画はもうたくさんなのだ。ちなみにこの映画が楽しめるか否かの生命線は、ヒロインの海を応援できるか否かにかかっていると思います。海が母親から真相を聞いて泣き出すシーン。私は鼻水垂らして号泣でした。なぜ海は泣いたのか?その涙はうれし涙ではないと思う。張りつめていた不安や緊張感から一気に解放されたがゆえの涙だったに違いない。結ばれない恋愛と思いつつも私はあなたを好きになってよかったというあの気丈セリフ。君の一挙一動に私は涙で脱水症状寸前でした。ジブリの魅力はたしかに冒険もあるでしょう。しかし真のジブリの魅力とはヒロインの魅力に尽きる。時にはブタやババアを主役にして大コケすることはあるがナウシカ、シータ、キキ、トトロの姉妹、それら少女の人物描写こそジブリの財産であることをジブリ自身が自覚していることに私は安堵した。良い主人公だった。だから良い映画だったと心から思う。私の感想はそれに尽きる。 【花守湖】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-08-18 23:59:48)(良:1票) 56.雰囲気と音楽を楽しむ、60年代の生活のプロモーションビデオみたいな映画。 キャラクターに深みやアクが少ないからストーリーもいまいちパッとしない印象。 でもクオリティは高くて、話し方も動き方も、まるで日活辺りの青春映画を見てるようで面白い。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-16 00:01:40) 55.ところどころ首をかしげるセリフが出てくるのだが、世界観はしっかりと構築されており、監督が全力を注いだという意味で少なくても「借りぐらしのアリエッティ」よりは上である。 【j-hitch】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-07-21 02:49:32) 54.映像はさすがジブリ!商店の街並みや古き建物たちと横浜の風景はどれも美しかった。しかし、ストーリーは、これはあえてジブリがやる必要のあるものか?という印象。惹かれあった男女が実は血のつながった兄妹かも…なんて話、下世話すぎる。それからジブリはどーして声優さんを使わないんだろ。会話が聞き取りづらい箇所がいくつかありました。 【kaneko】さん [インターネット(字幕)] 6点(2012-07-09 05:18:49) 53.《ネタバレ》 前作「ゲド戦記」よりは格段に良かったですよ。といっても、演出的には相変わらず淡白でどのキャラもやたらとお固い感じがするんだけど、ゲド戦記みたいにファンタジー映画じゃないから、宮崎吾朗監督の淡白さがいい具合にマッチしてたと思う。勿論、駿さんが脚本書いてるから人物達の行動様式はまさにジブリですよ。そのジブリらしい非現実的な振る舞いの子供達と、淡白な演出の掛け合わせがなんともいえない不思議な感じ。カルチェラタンのファンタジックな風貌はいかにもジブリ的でいいなと思う。恋愛物語よりも、個人的には親子の関係のほうが共感出来る。死んだ父さんを寝床で思い出して涙する海とか、実の父親のことについて話す育ての父さんと俊の会話とか、ささいなところに共感出来る。そんでもって終わり方も、例の手嶌葵の主題歌が流れてほろっとさせられる。でもまぁ、だいぶ音楽に助けられてる映画でもあるね。それに、特に思うのはこれを子供が観て楽しめるのかな、ていうこと。主人公の海がある男の子とお付き合い始めて、でもお父さんが同じ?いやそうじゃなかったよ、ていう、一言で話し終わるようなストーリーでこれで成長してるんだろうか、て思ってしまうし。何が言いたかったんやろうっていう気持ちが残る。控えめで慎ましやかで、決して嫌いではないしそれなりにいい余韻が残る映画だけど、ジブリってもっとオールマイティに楽しめるアニメじゃなかったんかなと、少し不安も残る。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-06-30 01:08:18) 52.《ネタバレ》 これまた悩ましい作品に仕上がってますね。作品の時代背景、世界観、いわゆる美術的な要素はさすがのジブリブランドで抜きんでてるんですが、脚本、演出がまるでダメ。 