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硫黄島からの手紙

Letters from Iwo Jima
2006年【米】 上映時間:141分
ドラマ戦争ものシリーズもの歴史もの実話もの
[イオウジマカラノテガミ]
新規登録(2006-03-24)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2023-03-15)【TOSHI】さん
公開開始日(2006-12-09)


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監督クリント・イーストウッド
演出バディ・ヴァン・ホーン(スタント・コーディネーター)
キャスト渡辺謙(男優)栗林忠道陸軍中将
二宮和也(男優)西郷昇陸軍一等兵
伊原剛志(男優)バロン西(西竹一陸軍中佐)
加瀬亮(男優)清水洋一陸軍上等兵
中村獅童(男優)伊藤海軍大尉
松崎悠希(男優)野崎陸軍一等兵
裕木奈江(女優)西郷の妻 花子
マーク・モーゼス(男優)アメリカ人将校
ロクサーヌ・ハート(女優)将校の妻
原作アイリス・ヤマシタ(脚本原案)
ポール・ハギス(脚本原案)
脚本アイリス・ヤマシタ
音楽カイル・イーストウッド
編曲レニー・ニーハウス
撮影トム・スターン〔撮影・照明〕
スティーヴン・S・カンパネリ(カメラ・オペレーター)
製作クリント・イーストウッド
スティーヴン・スピルバーグ
ロバート・ロレンツ
ワーナー・ブラザース
ドリームワークス
製作総指揮ポール・ハギス
配給ワーナー・ブラザース
特殊メイクヴィンセント・J・ガスティーニ
特撮デジタル・ドメイン社(視覚効果)
美術ヘンリー・バムステッド(プロダクション・デザイン)
ジェームズ・J・ムラカミ(プロダクション・デザイン)
衣装デボラ・ホッパー
編集ジョエル・コックス〔編集〕
ゲイリー・ローチ
録音ジョン・T・ライツ
グレッグ・ルドロフ
バブ・アズマン
アラン・ロバート・マレー
字幕翻訳戸田奈津子
その他レニー・ニーハウス(指揮)
あらすじ
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月。アメリカ留学の経験を持ち、米軍との戦いの厳しさを誰よりも覚悟していた陸軍中将・栗林が硫黄島に降り立った。着任早々、栗林は本土防衛の最期の砦である硫黄島を死守すべく、島中にトンネルを張り巡らせ、地下要塞を築き上げる。そんな栗林の登場に、硫黄島での日々に絶望していた西郷ら兵士たちは希望を見出す。だが、一方で古参の将校たちの間で反発が高まり…。

のび太】さん(2006-12-12)
全てのをあらすじ参照する

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未見の方は注意です!




【クチコミ・感想(9点検索)】

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12


31.《ネタバレ》 終戦の日。ということで鑑賞。 父親からの星条旗が思ったほどピンとこなかったため、劇場には行かなかったことを後悔してしまった。 アメリカ映画のスケールで、日本側の視点から極力中立に、丁寧に描かれた戦争映画。 ここまで違和感のない日本の文化と考え方を表現した映画を、アメリカが作ったことが驚く。夜中に国旗を掲げてるとか、あれ?って思う描写は少しあったけど、日本で作っていたら、きっともっと違和感を感じる、反戦メッセージの強すぎるチープな作品になっていたんじゃないかな。と思う。 廃トーチカ、朽ち果てた戦車。調査隊が洞窟を調べる現代から、戦中の硫黄島、灰色の空と土。西郷のボヤきに繋がるのが上手い。 一兵卒でさえ無意味だと思う穴掘りをさせられ、ボヤくとムチで打たれる。新しい司令官が作業を止めさせるよう命令しても、直属の上官が止め!と言うまで穴を掘る。今の日本社会もそう変わらない。 「ありゃいい司令官じゃねぇか」「メリケン好きじゃないか?」小澤や野崎との、今ならLINEなんかでするような普通の人の会話から、彼らと今の私達との距離をグッと縮めてくれる。 敵と撃ち合う事もなく、ひたすら戦場を駆け回る西郷の目を通してみる硫黄島の戦い。撤退命令に背き集団自決を選ぶ指揮官と、従うしかない一兵卒たちの現場の空気。私があの場に居たらと思うと、恐怖以外の何物でもない。 地雷を胸に体当たりを敢行する伊藤大尉。死ぬことが出来ず一晩以上放置され、軍人としての誇りも無くなり、孤独な自分と向き合うと、やはり死が怖くなる。助かりたい一心で士官の軍服まで脱ぐ、人間の弱さが生々しい。 負けて諦めて自決して。無能な士官ばかりでなく、バロン西のように人望のある士官も、活躍しすぎない適度なバランスで描かれる。 鬼畜米英と教えられた敵兵の母の手紙。日本兵もアメリカ兵も家族の思いは変わらず、また当時の彼らと今の私たちの思いも変わらない。 西郷が燃やさずに埋めて、61年後に発見された手紙。家族や子に宛てて書いた祖先たちの気持ち。 私達と変わらない普通の日本人が、あんな怖いところで書いた手紙。 生きて本土には還れない、家族には届けられないのを知っていて書いた文面の、何と穏やかなことだろう。 「ここはまだ日本か?」「はい、日本であります」 当時映画を見たあと、どこにあるかよく知らない硫黄島を地図で探した。彼ら英霊が眠る地は、今も日本の領土だ。 あんな遠い南の小さな島で、36日間も頑張ったんだ。 K&Kさん [DVD(字幕)] 9点(2021-08-15 17:40:27)(良:1票)

