みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
20.《ネタバレ》 再見。 イーストウッドが到達したリアリズム、反西部劇、アンチ・ウエスタンの最高峰。 個人的には「アウトロー」の方が痛快で好きだが、この作品を最初見た時の戸惑いと衝撃、そして再見すればするほどその凄味に惹かれた作品でもある。 夕暮れで土を耕す孤影、一軒家と一本の木の影。この強烈な黒のコントラストが本作の恐怖と緊張をより盛り上げる。 雷鳴と土砂降り、情事を語る影の蠢き、ベッド上のギシアンを止める怒声、身を守るために水を浴びせる者、凶刃を振り回され傷つく者、凶行を止める背後の気配と撃鉄の音。 柱に縛り付けられた罪人を解放してしまう汚職、悪徳保安官の不気味な笑み。初っ端から恐怖と暴力が支配する世界を叩きつけられる。 生々しいを傷を癒し、苦笑いし、黙って耐えるしかない者たちが託す「依頼」。ただただ引き受けてくれる者が現れるのを待つことしか出来ない無力さ。 一方、農場で泥にまみれ豚を追い回すヨレヨレの農夫、回りを無邪気に走る幼い兄妹の微笑ましさ、それを鼻で笑う馬に乗り訪れる若きカウボーイ。彼は銃を手放した者を再び殺しの世界に引き戻すために現れる。 主人公のマニーは若い頃、女子供を問わずに手をかけた極悪非道のアウトローだった“らしい”。マニー本人はそう語りますが、劇中のマニーは年老いた父親でしかありません。妻に先立たれ、残った幼い子供たちを養うために精を出し、何十年も銃の代わりに家族の手を握りながら生活してきた。そんな男が再び銃を握るという。家族のために。 昔のカンを取り戻そうと射撃訓練、それを心配そうに見守る子供たち。リボルバーからショットガンに変える一連のアクションが後の布石として生きてくる。 髭を剃り、窓の向こう、木の根元に眠る者に別れを済ませ、馬に乗るのも一苦労の男が覚悟を決めて旅立っていく。 「アウトロー」における農夫がガンマンへと変わる物語が繰り返され、より突き詰められる。 イーストウッドにとってはシーゲルとレオーネに捧げた作品だそうだが、この映画には全ての西部劇に対する望郷とアンチテーゼのメッセージが入っている。 人一人を死に追いやってしまう集団心理の恐怖は「オックス・ボウ・インシデント(牛泥棒)」の流れも感じさせる。 大自然の中を旅する平和な一時。それが人間の支配する魔窟に入れば空気は一変する。 この映画の保安官が振るう正義は法の執行ではなく独裁者の暴力でしかない。 法を取り締まる者がみずから法を乱す。法を乱した犯罪者を見せしめにするために制裁を加えるのは当然ですが、いきすぎた制裁は単なる暴力となり、やがて失望へと変わる。 復讐者からの「依頼」でもある賞金首探しは、腐りきった法との戦いでもある。それを受け取ってしまった男たちに待ち受ける死、死、死。 この映画にはカッコいいカウボーイなんざ一人も出てこない。 気取った老体、銃から何十年も遠ざかっていた中年、本当は人を殺すことをためらう猟師、近眼の若造、狂った保安官…往年の西部劇に溢れていた夢と希望、活気とヒーローがこの映画にはいないのさ。彼等を彩る風景だけがその美しさを失わずにいるだけで。 人を撃てば撃つほど虚しさや罪悪感が重くのしかかり、ガンマンに憧れていた青年でさえ初めて人を撃った後に恐怖で震えてしまう。「命を奪う」ということの重さ。 「いくら古い時代に夢を追い求めても、現実はこうだ」と言わんばかりの雨粒と泥にまみれた世界。 人を殺した者は当然「自分が殺されても文句なし」という覚悟が必要だし、事情を知らない者が殺しの現場を見れば「人殺し」と罵られても仕方がない。 ただ、ラストの決戦まで“おのれ”を取り戻していくマニー。 彼が一発一発放つ弾丸は、今は亡きフロンティア精神への鎮魂か、イーストウッドなりのケジメか。密室にショットガンを突きつけながら乗り込み、“投げる”ことによって緊張が跳ね上がる瞬間! たった1人の男を集団で嬲り者にするような連中だ。そんな奴らに、卑怯だの何だの言う権利も資格もあるものかっ!! イーストウッドは、いつも他人のために怒る男だ。自分は殴られても殴り返さない。ただ、仲間や知人を傷つける奴は絶対許さねえ。名誉なんてクソ喰らえ、「殺る時は殺る」漢なわけよ。ガンマンではなく、一人の人間としてカッコイイ。イーストウッド主演の西部劇群を見た後だと余計に感慨深い。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-01-30 10:29:38)(良:1票) 19.イーストウッドの前半の老化と後半の覚醒、このシンメトリーな感じが良かったです。この映画で伝えたかったものは人を殺す事の罪深さ。数々の西部劇に出演し、さんざん人に向けて引き金を引きまくったイーストウッド流のケジメのつけ方だったんでしょう。この後からの彼の作品にはどこか崇高さが見える。きっとこの映画を製作した事で悟りの境地を開いたんでしょう。 