だいたいからしておもしろくない。いやワハハってゆーおもしろさじゃないにせよ、観客を楽しませようって気概を感じない。作画とかされてる方々からしたらこれほどツライことはないんじゃないかな。。。 子供が観てもおもしろくない、大人が観ても物足りない。。。 いったいだれのために創った作品なんでしょう? もう観るきっかけは『ジブリ』だったとしても、評価の基準に『ジブリ』を持ち出すのはやめたほうがいいんじゃないかとさえ自戒するほど、かつてのジブリの良さは(わたし目線では)なくなってしまった。 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 3点(2012-06-28 16:43:40) 51.《ネタバレ》 別に悪くはないんだけど、途中からずーっと「冬のソナタ」が頭の中をチラついてしまい、あまり感動することができなかった。 作画は文句なしに綺麗ですね。CGでないアニメには、やはり温か味を感じますね。世界に誇れる日本の伝統文化ですよ。 ジブリ作品の良いところは、ものすごく生活感があるとこですね。普段使われているモノいないモノのリアリティが半端ない!!アニメなのに実写よりも空気感が伝わってきます。 すごいですよ本当に。 ただやはりお話が「冬のソナタ」を連想させてしまって、ちょっと残念でした。宮崎親子が冬ソナを知らなかったとしても、偶然だったとしても関係ありません。 私は「冬のソナタ」を知っているのですから。 【Dream kerokero】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-06-28 08:15:30) 50.《ネタバレ》 作品全体から伝わる真っ直ぐさがとても心地よかった。起承転結が少ない物語だけれど、映画の魅力は登場人物のキャラクタであると思う。風間君は文句なしの爽やか好青年で、海はひたむきで芯のあるヒロイン。その他脇役たちも、みんな擦れていない。 また、女子のハートをつかむ演出はジブリ作品の中でもハイレベル。自転車の二人乗り。学校を抜け出す。船に飛び乗る海を風間君が受け止めるシーン。ベタなんだけど、日常生活から離れすぎず、うまく切り取られていて、上手に引き込んでもらえた。クライマックスにかけては細かい突っ込みはせずに楽しめばよい。作品全体に漂う哀愁のせいなのか、じわじわと泣かせられる。とてもよかった。良くまとまっている。 ただ、作品全体として惜しいのが、少女漫画から抜け切れていない部分があること。 作品の芯や伝えたいことがどうしても私には見出せなかった。 なぜカルチェラタンを守りたかったのか。好きだから?それだけだと少し寂しい。 父親たちの友情が彼らにどんな影響を与えていたのか。勝手に物事を決めていく大人との壁を彼らは何を感じたのか。 ジブリお得意のわくわく感はカルチェラタンに入るところや、掃除のシーンでとってもよい雰囲気を出しているだけに、物語にある芯が見出せないのは非常に残念。 各登場人物のキャラクターは良かったけれど、もう少し深堀してほしい。たとえば、風間くんはもっと感情を出してもよかったかなと思う。登場シーンや討論会を見るともうちょっと活発な設定なのでは?なのに後半になると感情を押さえつけていて、人となりが見え辛い。直接理事長に乗り込むシーンは、淡々としすぎ。高校生が東京に乗り込むってすごいことなんじゃないの?なのに3人からはその不安さが伝わってこない。 ストーリーとは離れるが、気になったところは、絵とBGMの使い方。最初の街の景色がちょっと粗い。朝だか昼だかわからない。草がただの草であり、朝露と朝日を浴びる草ではない。それから海が旗をあげて汽笛を聞くシーン。これはすごく見せ所。なのにBGMと汽笛が被っている。これには唖然。ここは静寂が良いのでは。神聖な祈りの意味もあるわけだし。外国アニメと異なり、ジブリは音のない演出が上手い作品が多いだけに、少しがっかりした。 色々と文句もかきましたが、全体的には良い作品。もう一回見たいと思います。 【うらわっこ】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-04-29 00:32:22)(良:1票) 49.