30.《ネタバレ》 後に南北戦争を描いたスピルバーグの「リンカーン」を予告していたかのような作品。 武器が尽き、どんどん追い詰められる様子は南北戦争の南軍の様。アメリカ人の視点で日本人の生き様、死に様をありありと刻んでいく。 そこには狂信的な異常はなく、ただありのままが描かれているに過ぎない。 実際にあった激戦をアメリカと日本の二つの視点から描いていくが…「硫黄島からの手紙」の方はアメリカ軍相手に予想以上に持ちこたえた戦略だとか、硫黄島を守備していた日本兵よりも多い敵を倒したとか、数字的な物はこの映画からは感じられない。 そこに描かれるのは赴任した栗林中将が、いかに戦いまでの準備をし、いかに生活し、いかに戦い、いかに死んでいったか。 特に穴を掘って立て篭もり、島全体を天然の要塞とする戦法。そしてそこを守った他の日本兵たちがいかに暮らし、いかに戦い、いかに死んでいったか。そこに重点が置かれているようだ。 目に映る凄惨な死闘、そして兵士の語りによる人間ドラマ。 発掘される手紙の数々、死を覚悟した男たちが何を残して散っていったのか。 バロン西のカッコ良さは異常。 「万歳!」の渇いた声が耳に残る映画でもあった。 すかあふえいすさん [DVD(字幕)] 9点(2014-10-07 18:21:26)

29.すばらしい映画です。監督に敬意を払いたい。日米の戦争を表した映画で、これより優れた映画は見たことがありません。このような映画を作れる日本の監督が出てきてほしいものです。 cogitoさん [映画館(字幕)] 9点(2014-07-30 19:10:10)

28.負の感情しか残りませんでした。 でも、これでいいのです。 戦争は絶対にやってはいけないというのがすごく伝わったので。 戦争映画の意義はこの感情を抱くことにあると思います。 しかし、1人で観に行くべきではなかったなぁ… カナブンさん [映画館(字幕)] 9点(2009-06-05 02:07:15)

27.《ネタバレ》 アメリカ人がよくこれだけ日本に優しい日本人の感情をストレートに描いた映画を作ったとまず感動しました。アメリカの描く日本軍は人間性に欠け、残虐だったり滑稽だったりとどこか侮蔑を含むものが多いものですが、作中の日本兵は信条の違いこそあれ心の通う人間として描かれています。最近の日本の戦争映画はどこか反戦や勇気、友情などに力が入りすぎていて違和感があるのですが、アメリカ製作のこの映画は感情的にすんなりと受け入れられるものでした。私は20年近く前に硫黄島を訪れたことがあるのですが、改めて祖国のために尊い命を犠牲にされた先人達に感謝したいと思わせる映画でした。 rakitarouさん [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-09-28 19:11:42)(良:2票)

