みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
30.《ネタバレ》 民族間の争いや確執を、「こういう個々人のレベルから解消していけたら」という大義的な意味では共感できるし、美しいと思う。 ただ怖いのは、あのおじいさんの、葬儀中の主張。 思いっきり泣けるシーンだけに、彼の一方的な主張にそのまま押し流されてしまいそうになる。 「ちょっと待って、それってホントなの?」と自分の歴史認識を「必ずもう一度しっかり」確認しましょう。 でないと、ただのプロパガンダになってしまうよ。 侵略? 植民地支配? 強制連行? 強制労働? 違うっしょ? そんな歴史はありませんよ? 決して「自虐的日本人」になって観たりしないで欲しい。 そこがポイントではないから。 あくまでも「歴史や思想に翻弄される思春期の青少年達が、その大きな溝と対峙しながら突き進む」という青春群像劇。 背景にあるイデオロギーや思想の「あり方」を廃して観たら、思いっきり泣けます。 俳優陣の関西弁も素晴らしい。 画面から吹き出してくるパワーも凄い。 本当にいい映画だと思う。 そして、もう一歩。 いや、だからこそ、もう一歩! 彼ら青少年達がこんな苦労を強いられることになった根本がどこなのか、貴方が知ってる(つもりになっている)歴史は「本当に正しい」のか、それぞれが深く踏み込んで勉強してみてはいかがか、と思うのであります。 在日「外国人」の人々が弱者(もしくは虐げられた人々)なのではなく、「民族間の確執に苦しむ『青少年』」が弱者なのであり、彼らが、彼らの立ち位置で、彼らなりの(徒手空拳の)スタンスで戦うから、この映画は素晴らしいのである。 もう一度言います。 決して、安易に「自虐的日本人」になって観たりしないで欲しい。 そこで思考停止しちゃ絶対に駄目。 くれぐれも「焦点」を見失いませぬように。 ね? 井筒さん、そうだよね? ね? w 【とっすぃ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-11-12 02:12:16)(良:6票) 29.タイマンで勝っても、翌日には10人に囲まれて袋だたきにされます。 オープニングから「そうそう、こんな感じや!」と納得かつ懐かしさに頬が緩みます。僕らの時代は、若さ故のもどかしさ・不満のはけ口を朝中との抗争にぶつけていたのかもしれない。差別意識などもちろんないし、たまたまちょうど良い相手が”彼ら”だった。しかし、彼らは強い同胞意識と歴史を認識した上での敵対心をもって、立ち向かってきていたのですね。とにかく、この頃は若者の欲求不満が今のように弱者に向けられる事は絶対になかった。 井筒先生も「ゲロッパ!」の反省からか、下手な悪ノリはせず、俳優にも媚びず、自分自身の時代をストレートに表現しているようです。若者達の熱い想いがそのままスクリーンに焼き付き、昔のトンク(東九条)が再現され、記憶の片隅にしまい込まれていた名曲が奏でられたら~ノスタルジック・キャメロン・クロウ状態~涙腺緩みっぱなしです。 私は政治的なメッセージを感じるより、輝ける60年代の日本を描く事で、今の病めるニッポンへの強烈な応援歌として受け取りました。 「あの~すばらしいニッポンをもう一度~」 【つむじ風】さん 9点(2005-02-21 02:57:18)(良:4票) 28.《ネタバレ》 井筒監督がここで描くのは単なる暴力ではなく、あくまでコミュニケーションの一形態としての喧嘩だ。たとえ不毛ではあっても、血気盛んなアンソンたちにとって喧嘩上等はある種の身体言語であり、彼らなりのせいいっぱいの自己表現なのだ。アンソンの弟分チェドキが主人公康介に打ち明けるように、本当はそれが怖かったとしてもだ。だからこの映画が描くアクションは、一つのこらずそんな彼らの「生きる」そのことに直結している。生きるということはつまり、この困難な世界にそれでも頭突き=パッチギをかますべく立ち向かう、そのことにほかならないだろう。時に流血するほど過激にエスカレートする彼らだが、その姿が一方でどこか清々しいのは、解りあえず敵として立ちはだかる憎き相手もしかし自分と等しく生きるべき人間なのだということを、当たり前のこととして野蛮なはずの彼らが知っているからだ。人間はそれでも等しく人間なのだ、と。この映画が終始一貫ひたすらに語ろうとするのは、つまりそれだ。