《ネタバレ》 まったく期待せずに観に行ったのですが、おもしろかった。「ゲド戦記」がひどすぎたので、期待値が下がりに下がっていたというのもある。「ゲド」を見て絶望した方は、その絶望感を抱えたままみてみたら意外にやるじゃないか、と思えるかもしれない。 良かったのは、主人公の少女・海がさほどジブリ的でなかったところ。駿監督だったら、苦境にあってもがんばりを忘れないはつらつ前向き少女になっていた可能性があるが、吾郎監督の描き方は、非常に淡々としていた。ヒロインだけど、ぜんぜんヒロインらしくない。活躍はするんだけど、その活躍もめちゃくちゃがんばってそうしたというよりも、気持ちの流れに従っていたらスルスルとそっちに引き寄せられていった感じ。キャラクターが全般的に薄味なんだけども、その薄味感が本作にはなかなかマッチしていたんではないかと思う。 「耳をすませば」にかなり通じるものがあるので、好きな方にはおすすめできる。あれがダメならたぶんこれもダメ、かも。 余談だけど、映画みたあと掃除したくなった。 【クリロ】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-02-27 18:44:40) 48.《ネタバレ》 『トゲが無くなった耳をすませば』若しくは『無難な青春映画』。 話の主軸は学生恋愛と溜まり場の建物が取り壊されると言う二つだが、両方パンチ不足。 恋愛は中盤までは悪くなく、ヒロインの想い人は昔経済的理由で養子に出された兄と言う展開も、『それでも好きです』と言い切ったヒロインの潔さと、『アニメ等が色々大変』なこのご時世にあのジブリが軽度ながら近親モノをやってくれた男義に惚れ・・・と思ったら告白した夜に『実は血は繋がっていない』と全てをぶち壊し、そして『コレまでの演出良かったでしょ?兄妹と言う部分に引っかかっていた人もコレで安心だね♪』と言う八方美人な演出にガックリ。 隠れ家騒動もボロいから壊す→綺麗にします→でもダメby校長→じゃあ理事長に直談判→取り壊しは止めましょうby理事長と面白味無。どうせなら理事長が来る間学生達と先生+業者が7日間戦争的戦いをした方がアクションも入り良かったと思う。 結局隠れ家事件は感動すら無い無味無臭な決着、恋愛もウヤムヤ終了と締め悪過ぎ。 作画に関しては及第だが相変わらずクセも面白味も無い。確かにガン萌え作画よりは一般受けするし、だからこそ監督の才能(脚本や演出)で勝負できる。だが正直シャフトや京都アニメ等が気合入れて作ったシーンと比較した場合差はほとんど無い(むしろ勝ってる)ので、中身スカスカな今回は裏目(吾朗には荷重)。 『ゲド』があまりにアレだったので『将来を託す監督が2作連続コケはまずい』と言う気持ちは理解できるが、それにしたって天下のジブリ様がこんなメッセージ性も目新しい設定も無いものを作って世間にお伺いを立てようとする姿勢が気に入らない。 それに実際そこまで関与していないだろうが、やはりあのビッグネームがスタッフロールに入ると『父親の補助有で何とかこの出来』と言う印象を受ける。 王道モノで言えば、ストーリーは『トイ』や『空家』、アクション演出なら『車達』、設定で言えば『を探せ』と今やピクサーのお家芸なので、『豚』や『天空』クラスは無理でもそれ相応のものを持ってこないと勝負にすらならない。 てか確かジブリって駿監督の作品を作るためだけに設立したスタジオなんですから、年齢的に引退もありえそうだし、こんなの作って『ジブリ』の質落としてる暇あったら、『ジブリ』自体は綺麗に終わらせてスタッフは身の振り方考えた方が良くない? 【ムラン】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-12-28 20:49:58)(良:2票) 47.《ネタバレ》 史上大駄作の前作から5年、宮崎吾朗監督の2作目。哀愁漂う1960年代の長閑な漁港を舞台にした青春物語。展開に驚きがなかったですが近年のジブリ作品の中ではましな方ですな。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-12-18 23:43:18) 46.《ネタバレ》 あまり期待しないで見に行ったせいか、そこそこ楽しめました。