26.《ネタバレ》 映画だけを見ても、最近ならこの映画とランボー4とブラックホークダウン、それからホテルルワンダ、これらを見ると日本人が飲み屋で語り始める戦争観のずれが本当に恥ずかしい物だと分かります。 右だの左だのという実態のない妄想に逃げて、生活に具体的な利益が全くありません。 前世紀からとぎれなく続く戦争や紛争がいかにすさまじく、意味不明で、大戦中の戦争がいかにわかりやすかったかということがなぜ分からないのですかと思えるほど。 この映画でも一兵卒の視点では国土を守るための軍事行動で、その衝突であるということが分かる。ものすごく分かる。 戦闘に参加した双方の兵士たちが、色々な疑問や悲しみとぶち当たりながらも国土を守るためという理由があって戦ったことに、凄くドラマがあります。 そこで失った物に悲しみがあり、どこかでこうならないための選択肢がなかったかという議論になるべきところが、なぜか過去の戦争の話から思想に逃げてしまう国民性が悲しい。 一方で現代の紛争は、それが問題にならないほど残虐で悲惨。何がしたいのか分からないけど人が殺されて、それが虐殺ではなく紛争と言われたりします。 金を払うから殺してくださいと懇願するほどの拷問を受けて死ぬ人がたくさんいます。 昔の戦争で起こったことの悲しさと現代の紛争の悲惨さは本質が違います。 近代国家で言えば日本でやっているような反戦活動はもう先進国間では成就したと言っていいのではないかと思うほど。 そういう日本とは認識が違う世界で作られた、ドキュメンタリータッチの戦争映画ですから必然的にこの国では何が言いたいのか分からないという印象になるかもしれない作品です。 しかし旧世代の戦争の、起こったことの重大さを日本人以外の世界観から眺められる貴重な2時間です。 日本人の要求する史実や当時の国家思想、軍部の対立といったような四方山話がいかに世界平和と関係なく興味を持たれていないかということ、アメリカに解決してもらった平和実現を右左のトンチンカンな理論で語っているのかということを理解するインパクトがあります。 黒猫クックさん [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2008-09-01 01:33:09)

25.《ネタバレ》 スタッフロールにスクリーンプレイ、アイリス・ヤマシタという名前が書いてあるのを見て、私はてっきりこのお話は、その当時を知る日系のおじいちゃんが書いたものなのかなと思ったんですけど、後にメイキング映像を見て実は日系の若い女性だということを知ってとても驚きました。当時の資料を集め研究し、出来る限り史実に忠実にしたかったのだそうな。ストーリーとしての素晴らしさも去ることながら、その真摯な仕事ぶりに感心致しました。イーストウッド氏は「戦争で亡くなった全ての人たちは尊敬に値する。彼らの犠牲があって今の日本があるんだということを、忘れてはならない」と語っています。これこそがこの作品のテーマであり、メッセージなわけです。日本の領土で行われた初めての日米の戦い。そして第二次大戦において最も激しい戦闘の一つであり、日米双方に多数の死傷者を出したという。特に日本軍は2万名余りの兵士のうち、そのほとんどが戦死ししてしまったそうな。まさに玉砕覚悟の防衛だったわけです。栗林中尉の台詞に「 我々の子供らが日本で、一日でも長く安泰に暮らせるなら、我々がこの島を守る一日には 意味があるんです!」というのがありましたけど、本当にそういう思いで戦ったんだろうと思います。にもかかわらず、制作者側が言う様にあまりきちんと教科書で教えられていない。この国ではやれ戦争や自国の歴史ということになると、すぐさま右と左のイデオロギーの戦いに終始してしまう。過去に起こったことをそのまま伝える事、戦争で亡くなった方々に敬意と哀悼を表する事は、本来はイデオロギーを超えたものであるはずなのに。そりゃ確かに戦争は無意味だし、嫌なものだから記憶からなくしてしまいたいかもしれない。でも彼らの存在まで無意味にし、その思いまでなかったことにしたら、それこそ何の教訓も得てないし、自分で自分を卑下する様なものですよ。思想的に偏屈になるか、あるいはただの無関心かのどちらかに行く事無く、全ての日本の人々が彼らの存在と思いを知り、頭をたれるその日が来るまで、この作品の意義が失われる事はないでしょう。 あろえりーなさん [映画館(字幕)] 9点(2008-08-13 23:47:42)(良:3票)

