みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.この作品を生温い恋愛映画か何かと思って観たら、恐らくこの驚くほどの重たさに面食らうだろう。 主人公であるハンナは多くを語らず、とにかく謎に包まれている。 なかなか言おうとしない秘密のことが少し気になるけど、話したくないなら話さなくてもいいような気もした。 たぶんこの作品は戦争映画だ。 銃や戦場は出て来ないけど、戦争映画以外のカテゴリーに分類するのは間違ってるような気がする。 まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね。 作中にはたくさんの音楽が出てくる。 僕は音楽にそんなに詳しいわけじゃないけど、たぶん世界各国の曲が挿入歌として使われている。 それはつまりこの物語は世界中のすべての人に関わる問題なんだということを訴えているのだろう。 そんな中に日本の曲も含まれているというのがまた重い。 見知らぬ遠い国の物語のようでいて、僕らとは無関係とも言えないような複雑な心境になる。 物語の終盤にはハンナが重い口を開いて、秘密のことを話して聞かせてくれるけど、それは彼女なりの愛の告白だったのかも知れない。 あまりにも重過ぎて僕はちょっと引いちゃったけど。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 9点(2007-10-01 12:36:06)(良:1票) 1.《ネタバレ》 クロアチアの国情とはいいながら、この話はどの戦争でもあてはまる。国から無理やり出兵させられた男たちは、殺らねば殺られる戦いを前線で強いられ、精神を病んだ者が大勢出たと思われる。ハンナを始めとする女たちは、彼らの狂気を文字通り体中に浴びたのだ。ハンナは、「親友は自分とは正反対の性格の子」と言った。つまり惨事が起こる前までは、彼女は陽気で明るい笑顔をふりまく女の子だった、ということ。親友の名前が「ハンナ」なのだから。「(親友が)早く死ねるように祈った。彼女の悲鳴を数え、うめき声や痛みの深さを推し量った」という言葉から、ハンナが幽体離脱の感覚を味わっていたことがわかる。体を痛めつけられている間、狂気から逃れたい一心で意識が宙に浮いたのかもしれない。男女の別なくこうした人格破壊は、世界大戦を経た国の如何や時制を問わず、大量殺戮が行われる地なら当然のように起こり得るだろう。 ハンナが工場内で、リンゴとライスの味気ない昼食を取っているとき、彼女の背後の壁に、「健康への5ステップ」と書かれた栄養学の知識が掲示されている皮肉。また、彼女が海岸で海を眺めているとき、岸壁に「NO PARKING」とペイントされている。この「NO」という文字は偶然映像に入ったはずがない。生を拒否する彼女を強く暗示する演出だ。 ハンナがジョセフを受け入れたキー・センテンスは、「泳ぎを練習する」。このひと言は、とてつもなく深い。海上での労働者が泳げないといって、ハンナが初めて声をあげて笑ったシーンがあった。「泳げない」は彼女の唯一のツボ、そこをジョゼフはいく通りも意味を含めて見事に突いた。キスも、まず唇が重なるのではなく、互いの肌のぬくもりを確かめるように額や鼻が触れ合う。私は顔全体が重なるキスを見るといつも、どちらか一方、あるいは両者が深く傷ついているように感じてしまう。それほどに寂しく心に沁みとおるキスだ。2人が結ばれ、ハンナの架空の娘も、本物の子供ができてからは存在が希薄になりつつあるよう(完全に姿を消すことはないだろうが)。しかしこの症状は、統合失調症ではないのか。 ただ、この作品でひとつだけなかなか納得できないことがある。ハンナはなぜ、男性恐怖症にならなかったのか。看護師とはいえ、あんな目に遭わされれば男の股間など触るのも身の毛がよだつだろうに。ましてやジョセフは大男。この点だけはちょっと無理がある気がする。 【tony】さん [インターネット(字幕)] 9点(2019-03-28 00:22:06)
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