みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
13.《ネタバレ》 人は誰も心に空白を持っている。ペ・ドゥナ演じる空気人形はその象徴である。しかし、空気人形はまさに人間の心の空白を埋めるために作られた心なき代用品だという事実が、皮肉な逆説性を帯びてくる。 ■空気人形は心を持つべき存在ではなかった。心は美しさを感じられるが、同時にはるかに多くの辛さ、悲しさも感じさせてくる。彼女に対して人々が求めるものは結局「自らの空白を埋めるもの」であったのであり、心持つ彼女がそれに答えるのは苦痛でしかなかった。そして逆に心持つものを心を埋める代用品にしようと腹を切っても結局そのまま死んでしまうだけであった。彼女の最後の息は他の人の心の空白を埋めていった。最後まで彼女自身は「人の心の空白を埋めるもの」でしかいられなかった。 ■ペ・ドゥナの演技は本当に素晴らしかった。あの「空っぽの中にわずかに心が宿ったような眼」は素晴らしい。いやらしさ・エロさを出さない裸というのも演技力のなせる技なのだろうか。圧巻 【θ】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-08-05 01:06:58)(良:2票) 12.《ネタバレ》 「空気が抜けるのってどんな感じ?」という質問は、「死んでいくのってどんな感じ?」と同義であり、空気を入れる行為は生命を吹き込むということ。映画内では明示されていないので、これは単なる想像に過ぎないが、ARATAの元恋人はバイク事故か何かで彼の目の前で亡くなったのではないか?死んでいく彼女を救うことができなかった彼の後悔と祈りが、「空気を抜き、吹き込む」という行為に及んだ。しかしそんな心の内を理解できるわけもない空気人形は、ただその行為の官能性だけを感じ取り、彼にも同じ思いを味わってもらおうと、彼の空気を「抜く」(「触ってくれんか?」と頼んだ老人の下半身に反射的に手を伸ばしたように)。しかし、空気人形は彼に生命を吹き込むことはできなかった。それは悲劇である。彼を燃えるゴミに出し、自らも燃えないゴミの中に埋もれた空気人形を見下ろし、「きれい…」と呟く星野真理は、冒頭の生命を宿した空気人形の姿と重なる。心なんてない方がいい。しかしそれは静かに育まれていくのだ。何と切ない愛の寓話。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-03-28 01:14:17)(良:2票) 11.《ネタバレ》 人形が心を持つというのはありふれたファンタジーだけど、ダッチワイフというのがおもしろい。 ペ・ドゥナは外国人なのに日本の映画に主役で抜擢されるだけのことはある。 他の映画で見て注目するようになったが、全然違う役どころをこなしていたので演技の幅も広いようだ。 キュートで演技もできて存在感がある上に、脱ぎっぷりもよく肝が据わっている。 それだけ揃うのは日本の女優でも限られてくるので、オファーも回ってきたのだろう。 日本人女優で見たかった気もするが、これを同等に演じることのできる女優がオファーを受けるとも思えない。 役柄も多少カタコトのほうが都合がいいし、キャスティングがどんぴしゃでハマった。 心を持ったばかりの無垢な子供のような姿が愛おしくなる。 レンタルショップの男との哀しい恋の顛末が切なすぎる。 心に空洞のある人たちに人形の吹き込む息が風に乗って広がっていくのが救い。 ヌードシーンは結構出てくるけど、艶かしいエロさというより清楚な感じさえする。 男がベッドで何度も空気を抜いたり入れたりした理由は、もう少しわかりやすい形でサジェスチョンしたほうがいいとは思った。 裏にある物語を見せないと、見る人によってはただの変態的行為に受け取られかねない。 また、ラストで過食症の女の「きれい」のひと言は、意図はわかるんだけど違和感あり。 細かく見ればいろいろ粗も出てくるが、ファンタジーであるということと、空気人形の存在感が優ってあまり気にならなかった。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-01-12 00:17:02)(良:1票) 10.《ネタバレ》 ノゾミ役のペ・ドゥナの人選。なぜに彼女に白羽の矢が立ったのだろうか そこがひじょうに気になるところなんです。なぜに、ペ・ドゥナだったのでしょうか まずは、お乳を出せる方という前提だったのでしょうか どうなんでしょうか そこんとこ。ひじょうに気になって仕方がないところなんですよね 人選に関するエピソードや裏話など、例えばどこかに存在するのであれば知ってみたいかな なんて思いましたね。