24.硫黄島二部作のアメリカ篇「父親たちの星条旗」を見てからだいぶたって本篇を始めて見ました。やはり多くの方がおっしゃるようにこちらのほうが上だと思います。「父親」のほうの点数を一つ下げて8点にしてこちらを9点にしようとも思いましたがお互いに相補う作品だということで、同じ点をつけておきます。満点ではない理由は外国部門のアカデミー賞にノミネートされず、多分そのせいでオスカーを逃したこととか、たいしたことではありません。当時のアメリカ人にとって、日本兵はわけのわからない怪物だったと思いますが軍部の無謀な暴走が硫黄島などの前線で戦った人々をどう変えてしまったか、この作品を見るとよくわかります。二宮和也のしゃべり方が現代風すぎるという意見も聞きましたが、さほど気にならず、時代考証にも結構念が入っていると思います。暗い画面と米国R指定(日本の18禁?)もしかたのない残虐シーンが続きながら、監督のイーストウッドが作曲した癒し系のBGMと時折入る手紙の朗読に心が和む思いがします。確かに、「父親」よりもこちらのほうが極限状態における個人と国家の関係などについて真剣に考えさせる作品だと思います。 かわまりさん [DVD(字幕)] 9点(2008-05-12 11:00:38)(良:1票)

23.《ネタバレ》 最後の最後に、愛する妻を忘れ、無謀にもシャベルを振りまわす。そこに、戦争を感じた。日本人から見ても子供のような二宮和也。このくらいの世代に見てもらいたかったのかな?それならキャスティングに異論はありません。ただ、純粋な日本人以外の起用は避けてほしかった。 マリモ125ccさん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-17 11:19:53)

22.《ネタバレ》 何度も観返すと、各指揮官の演説が実に感慨深いものである事に気付いた。最初の栗林の万歳演説「10人の敵を倒すまで死ぬ事は禁ずる!・・・余は常に諸子の先頭に有り!」、自決前のすりばち山大尉「靖国で会おう!」、目を負傷した西「おのれの信ずる道が正義なのだ!」、その後の、「おのおのの判断で飛び出せ!・・・来世で会おう!」、再度栗林の「余は常に諸子の先頭に有り!」。どの言葉も心の奥底に重く響く。「父親たちの・・・」はこれほど心に響かなかった。私が日本人だからか。 earegukurisuさん [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2007-10-08 10:34:27)

21.《ネタバレ》 今更ながら、劇場で見なかったことを後悔しています。前評判の高さと同時上映作品の多かったことが災いしました。 見てどうだったのよ?と、聞かれたら、最初に頭に浮かんだのが「不条理」という言葉です。誰も戦争は望んでいない!誰でも家族の平和、健康、国家の健全な安泰を望んでいるのに1部の人達のために思いもつかない環境に放り込まれてしまう。栗原中将がアメリカに行ったとき、パーティで「もし、日本とアメリカが戦争したら、貴方どうします?」とご婦人に聞かれます。「わたしは、国のために働きます!」と軍人の立場で答えるが、最後に発した「NEVER!」そんなこと絶対にないですよ!が見終わる最後まで頭に残りました。 親米の栗原中将、ロサンゼルスオリンピックの馬術のメダリスト西中佐、憲兵隊を追われた清水、埼玉のパン屋西郷、誰がこの地を望んで出征したのでしょう。 としべいさん [DVD(字幕)] 9点(2007-04-24 08:03:57)

20.《ネタバレ》 最近、手紙というものを書いたことがない。たいてい電話やメールで済ませる。意思を伝えてはみたものの当然、何を話したか、何をメールしたかなんて覚えていない。硫黄島での激闘は、戦った者にしか分からない悲劇であり、本土で安心に暮らす家族やその後の子孫たちの未来を守った(誰にも気づかれないでいた)功績であり、戦争の罪悪の象徴なんだと思う。御国のために戦場へ行った『父親』たちが家族に対し、実際はいつ死ぬかも分からない銃撃と爆撃の中であっても、戦地や蛸壺での醜態や悲劇を決して伝えることなく、手紙の中に書くことは家族1人1人を気にかけることだけであり、帰還をただただ約束する。本当のことを書きたくても書かない辛さと戦地へ徴兵されたことの覚悟を手紙には感じられる。戦争のきっかけって、首脳と首脳が1枚の書類にサインするしない(相手の主張にYESと言わない)ことで始まる。くだらない紙切れのために命を落とし、家族の絆を保つ大切な紙切れを守るために命を落とす。同じ紙切れでも、重さが違う。そういう意味で、50年?の時を経て手紙が発掘されたシーンは失われた大切なものを感じ取った。 どんぶり侍・剣道5級さん [DVD(吹替)] 9点(2007-04-21 18:53:26)

