みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
10.ヒロインの「悲鳴」に気づき、ジョン・トラヴォルタ演じる音響効果マンの主人公が彼女の危機を救うべく走る。 このクライマックスまで冴え渡るブライアン・デ・パルマのカメラワークを観ながら感心しつつ、一方で「意外とオーソドックスな映画だったな」と、その後に訪れるであろうエンディングを予想して思った。 そして、同時にジョン・リスゴーが扮する殺人者の存在性や解消されていない物語設定に若干の整合性の欠如を感じ、「不満」が顔を見せ始めた。 しかし、その直後、「不満」は速やかに叩き伏せられた。 安直な予想を覆す圧倒的に印象的なエンディングに言葉が無かった。 時に軽妙ささえ巧みに醸し出しながら展開してきたサスペンス色豊かな映画世界が、一転して上質な「悲劇」へと帰結する。 過去に傷を持つ男が、或る事件の遭遇によってかつての正義感を揺り起こす。それは、不遇を極めている人生からの起死回生の脱却を図った一人の男の姿だったと思う。 しかし、人生の無慈悲は、ふいに生まれたその転機のきっかけさえも、無情過ぎる悲劇をもって消し去る……。 大いなる失意の中で音響効果の仕事に戻る男。 試写を観ながら「いい悲鳴だ」と繰り返し呟くその様は、男が静かに精神の闇に沈み込んでいく様子が如実に表れており、胸が詰まるラストカットだった。 本編への重要な伏線となる劇中映画を用いたオープニングからはじまり、ラストの美し過ぎ悲し過ぎる花火シーンに至るまで、全編に渡ってブライアン・デ・パルマの卓越した映画術が冴え渡っている。 おそらく、一度観ただけでは気付かないような細かな映画的工夫も随所に散りばめられていることだろう。 そして、ジョン・トラヴォルタは、映画世界の展開とそれに伴うテンションに混じり合うように呼応し、音響効果マンの主人公を演じ切ってみせている。 群衆の賑わいに掻き消される悲鳴。誰にも届く筈の無い悲鳴が、主人公にのみ届くという映画的な巧さと絶望感。 鑑賞前に予想していたものとは全く違う感情を覚えたが、それこそが映画の醍醐味だと思う。 良い監督と良い俳優による文句なしに良い映画だった。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-02-02 13:47:26)(良:1票) 9.《ネタバレ》 デ・パルマ映画の主人公たちは常に脛に疵持つアウトサイダーである。『BLOW OUT』のジャックもまたその例に洩れない。刑事時代の潜入捜査で、自分の判断ミスから同僚を失った過去は、映画の音響技師となってもなお彼に暗い陰をおとし続ける。そんな彼が愛すべき売春婦サリーと出会ったことにより英雄的行動に打って出るさまは、描かれる意味合いこそ全く違えど、どこか『タクシードライバー』のトラビスを想起させる。だが、トラビスが人格障害的不気味さを常にまといつつもある種のパンクなかっこよさを表現していたのに対し、ジャックはあまりに善良で、その善良さゆえに非力だ。かっこ悪くブザマですらある。そこがなんともデ・パルマらしい。落伍者を皮肉たっぷりに英雄に仕立てあげるのがマーティン・スコセッシなら、英雄になり損ねた落伍者の背中を痛みをもって描くのがブライアン・デ・パルマなのだ。場違いなほど美しい花火と、それにかぶさる場違いなほど美しいピノ・ドナジオの音楽。そして映画をしめくくる悪趣味なラストのジャックの選択。それらすべてが再び負け犬へと逆戻りする彼の屈折と悲哀、そして痛みをきわだたせていて圧巻だ。そんな映画なのだから、非難されて当然といえば当然だ。事実本国アメリカでの公開時、かなりの酷評をうけたと聞く。しかし、雪の公園のベンチに茫然と座り続ける彼の背中にどうしようもなく涙してしまうような人間もまた少なからずいるのだ、と信じたい。負け犬のかなしみと悪趣味な感傷、それこそが、ブライアン・デ・パルマがせつないほどにくりかえしくりかえし描きつづける主題なのだから。