ただ、これがジブリ映画でなかったら見に行ってなかったかも…。ストーリーの展開はどんでん返しがあって、なかなか面白いと思います。数十年前の日本の空気や、食事シーンなどの人々の生活感、淡い恋のストーリーなんかはまさしくジブリテイストなので、安心して見られるとは思います(この作品を見る時はゲドのことは忘れてあげましょう…)。少女の成長という意味でも淡い恋という意味でも過去作(魔女宅・耳すま…)には遠く及ばないとは思いますが。ほとんどストーリーを放棄していたポニョやボリューム過小のアリエッティよりは楽しめたかと。すでに指摘されていますが、登場人物の名前(あだ名)に説明がないのがちょっと不親切。あと鈴木Pのこだわりだと思いますが、話題作りとはいえ俳優を声優に使うのはやはり感心しません。今作の俳優さんは極端に下手な人がいなかったのは幸いでしたが、やはり地の声というか俳優の素の人物の声としか聞こえない場面もあり…特に「風間俊」役をジャニーズの岡田准一が演じ、その親友の水沼役を同じくジャニーズの「風間俊介」が演じているので、少々混乱しました(風間が風間に対して「おい風間!」ってどっちがどっちやら(笑))。 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-12-05 00:22:24) 45.想像してたよりはずーーっと良かった。個人的に「ゲド戦記」は今まで見た映画の中でワーストだったので、それと比較してしまうからだとは思うけれど、想像よりは、良かった。音楽もどれも良かったので、鑑賞中に「サントラ欲しいなぁ」って思ったりもした。ただ一つだけ気になるのは、鑑賞者にある程度想像させるっていうスタイルはもちろん有ると思うけど、それにしたって(海→メル)はなんで??ってずっと思ってた。説明くさくしなくとも、これ位はサラリと台詞にでも入れて置くべきだったのでは・・。 【ネフェルタリ】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2011-11-16 13:14:11) 44.良くも悪くも無難な仕上がり。でも、こういうのは嫌いじゃない。むしろ、みんなまっすぐで屈託なく生きている様は見ていて清清しい気持ちになれるし、心地よい。懐古主義なのか古きよき時代への憧れなのかしらないけど、甘くて爽やかでノスタルジックな気分に浸れる青春映画。好きな人と見るのも良いけど、あえて僕はこの気持ちを自分ひとりの中に大切にしまっておきたいね、とそれっぽくコメントしてみる。ただ何を拾ってみても平坦な感じで何を伝えたいのか僕の乏しい感受性ではいまいち読み取れなかったから、吾郎監督の主義・主張がもっと見えてもよかったかな。 【プライドだらけ】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-11-05 22:20:34) 43.説明不足と言われている点については全く文句はない。べつに「海」が何故「メル」かなんてどうでもいい。「海」は友達から「メル」と呼ばれている。それでいいじゃん。でもそういったところとは全く別の部分で不満がある。どうにものれないのだ。まるで『千と千尋の神隠し』の湯屋のような魅惑的な内部構造を持つカルチェラタン自体はいいのだが、そこが初めて映し出されたときも、掃除中も、お披露目時も、全然心躍らないのだ。いちいち父と比べられるのもかなわんだろうけど、どうしてもその見せ方になんらかの違いがあるとしか思えない。差し込む光の中に埃がキラキラしてるところなんて細やかなこともしてるんだけど。 自転車の滑走はたしかにスピード感があった。おおっと一瞬目を見張った。でもそこに『崖の上のポニョ』の海の上を走るポニョのような躍動感はない。背後の絵が猛スピードで動いているだけで顔に風が当たっているようにも見えない。顔といえば学生たちの平面的な顔。最初は時代設定からして、ちばてつやの「ハリスの旋風」あたりのバンカラ漫画へのオマージュなのかと思ったんだけど、海の顔も少しうつむくと途端に平面的になっている。ということは技術的な問題なのかなと。それともどこに拘るかという問題か。そういった部分でもいちいちくじかれた作品でした。