みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
6.《ネタバレ》 特に、タランティーノはこれまで、暴力と殺人をアイテムとして映画を撮っているわけで、これはジレンマだったのかもしれない。(風立ちぬにおける、戦争反対と思いつつ完璧な戦闘機を設計するジレンマみたいな) 実際、武器をもってやってくるヒッピー達は、車の中でこんんなことを語り合う「人殺しを演じて稼ぐ連中を、殺すぞー」これまさにタランティーノが自分に向けて書いたセリフと言わざるを得ない。 それに対するタランティーノの回答、それは、実行犯らをレオ様邸に間違えて侵入させ、観客の全幅の信頼をがっちりつかむブラピのこぶしで、監督が大得意なバイオレンス描写を遺憾なく発揮し、実行犯たちをこれでもかというくらいにフルボッコ。レオ様はというと()。 観客の爆笑によって歓迎されるこれらのバイオレンスを添えて、私達(この私達とは、監督、出演者、すべてのアメリカ映画屋、そしてこの映画を映画館で観る我々全員)は50年前の悲劇に回答を示した。すなわち、復讐。 シャロンテートは、何も知らず無事。 しかしそれで終わらないのがこの映画の素晴らしいところ。事件がおちつき、何も知らないシャロンの声が、インターホンのマイクから聴こえてくる。「みんな無事なの?」これがもう、不幸にも命を奪われた実在のシャロンの声そのものに聴こえてならない。天国からこっちを心配してるかのような。 からの、玄関先でレオ様とシャロンとの、挨拶の抱擁。それを高いところから見下ろすように撮るタランティーノのまなざし! 復讐は暴力である。何も生まない。復讐は復讐を呼ぶ。しかしラストのこのショットは、復讐でも暴力でもなく、ただひたすら安らかな祈りと言える。映画が映画としてできることを、タランティーノはこのようにやってみせた。素晴らしい! 【no_the_war】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-03-30 15:21:02)(良:2票) 5.《ネタバレ》 舞台は60年代末期のハリウッド。TVから映画への転向が上手くいかず下り坂に入りかけてるハリウッド・スターのリックと親友で付き人であり専属スタントマンのクリフの物語。ある日、リックの家の隣に売れっ子ポランスキー監督と新鋭女優シャロン・テート夫妻が引っ越してくる。光り輝いている二人を見てもう一度返り咲くためにイタリア映画息を決意するリック。そして、あの日がやってくる。 161分と長めながら一方では苦悩と焦りで消えていく俳優を描き、一方では華やかなスポットライトを浴び結婚もして幸せの絶頂だったシャロンを描く。相変わらず緻密な演出と上手い構成で、過渡期を迎えていたハリウッドの陰と陽が巧みに描かれていて全く退屈しなかった。 その消えていった多くの俳優と違い土壇場で会心の演技を見せるリックと相棒クリフがそれぞれひょんなことからマンソン・ファミリーとかかわり、それによって映画史に残る悲劇を回避。悲劇のヒロインだったテートは自身が出演している映画を鑑賞している観客の反応を見て成功を実感し天真爛漫で屈託のない笑顔で喜び、リックとクリフのおかげでカルト集団とも全くかかわらずにその後も過ごすことが出来た。最後のリックとテートのインターホンのやり取りはちょっとウルっと来ましたね。凄惨で映画史を塗り替えたといわれた事件をさらに塗り替えたのが苦闘していた俳優とその相棒スタントマン。映画の小道具で撃退するリックと戦場仕込みのマジ者クリフの活躍はスカッとしましたね。本当にこういう顛末だったら良かったな。あの二人はポランスキーとも出会いさらに成功を収めたのだろう。ポランスキーも後の愚行をせずシャロン・テートと幸せに暮らしたのかな。 60年代ハリウッドの風景、ファッション、音楽がこれでもかと溢れかえっていて古き良き時代のハリウッドへ送るタランティーノの愛情あふれるラブレターでしたね。あのラストは幸福感に溢れていたなあ。 しかし、ブルース・リーの扱いがちょっと残念だったかな。いろいろ読んできた限りではあんなに傲慢で好戦的じゃないと思うけど。カシアス・クレイに関しても信奉者でアリのファイトスタイルを研究してましたし「僕の小さな拳じゃとても勝てない」と語ってましたしね。あと、出て来た時は「似てるかな?」と思いましたが、サングラスを取ったとこで「ブルース・リィ」とか「ブルース・リ」などを思わせるパチモン臭が酷くて吹きそうになりました。主役が落ち目のスターとスタントマンでシャロン・テートやブルース・リーを絡めると聞き、「あー、これはハリウッド映画にかかわった人たちでカルト集団をボッコボコにするんだな」と誰もが思ったでしょうけど、そのメンバーにリーも噛ませてもらいたかった気がします。でも、タランティーノの思いを込めた映画だし、あの俳優じゃアレくらいの出番で正解かもな。 【ロカホリ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-08-31 22:54:17)(良:1票) 4.ネタバレを恐れるあまり、初見時は一切の情報を仕入れず観たため、60年代のハリウッド事情や、元ネタの映画がわからない上に、シャロン・テートの事件ですらよく知らずに観たものだから、途中までまったりした雰囲気だったのに、何故か急に怪しげな空気になる中盤のあのシーンとか何が起こっているのかわからず、あまり楽しむ所か、ポカーンとしたまま帰路に着くことになり、感想としては「つまらない」というものだった。 