蛇足ながら、原題のBLOW OUTは、タイヤがパンクする、ヒューズが飛ぶ、明かりを吹き消すなどのほか、名詞としては大敗を意味する言葉でもあるらしい。とりあえずミッドナイトクロスと改題したヘラルド映画の担当者出てこい!と言いたい。 【BOWWOW】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-07-21 19:12:00)(良:1票) 8.どこを取ってもデ・パルマ丸出しのデ・パルマ映画の中堅どころ。独特のカメラワークに、多用される画面分割、そして美しい音楽と奇妙に捩れたサスペンス・ストーリー。主演のトラボルタとナンシー・アレン<「キャリー」を引き継ぐアーパーカップル>も最高だけど、相変わらずの変質的殺人者ジョン・リスゴーもいい味を出しています。ラストはとても哀しい。美しきヒロインの死も、暴走する殺人者のあっけない死に様も共に哀しい。濃密な夢が終わるかのごとく、世の中は何事もなかったかのように日常を流れていく、ただ主人公の大きな喪失感と実録された悲鳴だけを残して。これはデ・パルマ版の「世界の中心で、愛をさけぶ」だ。かなり捻くれてはいるけど、やっぱりテーマは純愛物語なのだから。。。 【onomichi】さん 9点(2004-06-05 00:52:00)(良:1票) 7.2度3度と観ていくうちにどんどんその映像の魅力に引き込まれていく。個人的にはデパルマの最高作です。放題が気に食わないけど...... 。さらにこれはヒッチコックではなく、アントニオーニの「欲望」へのオマージュでもある。 【nizam】さん [映画館(字幕)] 9点(2004-04-09 12:56:27) 6.《ネタバレ》 デ・パルマの作品で一番好きですね。彼の映像と音楽そのものの作品なんですが、なんと言ってもラストです。そうくるか、やられたなって。何とも切ないラストですが、私には不快感は残りませんでした。これ以上にないリアルな悲鳴を捨てる事のできなかった彼の悲しくも切ないプロの意地、あるいは彼女の残した最後の声を使う事で彼女を供養しているのだと理解しました。サスペンスの秀作として世に残る映画だと思います。 【Tak】さん 9点(2003-12-31 04:59:04)(良:1票) 5.素晴らしいラスト!ストーリー、展開もグー! 【愛人/ラモス】さん 9点(2003-11-27 11:02:21) 4.いい映画です。B級が好きな人にはぜひお勧めします。"自称映画ファン"の方にもぜひ。みんながはまっているもの(月並みですがロミオとジュリエットやアルマゲドンとか)を見る方にはつまらないでしょう。私はこの美しいラストが大好きですから。甘くない作品。ストーリーを生かしきれていないという声の方も、二度、3度と見ると変わると思いますよ。そんなには見ないですか(笑) 【瓶】さん 9点(2003-04-16 10:30:42) 3.腰振ってるトラボルタが嫌いだった。深夜放送でこの映画を偶然見て、トラボルタが好きになった。 【荘次郎】さん 9点(2003-02-01 11:59:04) 2.デ・パルマ映画の中で最も好きな作品です。何度観てもラストで泣きます。コレ、公開当時のコピーって《悲鳴で始まり悲鳴で終わる》だったんですよ。確かにその通りなんですが、ホラー映画だと思って観た人は、どう思ったんでしょうか。逆に、ホラーだと思って観に行かなかった人がいたとしたら、それは実に残念な話です。 【小虎】さん 9点(2002-06-13 00:10:48) 1.クエンティン・タランティーノがビデオ屋に必ず置いときたい作品のひとつにこの映画をあげていたので見たのですが、ラストのシーンのトラボルタがすごく感動した。ハッピーエンドで終わる映画よりもこのような悲劇で終わるほうが心に残り涙が出てくる。(例外もあるが)DVD化が出て欲しい。 【映画ファン】さん 9点(2002-03-19 01:02:56)
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