みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
13.《ネタバレ》 チャイナ・シンドロームとは、原子力発電所で起こり得ると考えられる事故の最悪のものを言い、原子炉内部の高熱を事故でコントロール出来なくなり、発電所そのものがドロドロに溶解し、巨大なマグマの塊となって、それ自体の重量でどんどん地中に沈んでいき、地球を貫き、遂にはアメリカの反対側の中国に突き抜けてしまうだろうというところから来ているんですね。 この映画「チャイナ・シンドローム」の公開の前年には、我が日本でも黒木和雄監督の「原子力戦争」でも、ある原子力発電所で、それに至る可能性を含んだ事故が起こったことを、告発しようとした技術者が消されるというシチュエーションを扱っていましたが、このアメリカ映画もまた似たような着眼で作られていますね。 これは、偶然の一致というよりも、原子力発電の安全性に危惧を抱く者は誰でもそのことを考えるのだと思います。 ただ、日本では、それを余り評判にならないATG映画の低予算の小品でしか作れなかったが、アメリカでは、さすがに堂々たるメジャーのエンターテインメント作品として作り上げることに成功していると思います。 そこに、映画人の発想のスケールの違い、ひいては、民主主義の成熟度の違いがあり、また、それを支える原子力発電反対の層の厚さの違いもあるのだと思います。 もっとも、この映画がアメリカで大きな話題になり、興行的にも成功した要因として、封切り三週間後の1979年3月28日、ペンシルヴェニア州スリーマイル島の原子力発電所の二号機が事故を起こし、地域の住民が被曝するという、原発事故としては最大級の事件となり、大統領が自ら対策の指揮に当たるという事態になったからなんですね。 最悪の場合、穴が中国に届くというのはオーバーであるにしても、アメリカ国土の相当の部分が死の灰に覆われる可能性があったと言われ、人々は改めてこの映画に注目したのだと思います。 主演のジェーン・フォンダは、当時から反体制運動の活動家として有名ですが、この映画でも彼女自身がそうであるような役を演じていますね。 ロサンゼルスのテレビ局のニュース・キャスターのキンバリー・ウエルズ(ジェーン・フォンダ)は、ある日、カメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)と録音係を伴って、原子力発電所の取材に出かけたところ、突然、所内に振動が起こり、制御室が大騒ぎとなった。 放射能漏れがわかり、原子炉の運転が停止される。 キンバリーは、この騒ぎをフィルムに収めるが、局の上司に押さえられ放送されなかった。 不満なリチャードは、フィルムを密かに隠し持って物理学者に見せたところ、もう少しでチャイナ・シンドロームになるところだったと聞かされる。 一方、原子力発電所の技師ジャック・ゴーデル(ジャック・レモン)は、原子炉の運転が再開されたものの、なお不安を隠し切れず、調べたところ、事故の原因が建設当時、パイプ結合部を担当した業者の手抜きにあることを突き止め、真相を隠そうとする上役に反対して制御室を占拠し、言うことを聞かなければ、核物質を漏らすと脅し、キンバリーたちテレビの取材班に真相を発表する。 発電所側は、ジャックを騙して射殺し、真相を闇に葬ろうとするが、キンバリーたちは勇気を持ってそれを発表するのだった。 この映画は、こうした時代の核心を鋭く突いた、社会派映画の秀作だと思います。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-11-07 18:30:55) 12.《ネタバレ》 “大企業は悪、マスコミは善”という幻想が蔓延っていた(今じゃマスコミも大悪であるのはバレてしまってますけど)いかにも70年代のアメリカらしい作風だけど、本作はその衝撃性では歴代企業告発もの映画ではトップに位置するんじゃないでしょうか。なんせ劇場公開12日後にあのスリーマイル島原発事故が起こり、しかもその原因が劇中と同様の人為的なミスだったわけだから、まさに映画史上屈指の予言映画だと思います。劇中でもスリーマイル島事故でも結局破滅的な結果にはならなかったけど、わずか7年後にソ連でも人為的エラーでチェルノブイリ原発事故が起こり壊滅的な被害が発生してしまったわけで、単純に“大企業が悪”とは言えなくなったわけです。 ジャック・レモンはコメディが持ち味の俳優というイメージが強いけど、実はシリアスな役柄においてこそ本領を発揮するタイプなんだと思います。と改めて力説したくなるほど、本作での彼の演技には圧倒されます。とくにラストにかけての三十分間の緊迫感は、彼の演技無くしては成立しなかったでしょう。