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 5点(2011-11-04 15:11:44)(良:2票) 42.ジブリの看板を背負ってなければこんなに評価が低くないと思うのですが(もちろんジブリだから多くに人間に観られるわけですが)というのはさておき、爽やかで、説明過多でなくスッキリとしていて、映画の時代の人間ではないですが懐かしさや青春を感じられる気持ちの良い映画だったと思います。 【なこちん】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-10-11 02:48:52) 41.《ネタバレ》 結論から言うと・・・ 驚くことに駿監督じゃない作品で、一番、駿テイストを感じてしまった。 ジブリを引き継ぐのは、アリエッティの監督じゃなく、ゴローちゃんだろう。 巷の評価を見ると、賛否両論。 なぜか、わかった。 駿の脚本がまず、一切説明らしき説明なしに進んでいく。 なぜヒロインがメルと呼ばれるのか、コクリコ坂という名称すら出てこなかったと思う。 更に吾郎ちゃんの演出がまた淡泊。浪花節、勧進帳が嫌いみたい。 もうちょっとタメや見得を切るところがあってもいいと思うが。 とにかく台詞による説明を極力排除し、ちょっとした仕草、表情で表現してるため、 ぼーっと見てると、なにがなんだかわからず、ストーリーが通り過ぎていって、 説明不足だと思うはず。 ただ、ハリウッドじゃない地味な映画もたくさん見てる・・あるいは展覧会に行って、 この一枚の絵画がなにを語りかけようとしてるのだろう?と、しばらく立ち尽くすような、 感受性が強い人が見ると、すごいと思う。 一緒に行った妻の言葉。 「その説明不足が非常に心地良い。自由にこっちの想像が羽ばたく」 そんな妻はもう横でボロ泣き。 大げさな描写がなくとも、 あの単純な目の表情だけで、あ!ここで本格的に、海ちゃんが恋に落ちた!とわかるのである。 (例の演説シーン。海ちゃんの表情にこっちまでゾクッときました。) 音楽の使い方の素晴らしさにもびっくり。庵野と違ってリズム感がわかってる。 作画は、アリエッティを超える安定度。 背景も素晴らしく、特にカルチェラタンの造型には、こんな想い出はなかったはずなのに、 懐かしい、ああ・・過ぎ去った青春だと思わせるパワーがある。 ラストも賛否両論だが、私は良かったと思ってる。 親達はものすげえ嬉しいはずだ。障害が取り除かれ、二人が好き合うようになって。 自分たちの恋や友情~人生が子供に受け継がれたんだもんね。 あのカルチェラタンのように。 P.S 海ちゃんを見てて、私はどうしても拓郎の「元気です!」の名詩を思い出してしまいます。 YOUTUBEなどにあると思うので聴いてみてください。 【うさぎ】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-09-14 22:00:36)(良:4票) 40.《ネタバレ》 つまらなくはないんじゃないの。感動もせんが。 1 食事をおいしそうに描くこと 2 「禁じられた~ 」類いの恋愛を少し持ち込むこと 3 声優については意外性のある人選をすること みたいにマニュアル化して宮崎印の金太郎飴にする気かな(特に2は重要だなこれやっとけばエセ文化人が幼稚な評論書けるから)、とか感じるのはこれらがいかにも取ってつけたようでストーリーに有機的に咬み合ってねーからだわな。カルチェラタンの話と、海と俊の話もどっちがメインかわかんねーし。 監督はお飾りで、特に言いたいこともないけどノウハウあるしまー今年も映画作りますみたいな。僕らこれで食ってるんだから多めに見てよ、みたいな。 べつにそれでもいいけど、もし才能ある人が現れたらサクッと息子クビにしてね(無理だろうけどね)。 才能よりも血筋を選んでしまうのが日本人の限界というか、「民度」だよね。エイブラムスを選んだ向こうとの差だわな。 なんでそうなるのかを考えだすと、また深いことになるんだけどね。 【アンギラス】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-09-12 22:29:20) 39.《ネタバレ》 NHKで宮崎親子の特集をやっていて、その流れで「見てみっか!」