みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
4.《ネタバレ》 所謂、ゲイ&レズビアン・フィルムの一本と言っていいでしょう。それらの過去の映画と大きく異なるのは主人公がテキサスの生粋のホモフォーブなこと。ロデオに興じ、避妊はせず、強烈に同性愛者を口汚く攻撃する、ステレオタイプのカウボーイと考えていいと思います。また、その最低な主人公を演じるマシュー・マコノヒーの演技が素晴らしく、彼の振る舞いから目が離せなくなる。しかし、一見すると過去の映画に良くある生き急ぐ破天荒な人間を描いた映画に見えますが、そうではない。 彼は一般的な人々の無意識にでも持っている感情を非常に鋭角化したキャラクターなのだと思います。HIVに感染していると告げられた時に彼は「でまかせを言うな!そんなわけあるか!」と激昂し病院を飛び出しますが、数日後には「やっぱり感染してるのかな……」と不安になり病院に顔を出す。AZTを手にする手段も失い宣告された余命が間近に迫ると泣き喚く。彼はとても人間臭いのです。だから彼は私たち観客そのものと考えるのが正しいと思います。彼の持つホモフォビアもそうで、誰しもある種の偏見は必ず持っている。ゲイ・レズビアン、ユダヤ人、黒人、中国人、韓国人、朝鮮人、被差別部落民、etc...、ある作家が書いていましたが、現在の世の中は「ユダヤ人や黒人は差別してはいけません」と規定しているに過ぎない。誰にも差別意識は確実に存在する。 そんな主人公がビジネス・パートナーであるトランスジェンダーのレイヨンの為にスーパーマーケットで激昂するシーン、レイヨンと遂に友人として抱擁するシーン、薬を求める同性愛者たちのために車を売り払って薬を都合するシーン、最後に同性愛者たちに拍手で迎えられるシーン、それらが如何に偏見を氷解させるカタルシスに満ちていることか。 ラストカットで暴れ牛に跨るロンの姿は非常に印象的且つ象徴的です。振り落とされればタダでは済まず、端から見れば単に生き急いているだけの行為に見えるロデオ。しかし彼のそんな生き様は無駄であったか?間違いなく否である。 決して派手な映画ではないですが、静かなカタルシスを感じられる素晴らしい映画だったと思います。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-05-04 08:46:54)(良:3票) 3.《ネタバレ》 バッド・ベティカーの闘牛映画の如く、一瞬の生き様が刻まれた二時間。 闘牛、暗闇から見つめるもの、牛上での数秒と闘病での数年、彼等にとってはどちらもほんの数秒の瞬きなのかも知れない。 牛や馬のように性を楽しむ男女、地に伏すもの、金、エイズ、ロック・ハドソンはそれを我慢できなかった。 賭け、「北北西に進路を取れ」か。ありゃスパイ映画の大傑作だったな。 ロデオ、死と隣り合わせ、ピエロ、柵を乗り越え逃亡、保身のために警官殴って逮捕、馴染みかよw 友人思いだからこそ本気で殴る。だが男を支配するのは危ないことに突っ込みたい欲求。生き急ぎ病に蝕まれ破滅へと突き進んでしまう。 繰り返される咳 、みんないつ死ぬかわからない仕事に命を賭ける、電撃がくれたチャンス、病院でも死への近道、トランプ博打、甘いもの、宣告された余命で自分がくたばるかどうかすら賭ける気概。 続けられる破滅生活、セックス、ヤク、煙草、医者よりも信じられるもの、死への恐怖、図書館、医者たちの怪しい会議、思い当たる記憶、生への叫び、今までのツケ、豹変する知人たち。病への恐怖からでもあるけど、みんな自分が可愛い。 神にまで頼り始める窮地、、酒場で出会った者に求めるもと交流、今更続けてきたことを止めることもできない。 治す気あんのかないのか、酒をあおるように投薬を貪る、華麗にスルーだけして医者まで紹介してくれる良い奴、治療という名の尋問、ゲイへの抵抗は死への恐怖でもある。 男ではなく女としてふるまう、女性ものの服とストッキング、医者も無理には止めない、帽子とショットガンを持って帰還、落書き、カウボーイ気取り馬に乗るように車を走らせる!銃を掴み泣く孤独、死ぬこともできない。 徐々に衰弱していく、自分にとっての「快適」な病院探し、無免許医に、多様な人種、襲ってくれといわんばかりに脚を出すナース、点滴くわえながら小便、偽神父を押し通す場面は数少ない癒し、この大嘘つきめww、命を救うはずの薬ですら取引するのだからタフというか救いようがねえというか。生死すた楽しんでいるようだ。 嫌いな相手はカモにする、追跡と取引、免許医への挑戦、点滴片手に会社運用、食い物のキャッチボール、手のひら返ししやがったクソッタレへの返答は抵抗が薄くなった証でもある。胸熱シーンとして見ていいのかどうか。 懐かしい知人への挨拶、ビジネスとしての健康、日本にも乗り込むカウボーイ、大都会岡山(交差点は東京です)、、スーツを着込むビジネスマンという仮面、音によって迫りくるものを伝える、ビジネスのためならイスラエルや中国にも偽神父や偽飛行士に扮して行ってやらあ、写真を投げ捨てるのは嫉妬か心配か嫌悪か、患者の奪い合い、やめられないもの、贈り物、忌み嫌っていた者との対話。 酒場には保安官が出入りするように警官が監視を続ける、電気のスイッチをイジッて点滅させるのは勧誘するため、スーツを着るのは「息子」として家族に会い告白するため、彼の「彼女」で居続けるためのヤク、握手するのは愛情かビジネスか、実験室に閉じ込められた蝶の群、点滅、帽子を被せるのは視界を防ぐため 怒り、失ったものと逆戻り、涙、道化師。 この映画の医者は、法によって守られ犯されない襲われない傍観者でしかない。 金槌で殴りつけるのは贈り物を飾るため、耳鳴り、頭痛 、闘牛場に始まり闘牛場に終わる。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-08-26 07:07:49)(良:1票) 2.まず、この映画の時代背景は1980年代半ば頃という説明が必要かと思います。 主人公がエイズにかかり、余命30日と言われたところから、彼の本当の人生がスタートします。 黒澤明監督の「生きる」や、近年ヒットした海外ドラマ「ブレイキングバッド」を思い出しました。 主人公がなぜエイズになったのか、セックスしている女性の腕にあった注射針の描写など、ディテールが細かいので見逃すと、よくわからなくなるかもしれません。 見ごたえのある素晴らしい映画でした。 マークボランの写真のネタも笑えました。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-04-09 14:55:38) 1.《ネタバレ》 この作品のキモって、女性のエイズ発症者がやって来て、そのことを知ったロンが次のシーンで「やっちゃって」るとこ、スーパーでのシーンの最後でレイヨンの眼が訴えてるとこに集約されてます。わたしはそう感じました。前者は、ストレートのエイズ発症者が「デキ」る環境ってそれしかないわけだし、そう、相手にとってもね。後者はロンを愛してしまう瞬間を見事にとらえたってことで。おめかしするシーンの台詞にそれが顕れてるよね。マーク・ボランの使いかたが美しいし、一発屋 Animotion の “Obsession” をうまくはめこんだとこも音楽的には賛辞。そうそう、渋谷見せるシーンだけは勘弁、右の角に“TSUTAYA”あっちゃダメでしょ、80年代ってことになってるんだから。 減点1はそこ、ということはほとんど満点ということ。 【shintax】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-03-17 20:34:22)
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