ジェーン・フォンダはいかにも彼女らしい適役でしたが、やはり特筆すべきはマイケル・ダグラスの功績だと思います。大俳優の息子とはいえ弱冠30代の彼がプロデュースしなければこの映画は誕生しなかったわけでなんですから。彼は俳優としても非凡ですけど、プロデューサーとしても引けを取らない実績を残してきた人なんですね。 結局チャイナシンドロームが起こらなかった結末は今風では物足りない感はあるでしょうが、かえって現実世界に向かって警告を与えるような社会性を持たせたと感じました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-10-09 22:33:35) 11.割と古い作品だが、社会的問題の隠蔽工作を企てる恐ろしい作品だった。証拠隠滅のためなら、殺人も厭わないという、まさにハラハラ出来る快作だ。東日本大震災の東電原発所長、東電、メディアが三つ巴で牽制しあい、なかなか真実が報道されなかったのを思い出した。この作品がいかにリアルなものであったかと思う。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-08-15 04:40:09) 10.《ネタバレ》 私が感じたことはほとんど【あろえりーな】さんが書いてくださったので、補足だけ。 本作で反原発の活動家がやっていることは、現在とほとんど変わりません。「子どもたちの未来を考えて」とか、どこかの政党のスローガンみたいですね。「企業利益優先」という点とあわせて、どちらも当時から基本的に同じ。進歩しないのか、それが究極の形なので進歩しようがないのか知りませんが、こうしたところも、本作が古びていないことを表していると思います。人間の本質を突いているのかもしれません。原発にしろトンネル崩落事故にしろ、本当に恐ろしいのは人間である、と。 あと、脚本がうまいと思う。特にゴデルが尾行を振り切れず、発電所に逃げ込んで籠城に至るプロセス。最後に大ごとにならなかったのも、「生き残って事実を伝える」というメッセージが感じられて好印象を持ちました。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2012-12-08 16:39:19) 9.《ネタバレ》 原発の危険性を題材にした作品ではあるが、実を言うと原発に反対する映画ではない。そうではなくて、利益の為に真実が歪められ、安全性を蔑ろにする企業と、その企業に加担し報道を自粛するメディアを問題にしている。そしてこの図式はなにも原発だけでなく、鉄道に航空機に自動車、建築物に工業製品、人間が作り出す全てのものと業界に言える普遍的なテーマなのである。だからこそ本作は、今から30年以上も前に作られ、報道カメラがフィルムであるという古さを感じさせれる内容でありながらもその中核部分は決して色あせないのである。技術者ジャックはまさにヒーローであるが、彼のような英雄は周囲が敵に囲まれているが故に孤独でもある。目の前には、巨大企業が作り上げた不条理の壁がある。命を狙われ、カーチェイスをやってのけ、銃を奪って篭城までしてでも、人々の生命と安全の為に真実を救い出そうとした。この一人の孤独な英雄に、ここまで強く共感を持つ映画は他にあまりない。それ故に、サスペンスフルで娯楽作としても良く出来てると思う。また同時に、このような題材でシリアスな意欲作を作り上げるハリウッド&アメリカという国の懐の深さも驚嘆せずにはいられない(しかも公開直後にスリーマイル島の事故が発生してます)。あらためて申し上げるが、これは「反原発」という単純な映画ではない。この作品は、観客一人一人に、あなたはキンバリーやジャック側の人間ですか?それとも、利権のためだけに生きている企業側の人間なのでしょうか?ということを痛烈に問いつめているのである。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-08-13 19:38:18)(良:2票) 8.近代社会になくてはならない原子力発電。事故の恐怖と人間のエゴイズム、会社員の悲しい性が絶妙な絡み具合で、十二分に起こりうるサスペンスフルな展開に圧倒されます。ジャック・レモンのシリアス演技も見事で、自らの良心と葛藤している表情は素晴らしいです。原発関係者に見て欲しい映画だけど、絶対に見ないでしょうね。 【C・C・バクスター】さん 9点(2004-06-10 13:22:11) 7.この映画、「マスコミ=正義」「原発=悪」というイデオロギー臭い部分に注目してしまうと、何だか胡散臭い映画になっちゃうんでしょうけど、まずそれ以前に、サスペンスとして無類の面白さを持っている、この点で、私は大好きですね。