みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 予告CMが散々TVで流されていれば、そりゃあ観たくなる。「宣言解除」のあと劇場にいくには勇気が要って、それでもどうしても観たい映画だった。この親子がどう暮らしていくのかを観たかった。妻に先立たれた男の子育て話は正直目新しいものではない。でも、仕事と家事に忙殺され「駄目かもしれない」と弱音を漏らす予告篇の山田孝之に普段の不敵なイメージはみじんもなく、あれ?と思ったのが劇場で観たいと思った一番の理由かもしれない。10年間の子育て物語だから3人が次々に娘を演じていくのだけど、2人目から3人目に変わったところで風貌が「こういう変わり方する?」と正直思ってしまった(意見には個人差があります)。演技の巧拙ではなくて雰囲気が変わったというべきか。 だいぶ前に松山ケンイチと芦田愛菜の「うさぎドロップ」を観た。あれは「にわか親子」だが、今にして思えば結構なファンタジーだった。本作は思春期に差し掛かる娘の微妙な時期までを描くので地に足がついていて、妄想に逃げていない。主人公が「自分は親に恵まれた」と独白するが、この親とは本編に登場しない主人公の実の両親ではなく國村準と余貴美子演じる義父母だ。ずっと孫と義理の息子を気遣い、損得やエゴなしで支えてきた。それは義兄夫婦(東京03角田晃広と片岡礼子が実にいい)も同じだ。二人は主人公からベビーカーを譲り受けたものの結局後年不妊治療をあきらめた、という主人公のナレーションが実にやるせないが、そんなことはおくびにも見せない。かつての上司(岩松了)も昼飯にかこつけて主人公を励ます(なぜか中川大志がうろちょろしているが)。周囲が理解ある優しい人々なのがファンタジーと言えなくもないが、そんな中で小学校の担任は「お母さんは死んだけど、うちにいる」という娘の言葉の真意を判らず(気づかず、ではないと思う)「嘘はいけません」と決めつける。面談の場である喫茶店にも駆け込んできていきなり用件を切り出し、さして親の意見も聞かず用事が済めばさっさと立ち去る。父子家庭の子どもを受け持つことは彼女にとって厄介事でしかなく、関心があるのは学級運営だけではないのかと思ってしまう。浅慮の割に何にでも噛み付く人が必ずいる今の世の中の荒みようを感じさせて思わずため息が出る。 だから尚更、保育園のケロ先生(伊藤沙莉)や亡妻の面影を宿す行きつけ喫茶店のお姉さん(川栄李奈)、そして後に再婚することになる職場の同僚:奈々恵(広末涼子)と親子の交流は編中の清涼剤だ。特に終盤、初めて娘からお母さんと呼ばれ、義父から「孫と息子を頼む」と託され滂沱と涙する奈々恵とそれを見守る主人公の姿には涙腺が緩んで本当に困った。年なのかも知れない。 お涙頂戴という媚を含んだ厭らしい言葉があるが、この映画はその言葉からずっと離れたところにある。今この時期に観られてよかったと思っている。 【rinzou】さん [映画館(邦画)] 9点(2020-07-18 20:14:11)(良:2票) 1.《ネタバレ》 愛し合う両親のもとで健康に育って、結婚して、子を産み、孫を抱き、そして誰よりも先に死んでいく(絵に描いた様な「普通」の人生)。でも、そんな人生を送るひとって、実際どのくらいいるのだろう。そうじゃなくて「普通」じゃないことの方がむしろ「普通」の人生、なんじゃなかろうかとも思う。 誰の人生だって波瀾万丈、とでも言うか、この映画に描かれる家族にも色々なことが次々と訪れる(善きにせよ悪しきにせよ)。でもそれはどれも実に「ありふれた」ことであり、その意味ではこの上なくシンプルな映画だと思う。だからこそ、誰の心にもどこかしらには引っ掛かる様な感情移入の容易な作品であり、必ずどこかでホッコリと、或いはホロリと出来るという温かい作品になっている、と感じた。親の再婚に対して複雑な感情を抱く娘というのは正に10歳の私でもあったし、妻(娘)を亡くしても義理の親子(家族)の関係が善きものであり続けた主人公一家に対しては、そうではなかった自分と照らしての少しばかりの羨ましさと、そして小さくない後悔を覚えるのだ。 主要キャラの演技については、誰しも殆ど満点と言ってよい高水準であった。國村隼の存在感・温かさには惚れ惚れとしてしまいましたね。だけれども、やはり最後は山田孝之を褒めておこうと思う。多分に悲しさ・辛さを纏いながらも、奥底に十分に強さを抱きそして静かに成長していく様子は、実に味わいのある深い演技の仕事だったと思う。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 9点(2021-03-20 21:31:39)
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