みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
9.《ネタバレ》 紛うことなきポン・ジュノ監督作品で、そのあまりのポン・ジュノっぷりに嬉しくなっちゃったりもしたのだけど、さて、アタシは果たしてこれまでポン・ジュノ作品をちゃんとブレずにレビューしてきてたのかいな?って過去作のレビューをチェックしたら、『パラサイト』についてはそのまま過去作品のレビュー読んでもらえばOK、くらいには一貫してたのでひと安心。 とは言え、それだけじゃ不親切なのでちょこちょこっと。 底辺の人々のお話という点で貫かれたポン・ジュノ作品、今回もまたその通りで、上流階級の人々との対比という点では『スノーピアサー』くらいに判りやすい構図を作っているわ。ごちゃごちゃと物で溢れて情報量が多くて、歪み、汚れ、やかましい下の人々の生活と、情報量の少ない、直線と水平で形作られた上の人々の生活。上で情緒を持って降る雨は下に暴力となって流れ込んでゆく。その底辺のやるせなさを、だけどポン・ジュノ監督はいつもの通り、決して美化することなく、コミカルに、そして醜く無様な存在として描くのね。 権力に支配されたシステムの内側での決して勝利のない闘争の滑稽な虚しさ、半地下から地下へと堕ちる父親の到達点、叶うことのない希望。シニカルに描かれた現代社会の縮図。毎回、韓国の今を皮肉るポン・ジュノ監督だけど、日本にも(あの避難所の風景は昨年も何度も見ることになった日本のそれとそっくり)世界にも通じるものなのね。 『グエムル 漢江の怪物』のような家族の姿、『母なる証明』と通じる流れ落ちる水、『殺人の追憶』と共通するラストカット、あちこちにポン・ジュノ印が刻まれている中で、今回は「匂い」がキーになっていて、「匂い」がまるで体内を流れる血を示すようで、その扱い方が上手いと思ったわ。 ちなみに、でもアタシは一家には同情とかしなくて、いちばんキモチを寄せていたのはお金持ちの奥さんね。彼女に訪れた悲劇はあの一家がもたらしたものだけれど、それも結局はシステムの内側に存在していたがゆえ、彼女の魅力的な無邪気さがそれを招いた原因のひとつだとしたら、それは哀しいお話だわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-23 20:01:56)(良:3票) 8.《ネタバレ》 道路から半分下がった位置にあるこの家族の半地下の住居。それを見たらなぜか『マルコヴィッチの穴』の「7と1/2階」のことを思い出しました。あと『天気の子』の須賀さんの事務所兼自宅もこんな感じだったなーとか思いながら鑑賞を始めました。のっけからパラサイト全開。よその家のWifi乗っ取ったり、乗っ取ったWifiでメールチェックして動画見て、それでアルバイトして・・・。あんなふうによそのWifiに乗っかるってたまに日本でも聞くやつですけど、そういうのは韓国でも同じなんですね。そういう文化の相似点とか相違点を知られるのは面白い。 「半地下」で細々と暮らす一家の息子に、偶然息子の友人から紹介された裕福な家の家庭教師のアルバイトの話が舞い込み、それをきっかけに半地下一家は徐々にその裕福な家へのパラサイトを始めていく・・・といったあらすじ。息子→姉→父→母までの寄生ルートはうまく出来ていて見ていてなんだか爽快でした。元家庭教師のミニョクが言っていたように、奥様はとても「シンプル」。ずっとああいう恵まれた環境で暮らしてきた人なんだなと背景を推察できます。ややトントン拍子に行き過ぎるきらいもありますが、そこは映画なのでご愛敬。 カメラワークにもなんだか引き込まれました。引き込まれるようなところはだいたい物語としてはなんでもない、ただ携帯をいじってるところであったり階段を下りてるところであったりするんですが、なぜか見入ってしまうところがあり、世界観と合っていたんだなと思いました。 ただの寄生ストーリーから後半は元家政婦と地下室の男が深くかかわる展開になっていきます。個人的には、「有名建築家の家の隠し部屋」とか「そこに住んでる謎の男」とかそういう要素が大好きです。それがまた「パラサイト一家」ともうまくマッチしていましたね。純粋に面白かったです。 【TANTO】さん [地上波(吹替)] 9点(2021-01-10 14:01:43)(良:1票) 7.