ひょっとしたらば、うちらの知らないところで ≪実は最初のオファーは佐々木希に届いてた!ところが御乳出しに関して当然NGだった≫ だとか ≪そもそも、監督はノゾミ役をローラにやらせたくってごねていた≫ だとか ≪実はノゾミ役は当初、トリンドル玲奈に決まりかけてた人選だったが、トリンドルが共演の板尾創路を嫌ってNGだった≫ だとか、そんな裏話ってどっかに落ちてはいないもんなのかな ちょっと探してみましょう さようなら。 【3737】さん [インターネット(字幕)] 9点(2012-09-05 21:42:58)(笑:1票) 9.《ネタバレ》 映画館で約一カ月空けて2度観た。ある意味「映画」の枠を超えた素晴らしい映画だ。 ストーリーを追おうとしたり、リアルさをどこかで求めようとしたらこの映画は全く奇妙な映画だろう。でも、この映画は全編ほとんど「詩」のようである。それは、人間という、儚く、自分では解決できない弱さをいっぱい抱えているこの存在に対する限りないオマージュを、空気人形の目を通して描いた、映像による「詩」である。 しかもなんとぺ・ドゥナは、チャーミングなのだろう!! 特に、ARATAに心を寄せるようになった直後の、あの抑えられないような表情は、音楽の素晴らしさも相まって何と美しいことか。ここには、「心」を与えられた者の歓喜がある。そして「ハッピー・バースディ」である。自分で自分のいのちの誕生を祝うのではなく、「他者」がこの自分の存在を祝福して祝ってくれている。思えばこれが「ハッピー・バースディ」の歌だ。そして、それがあのラストシーンの「息」につながっていく!是枝監督、脱帽です!ここには監督の「祈り」にも似た思いを感じないではいられない。 原作本も読んだが、それをリスペクトしながらよくぞこのような作品へと再創造してくれたと思う。きっと、見る毎に思いが深められると思います。 【ワンス・モア】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-03-22 10:32:40)(良:1票) 8.この映画は表現が多角的であり、色々な受け止め方ができると思う。 淡白ながらも静かで美しいBGMと映像が、じっくりと腰を落ち着けさせ、考えさせてくれる。本作の人々は生々しい姿を見せながらも、誰も声を荒げて感情表現しないし、誰も他人に悪意を向けたりしない。でも、善人というわけでもなく、どこか空っぽ。 淋しくて、苦しい彼らにとっては、心なんてない方が楽だったかもしれない。でも、ギリギリのところでとりあえず日々を生きるしかないのだ。 「あなたの代わりはどこにもいない」と、いつかそんな風に言われたい、思われたい、そして誰かを満たしたいと願いながら。 鑑賞後、ジワジワ来る。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-02-19 10:41:05)(良:1票) 7.《ネタバレ》 印象が「TOKYO!」の一編、ミシェル・ゴンドリー監督の「インテリア・デザイン」と酷似している。モノ化する人間とヒト化する物体。どちらも途方もなく寂しいファンタジーだ。私にとって東京という街は特別である。渇いていて、クールで、美しい街。積年憧れてはいるが、住んだところでおそらく永久に融合できないだろうと思っている。この映画は私の憧れる東京のイメージそのものだ。身体に満ちているものが空気だろうが血液だろうが関係なく、人は誰かに使われて、いらなくなれば捨てられる。その結論はあまりに寂しいが、そういうものだから生きていられるのだと思う。観たときの気分かもしれないが、顛末があまりにも現実に正直で、非常に感銘を受けた。そしてなにより、ぺ・ドゥナがこんなに綺麗だなんて知らなかった。 【よーちー】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-10-08 19:29:13)(良:1票) 6.《ネタバレ》 映画の価値って、見た時の状況やタイミングにも大きく左右されますね。私は東京に生まれ暮らして。この夏、自分的なキーとなったスポットはお台場と東京タワー、ついでに水上バス。これを見たのが豊洲で。そして今の半分ボケた父親との孤独な介護生活。どれだけこの映画にシンパシーを抱く事になったやら。不完全な器としての体に心が宿ることで、お互いに足りないものを補い、新たな創造に繋がってゆく、それが生命。そして、都市の、人の中に暮らしながら自分の存在をハッキリと確認できない、足りないものを抱えたままに過ぎてゆく人々の孤独が空気人形ペ・ドゥナに集約されてゆきます。