19.今まで見た戦争映画の中では間違いなく一番「怖い」作品でした。とにかく刻一刻と迫り来る死への恐怖感がもうハンパじゃない(集団自決のシーンはトラウマ必至)。胃は2時間半の間キリキリ痛みっぱなしで口の中はカラカラ、映画を観ていてこれほどフィクションであることを忘れたのは初めてです。『父親たちの星条旗』とは対照的にドラマ的な面白さを一切廃し、ただただ敵に追いつめられていく日本軍の様子を淡々と捉えたドキュメンタリーのような構成だったからこそ、ここまで圧倒的な恐怖の再現が可能だったのでしょう。戦場にドラマなどない、あるのは血と恐怖と死が織りなす地獄のみ……。硫黄島からの手紙、確かに受け取りました。 とかげ12号さん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-28 23:00:16)(良:1票)

18.おととい遅ればせながら観てきました。 …観る前、実はちょっと心配でした。 「よく終戦の日あたりにテレビでやっている特別ドラマと大して違っていなかったらどうしよう」とか、「『アメリカ人が撮ったわりにはよくできているじゃないか』なんていうのが主な感想になる程度の出来だったらどうしよう」とか。…でもそんな心配は杞憂なものでした。この作品がアメリカ映画であるということとかイーストウッド作品だということ、そういうのを抜きにしても私にとっては十分楽しめる作品、そして心に残る作品だったのですから(実際映画が始まるとイーストウッドのことはほとんど思い出すに鑑賞できたくらいです)。 …私は今楽しめる作品と書きましたよね。 このような戦争における部隊の全滅を描いた作品、いわば生と死の極限状態を描いた作品でありながら「楽しめる」という言葉に抵抗をもつ人もいるかもしれません。でも正直「戦争の悲惨さを考えさせる」とか「命の尊さを考えさせる」とか「日米のあらゆる違いを考えさせる」という啓蒙的要素よりも、あんなにも悲惨を極めた「硫黄島の戦い」を映画という娯楽として多くの人々に観せることができたことが、この映画の特筆すべきことではないでしょうか(イーストウッドという色眼鏡なしにこの作品を鑑賞したつもりの私ですが、今思ってみるとそういう点では「許されざる者」にも通じたものがあるのかもしれません)。およそ目を背けたくなるような悲惨なシーンも色のトーンの工夫などで上手く美しく表現しているところなど、心憎いようです。2時間半にも及ぶ時間を、ときおり回想を含ませているとはいえほとんど地味な戦場ドキュメンタリーのような様相を見せながら最後まで観客を引っ張っていく力は一体何によるものなのか?シナリオなのか役者なのか監督の手腕なのか、そんなことすら私にはわかりませんでしたが、とにかくあっというまの2時間半だったことは確かでした。 本来ならば10点を献上したいところですが、2部作の片割れ「父親たちの星条旗」を未見であること、あと鑑賞直後の一過性の陶酔である可能性、そしてやはり外国作品であるがゆえのほんの些細な「言葉の不自然さ」(とくに雑音として入ってくるセリフの端々に見られました)のため1点マイナスさせてもらいます。今度は「父親たち・・・」を鑑賞後すこし時間を置いたうえでまたこのレビューを書かせてもらいたいものです。 ぞふぃさん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-19 17:41:18)(良:2票)