友情を誓いあったチェドキの葬儀の席で「お前は日本人だから」と遺族に糾弾される康介。一人涙にくれ、橋の欄干で大切なギターを叩き割る彼の姿は、朝鮮部落のみすぼらしいあばら家の、チェドキの棺も入らぬ小さなその入り口を、泣きながら懸命に叩き割るアンソンの姿にぴたりと重なる。日本人であることと朝鮮人であることが、同じ大切な友人を失ったこの二人の等しい悲しみすら別次元に分断してしまう現実。それぞれにその厄介な現実にどうしようもなく打ちひしがれる二人は、けれどそれでも同じように傷つき、そして同じように涙をこぼすのだ。そんな中、急速に浮き上がってくるのは、アンソンとの子を身籠る桃子の存在だ。ライオンと豹のあいの子レオポンをしきりに見たがった彼女の出産は、まさにこの物語の軸となる。そうしてイムジン河の「分断」から「融合」としてのレオポンへと、堰を切ったように雪崩込んでいく大団円。それぞれの熱くほとばしる血潮が一つの心臓へと巡っていくように、桃子の腹に宿る生命めがけて、映画はいつしか漲る力強さで確かな鼓動を脈打ちだす。それは日本人だからでも朝鮮人だからでもなく、人間がただ人間として生まれ来る上で等しく奏でる、逞しく尊いその心音だ。井筒はそうして、生きることを、生き抜くことを、つまりはパッチギることを、惜しみなく、ただひたすらに祝福するのだ。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-03-14 00:45:30)(良:3票) 27.《ネタバレ》 毛沢東の豚野郎も金正日のファッ金ジジイもソ連もアメリカにも「パッチギ!」をブチかましてやりたい!それがこの映画である(違います)。 全方面に喧嘩上等な素晴らしい馬鹿映画。高らかに歌って歌って歌いあげる、「どちらも等しく馬鹿野郎だ!」な映画です。 カメラマンは「容疑者Xの献身」や「県庁の星」でも素晴らしかった山本英夫! 冒頭からバンドが歌いまくるかと思えば失神する女たち、そうかと思えば群衆スペクタクルで叫びまくってバスをブッ転がす! 川という“境界線”のせいで根強く残る差別意識が、負の連鎖が生んだ憎しみ合いが繰り広げられる小さな“戦争”。それを娯楽映画のアクションとして切り取った場面だ。 子供たちは暴力によって加害者とか被害者とかいう下らねえ“意識”を互いにリセットし、罵り合う。 時には同じ民族どうしで殴り合い、仲間の死因は“人間”じゃないものが決定打となるやりきれなさ。 それでも彼らは同胞のために戦う覚悟を拳に込めて押し寄せ、一方も拳で応じるのである。話をつける(物理)。 あのクライマックスを飾る河を挟んでの殴り合い!ナースが飛び蹴りを決めるのは新しい命の誕生を告げるため。 文句がある奴はみんなブン殴るわ蹴るわ飛び蹴るわセメントぶっかけるわゴールデンボール(キン●マ)をICPMでストライクするわギターもブッ壊すわ。 やられたらやり返すのエンドレス。誰も女に手をあげない謎の紳士振り(乳首は見せないがおっぱいはがっつり揉む姿勢は素晴らしいですね)。 もちろん両国人にとって、どちらかがボコボコにされる光景を何度も見るのは嫌なものだ。その合間で民族を超えて交流する人々の美しさ、「リムジン河」の音色の美しさよ。 危険がひしめく校舎に、甘い花の匂いに蝶が吸い込まれるように、美しい音色に誘われてくる主人公。 彼らはロシア人も朝鮮人も日本人もない、ただの“人間”として語らいあう。その親も流す人は流してしまう。何故なら同じ人間だから。 この映画よりも真摯に人種差別問題に踏み込んだ作品はいくらでもあるし、本気でこの映画の暴力が嫌だ、考えとかが嫌で低評価なら解る。言われても仕方がないさ。 井筒は朝鮮も日本もない、“人間”として最低のゴミ野郎だが、この映画は面白い。超ムカツクことにな。 【すかあふえいす】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-06-02 20:10:41)(良:2票) 26.《ネタバレ》 北野武とか黒沢清の作品は「無国籍性」(外人が見てもけっこう楽しめる)があるのかもしれないが、「パッチギ」はもう、国内一本勝負。敬意を表します。間違っても外国で評価されることはないでしょうし、最初から狙ってないに違いない。今の若い奴は一回は見なさい。「そんなに日本がイヤなら来なければよかったじゃないですかー」とか言ってる子、実際に居るんだよ。