みんなのシネマレビュー

酔っぱらった馬の時間

A Time For Drunken Horses
2000年【イラン・仏】
ドラマ
[ヨッパラッタウマノジカン]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2020-07-16)【イニシャルK】さん


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監督バフマン・ゴバディ
脚本バフマン・ゴバディ
製作バフマン・ゴバディ
あらすじ
 中東の先住民族の一つで、国家を持たない少数民族のクルド人。イランとイラクの国境にある山岳地帯の村を舞台に、両親を亡くしたクルド人家族がお互いを慈しみ、助け合いながら生きていく姿を追う。タイトルは、イラクへの密輸で生計を立てている村人たちが、荷物を積んでいる馬(ラバ)に酒を飲ませ、厳冬の山越えをすることから来ている。

きのすけ】さん(2003-11-08)
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【クチコミ・感想(9点検索)】

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5.《ネタバレ》 この監督はもはや天才なのではないでしょうか。なにこのリアルさ、そして圧迫感。健気でイノセントな子供たちの見せる笑顔はポカポカしています。だからこそ時々彼らが見せる涙は逆に強烈なまでに痛々しい。兄弟だけの家族。お互いがお互いを信用し、過酷な状況の中でしっかり協力して生きています。2人の男の子と3人の女の子。病弱なマディへの愛情は本当に偽りがなく透んでいます。子供たちが懸命な中、無責任な大人たちが目立ちます。次男で大黒柱となったアユブは大人に交じって懸命に働きますが、いつになっても給料がもらえません。結婚したらマディの手術代を払うと約束した長女の義理の母は約束を守らずマディを追い返します。絶望の淵に立ったアユブはマディを連れて馬を売りにイラクとの国境へ行きますが・・・。ラストは痛々し過ぎて見るのが辛かったです。大吹雪の中しっかり一歩一歩進んで、歩くのだけでも辛いのにアユブはマディに向かって『大好きだよ』と優しく声をかけるのです。現代イラン映画における子供の役割というのは大変素晴らしいものです。現代の発展途上国に生きる私たちへ何かものすごくパワフルなメッセージを発信していると思います。『亀も空をとぶ』に合わせてゼッタイ必見です。 未歩さん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-24 13:12:25)

4.絶望的な環境の中でたくましく生きる子供たちの姿、などと言ってしまっては、かえってアリガチで安っぽくなるかもしれないが、本当にそうなんだからしょうがない(笑)。それがこれほど強い力を持っているのは、もちろんリアリティとかいうコトもあるんだろうけど(これまたアリガチな・・・)、しかし何と言っても、作品の背景に、人間の生命力と言うものに対する、無限の信頼、とでもいうべきものがあるからじゃなかろうか。周りの大人たちも、確かにいいヒトたち、親切なヒトたちばかりとは、到底言えないけれども、この環境では致し方なしか、と思えるウラにはやはり彼らの生命力というものがある。そして何と言っても、ラストシーン。有刺鉄線の柵(国境)と踏み越えていくモチーフは、『わが故郷の歌』とも共通のもの。痛々しくも無上の人間賛歌。 鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-12-03 00:25:32)(良:1票)

3.《ネタバレ》 古来から南米の山岳民族は、土地の生産性が低い割にピラミッドなんか作ったりしちゃって重労働を課せられて来た民族だ。重い荷物を背負って山を越えるシェルパは、出発の前にコカの葉を一枚、口に含むんだそうだ。麻痺した肉体は、耐えられないような辛い仕事にも耐えてくれる。そうして麻薬大国コロンビアは誕生した…以上は枕でした。 本作では、イラクに向けて出発する密輸キャラバンが、厳寒の山越えに耐えられるようロバに酒を飲ませる。キャラバンが進み始めると、そこで映画開始後30分にして始めての劇伴が入る。このルールは全編に渡って適用され、馬が酔っ払っている時間にしか音楽はかからない。まさに南米を舞台にした『アギーレ/神の怒り』の冒頭と同じ音楽原理。 長い人類の歴史で、とても耐えられないような辛い仕事を耐えられるようにしてきたのが音楽の力だから。音楽は人間の営みのエッセンスだから。無限の繰り返しによる「麻痺」という快楽が、音楽の原理であり、オシゴトの原理でもあり、そもそも人生の原理でもあるだろう。BGMではないけれど、序盤に子供たちが唱う歌が、それを率直に表している。 人生は辛い。人生は酷い。人生に希望はない…それを言い続けて、言い続けて、みんな麻痺して行く。感じなくなって行く。 そんな中で、決して良心を捨てようとしない主人公たち兄弟。弱者を見捨てようとせず、その態度に疑問すら持っていない、偉い事とか良い事とかも感じていない、とてもストレートな主人公たち。劇中、彼らだけは麻痺を拒絶して醒めて続けている。彼らだけが現実を直視している。ポスターを買ってくる兄の姿に、麻痺の兆候が見えてはいるが。まだ彼らは大事な何かを失わずにいる。 …もしこれがテーマだとすると、エンディングのカットタイミング、そこへエンドロールと共に流れてくる音楽は絶妙で、恐ろしい。音楽は、人の中の何かを奮い立たせ、同時に何かを失わせる。本作の劇伴ルールの厳密さから考えて、エンディングに流れる音楽は悲劇の暗示だと推測した。 地雷にやられたのかもしれない。兄を見捨てたのかもしれない。ロバが売れなかったのかもしれない。手術が失敗したのかもしれない…その全ての可能性と、結果として訪れる心の境地を、あの音楽が癒してくれている。 この映画自体も、観客の心へ失った何かを取り戻させてくれて、また奪い去って行く。映画もある種の麻薬だと思う。 エスねこさん [DVD(字幕)] 9点(2007-04-14 09:15:41)(良:1票)

2.過酷な状況の中生きる兄弟の姿を淡々と描く、しかしだからこそリアルにぐっと胸に響きます。12歳の子供が一家の大黒柱にならなければならない、死と隣り合わせの危険な仕事、さらには決して衛生的とはいえない医療環境。仕事に行った先で写真をくれたのもまた働く子供なんです。ドキュメンタリータッチではありますが、この映画はフィクションなのでしょう。でも、クルド人を含め世界の多くの場所でこの映画はリアルなのだと感じました。 アンダルシアさん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-29 20:10:01)

1.またまたこんな監督が出てきてしまうのだから、本当に驚嘆すべしイラン映画界。クルディスタン出身のゴバディ監督は、あのサミラ・マフマルバフの「ブラック・ボード」にも自ら教師役で出ていたが、正直、較べられるものじゃない。映画好きなら、ぜひ見てほしい。損はさせないから。 青人さん 9点(2003-04-27 15:06:58)

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【点数情報】

Review人数 17人
平均点数 7.94点
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100.00% line
200.00% line
315.88% line
400.00% line
500.00% line
600.00% line
7317.65% line
8741.18% line
9529.41% line
1015.88% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 7.00点 Review1人
3 鑑賞後の後味 7.50点 Review2人
4 音楽評価 6.00点 Review1人
5 感泣評価 6.00点 Review1人

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