みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想】
79.これをリアルタイムで見ていたら、もっと評価は高かったと思うけど、今見るとさすがに普通。内容的にも高度経済成長期における資本主義社会に対する警鐘なのか、主役の偽善性と犯人の独善性を含めた人間の不可解な深層心理に対する洞察なのか、どちらにしてもあまり深い含蓄は受け取れなかった。ラストで犯人が「自分がどんなに不幸だったか」みたいな事を得々と述べるけど、医学生というエリートが何を言ってんの?という感じ。十分勝ち組だと思うけどなあ。何があったかは知らんけど、そんな人に訳の分からない自己弁護的な泣き言を言われても、こっちは感情移入は出来ませんよ。しかも捕まってからだから余計にたちが悪い。完全に逆恨みでしょう。まるで自分ひとりがこの世の不幸をすべて背負っているかのような勘違い野郎としか思えない。まあそこら辺が、「誰でも加害者にも被害者にもなり得る」という現代的犯罪の開幕を看破した上での意図的な人物設定なのかも知れないが。 誘拐ミステリーとしてはきちんと纏まっているものの、これも今見ると「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」レベルで、取り立てて特筆するような部分も無い。むしろ犯人の計算高さの割に、何をしでかすか分からない麻薬中毒患者を仲間にしたり、盗難車を普通に乗り捨てたり(完全犯罪を目指すなら、海に沈めるか、燃やすかすると思うけど)、子供を目隠しせずに連れ回したり、そのまま生きて帰したりと、妙に杜撰な部分が多いのが気になる。登場人物の妙に大げさな演技や、ラスト30分辺りのダラダラ感もマイナス。 【FSS】さん 6点(2004-05-26 10:12:19)(良:1票) 78.《ネタバレ》 今を遡ること30年、高度経済成長とオイルショックの明暗に時代が軋みをあげている頃、当時でも既にうらぶれていた蒲田の映画館で、公開から約10年ぶりに上映された黒澤映画を観た私は中学生だった。まだ、巷に民生用ビデオは存在せず、色々な情報から上映される映画を調べだして足を向ける『映画を観に行く』という行為そのものが映画への集中力を養っていた時代。そしてこの映画には圧倒された! 目を凝らし、意識を集中して、物語の深部へと入っていった。 そして今は昔・・・。当時の私と同じ年代を少しだけ過ぎた愚息に鑑賞後の印象を尋ねると『完璧!』と一言。 少し、嬉しかった(微笑)。 劇中、非常に重要な意味を持っている、浅間台の高台から見る横浜の景色は今はこの当時の面影を残さないが 「地獄」 は今でもその正体を華奢な栄華に身を包んで押し隠してじっと息を潜めている・・・。 予断だが、ゆうきまさみ(漫画作家・パトレーバー)は特車2課・後藤隊長のキャラクターを本作の戸倉刑事(仲代達也)に求めたのは間違いない!(笑) 【crushersyu】さん 9点(2004-05-08 08:10:30) 77.《ネタバレ》 映画ってやはり残るのは映像、演出なのだと思いました。 長い間記憶に残っていたのは、パートカラーの煙の画面。 それを見たさに見出し、あれっ忘れてるこの人たちは誰?と 映画が進んでゆくのですが、面白い。 自分で思い出しながら推理していきます。 見たのに忘れてる、忘れてるけど見覚えはある・・ なかなか楽しく前半が過ぎた後、気がつきました。 グリコ・森永誘拐事件に似てないか? 他にもこんなのあったような・・? 昔の日本のモノクロ技術ですから、海外のモノクロとは 全く画像の質は違い、黒い部分はつぶれ非常に見にくい。 しかもすごい人数が出てて誰がしゃべってるかわからない。 カメラワークも3場面をひとつに撮るから、 よけいわかりにくい。前半の、大広間の主人公、廊下の刑事、 二階から降りる家族を奥行きを持たせ、 1カットで撮ってるんです。字幕を利用しました。 これでセリフに名前も書かれ、理解しやすくカメラも楽しめる。 病院での窓を枠にし、窓の手前には刑事。 向こうに階段を上る犯人と手のアップ。うまいよね~! もちろん特急列車のトリックもスピード感たっぷりで、 外の風景の誘拐犯がリアルで感動しました。 煙突の煙の色はずっと暖めてきた記憶のせいか、 えっ?こんな色だった・・?とちょっとガクリ。 後半のモノクロはかなりごちゃつき黒がつぶれてた。 肝心のお話についてですが、見終わった後いやな気分になり、 こんな後味の悪い映画だったかなあ・・と。 