「だから来たくて来たわけじゃないから」って言ってる私自身も情けないよ。井筒ものは初めてでしたが、感心しました。「問題解決のための暴力を持たない少年」が「別の方法」でなんとかしようと「他民族が祖国を慕う歌」をみんなの前で歌ってみせる。という、それだけならクサいストーリーなのですが。この康介少年の周りでは、ワーワーワーワー、皆が右往左往しているわけで、その中でぽつんと役立たずに見えた康介が、ラストで歌ってしまうことで意外な一石を投じるわけだ。歌にどれだけの力があるのか私には分からないし、「歌う」は「クサい」ことにはちがいない。「暴力がダメな男」康介にとっては、今の所これが自分にできることだったわけだ。井筒監督はケンカ上等だったらしいので、康介というのは「存在しなかったもう一人の自分」なのかもしれない。大人の男たちが情けなくて皆面白い。先生、オヤジ、笑えます。モトキの浪岡一喜が素晴らしい。オダギリが演技しているところをはじめて見たが、なんだかあやしいフェロモンが出ていた(でも坂崎幸之助だなんて美化しすぎ)。番長役の高岡蒼佑が、あまり雰囲気がなかったところが惜しい。ミスキャストと思う。朝高の番長がハンサムではダメ。 【パブロン中毒】さん [DVD(吹替)] 9点(2006-01-18 18:00:29)(良:2票) 25.《ネタバレ》 「ゲロッパ!」を見たとき、辛口評価を言っていい人じゃないなと感じたが、今作を見て、井筒監督の目線が少し分かった気がする。 韓流ブームに乗った人。 朝鮮問題がどうとか...表面的にしか理解していない人は是非見てください。 反対に、在日朝鮮人に詳しい人は、この映画の意味深さに涙するでしょう。 よくぞ、こういった作品を作ってくれたもんだ、としか言い様がない。 ラストで、朝鮮学校の学生と日本の学生が川を隔てて争う姿に合わせ、南北分断の意味を問う「イムジン河」を流すシーンは、素晴らしいの一言である。 言論の自由を塞いだ「罪」 戦争という大きな「罪」 何も知らない事の「罪」が描かれた傑作である。 憎しみ合い、ぶつかり合い、愛し合う。 青春群像劇はこうでなくてはならない...という模範的な邦画。 本当に良い作品でした。 【sirou92】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-09-28 13:47:56)(良:2票) 24.《ネタバレ》 音楽の力はすばらしい。バス内、破水した彼女を映したあと、カメラが横に移ると外には血眼の若者たちが乗る車。そして、それにかぶさる悲しくてやりきれないの歌。ありえないとは思いながら、激しく興奮を覚える。ギターをぶつけた欄干には亀裂があったし、レオポンも異種の融合によって生まれた命なのだ。 【解放軍2003】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-03-22 22:02:39)(良:2票) 23.人生の切なさ、甘酸っぱさ、辛さ、喜び、悲しみ、誕生と死、といった様々な要素を暴力と歌と恋といったエンタメ要素満載の中にちりばめた映画。2時間があっという間にすぎてしまう。登場人物と一緒にハラハラしたり怒ったり泣いたりして、最後にカタルシスを味合わせてくれる傑作。政治的な部分でいろいろと意見もあるでしょうし、メッセージへの賛否があるのはわかりますが、そういう部分を抜きにして、例えばこれを遠い外国の物語として見れれば(まあそれも難しいですが)非常に完成度の高い娯楽作品じゃないでしょうか。今の日本にこれだけのエンタメが取れる監督なんてそうはいませんよ。 【Sean】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-08-10 11:56:05)(良:1票) 22.《ネタバレ》 井筒監督がとうとう言動に負けない強烈な作品を撮った。出来れば朝鮮についてタブーだった時代に風穴を開けて欲しかった。ただ問題作でもある、朝鮮寄り過ぎるのである。「嫌韓流」を読んでいなければ、強制連行についてそのまま信じてしまっただろう。真にどちらがとは言えないが、日本人自体がもう一度、歴史認識について考えるいい機会にはなると思う。あと別にケンカは一般人に迷惑を掛けさえしなければ好きにやればいいと思うのだが、小銭泥棒だけは別の問題である。