【関白宣言】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-02-07 14:10:56)(良:1票) 18.《ネタバレ》 主人公と敵対する役ではあるが保安官は決して悪ではない。いや、あの時代からすればものすごく真っ当な正義を執行するものなのだ。保安官自身が「法」であったのだ。現代の価値基準から見れば行き過ぎの感はあるが、あの時代はあそこまでせねば治安の維持は出来なかった・・・。しかしその「行き過ぎ」がキーとなり物語が動く。恨みから殺人の依頼をする娼婦たち、恨みから保安官を殺す主人公。…それぞれに和解する機会はあった。互いに歩み寄り、話し合ってさえいれば悲劇は避けられたのに。しかし、些細な行き違いから憎しみは連鎖する。憎しみの連鎖が生み出した結果に娼婦も若きガンマンも唖然とする。行為が行われるまでは、それが行われれば恨みが晴れてすっきりすると思っていたであろうが、結局は後味が悪いだけだ。殺し合いというものの現実をしっかり考えるべきなのだ。。。。保安官との決闘シーンで爽快感を期待していた”観客”もまた「許されざる者」なのかも知れない。 【まめ】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-05-04 21:27:25)(良:1票) 17.《ネタバレ》 イーストウッドの傑作群のひとつ。そして、最後の西部劇。綺麗な夕陽が記憶される。ジーンハックマン良し。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 9点(2019-02-03 19:17:30) 16.《ネタバレ》 噛ませ犬みたいなあの役にリチャード・ハリス。キャスティングもすごいが、演技もすごい。善悪の彼岸を見つめて、結論を出さないのがイーストウッドの美点。傑作ですね。それにしてもデヴィッド・ピープルズって、出来不出来の差が激しいな。 【Gioachino】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-04-20 23:32:31) 15.《ネタバレ》 二人の命に賞金をかけた娼婦たちが、馬を持ってきた男の態度に、少し心が揺らいだように見えた時からこの映画はただものじゃないと思った。過去の罪にさいなまれるウィリアム・マニー。ネッドも今や人を殺す事はできなくなっている。そして初めて人を殺したキッドは恐怖と後悔を味わい、新たな決意をする。お尋ね者、娼婦、賞金稼ぎ、保安官。誰もが… つまり人間は皆罪深く、それ故に苦悩するのが人間だという事か。そんな許されざる者たちの中で、唯一後悔を知らず、自分が正義だと疑わない男がいた…。相棒を殺された怒りのクリント・イーストウッドと、ジーン・ハックマンの対決。しびれるな~素晴らしいな~。画的にもとても美しく、ウエスタンを極めた形と言ってもいいかもしれない。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-03-20 00:04:39) 14.憎しみは憎しみを呼び、暴力は暴力で贖われる。クリント・イーストウッド渾身の一作。ジーン・ハックマンが懐の深い演技を見せ、納得のオスカー受賞。傑作西部劇。 【フライボーイ】さん [DVD(吹替)] 9点(2008-02-29 01:08:07) 13.《ネタバレ》 「コイツは善人で、コイツは悪人だ!」というような単純な決めつけがないところが良い。保安官も、相棒も、切り裂き犯も、若いガンマンもみーんな微妙な設定にしてあるから作品に深みがある。特に主人公(イーストウッド)の描写は絶妙。いつも苦虫を噛みつぶしたような疲れた表情が何とも言えません。やっと人間味が芽生えてはきたものの、善行(人助け)を堂々とやるにはあまりにも歳をとりすぎているし、何よりも過去の悪行が悪行だけにいまさらオモテの世界には出られない・・・そんな苦悩を上手く表現していると思います。イーストウッドは少し影がある役の方が似合っている気がします。地味で暗い作品ですが、派手さだけでアカデミー賞を獲るような映画よりは断然良いです。 【長毛】さん [地上波(吹替)] 9点(2005-12-06 01:12:39) 12.「悪」。「暴力」。イーストウッドが一貫してきたテーマだと思う。彼の西部劇の集大成。感動した。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-11-08 19:09:23) 11.何回も観たいとは思わないけど、傑作でしょうね。 【Waffe】さん 9点(2004-12-23 00:50:19) 10.いやー良かった!!単純明快でしかもラストの爽快感!!今まで西部劇を敬遠していた自分が恥ずかしくなってしまった。 【ゆきむら】さん 9点(2004-12-12 13:59:07) 9.好きですねこの映画は!淡々と進むストーリー、最後に盛り上がりますけど、余り派手に撃ち合うわけでもないし、でもスカッとする。