みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
4.もっと早く見たかった美しい映画。哀しい話の濁流となるところを映像のきらめきが凌ぐ。見ることができて本当に良かった。「振り返り」において水久保澄子が回る、吉川満子も回る、人物たちがことごとく「見る」から「伏目」に移行する、二階の部屋の雨戸をカップルが開けるのを「外側から」撮るのがなまめかしい(内・外のカットバック)、平熱の病床・・・というふうに、成瀬の諸特徴はすでに際立っている。「チョコレートガール」の水久保澄子が大きなチョコレートを抱いている(『チョコレートガール』も観たいなあ)。 【ひと3】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2025-02-08 15:20:15) 3.《ネタバレ》 何と切ない別れの映画だ!この映画は何と言っても水久保澄子演じる照菊のものだ。彼女が見せる眼の演技、表情、仕草と、どれを取っても画面に釘付けになってしまい、一瞬足りとも、目が離せません。とにかく美しさと可愛さの両方を持ち合わせていて、それだけであっという間の1時間が過ぎてしまいました。もう、何度でも言いたい。言わせてください。水久保澄子、水久保澄子、水久保澄子、義雄の為に身体を張って不良達に刺され、病院のベッドの上から義雄を見る眼、美しい瞳、その全てが美しい。ラストの駅の別れのシーンの切なさ、余りにも切ない別れだが、見終わった後、水久保澄子にもう一度、会いたくてまた最初から見てしまいました。映画の初めの方で出てくる中山競馬の本を見て、今年もそろそろそんな季節か!メジロパーマーの逃亡劇以来、一度も当ててない有馬記念、いつになったら私の連敗は止まるのだろう?色んな意味でこの映画は切ない。そして、久しぶりに観る成瀬巳喜男監督作品、しかも、サイレント映画の成瀬映画は私にとっては凄く新鮮!久しぶりの成瀬映画も、相変わらず素晴らしくてこの監督は私にとって少なくとも日本映画の5人に入る好きな監督である。 【青観】さん [インターネット(邦画)] 9点(2020-11-20 19:59:25)(良:1票) 2.《ネタバレ》 クローズ・アップがくどいのと後年の作品に比べるとやや荒削りだが、俺はその荒さも含めて好きな作品だ。 水窪澄子の可愛らしさと美しさを見ているだけでも飽きない。 眼鏡を取ったら結構美人の姉さんも。 走る学生たちが画面を横切るファースト・シーン、女性達のセリフから彼らが不良だと読み取れる。 しばらくほとんどセリフが無い。 空の財布を見て金をこっそりやる母の優しさ。 息子の義雄は母の仕事を馬鹿にされ虐められたからなのか心が荒れ不良に身を堕としている。 「お母さんの子だもの お酒くらい飲めるよ」のセリフはグサりとくる。 それでも母の道具にナイフを投げる事を躊躇う葛藤も見せる。穴の空いた靴下を墨で塗るシーンは笑ったが切実である。 言いたい事は解るが、やや説明不足なのが残念。 母親が死に急ぐ描写も説明が足りない。息子と馴染みの客、両方の心が離れようとする事への焦りからだろうか。 ま、そんな男も出会ってそうそう「温泉行こうぜ」とやらしい手つきで誰彼かまわず女に手を出そうとするエロジジイですけどね。 一瞬でも出てくる橋。橋は成瀬映画を象徴するシンボルでもある。 照菊が義雄に「自分が何のために生きているか」を“告白”しに行くシーン。二人を乗せ鉄橋を駆ける電車は、水窪澄子が語ろうとする真実に“接近”していく。そして母親が働く料亭の橋は、息子と母親、そして水窪澄子を繋ぐ架け橋でもあるし、やがてくる“別れ”すら暗示している。 そんな義雄の心を改めさせようと語りかける水窪澄子の面影は、後の高峰秀子を思わせる。 高峰秀子は、彼女の後継者でもあるのだろうか。 水窪澄子演じる照菊が幼い弟や妹のために働く。 電車の中で水窪澄子が出ていた明治のチョコレートが気になる。 畳み掛けるカットの繋ぎで海を背景に字幕をのせるシーンにはドキッとする。 「義雄さん一紹(一緒)に行ってくれる?」 一瞬見せる本気の表情、美しい手。 義雄は母や照菊のために不良仲間から抜ける事を決める。死んでもやり返さない覚悟で。だが母の悪口だけは許せなかった。 庇う照菊、一瞬見る走馬灯・・・それでも生きる勇気を選ぶ照菊。 ただ、「アイツさえいなければ」なんて「本当は死にたいけどみんながいるから仕方なく生きてやるのよ」的なセリフはちょっと怖い。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-04-24 09:31:46)(良:2票) 1.《ネタバレ》 なんという切ない話なんだ・・・ 「別れ」をテーマに扱った映画で、これほどまでに哀しい映画は観たことがない。 切なくて哀しくて仕方ない。 主人公の青年の気持ちがよく分かる。 綺麗な女性に頼ってもらい、相談まで受けて、余計に好きになったところで、一方的な「別れ」の通告。 そして、その女性が大切にしろと再三言っている母親を捨てて、彼女と一緒に旅立てない事情。 切ない。 切なすぎる。 これより以前の成瀬作品にはない叙情的な作品で、それ以降の作品ともまた異なった、瑞々しさをも兼ね備えた逸品。 成瀬巳喜男のキャリアの過程で、この時期にだからこそ生まれたであろう奇跡的な作品で、心を鷲掴みにされた思いがする。 電車の中で、チョコレートを食べるシーン。 まるでチョコレートの甘い香りがしてきそうなワンシーンだ。 青春の一瞬の輝きを、見事画面におさめた奇跡的なワンシーンである。 成瀬巳喜男のサイレント作品としては、自分の中で最上位にくる作品。 もう一度、書く。 私はこれまで、ここまで切なくて哀しい「別れ」を描いた映画を観たことがない。 そしてこの作品は、そこに瑞々しさをも兼ね備えている。 あぁ、自分の辛かった頃の青春が甦る・・・ 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 9点(2012-10-07 22:58:57)(良:3票)
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