何処の国だろうが犯罪は犯罪、こういう行為が差別を更に生むのである。結局この作品が好きな理由は、沢尻エリカと「イムジン河」に尽きる。主役の男も実にいい雰囲気で、人が良いだけではなく葛藤の様子が良く描かれていた。沢尻エリカの容姿であれば、正直国籍など関係ないし、そういう環境の子を好きになる自分が好きだったりするもの。私は単に京都弁の女性に弱いので参ったのが大きい。 【まさサイトー】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-01-13 01:40:37)(良:1票) 21.《ネタバレ》 世間が北朝鮮問題でゆれる今、この映画を作った井筒監督はすごい。在日の人たちの思いを真正面から捉え、予想以上に深く考えさせられる映画だった。特に葬式の場で「お前らは何にも知らん」と彼らの思いが語られるシーンは身につまされた。しかし、映画全般はあくまでも痛快な、私的には気持ちのいい「恋愛」映画だった。トレーラーで「日本版ロミオとジュリエット」なんてうたってたけどなるほど納得。でも気持ちのいいラストシーンだったのでなおよかった。ひたすらアツイ映画だけど、素直にこっちも熱くなれたのでこの点で。 【goose】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-09-09 10:10:52)(良:1票) 20.バラエティなどでおなじみの井筒監督。あのおっさんがどんな映画を撮るんだろうと思って観ました。前半は暴力シーンが多すぎて、ちょっと合わないなーという感じでしたが、後半になるに連れて話にどんどん引き込まれまていきました。そして葬式のシーンからクライマックスにかけては思わず涙が・・・。こんなに熱い映画を観たのは久しぶりです。イムジン河をはじめ音楽の使い方も最高ですね。あのおっさんは只者ではなかったんだというのが正直な感想です。在日朝鮮人という政治的なテーマを扱ってはいますが、青春エンターティメントの傑作です。 【ジム】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-03-20 19:21:24)(良:1票) 19.《ネタバレ》 【シザーハンズ大好きシザーハンズ大好き(ぐるぐる)】さんのレビューを読んで、すばらしい!!と思って見てみました☆井筒監督さんの作品、初めて見ました。ホントこのサイトでも高得点の通り、すばらしかったです。。。アツイ映画でした!『イムジン河』もサイコー!!沢尻エリカさんもサイコー!!番長もサイコー!!大友康平さんもサイコーでした!!(【心に残る名台詞る】に書き込もうと思ったのですが^^;) 私は韓国に旅行に行ったとき、おじいさんに道を尋ねたら日本語で教えてくれたので、「日本語お上手ですね」と言ったら「それは昔ね…」と去って行かれました。そのとき思い出したくない日本のことがあるんだなって思って、何かせつない気持ちになりました… お葬式でコウちゃんが言われていたときにしみじみ思い出しました… やはり私たちが知らない日本の過去のことがいろいろあるのだなと感じました。 【mako】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-12-12 12:39:48)(良:1票) 18.とにかく面白い!最近の邦画では自分的には一番。見てよかったと素直に思えるし、友達に勧めることの出来る映画。とにかく個性的な出演者達に一目惚れですよ。在日朝鮮人のお話だし、やや説教くさいシーンもあるが、ひとつのドラマとして、そのエンターテイメント性を堪能できる。音楽も耳に残る。印象的な場面も多くあるが、全体を通してのあの時代の雰囲気も心地よい。一見の価値があることは間違いない。むしろ必見ですね。 【exective】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-11-08 06:48:02)(良:1票) 17.在日の問題に問題意識がないどころか、興味関心すらない現代っ子の俺なので、これを観て在日がどうとかこうとか言うつもりは毛頭ございません。ただ井筒監督は「在日の問題みさらせー!」というよりは、彼らがもつわけのわからんパワーというかパッションをうまく映画に持ち込めたんだと思います。