と映画館で鑑賞。事前情報で、酷評されてたのは知っていたが、"ジブリ"ということを度外視してみれば、意外と普通だと感じました。(少なくとも、ゲド戦記よりは頑張ったな、ゴローちゃん!!)しかし、総じてみるとやっぱり「面白くない」ということになるでしょう。TVでは、宮崎駿監督が、息子の監督就任を頑なに反対したと言っていたが、何となく分かる気がした。宮崎駿監督は、映画をより面白くすることに非常に貪欲で、「如何に面白くするか」しか考えていない風だが、息子のゴロー氏は、映画を仕上げるだけの雇われ監督のように感じられる。(実際、「監督やってみない?」と言われて引き受けたそうだ。「どうしても監督をやりたい!」という気概の宮崎駿監督とは、ココが違う。) 具体的な内容で言えば、先ず冒頭で海が起きる場面。しっかりもののイメージを出したかったのだろうが、朝起きて伸びもせずあくびもしない。階段を軽快に降りてくるのは分かるが、全くの無表情でまるでロボットのよう。 全体を通じて表情が乏しく、楽しいのか悲しいのか怒っているのか、感情移入がまるでできない。(ここ最近のジブリ映画は、総じてこの傾向にあるような気がする。)TVでゴロー氏が言っていた、ラスト付近の二人が船に飛び移るシーンでも、「親心から、二人が抱きあうようなシーンにした」ということだが、この行為は、普通に想定される流れであり、ゴロー氏の思いが全く観客に伝わらない。「そんな親心があるなら、最後に二人の真実が明確になるシーン、あの場面で手の一つも握れよ!」と心の中で絶叫してしまった。 ここらで一発、ラピュタ並みのものを持ってこないと、ホントに終わるぞジブリ・・・。 最後に、声に俳優やタレントを持ってくるのは、いい加減やめませんか?上手けりゃ良いけど、ほとんどズッコケてますよ? 【Endorphine】さん [映画館(邦画)] 4点(2011-09-11 22:55:20) 38.吾朗さんの『ゲド戦記』を大プッシュしていたいきがかり上、ちゃんとその先を見届けねばと思って見てきた。がっかりしたわけではないし、それなりに楽しめたけれど、でも「コクリコ」公開記念でテレビ放映してた『海がきこえる』とかと比べてしまえば、深い感動は特になかったといわざるをえない。はじめてカルチェラタンに入るところとか、自転車で坂を駆け下りるところとか、見せるいいシーンはあったけれど、物語自体に力がない。だから『ゲド戦記』とは比較にならない。何がいけないのかって考えると、この物語の設定をリアルに考えれば、当然あってしかるべきな葛藤・対立が何もないことに気付く。血の葛藤は、自分が動く間もなく簡単に乗り越えられてしまうし、大人との葛藤なんて、ないも同然だった。きっとあるはずだった、校内の男女の間の葛藤もなくなっているし、校内のヒーロー俊をめぐる競争でも、海ちゃんが当然のように勝利して、誰も足をひっぱらない。うまくいきすぎて気味が悪いくらいだ。『ゲド戦記』は、あの4部作をたかだか二時間ばかりの尺に収めること自体が、とんでもない挑戦だった。当然無理があるんだけれど、それを無理やり達成するところに、吾朗さんにしかできないような、オリジナリティが生まれていたと思う。もちろん吾朗さんが、父に挑むこと自体が誰もが知っているドラマだったわけで、その自分自身の葛藤をちゃんと作品の中に昇華できていたと思う。でも、ここでは、お父さんに与えられた脚本を、見られるだけの一つの作品としてただこなせているにすぎない。お父さんが書いたのは、自分自身が青春をすごした時代へのノスタルジーに満ちたストーリーだった。まんまそれだけと言って良い。もし駿監督自身がこれを映像化したら、それを自ら対象化して、何かそこから新しいものを探し出したかもしれない。でも息子には、それを否定して、別のものに書き換えてしまうだけのものがなかった。そこには神格化されたオヤジのホームグラウンドで、アウェイで戦うというハンデだって大きかったろうし、『ゲド戦記』に対する世間の批判も大きかったろう。だから、生ぬるい話にしかできなかったのではないかと思う。 【小原一馬】さん [映画館(邦画)] 5点(2011-09-06 18:03:10)
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