でもその気持ちを問い詰めすっきりしたいために考えました。 犯人は権藤をなぜ呼んだのか?罵倒してほしかった。 そうすれば救われるのでは?救われなかった犯人は、 ラストのシャッターにより境をつけられる。 天国から地獄に高台の金持ちを落としてやった。 自分は地獄のままの位置にいる。ののしり罵倒しろと。 だが権藤は地獄から天国に這い上がろうとする 自身の希望を説く。貧困の問題でなく、心の位置なのだ。 前半から中盤までの高台の屋敷の中で、 被害者でありながら主人公の位置が変わるのが面白い。 十二人の怒れる男を思い出しましたよ。 私がすごいなと思ったのは、この作品に恐ろしいくらいの 庶民性を感じることです。 時代は違えど、日本のどこでもあるかもしれない風景に。 高台の金持ち、電車(江の電がいいね)、新興住宅地の 影に隠れたアパート・・ 【アルメイダ】さん 10点(2004-04-29 07:44:02)(良:1票) 76.これがホントのジェットコースタームービー、と勝手に言います。前半の静と後半の動。権藤邸のシーンは、カチャカチャと少しずつてっぺんへと近付くジェットコースターの助走の緊迫感そのもの。パンフォーカス、長まわしで人物全体にスポットをあて(ついでに犯人の声にもピントがあっているかのよう)、観客は、登場人物たちの部屋の立ち位置と物語上の立ち位置、その両方を画としてじわじわと見せられます。で、てっぺんに到達したら後は一気に動へ。犯人を追い詰める刑事たちの動。クロサワ的メリハリがコントラストをきれいに描いています。「完」でコースターのベルトを外した時にはまさにまだ体が揺れているような感覚でした。ラストで犯人が揺すっていたのは金網ばかりでなく、見る者をも揺すっていたのでした。終わり。 【彦馬】さん 8点(2004-04-29 07:43:39) 75.後に「よーし、わかった!」という名台詞を残す加藤武もこの時は平の刑事…。若い頃に仲代警部の手腕を身近で見てたんだから、後の「犬神」や「獄門島」事件もスパッと解決せんかい…。なんて思いながら見てしまった。で、この映画ですが、さすがは黒澤という映画です。前半の誘拐から犯人特定まで、観客を飽きさせる事の無い様に工夫が凝らされ、小船で激流を駆け下るような速度感と緊張感をもって物語りは展開します。私はここまでは大好きです。しかし、後半の社会派パート(勝手に名付けました…)に入ると急に現実味を感じなくなってしまうのは、あの当時の社会情勢を体感していないからなのでしょうか…。 【クルイベル】さん 8点(2004-04-21 09:36:31) 74.面白かったです。もうちょっと役者の表情がわかるように写してほしかった。 【ぷー太。】さん 6点(2004-04-08 13:09:33) 73.無駄のないストーリー。犯人の巧妙な手口、主人公の心理、 警察の捜査など、観客を楽しませる内容がギッシリ詰まっていて、 さらにテンポが良く、とても観やすかった。 【ボビー】さん 9点(2004-03-26 07:22:34) 72.はっきり言って見にくい。誰が誰だか区別がつきにくい。(特に刑事)題名にしっかりとした意味があり、それは観ていて面白かった。ミステリというよりは社会派ですな。ちょっとあざといかも。いい加減白黒でしんどいのに、ちょっと長いって。 【ぷりんぐるしゅ】さん 4点(2004-03-18 20:19:50)(良:1票) 71.《ネタバレ》 ものすごいテンポの良さ。3時間近い長さをまったく感じさせない。グイグイ引き込まれて、本当に楽しめる。作品にみなぎる緊迫感、映像の持つ温度感も凄まじい。犯人の動機をもう少し細かく描いてほしい気もしたが、面会シーンに圧倒されてしまった。後味が悪い。しかし素晴らしい映画。 【アイカワ】さん 9点(2004-03-13 14:36:27) 70.《ネタバレ》 映画館のスクリーン(ワイド)を考えて生み出された構図の妙。何で、こんなにも絵的にバランスが良いのだ!そこには、視覚的に見せるという、黒澤の娯楽としての基本姿勢が徹底されているのでしょう。パンフォーカスという手法にしても、一筋のピンク色の煙りにしても、画面構成のテキストみたいにカチッとまとまっています。職人の仕事というより、神の手技みたいなものを感じます。それにしても凄い緊迫感。そして焦燥感。追う刑事。追い詰められる犯人。ラストの対面。どの場面にも、説得力の有る構成が成されていて、見ていて息がつまりそう。