計算して作ったっていうよりは、なんかよくわからんけど化学反応がおきて爆発さしたった!みたいな。そんな不器用で無骨な感じが、この作品の魅力になっています。男の映画じゃないでしょうか。 てなわけで、そのギラギラした熱さを受けとって、劇場でボロ泣きしてきました。「とてもやりきれない」という歌詞を聴きながら、こらえようにもこらえきれない涙がこぼれ落ちてきた。男ひとり号泣ですよ。劇場であれほど熱い涙を流したのは初めてじゃないでしょうか。 ただちょっと気になったのは、前半から中盤にかけての井筒監督らしいぐだぐだ感と、おもっきり写りこんでたSTEPの青い看板です。とくに看板はなぁ。あの前をよく通ってただけに・・・。どうせやるなら、そこまでしっかり仕事してほしかったです。 とまぁちょっと苦言を呈しましたが、それもこの映画への愛ゆえに、ということで!9点から看板ぶんの1点をひいて、でも愛着のある京都が舞台ということで1点プラスして、9点に返り咲きです。ちょっと贔屓してます。 【708】さん [映画館(吹替)] 9点(2005-11-02 04:48:01)(良:1票) 16.生きてりゃ何だかんだ在るだろうけど、“行ったれ!行ったれ!”って言うあのノリは、『岸和田少年愚連隊』好きとしては堪らない井筒ワールドでした。それに加えて、恋に友情に民族問題というペーソスが相まって、素晴らしい映画に仕上がっていました。 【MID】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-10-27 22:35:07)(良:1票) 15.《ネタバレ》 うーん、とにかく熱い映画でした。夏バテもこれ1本みればすぐに回復します(きっぱりと断言します) まず出だしのバスをひっくり返すシーンに圧倒されつつも思わず爆笑。まさにあれは「痛快無比」一気に映画の中に引き込まれました。 日本において在日というのは少数派であり「弱者」というイメージがあったのですが、それを吹き飛ばした瞬間でもあります。あの在日の3人の不良の存在感が素晴らしい。負け犬になっていないし卑怯でもありません。ひたすら熱い奴らでしたね。 ラストで「イムジン河」がラジオから聞こえてきたときは、不覚にもじーんときました。日本映画独特の、しんみりとした感動ではなく、胸が熱くなるような感動がこの映画にはあると思います。 監督はこの映画によって、日朝問題に対して「日本人は反省の意味も込めてもっと考えて欲しい」と言っていましたが、たぶんそのような見方をした人はあまりいないでしょう(笑) 監督がどういう意図でこの作品を作ったにしろ、すでのこの作品は、監督の手から離れていると思います・・。 ここのレビューをみてそれを強く感じたのでした。 しかしあのような熱い俳優たちを縦横無尽に使いこなせるのはやはりこの監督の手腕なんでしょうね。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-09-10 19:18:07)(良:1票) 14.《ネタバレ》 たしか、アメリカの精神科医の老女性で、今でいうホスピスの開祖みたいな女性が、自分自身、末期がんに罹ると、やはり、とりみだし「こんなにがんばった自分に、こんな仕打ちをする神を呪う」と言った。彼女の、これまでの人生は忙しさにかまけて家族ほったらかし。あげく離婚。不思議なのは、こっからで、普通、死に際して、そういうジタバタした態度は、世間から隠したがるはず。だが彼女は平気でインタビューにも撮影にも応じる。そういうジタバタしてる自分を、ちっとも恥と思ってない感じなのだ。意外なことに、彼女の病名を知ったとき、元夫と子供が戻ってきて看病し、その死を看取っている。中年に差しかかった息子がインタビューで言っている。「正直、母と完全に和解したかというと、ちょっと複雑な気持ちです。でも自分も大人になって、いろいろ解ってきたこともあります。母はいろいろと欠点もありました。・・ありましたけど、結局は、自分なりに懸命に生きた人なんだなあ・・ということです。」「なにか、お母さんの事で印象に残る事はありますか?」「そうですねえ・・ある日、見舞いに行くと、母が妙なTシャツを着てたんです。なにか格言みたいなものが印刷されてました。」 “あなたも不完全、わたしも不完全。でも、それでダイジョウブ!” 在日朝鮮の老人は、葬式の席で、日本の青年に到底受け止め切れない程の恨み怒りをぶちまける。