みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 「木下恵介監督の半生を映画化」と聞いて見に行きましたが、実際の映画はほんの2、3日の間の出来事を描いたもの。良い意味で期待が外れて楽しかったです。しかもごくごくシンプルなストーリー。病気の母をリヤカーに乗せて山越え。見ている途中で、「なんだかイラン映画みたいだなあ」と思いました。運動靴を探しまわる兄弟とか、友達のうちを探す男の子とか、黒板を背負って延々歩く教師とか・・・イラン映画で描かれる主人公たちと重なる部分があったと思います。イランでは国からの規制が激しいため、結果的にそういう内容の映画が多い・・・という点も、当時の木下監督の境遇と重なるのかもしれません。今だったら予算を割いて、戦争シーンをもっと派手にしたり、監督の人生を順を追って追いかけたり、主題歌を人気歌手にしたりも出来たはずだし、そうしなければ映画を作れない環境だと思います。しかし、そういう「ノイズ」を見事にはね除けた作り手は英断したなあ!と感動しました。そして本編の内容が、その後の木下作品と見事に呼応していて、ラストは落涙必至です。(個人的には、作品の引用はあれで良かったと思います。元々作品を見ている人以外の、木下映画を知らない人に向けて「あとでレンタルするんじゃなく、いますぐこの場で体験してくれ!」って姿勢はいいと思いました。) 涙を流してカレーライスを食べる「破れ太鼓」のお父さん、教育方針に納得出来ず、学校を辞めてしまう「二十四の瞳」の先生、親を背負って山を登る「楢山節考」の息子・・・。どんな時代だろうが、規制があろうが、イランのような遠い国だろうが、人間の想像力と創造力だけは奪えないし、自らそれを捨ててはいけない、と思わされました。ああ、映画って本当に素晴らしいなあ! 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-06-23 21:33:07)(良:1票) 1.これは素晴らしい日本映画! 本作は実在の映画監督・木下惠介を主人公とした伝記映画です。 この手の映画は、その人物のことを深く知らないとシーンの意味が理解できなっかたり、不親切に感じることも多いのですが、本作はそれも心配無用。 木下監督作品を知らなくても、全く問題なく楽しめます。 そもそも木下監督は(評価が高いにも関わらず)それほど認知度が高い監督ではありません。 同世代の監督には黒澤明がおり、精鋭たちが活躍する時代で、自分の信条を大切にした作品を作ってきたのが木下監督なのです。 本作は、原恵一監督の「世の中の人に木下監督の映画の素晴らしさを知ってもらいたい」という気持ちにあふれています。 そしてその試みは成功しています。 押しつけがましさはほとんどなく、木下監督という人間と、その作品の魅力をこれ以上ない方法で伝えています。 「はじまりのみち」にこめられたメッセージは「母が子を想う気持ち」、「親孝行」、そして原恵一監督作品の「戦国大合戦」でも描かれていた「戦争がないことの幸せ」です。 そしてそれは作中で引用される作品『陸軍』のテーマにも通ずるものなのです。 難点もあります。 それは原監督の「木下監督愛」が強すぎて、木下監督作品の引用シーンがとても長いことです。 流される木下監督作品は本編のストーリーと巧みに絡み合っているのですが、少し冗長さは否めません。 しかしそんな不満も、作品の素晴らしさからすれば大した問題ではありません。 何気ないシーンの意味を知り、人間模様と込められたメッセージに感動できる本作は、もっともっと多くの方に観てもらいたい作品です(興行収入が初登場10位圏外って・・・)。 予備知識は特に必要ありませんが、できれば「戦国大合戦」を観てから劇場に足を運ぶことをおすすめします。 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-06-09 20:07:40)
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