そして、それが「映画」を見る快感なのだと、気付かせてくれるのです。やっぱり、黒澤監督、凄いです。 【映画小僧】さん 9点(2004-03-08 15:31:17) 69.展開に無駄なところがないです。 三船の演技も去ることながら、当時新人の緒方拳が名演です。 途中、煙突から出てくる煙がピンクで、白黒で表現して欲しかった と思うところですが、それを差っぴいても10点です。 【T-zen】さん 10点(2004-02-03 14:32:35) 68.ん~犯人の動機に問題があるのでは・・・それ以外は満点です。 【ボバン】さん 8点(2004-01-27 23:50:15) 67.今、初めて観たとしたら、6点くらいかな... 【コナンが一番】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2004-01-21 12:26:11) 66.前半はいいけど後半がなあ…そこまで面白いものではなかったっす。最後の犯人の絶叫はいい 【Keith Emerson】さん 3点(2004-01-17 22:28:27) 65.《ネタバレ》 すごいですね。単なる誘拐事件ものと思いきや奥が深い。天国と地獄っていうタイトルも何でだろう?って思ってたが、山崎と三船のやりとりでなるほどと思った。鞄を窓から投げるシーンも見応えがあったが、その鞄を燃やせばわかるようになってるのもまたおもしろかった。若い頃の山崎氏はかっこいいですね。なかなか頭のよさそうな犯人役にピッタリであった。暗黒街で出てきたヤク中の菅井きんにはびっくりしました。 【fujico】さん 8点(2004-01-16 15:20:42) 64.「生きる」もそうでしたが、ちょっとかったるいし古臭い。「七人の侍」は好きですが、これはトータルで考えると普通ですね。評価は、「5:可も不可もなくってとこ。損も得もしてないっすね。ビデオでも良い感じ。」に準じて、5点です。 【もえたん】さん 5点(2004-01-14 18:40:25) 63.《ネタバレ》 全編に渡り秀逸なのは言うまでも無いのだが、特に頭から特急列車に乗って身代金を窓から投げ捨てる実行シーンまでは本当に息付く暇も無いほどの緊迫したシーンが続いた。一切の無駄が無い 【ワトソン君】さん 8点(2004-01-13 20:55:04) 62.一番最初に観た黒澤作品だけに、思い入れがある。 練りに練った脚本に、最高水準の映画技法、強力な俳優陣、 効果的な音楽など、すべての要素に文句のつけようがない 第一級のサスペンス。題名も、いい。 【サラウンダー】さん 10点(2004-01-09 18:30:31) 61.《ネタバレ》 前半の緊張感はリアルで凄い!後半ちょっと退屈ですが、ラストの犯人との面会シーンは強烈に印象に残りました。見る前には「誘拐モノでなぜ『天国と地獄』?」と思ったけど、そういうことか~! 【ゆうろう】さん 8点(2004-01-06 17:43:32) 60.《ネタバレ》 物語は人質を救い出すまでと、その後に犯人を追いつめていく過程とに分けることができますが、後半の「犯人に死刑を」という捜査官の異様なまでの執念は、誘拐という罪に対する量刑の軽さに抗議するとともに、犯罪を徹底的に処断するという黒澤監督自身の執念の現れでしょう。犯人を泳がせて犯行を再現させるという、いささか強引で不自然な展開はこの執念によって生み出され、ついには「これで貴様は死刑だ」という台詞にまで踏み込んでいきます。全編に渡ってパンフォーカスが駆使されていて、特に権藤邸のシーケンスにおいて、同情する警部や思惑を持った権藤の秘書など、台詞を語る人物以外の表情を同時に映し出すことで観客の感情をかき立てていきます。ラストシーンで犯罪者と権藤を対面させ、動機を語らせますが、ここでも犯罪に対する同情的な眼差しは一切ありません。わめきちらす犯人を鉄格子を降ろして突き放します。著作『蝦蟇の油』の中で黒澤監督は「犯罪者を生み出したのは社会の欠陥だとする理論には一面の真理はあるにしても、それを根拠に犯罪者を弁護するのは社会の中で犯罪に走らずに生きる人達を無視した、詭弁に過ぎない」と語っていますが、この映画はまさにこの考え方をそのまま映像化した作品と言えるのではないでしょうか。 【スロウボート】さん 8点(2003-12-31 02:52:03)(良:2票)
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