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【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 この映画の画面にはものすごい緊張感がある。例えば、蒼井優演じるエンちゃんがユリの展覧会を訪れるシーンで、会場入り口ちかくの椅子に座った蒼井優がフレームからはみ出そうとする場面がある。そこでカメラは女優を追わず、はみ出た蒼井優が戻ってくるのを待つ。フレーム内に戻ってきた蒼井優の手には、菓子がのっており、ここで観客ははじめてエンちゃんの「動き」を「行為」として理解することができる。このなんのことはないシーンが、いたってサスペンスフルになるのは、この映画のカメラがもつ視線が、人間ではなく、空間を撮ろうとしているからである。空間を場所と言いかえれば、この監督が正確な意味で小津安二郎のフォロワーであることが分かるだろう。したがって、この映画における観客は、登場人物に感情移入するのではなく、登場人物たちのやり取りをすぐそばで覗き見るという形での参画を促される。その結果、ラスト近くに堂本とエンちゃんのキスシーンが、非常に強く記憶に焼きつけられるのだ。「だってさわってみたかったんだもん」、「会えないから、終わるってもんでもないだろう」といった文学的名言も楽しめるが、この作品はまずはその画面力を堪能すべきである。 【wunderlich】さん [映画館(邦画)] 9点(2008-10-17 16:54:30)(良:1票)
1.ストーリーはあってないようなものだったけど、美しい映像を堪能できてよかった。フレーミングや原色の使い方がうまいと感じた。俳優の演技と有機的に結びついた長廻しもすばらしい。何よりも驚いたのが、こういった手法を用いていながら、殺伐とした印象を与えることなく、かわいい感じの映画に仕上げていることだ。北野武や黒沢清にはちょっとできない芸当なんじゃないだろうか。井口監督はしっかりと自分のカラーを打ち出せていると思う。 【クルシマ】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-07-31 21:56:26)
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