《ネタバレ》 アメリカで観ました。非常によく作りこまれており、好き嫌いはあれどケチをつけるのはなかなか難しい映画かなと。コメディパートは超ウケていて、案外日本より欧米向けの映画なのかも?とも思いました。 後半ダークな展開になってもあまり嫌な気分にならないのは、どの登場人物も憎めないからでしょうか。エロシーンの間接的な描写は妙にエロかったです。"Those who use subway are stinking"みたいな伏線が長男が地下鉄に乗りながらモールス信号を解読するシーンで回収されていたのも、よく考えて作ってるなあと感心しました。安易なハッピーエンドにしないのも、ironicな映画として良い。万引き家族より1点高い9点で。 【追記】 金持ちが階段を上り貧乏が階段を下りるメタファー、重石が偽りの希望として家族にパラサイトするメタファー、真のパラサイトは貧乏人をexploitする金持ちというメタファーに解説動画を見るまで気づきませんでした。directingもeditingも凄すぎてちょっと言葉にできない。 【なす】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-02-14 03:03:07)(良:1票) 6.《ネタバレ》 "臭いの視覚化"。 これが上流と下流の分断を象徴する。 いくら賢くて努力をして、金持ち一家に取り入ったとしても、永遠に彼らとの距離が縮まることがない。 身なりを整えても洗い落せない臭いが、存在しない"地下の住人"が加わって浮上し、寄生一家の計画は破綻していく。 地上と半地下、そして中盤からの地下を含め、3つの家族が3つの階層で構成されるが、 高台の家族からしたら、下の存在には無関心も同然。 悪意はないにしろ、レトルトのジャージャー麺でさえ作らせるくせに 高台から下へ流れていくスラムの大雨被害なんてどうでも良いのだ。 災害も被災者もいなかったことにされるパーティーで貶められた者たちによるサイコホラーさながらの惨劇。 計画を成功させるには役に徹し切るしかないが、生きていくことで手一杯な寄生一家の父親には、 理想だったはずの世界における妬みに思考が耐えられなかったのだろう。 自ら地下に堕ちた彼を、息子は救い出す計画を立てる。 希望であり、明るい未来として挑む正攻法ではどう足掻いても打ち砕かれる余裕のなさと諦観が雪と共に埋もれていく。 こうならないためにさらに高い壁を築いてAIでも雇って排除するのか。 もはや自分達が良ければそれでいい、見返りのない面倒臭いことをする意味の無さが、 無意識に蔓延していく恐怖をポン・ジュノは警告する。 【6/12追記】モノクロ版鑑賞。 白黒の鮮明なコントラストで、持つ者と持たざる者の格差を際立たせ、醒めない悪夢をより強調させていた。 色彩による情報が排され物語への没入感が深くなり、カラー版に比べてスッキリ見易くなった印象。 なのに色が見えてくるのだから不思議。 同じ映画なのに、別の映画を見ているような貴重な体験だった。 【Cinecdocke】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-13 21:17:05)(良:1票) 5.(観終わってしばし、放心状態) これは…ポン・ジュノによるポン・ジュノ好きの為のポン・ジュノ度満点の映画だ!(意味不明) 底辺の人々を描きながら、現代社会に対する風刺を交えたシニカルな笑い。その辺はいつものポン・ジュノ作品に通じるテーマ性と言える。 ただ、今作品が突き抜けているのは、とにかく全てにおいて洗練されている事。 道以外の殆どをセット組んで撮影したと言うが、舞台設定からしてとても細部まで作り込まれていると感じた。 脚本も無駄がなく伏線の張り方も巧くて全く飽きさせない。 とにかく、ひたすら笑えて、怖くて、先が読めなくて、楽しい。 これぞまさに映画。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-10 20:14:18)(良:1票) 4.《ネタバレ》 いやはや、すごい映画だ。同じ韓国映画の「アジョシ」を観たときも感じたけれど、韓国の監督はこういう貧困の描写がうまいなあと思う。 貧者が富豪に一泡吹かせるっていうのはカタルシスを感じる人も多いだろうから、貧富の差が激しい韓国のみならず 海外でも評価されたのがうなづける。 