17.太平洋戦争の中でも最も過酷な戦いと言い伝えられているのが、本作で描かれている硫黄島での攻防戦である。それは、記録映画やニュース・フィルムでしか知らなかった我々日本人が体感する、恐らく初めてと言ってもいいほどの本格的な映画化であり、しかも日本人が遠く忘れ去ってしまった感のある出来事を、米国人の手による映像化で喚起させられたと言う事には感慨深いものがある。実在した歴史上の人物と無名の兵隊たちとの物語を巧みに綴った原作を基に練り上げられた脚本も然ることながら、これが本当にハリウッド映画なのかと目を疑いたくなる程、日本人の心情を見事に描ききっている。共同制作がS・スピルバーグ、脚本にP・ハギスを擁し、そしてC・イーストウッドが監督に当るという、現ハリウッド最高峰の頭脳が集結して創り上げた本作には、単に日本人が出演していると言うだけでは説明がつかない、伝統的な日本映画の香りがする。これは、代表される2人の知日派により日本あるいは日本映画が研究され、日本人というものを本気で描こうとしている証しであり、今まさにそういう時代に差し掛かってきたのだと感じさせてくれる。企画の貧困によりアジアに目を向け、活路を見出そうとしている多くのハリウッド人とは一線を画するのである。もちろん原作を脚本化する事により、明瞭さを身上とする英語とはまるで違う日本語の微妙なニュアンスが十分に表現できたかは疑問が残るが、しかしその事は些かもこの作品の傷にはなっていないし、むしろ、だからこそ当事者たちの心情が痛いほど良く分り、心にストレートに響くのである。それがアメリカ映画の美点と言うものだろう。また塹壕に向けて火炎放射器で日本兵を焼き殺すという、硫黄島の戦いに於ける象徴的なシーンは、その余りの残虐性から日米双方に配慮し必要最小限に抑えられ、別の視点から戦争の残虐性を訴えたのは賢明な判断だったと思える。本作をさらに魅力的なものにしているのは、事実上の主役と言ってもいい二宮和也を措いて他にない。とりわけ、追いつめられ次々と玉砕していく仲間たちの無残な死に様を目の当たりにした事で、生への執着を見せる行動は、卑怯者としてではなく、人間として生き抜く知恵であり有りのままの素直な感情表現だと言え、この時代に生きた典型的な日本人青年というイメージを打砕く圧倒的な存在感を見せつけて圧巻である。 ドラえもんさん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-11 17:20:31)(良:1票)

16.エンドロールまで息ができないような感覚にとらわれ、胸が苦しくなるような映画でしたが、観てよかったと思います。 longsleeper21さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-20 12:52:50)

15.《ネタバレ》 物語は終始一貫して センチメンタリズムに陥ることなく淡々と進む。 ヒーローが戦場を駆け回るでもなく、感動的な音楽で泣かせるでもなく、 ただただひたすら淡々と進む。 ほとんどモノクロに近い、色褪せたセピア色の画像と相まって どこかソ連やポーランドのモノクロ映画のやうな趣だ。 一応の主人公は、渡辺謙が演じる栗林中将と 二宮和也(自然で上手かった!) の一兵卒・西郷なわけだが・・・ 敵の銃弾・火炎放射器によって、自らの手りゅう弾・小銃によって 将校も 名も無い兵士も同等に何の「映画的溜め」もなく あっけなく死んでゆき、観客に過度の感情移入を許さない。 だがしかし、そんな突き放したストイックな映像の中に、 イーストウッド監督の兵士たちに対する限りない優しさと敬意を感じるのです。 物語の半分くれいは薄暗い洞窟の中、 前は米兵・後ろは絶海で退却しる場所もないといふ 救いようの無い閉塞感に満ち満ちているヘビーな映画なので、 涙もしないし 決して人にも奨めませんが、 イーストウッド御大の突き放した優しさ故に、何度もまた観たいと想ふのです。 恐らく今の日本で撮ったら・・・ 戦争に無理くり引っ張り出された「市井の人々」の悲劇として ベタベタの音楽をバックに、情感たっぷりに描かれるだろう。 が、イーストウッド監督は反戦でも好戦でもなく、センチメンタリズムを排し 「硫黄島を一日でも長く死守することは、 それだけ敵の本土空襲を食い止めることになる。」といふ 司令官の信念の元に闘った「兵士達」を淡々と描く。 現状で出来ることに最善を尽くし、全ての責任を負った人、 どうしても家族の元に帰りたいと願う人、千人針を置いて逃げ出す人、 家族の写真を握りしめて手榴弾のピンを抜きヘルメットに信管を叩く人、 勇ましい玉砕の途中で日和って死んだふりする人、 絶望的な戦況でも馬を愛し敵の負傷兵看護する人・・・ 描かれた全ての兵士達に対するイーストウッド監督の視線は、ただただ優しい。 「荒野の用心棒」やら「ダーティーハリー」・「アウトロー」やら ガキの頃から大好きだったイーストウッド御大が、こんな良い映画を撮るなんて・・・ こんな重いメッセージを 自分ら日本人に差し出すなんて・・・ もし当時の自分が知ったら、ぶったまげるだろう。 バイクボーイさん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-13 13:28:51)(良:1票)