という訳で2回目を観るにあたり、まずシャロン・テートが出てる映画を観るべきだろうと思い「サイレンサー第4弾 破壊部隊」とポランスキーと共演した「吸血鬼」を鑑賞。さらに詳細を知れば知るほど胸糞悪くなったあの事件の事も調べた。これで完璧、いざ2度目の鑑賞へ。 結果、面白かった。 ストーリーが無くてダラダラと長いと思っていた主演2人の日常パートでさえかなり見所があった。 やっぱりレオ様の演技シーンがとても良かった。ちょっとダメ出しされただけで精神的に弱っちゃう繊細な所や、8歳の子役に慰められるシーンとか良かった(この女の子が短いシーンながら凄い存在感)、また、スタントマンを演じたブラピとの関係性がとても興味深かった。 ブラピの方もとても人間味があって魅力的な一方で、何処か得体の知れない凄味を感じさせる独特の存在感が凄かった。 あと、これまでのタランティーノ映画と決定的に違うのは無駄なバイオレンスが一切無い事である。終始落ち着いた雰囲気で見られるのが良い。 60年代ハリウッドを忠実に再現するのではなく、この時代の空気感をタランティーノ流に再現して見せる事に特化しており、夢と現実が交差するなんでもありのファンタジー的な面白さがあると思う。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-08-30 18:51:13)(良:1票) 3.《ネタバレ》 ただの映画ギークだったクエンティン・タランティーノが、いよいよアメリカ映画界の巨匠になろうとしている。 『イングロリアス・バスターズ』では、糞ったれた史実を、バット一本で完膚なきに塗り替えてしまう、という傑作を見せつけたが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に於いては、映画史に刻み込まれてしまった狂った殺人事件を、もう単純に家を間違えるというだけで、これもまた塗り替えてしまうのだ。平たく言えば嘘つきだ。所詮、映画は絵空事だ。 だがしかし、こんなにも優しい嘘はない。 まさかタランティーノの映画を観て、最後の最後で泣きそうになるなんて。 しかもその直前までは笑いまくってたのだから。 最後の最後まではずっと壮大なフリだ。もうぎりぎりまでフリ続ける。 ハリウッドをレオナルド・ディカプリオでフリ、マンソンファミリーをブラッド・ピットでフリ、 そしてマーゴット・ロビーが自分の映画を観るという件がまたサスペンスを高めるフリだ。 そして岐路は単純。そう家を間違えるというだけ。 そこからのブラッド・ピットの怪演とタランティーノ得意のゴアなバイオレンス描写がもう笑えてくる。 ここで、事実を捻じ曲げて、さあどうするタランティーノ、どう決着をつけるというふうになる。 しかし誰もが納得するだろう。 現代ハリウッドの象徴と言って過言でないレオナルド・ディカプリオとシャロン・テートを抱擁させる。 彼女をスクリーンの中で生き続けさせること。 そしてタイトル Once Upon A Time in ... Hollywood それがしたかったのか。泣ける。優しいよ、タランティーノ。 これは史実に対する復讐である。 糞ったれた史実を犬に噛み千切らせ炎で焼き尽くし、血生臭いフィクションを張り付ける。 生と死を描いて辿り着く先は、優しい抱擁、これこそ正に映画である。 またしても傑作。 さて、帰路に着いてふと思い出したが、『イングロリアス・バスターズ』の最後、クリストフ・ヴァルツは、ブラッド・ピットによって額にナイフで鉤十字を刻み込まれるんだ。実はここから既に壮大なフリだったのか。まさかそんなわけがあるまいな。 【すぺるま】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-09-07 00:28:01) 2.おじ様2人の掛け合いが実に楽しい。 タランティーノ味をたっぷり堪能しました。 どってことない雰囲気だけれど、どのシーンを切り取っても凝っている。 作品全てが、タランティーノ監督のやりたい放題で埋め尽くされてる。 自分の色だけで映画作れるって、素晴らしい才能。 派手なシーンは少ないし、レオさんブラッドさんもいぶし銀の演技で大人の好みにぴったり。 チビチビ飲みながら観ると更に乗れるかも。 情報は見ないようにしてたけど、これから元ネタとかいろいろ仕入れようと思っています。 楽しみがもっと広がっていく。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-08-30 16:50:36) 1.《ネタバレ》 ディカプリオとブラピ、2人のコラボは息がぴったりで最高に良かったと思います。序盤はタランティーノ特有のバイオレンスもほとんどなく、2人のストーリーが展開していきますが、最後に待ってましたとばかりにタランティーノワールドが炸裂します。マンソン事件の実話とフィクションをうまく絡めて2時間40分は感じさせずに最後まで十分に楽しめました。アルパチーノのシーンが少ないのが残念でしたが 、、、。タランティーノファンは100%楽しめる作品です。 【みるちゃん】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 9点(2019-07-30 10:59:28)
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