ソン・ガンホは「タクシー運転手 約束は海を越えて」の時もいい演技だなと思っていたけれど、本作でも感情を押し込めたような表情がすごかった。 (蛇足だけれど、あの後地下に住むのは無理だわ。ドイツ人一家の家政婦は味方じゃないんだから、冷蔵庫の中身が減ってりゃ気づくでしょ。) 【くろゆり】さん [地上波(吹替)] 9点(2021-01-09 15:47:02) 3.《ネタバレ》 凄かったです。前半は「まあ、B級コメディかなあ…」って感じで高を括って見てたけど、後半になって半地下よりもさらに深い地下空間が現れてからは、そのSFサスペンスホラー的な怒涛の展開に圧倒されて、ポカンと開いた口を塞ぐことができませんでした。 この映画には、もちろん貧富の格差を社会学的にとらえた「万引き家族」のような面もあるけれど、それ以上に凄いのは、一種の都市建築SFホラーになっている点です。たとえば「シャイニング」や「ポルターガイスト」などはまったくの荒唐無稽なホラーですけど、この映画で描かれるホラーには、笑うに笑えないような異様なリアリティがある。 いまなお地下世界には目に触れないゴキブリが住んでいる…、というオチで話が終わります。そういう地下の空間は、一体どこまで広がっていて、どれだけたくさんのゴキブリたちが住んでいるのだろう? そんな想像にもリアリティを与えてしまうような恐るべき物語です。 日本の大手映画会社の安易な企画からは絶対に生まれ得ないような作品だし、日本の実写映画に欠けているのは作家個人の徹底した構想力なのだということも痛感させられる。世界に通用する映画を作るには、もちろん面白さも必要だし、力強さも必要だし、分かりやすさも必要だと思うけれど、それに加えて、やはり突き詰めた構想力が必要なのだと思い知りました。 【まいか】さん [地上波(字幕)] 9点(2021-01-09 08:30:17) 2.前半だけでアカデミー賞もエミー賞も納得。後半の蛇足を引いて有り余る。 具体的にどこがいちばん良いのかと問われると答えるのが案外難しいが、 古典的名作ほどそういうものだろう。内容はありがちでも、 役者、脚本、音楽、編集に手を抜かないと作品はいかようにも良くなる典型だと思う。 ただひとつ具体的に効果的だったと思うポイントが対比で、 てかこの作品は対比そのものなんだけど鮮やかだった。 半地下の家も豪邸も一から全部作り、セットにいちばん費用がかかったというだけ あって強く印象に残る。序盤に半地下の生活を一定時間みせることで これから寄生する豪邸の豪邸たるリッチさが一層引き立つというテクも当然抜かりがない。 そしてキム一家のけっして貧乏臭くないたくましさと、 パク一家のけっして嫌味のないおおらかさが、 何よりこの作品の白眉であろう。 【michell】さん [DVD(字幕)] 9点(2020-08-15 00:39:15) 1.《ネタバレ》 セリフの端々から、韓国国外の人向けのネタが散りばめられていることに気づく。徴兵、北朝鮮の脅威、労働問題、格差、PM2.5、外国製品など。まるで外国人観光客対策に特化した繁華街のよう。 しかしこの映画は、そういった外国人向けネタがちっともスベることなく、とてもコミカルに、それでいて深刻に、とても上手に描かれている。この技量は見事。あらためて、“コンテンツとしての韓国”の充実っぷりに圧倒された。具体的には、北朝鮮報道モノマネは超ウケた。笑っちゃいけないのかもわからんが、韓国ではあれがウケるのかな。 階段や坂道を上がったり下がったりの場面がやたら多いのが特徴であり、この映画の主題である。そう思いながら観てると、人物の動きに敏感になる。いる場所の高さによる表現が巧みだ。車の中とか、食卓とか、家庭教師とか、ときには高さが揃う。そういう微妙な構図操作で、インチキな貧困家族と、気の毒な裕福家族の釣り合いがぐわんぐわん振り回され、いつのまにかものすごい映画を見た気持ちになった。後味は悪いけど、凄いものを見た。 【no_the_war】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-03-23 15:44:08)
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