クリント・イーストウッドはやっぱりカッコイイ。見るまでは何となく『どうしようかな?』て感じですが、始まってしまうと引き込まれます。ただこうゆう映画は好き嫌いが有るので、薦め難いですけどね! 【みんてん】さん 9点(2004-08-08 23:19:58) 8.《ネタバレ》 人生の黄昏時の男を美しくも切なく描いた西部劇です。昔はアウトローだった主人公。今では飼っている豚の体調を気にしている始末。それも泥だらけになりながら。子供もいる。生活もそんなに楽じゃない。かと言って這い上がる道もない。そこに、舞い込む金儲けの話。賞金首を討つという、手を洗った世界に再び身を投じることに。若くなく、射撃の腕前も馬に乗る事も軽快にはいかない。人生の残り火を絶やさないように生きて来た男が、その火をまた大きくする賭けに出ます。仲間を集め、目的を果す為に町に乗り込む・・・。この映画は西部劇という形をとった男の再生物語にも見えます。古い仲間との友情、若造との世代間のギャップ、さらに何が「悪」で何が「正義」なのかという葛藤。 人を殺す、その行為の重さ、主人公が壮絶なガンファイトを見せるラストには痛々しい感情が沸き起こります。それはまた「銃」の怖さも感じさせ、まっとうな社会を歩いてこなかった主人公のガンマンとしての終焉を描いています。人生の再生を謳い、男としての生き方を謳い、気高くもはかない存在の主人公。ラスト、夕景の中たたずむ寂しげなシルエットは、様々な事を観ている者に考えさせてくれます。イーストウッドでしか撮ることの出来ない素晴らしい映画です。 【映画小僧】さん 9点(2004-03-15 10:00:06) 7.どういうのが西部劇かは余り見たことが無いのでわからないけど映画らしい映画だと思う。特にただぶっ放せば良いって映画ではなく、最後まで人殺しは所詮人殺しにしかすぎないってのがあり、しかもそこに苦悩し続ける。特に人を殺してからの彼らの演技は素晴らしいとしか言いようが無い。三者三様ではあるが一人として喜ぶものがいない、それがこの映画の真意だと俺は思う。 【taron】さん 9点(2004-01-18 21:55:41) 6.《ネタバレ》 最後の’売春婦を人間らしく扱え’という台詞は良かった。イーストウッド以上に、この台詞が似合うハリウッドスターはいないと思う。 【まりまり】さん 9点(2004-01-14 23:17:17) 5. 映画でも作品でもない。これがイーストウッドの西部劇だ。 【映画の味方】さん 9点(2004-01-12 21:56:19) 4.クライマックスの壮絶な描写、そしてイーストウッドの拍車の音で映画史に残るでしょう。どこか凶悪さんを感じさせる保安官ジーンハックマンが、その一方で家を自分で作る好人物なところもあることをちゃんと描いている。それだけのことだけど、それだけで人物に膨らみが出せる。イーストウッドって、やっぱり映画をよく知ってるなと痛感。傑作です。 【ひろみつ】さん 9点(2003-10-25 14:23:31) 3.真に傑作と言える作品。ただーし、好きな映画ではない、後味も悪い、うまく表現できないが殺伐とした寂寥感と徒労感だけが残る感じ。一度は観るべき映画。しかし大嫌いな映画。クリント・イーストウッドめー馬鹿やろーお前も大嫌いだよー。でも、でも、まだまだ死ぬなよーーー。 【とりでの赤い境界線】さん 9点(2003-06-12 20:38:19) 2.《ネタバレ》 クリント・イーストウッドが「最後の西部劇」と言った言葉の通り、西部時代の終焉っていうモノをうまく表現していると感じた。みんな年を取り、時代は変わってゆく。その中で年老いたかつての仲間達が、それぞれの思いを胸にまた銃を持ち旅に出る・・・。んー、カッコいい。ジーン・ハックマン演じる保安官が、さらにこの映画のクオリティーを上げている。 【キャリオカ】さん [DVD(字幕)] 9点(2003-05-16 17:21:26) 1.仲間の一人が殺されたことを知らされるや、それまで断っていた酒をビンごと飲み干すくだりは、この作品の中でも最も凄みの効いたシーンで、そのあと彼は復讐の鬼と化す。若い頃から女子供も平気で殺してきた男だけに、老いて堅気になったとは言えガンマンとしての血は脈々として生き続けている。それがひとつの事をきっかけに、自らをも“許されざる者”として彼本来の姿に変貌させる。これはまさにイーストウッドならではの趣向で成しえた作品と言える。しかしこの作品を語るには、我々はもっと西部劇というジャンルの映画を観る事と、さらに年齢を重ねなければ、本当にこの作品の良さというものは解からないのではないだろうか。夕焼けの平原の大樹のもとに、シルエットでたたずむシーンで始まり、同じ夕焼けのシーンで終わるという、西部劇のもつ美しさと挽歌を表わしていて感動的だ。 【ドラえもん】さん 9点(2001-03-16 00:40:39)
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