日本の青年は、歌を通して、わかりあえる、といった自分の甘さを思い知る。が、次の瞬間、歌に対する確固たる信念もつラジオのディレクターに出会う。でも、そのディレクターは中途採用。Hをしたいだけで孕ませた彼女はバスの中で破水。孕ませた本人は、川原でケンカ。毛沢東命の教師は、ストリッパーの紐。みな未熟で不完全な奴ばかりだ!だが、その不完全な奴らが青白い光を放って魂をぶつけ合うとき、そこには何か充実した風景が出来上がる。だが、ただ、ぶつかれば充実した風景が出来上がるのか?そこには、なにか大切なものが介在するはずだ。それは、愛だろうか?誠実さ?自分に正直に生きる?それぞれ言い当ててるようで、そのものズバリを、表現出来ない。それは、それぞれの人生のなかで感得すべきものであって言葉で言い表せるものではないのかもしれない。それにしても「世の中に歌っちゃいけない歌なんて、ねえんだよ!」という大友康平のタンカには、本当にスカーっとした! 【せんぼう】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-08-11 23:01:48)(良:1票) 13.この映画のレビューを書こうとすると、自分でも驚くくらい力が入って、それは丁度劇中に登場する若者たちの根性みたいに熱くなってしまう。だから他のレビュワーさんたちのレビューがそうであるように思わず力んでしまう。でも、なんとなくこの映画のレビューだけは力んでも良いような気がしまう。なので、掛かってこんかい!!はっ?何が包茎だ、笑わすな!なにボウリング場で人転がしとんじゃ!アホか!なにが「あなたの犬食わせて」じゃ!アホが!なんだあのナースのドロップキックは!涙が出たわ!はっ?なにがフォークソングじゃ!涙が止まらんわ!でもってキョンジャはなんであんな可愛いの?ねぇ、教えて。そりゃ、国境も国籍も人種も関係ないわ!だってみんな生きてるんだもん。みんな必死に今を生きてるんだもん。血と汗と涙。まさに男だ!こんな映画観た事ねぇ!この僕のレビューがレビューになっていない事もちゃんと理解している。ただ本当にこの映画は最高だった。友情も家族も国も歴史も恋愛も、全てが嘘のない真っ直ぐだった世界の物語。僕はとことん感動したよ!井筒監督、ありがとう! 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-08-11 12:52:55)(良:1票) 12. 青春映画です、120%の。もちろん当時を知る年齢ではないので歴史の二次的な資料でしか1968年に触れることはできません。でもね、やっぱり僕にも17歳のときはあったわけで、世代を越えても時代が変わっても好きになった子を思う気持ちには感情移入してしまうわけです。 これは政治的な作品じゃないよ。時代的なことを考えるとおかしな奴もでてきます。ホームルームで毛沢東語録を読み上げる教師とか。イムジン河も普通に流れます、って演奏してるし主人公の男の子。でもそんなことを考えて観るとつまらないです。そんな要素を抜きに観てもとってもいい映画なんですよ。 あと、これ辛口批評でもお馴染みの井筒和幸監督の作品です。彼の映画評は賛否両論ありますが、その一貫性がこの作品にも出ていた気がします。『パッチギ』は監督がバッサリ切った映画のようには出来ていなかった。誰が観てもわかる映画。制作費を大量に使う映画でもない。出演者にビックネームを散りばめるわけでもない。普段、映画を観ていない人に観て欲しい映画ですね。それでもテレビとは全然違う映画の素晴らしさに気付くはずです。 【ひろすけ】さん 9点(2005-03-22 15:31:13)(良:1票) 11.朝鮮人と日本人の恋だったり、朝鮮と日本の間での溝についてだったり学生運動だったりその時代のことをチラチラとやっていた。でも僕自身結局最後に一番感じたことは、「やっぱり唄っていいもんだなぁ」ってことだった。ラジオ局で歌うシーンなんてもう良かった良かった。とにかくどかしらで、~っていいもんだなぁって思わせてくれたことが僕にとってイイ作品だったなぁと感じた一つの要因でした。。 【アンリ】さん 9点(2005-01-26 10:02:56)(良:1票)
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