14.《ネタバレ》 硫黄島よりスリバチ山が印象的。「父親たちの星条旗」では外側が、「硫黄島の手紙」は内側が主要な舞台となる(だから、「硫黄島~」を見たら必ず「父親たち~」も見なければならない。逆も然りだが・・・)。スリバチ山の内部で展開される攻防の様子は見ごたえ十分なのだが、何よりも迷路のように作られた洞穴での非戦闘時の様子が心に残る。手紙を書く視線とオフの声、戦闘前の渡辺謙による万歳三唱、弾に当たらないよう腹に巻かれる縁起物(名前ど忘れ・・・)の哀しさ、伊原剛と米兵捕虜との対話、玉砕前にラジオから流れる歌声・・・あと例外的ではあるが中村獅童が洞穴で結局捕虜として捕まってしまうシーンの可笑しさ。これらの見事な叙情性は「父親たち~」ではほとんど見られることはなく(だからといって「父親たち~」を見ない理由は・・・って、しつこいか)、「硫黄島からの手紙」におけるスリバチ山の内部という、絶対的な「暗」の中でわずかに照らされる光となる。日本兵(日本人)に対してこれ程真摯に向かい合ったイーストウッド、そしてそれに見事に応えた日本の俳優たち。それらが最終的に優れたアメリカ映画へと昇華されたということ。ていうか、褒めることしか見当たらない(笑)のだが、「父親たち~」の方がやっぱり上かなと思う。それはイーストウッドのいまだ衰えぬ野心を、直接触れたら凍傷になってしまう冷たさを、「父親たち~」は持っていたように思うからである。あの、海辺で米兵たちが戯れるラストシーンの浮遊した感じなんかでも、いまだに言葉にする事が出来ない。それに比べれば「硫黄島からの手紙」は上記のように褒めることができる分、安全な感じがするのは否めない。 Qfwfqさん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-11 23:35:36)

13.日本の戦争映画は概して露骨なほどの反戦映画(製作者の力説が聞こえてきそうなほどの)多いのですが、この映画はそういった主観の押し付けが無くて好ましいと思います。事実をあるがままに伝え、それに対してどう考えるかは観客に任せるものこそが良い映画だと思いました。 郭嘉さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-09 15:22:09)(良:1票)

12.《ネタバレ》 なんだろうこの映画。人が死ぬのに辛い話なのに全く泣けない。それどころか最後に西郷や伊藤が捕虜として捕まった時、心の底からホッとした。西郷はまるで60年前の硫黄島に迷い込んだ現代の若者のようで、彼の発する愚痴に近い言葉は、私が昔授業の一環で見せられた戦争映画に感じたことそのまま。でも西郷は、そして見ている観客も、あの場所にいる以上戦いの中に巻き込まれていく。正直、この映画には目を見張るようなスペクタルもため息をつくような恋愛も涙を誘う英雄像もない。カッコいい兵器なんて出てこない。それでもこの硫黄島2部作と向き合って考えなきゃいけないことは沢山ある。クリントが日米双方の若者に出した宿題は思っているものより遥かに難しいけれど、解けないものじゃない。 なな9さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-03 21:30:45)

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【点数情報】

Review人数 237人
平均点数 6.90点
031.27% line
100.00% line
220.84% line
341.69% line
4177.17% line
52711.39% line
63313.92% line
75221.94% line
85221.94% line
93113.08% line
10166.75% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.36点 Review33人
2 ストーリー評価 6.64点 Review39人
3 鑑賞後の後味 6.35点 Review34人
4 音楽評価 6.94点 Review35人
5 感泣評価 5.58点 Review36人

【アカデミー賞 情報】

2006年 79回
作品賞 候補(ノミネート) 
監督賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 
脚本賞アイリス・ヤマシタ候補(ノミネート) 
脚本賞ポール・ハギス候補(ノミネート) 
音響効果賞バブ・アズマン受賞 
音響効果賞アラン・ロバート・マレー受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2006年 64回
外国語映画賞 受賞 
監督賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 

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