心を持つ事の切なさ、つらさ、そして素晴らしさが、彼女の「透明な存在感」によって心に染み入るほどに繊細に織り成されてゆきます。象徴的に描かれてゆくフェイクたち。だけど、フェイクと本物は何を以ってそこに価値の差が存在しているのかを問いかけてきます。美も醜も生も死も自分のものとして演じられる唯一無二なペ・ドゥナという存在があればこそ成立した映画。また、彼女自身が作品として成立している映画でもありました。これまでのどの出演作よりもペ・ドゥナの映画で、そしてペ・ドゥナが映画で。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-09-26 22:31:06)(良:1票) 5.最近の評価が低かったので全く期待しないで見た。 この映画は生きることと死ぬことは同義だということを言いたかったのだと思う。 これは見る人を選ぶな。 【NOBUK】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2020-02-16 12:29:39) 4.《ネタバレ》 心を持った空気人形の喜び、哀しみ、そしてラストシーン・・・。カメラワークも素晴らしく、素敵な映像でした。主演のペ・ドゥナ、これまで名前も聞いたことがなく、この作品で初めて見ましたが、抜群にいいですね!空気人形が心を持ったという設定、取扱いを間違えれば、ただの「世にも奇妙な物語」になってしまうところですが、最初から最後まで、そんな心配は一切ありませんでした。ヘタな現実感を排除して、独特の雰囲気を作り上げていました。素晴らしい作品だと思います。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-09-23 23:43:41) 3.《ネタバレ》 心を持ったら、切なくなった・・・ 是枝監督の作品は、「誰も知らない」「歩いても、歩いても」そして本作も、鑑賞後必ず小さな結晶のような塊を、残していくのは、何故だろう。そして、こんなにメルヘンな設定なのに、自然に感じさせる力量は流石だ。映像と音楽の美しさも絶品だ。特に彼女が詩の朗読をするシーンが忘れられない。細かい所も丁寧に見せている。たとえば、光を通して薄くなった影の表現など。また今回特に感じたのは、音である。雫の垂れる音、息使い、彼女が歩く度に聞こえるラムネの瓶の微かなの音、そして空気が抜ける音。とても繊細に素晴らしい音質で空間にとけ込んでいく。「ラースと、その彼女」と観比べてみるのも面白い。 【ブタノケ2】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-06-11 04:36:19) 2.《ネタバレ》 後半における空気人形のいくつかのモノローグと、ラストのタンポポ(CG)が舞う描写だけは不要だと思うが、他はケチのつけようがない。 悲劇的物語に安易に救いを求めようとする観客の浅はかで空虚な幻想を、いとも容易く破壊する映画。 ペ・ドゥナ、リー・ピンビン、World's End Girlfriendの組み合わせってだけですでに奇跡でしょ、これ。 【xxx】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-11-03 22:20:50) 1.《ネタバレ》 音楽がWorld's End Girlfriendだからってのもあり気になってましたが素晴らしかった。怖かった。 まずペ・ドゥナの可愛さが存分に発揮されている。人形を演じる点で重要な純粋さも韓国人女優ということもありマッチしている。 (関係ないけど韓国の女優さんはやたらと脱いでるのね。日本とは違って・・・) 次にストーリーの重さ。空気人形という性の対象かと思いきや実は代用品というフレーズを多用することにより各人の存在意義を必要に問うている。 そこで怖いのが性悪説にもとずく人間の在り方。人形は心を持ちまず嘘をついた。 人の部屋に入ったらまず写真を覗く。 逆説的に純粋なまでに人の言葉を信じたがためにあんな残酷なことが起こってしまったり自分をゴミ捨て場に処分したり・・・怖かった。 リンゴと空き瓶の冬の大三角形はきれいだったとは思わなかったけど あのハッピバースデイのシーンは背筋がぞくっとなった。 登場人物の少なさは◎ももうちょっと各々掘り下げてもよかったのでは? でも全体的に素晴らしい出来。もっかいみたい。いや見ます。 【ゆらめきクルージング】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-10-14 21:21:52)
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