原発で発生した異常事態を発端とし、ドラマは複数の舞台で同時進行しつつ、やがてクライマックスへと収束していく、のっぴきならぬ展開、実に興奮させられます。盛り上げるシーンでも音楽は使用せず、役者の演技とカメラによって見事な緊張感を作り上げており、中盤の操業再開のシーンだって、もう目が離せないドキドキもの。一人称的視点を避け、観る者を、特定の登場人物よりもドラマ自体へ感情移入させて引っ張っていきます。この映画は、「原発に反対」するための映画ではなく、「組織と個人の確執」を描いた映画です、そして、その確執を最も効果的かつ絶望的に示す道具立てとしてここでは原発が選ばれた、という事でしょう。確かに原発の問題点を(やや極端な形で)突いた映画ではあるけど、その問題点とは、実は普遍的なものでもあるのです。いや、あまり言い訳っぽく本作を弁護するのは止めましょう。この映画は、単純に、面白いのですから。 【鱗歌】さん 9点(2004-04-03 23:35:27) 6.ジャック・レモンに尽きるね。だんだん鬼気迫る演技をものすごくうまくしてた。この映画が公開された直後に実際にこういうことが起きたって浜村淳が言ってたけど今思うと・・・怖いっす。さり気にカメラマン役でマイケル・ダグラス出てた。わっかー。 【M・R・サイケデリコン】さん 9点(2004-01-31 12:01:36) 5.私にとっては、鬼気迫る内容でした。私は原発とはまったく違いますが、安全性管理の規制を受けている業界に勤めていたことがあります。そこで外部委託先がインチキをしていたことが判明してかなりヘビーな状況に陥った経験があり、その当時の緊迫感がよみがえりました。この作品は勿論フィクションですが、同様の事が日常茶飯であることはその手の業界人なら皆判っていることなのに、責任感がないのか、想像力が貧困なのか、軽く考えている人があまりにも多すぎます。原発の問題という見方だけではなく、もっと広く安全管理の問題を描いている、いつの時代にも通用する作品ではないでしょうか。 【shakunin】さん 9点(2004-01-31 05:07:07)(良:1票) 4.企業という枠組みの中に身を置くと,事の大小・金額の大小にかかわらず,自分の地位・身分を守るために人間はミスを隠すという行為をする。内部告発することによって自分の身に危険が迫るという極端な例もあるけれど,たいていは社会的な地位や企業内での身分の保証を考えてのもので,どれだけ重大なことかという事が二の次になっているケースが多い。この作品でも同じで,たまたまメディアの人間が事故発生時に現場に居合わせなかったら,メディアの人間が事後調査をしなかったら,大事故に発展していたのかもしれない。20年以上前の作品だが,これと同じことが現在でも現実に起こりえる,あるいは起こりかけたことがある話だけに一層恐怖感を誘う。 【北狐】さん 9点(2004-01-09 13:02:54) 3.序盤、以下のように考えた自分が恥!恥!⇒☆Jレモン:センター柴田背番号7やん、小さく首振ると今にも「ミス・キューブリック」と言いそう、今回はミス・ウェルズよ。 ☆Mダグラス:声で彼とわかる、若ッ。 ☆Jフォンダ:可愛いペットとだけ?ラブシーンないの? ⇒この不謹慎さに気づいてからは、感情移入しっぱなし。発電所を愛し苦しむレモン、利益立場を守る建設会社・電力会社。お上。真実を追い、伝えるダグラス、フォンダ。 迫真の演技力に原発の怖さ、無知の怖さを感じずには……もう終盤は泣きそう。女性も見ましょう、電子レンジがホント憎たらしくなるけど。。 【かーすけ】さん 9点(2003-08-12 23:31:22) 2.ジャックレモンの演技がサイコー!デニーロやジャックニコルソンのようなサイコ役者よりも絶対演技がうまいと思う。ジェーンフォンダの最後のマイクシーンも感動ものです。おすすめ映画です。 【マコちゃん】さん 9点(2003-06-03 20:40:13) 1.この映画は凄い!チョット辛口な硬派なサスペンスだが、見ごたえは充分。なにせ主演の3人がもの凄い熱演してますから......消されそうになるジャック・レモンが演じるカー・チェイス、早く核心を喋れと焦るマイケル・ダグラス、放送時間ギリギリに番組に間に合うジェーン・フォンダ、実にスリリングに描かれるじゃないか。この映画が公開された後、スリーマイル島の原発事故が起こったらしいが、ホントに現実に起こりうる事故なので怖い。 【チャーリー】さん 9点(2001-05-03 23:53:40)(良:1票)
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