みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
4.《ネタバレ》 「童貞をこじらせる」なんて表現がしばしば使われるけれど、この映画ほど“童貞をこじらせた”主人公を描いた作品は他に無い。 この映画の主人公は確かに不幸な境遇にあるけれど、彼の暴走と発狂の発端は、決して特殊なことではなく、世界中の「男子」の誰にでも起き得ることであり、普遍的であるが故に、同時に彼に対する同情の余地はあまりない。 しかし、だからこそこの映画が“描くこと”は極めてリアルで、身につまされ、ちょっと笑えない。 登場するキャラクター自身が撮影している体で映し出される「POV方式」で、ふいに超能力を得た3人の男子高校生の顛末を描いた今作。 「アイデア一発」の映画に捉えられがちだろうが、決してそんなことはない。 多くのPOV映画が、「リアル」というものをビジュアル的に安直に追い求めて失敗しているのに対して、この映画は必ずしもビジュアル的な要素に「リアル」の焦点を当てていない。 この映画がPOV方式をとった意味は、主人公をはじめとする現代の若者たちの「自己表現」の手段、詰まるところの「自画撮り」をストーリーテリングの「主眼」に据えるために他ならない。 他ならぬ僕自身もまさにそうだが、SNS、スマートフォン……取り巻く環境に伴い、「自分を撮る」ということは、もはや屈折でもなんでもなく、世界中の若者にとって普遍的な自己表現の一つとなってきている。 「他者」との関わりを拒絶し、その距離感が広がれば広がるほど、自身の主眼はより内向きになり、必然的にカメラのレンズも自らを映し出すようになる。 それこそが、この映画がこの撮影方式によって求めた「リアル」だったのだと思う。 映画は、非常にミニマムで内省的な青春映画のように始まり、コメディからアクション、悲愴感が溢れる破壊衝動を経て、ヒーロー映画の秀逸な「前日譚」のような帰着を見せる。 綻びもあるにはあるが、そんなものどうでも良くなる程に、なんという発想の豊かさだろうと思える。 そんな映画世界を殆ど無名の若いスタッフとキャストで作り上げていることに、眩い輝きを感じる。 キャストで印象的だったのは、やはり主人公を演じたデイン・デハーン。 独特な鬱積を秘めた目と、滲み出る危うさは、若い頃のレオナルド・ディカプリオを彷彿とさせる。 既に注目作へのキャスティングも決まっているらしいが、今後の注目株であることは間違いないだろう。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-10-14 23:05:08)(良:2票) 3.【8bit】さん同様、1年以上前にイギリス版ブルーレイにて鑑賞しました。劇場公開前の映画を、個人で簡単に海外から取り寄せることができる。良い時代になったものです。。。 本作の内容も、そんな現在のネットワーク社会の特徴をうまく利用したものになっています。「テクノロジーを扱った映画でもない本作のどこが?」とお思いになるかもしれませんが、それは主人公がカメラを回し続けることの理由付けの部分にあります。例えば『クローバーフィールド』では、いかに映像をリアルに作り上げても、登場人物がカメラを回し続ける点については合理的な説明をすることができず、そこが映画の穴となっていました。しかし、それから数年で個人がSNSを利用する局面は大きく広がり、FacebookやTwitterで私生活の一部を世界に公開することも、YouTubeにアップする目的で動画を撮ることも当たり前のものとなりました。本作の映像や編集は意図的にYouTubeに似せており、数分程度の短い動画の積み重ねにより全編が構成されています。pov映画は掃いて捨てる程ありますが、YouTubeに似せてきたものは恐らく本作が初めて。10年後の観客が本作の手法を受け入れられるかについては不安が残りますが、少なくとも現在の観客にはマッチしたやり方でした。。。 以上、長々と語ってしまいましたが、手法については本作の魅力の一部に過ぎません。青春ドラマとしてよくできていたことが、本作を傑作にした最大要因だったと思います。地味で陰気、彼女なし、友達なし、家では父親からの暴力を受け、学校ではアホにいじめられるというあんまりな青春を送るアンドリューの悲惨な物語が胸に突き刺さります。物語中盤で一瞬の平穏を見せるものの、その後、急速に悲劇へと雪崩込んでいく様は見ていて辛くなりました。他方、彼を一方的な被害者として描いていないという点もよく考えられています。彼が破滅したきっかけはいじめでも貧困でもなく、初体験での失敗をバカにされたことを必要以上に根に持ってしまったことでした。それは他者と触れ合いたくても触れ合えない者の悲劇。初期ティム・バートン作品を思わせる独特の暗さがあるのです。アンドリューを演じるデイン・デハーンはハマり役で、明るい表情の時にはかつてのレオナルド・ディカプリオの面影があるものの、暗い表情の時にはケイシー・アフレックのような腐った目を向けるという二面性が非常に印象的でした。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 9点(2013-12-21 04:37:46)(良:1票) 2.《ネタバレ》 中盤、ビルの上で黄昏ているアンドリューは「君は友達が多くていいよな、僕なんかつい最近いとこのマットと話すようになったばかりだ」とスティーブにつぶやきました。 スティーブはこれに「お前にも才能(talent)があるさ」と微笑みながら返しました。 この「才能」は直接的に捉えれば、この後の超能力を使ったマジックショーのことでしょうが、それだけではないと思います。 アンドリューの才能とはスティーブとマットに、あれほどまでに愛されたことなのではないでしょうか。 地面に落下するスティーブを救ったのは、アンドリューでした。 マットが「今日は人生で最高の日だよ」と言うことができたのも、アンドリューがいたからでしょう。 本作では暴力が暴力を呼ぶ負の連鎖を描いています。 しかし、アンドリューは親友から愛されていました。 アンドリューがそのことにもう少しだけでも耳を傾けるだけも、悲劇は起こらなかったでしょう。 アンドリューは(いかに劣悪な環境下にいるとはいえ)、ひどいことをしていました。 調子に乗って車をスリップさせて人を病院送りにさせても、たとえスティーブが死んでも謝ることはありません。 父親に傷つけられたアンドリューは、スティーブとマットという、自身を想ってくれる人をも突っぱねたのです。 それでもマットは、「お前は悪い人間じゃない」とカメラに向かって言うのです。 (アンドリューは実際に母親を想いやり、出かける際に母親が苦しくないようにそっと体勢を変えたこともありました) 彼が告げた、親友のアンドリューを助けようとした行動の理由である「I Love You」を聞いて、涙が止まらなくなりました。 人生において、誰かに傷つけられることはとても多いことです。 しかし、その痛みを誰かに八つ当たりしても、いいことなんかありません。 そしてどこかに、愛してくれる人がいるかもしれません。 たとえ誰かを恨むことがあっても、人を傷つけることなく生きていきたい。 そして、誰かを愛するため、愛されるための行動をしたい。 そう思うことができました。 【ヒナタカ】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-12-17 20:29:19) 1.《ネタバレ》 スッゲ~!まだ、こんな物語の鉱脈が残っていたのか。ワタシは、SF版中学生日記と呼ばせてもらおう。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-12-13 23:23:45)
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