みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
5.とにかくアニメのクセが強い!(笑) なので最初は「これは苦手かも・・・」と思っていたら、意外にもすんなりと入ることができ、途中から目が離せなくなりました! 始まってしばらくは、まるで他人の夢の話を聞かされているような、ひとりよがりの自己満足臭が漂ってきそうな気配でしたが、それはただの食わず嫌いの偏見であることを思い知らされます。 こじらせ男子と恋愛モードが固い蕾のままの乙女の心象風景を描いた、まるで新感覚の「不思議の国のアリス」のようでした。そこに時間の濃さと早さの関係性が加わり、さらに、ハイテンションなテンポ感にも関わらず、根底に流れる恋愛観は意外と古風なままであるため、そろそろ人生の折り返し地点に差し掛かっている世代も楽しめそうなテイストに仕上がっていました。 時計の針が早回りしてそうな大人のための青春童話、電気ブランでも飲みながらまた観たいですね。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2018-11-26 18:39:32) 4.《ネタバレ》 京都を舞台にした青春映画には独特の雰囲気があるが、その雰囲気が世界観に昇華されているのが本当にスバラシイ。よく知っている風景が続出するだけに、そこで展開される奇想天外な物語とのギャップに完全にやられた。原作未読だが湯浅監督の『四畳半神話体系』は完走済。同じ世界観ではあるけれど、ハチャメチャだった『四畳半』と比べると、非リア充な「先輩」の恋というモチーフが一貫しているぶん、この映画のほうが感情移入もしやすい。とくに、先輩と黒髪の乙女の、さわやかでシンプルなラストは心から「美しい」と思って涙してしまった。こんなところからもわかるように、私もけっこう「先輩」に近い青春を送ってきたわけだが、一緒に飲み会にいるのに結局話しかけられない感じだとか、人知れず彼女との共通項を求めて奮闘してしまう感じとか、イベントにかこつけて近づいてみようとする感じとか、いざ接近してみたらいろいろ恐ろしくなって結局挙動不審になるところとか、いちいちグサグサと来る。結局、本作で一番のスペクタクル場面が、もう一度心を閉ざすか、一歩踏み出すかの先輩の心の葛藤である点も象徴的だ。ある意味、『桐島部活やめるってよ』とは全く正反対のアプローチで、見事に自分を(あんまり戻りたくもないと思っていた)青春時代へと連れ戻し、そして、その「愛おしさ」を再発見させてくれるという意味で、自分にとって大事な作品になった。あと秀逸なのが、時間の設定。一夜で一年という矛盾も、一人一人が生きる時間の相対性を見事に表現している。そう、ある時代の一夜は、1年に相当するだけの濃度と長さをもって経験されるのだ。そして、人の緩いつながりを可視化して「社会」を描いた映画に僕は弱いのだが、そんな僕にストライクな展開も待っていた。細かいことを言えば、序盤のはしご酒や演劇シーンの描写は(わざとだったとしても)面白みに欠ける平板さで、ちょっと退屈だなと感じたし、登場人物ももう少し絞ったほうが90分の物語の「濃度」がもっと凝縮されたようにも思う。でも、かつての(今もか)「四畳半主義者」に捧げるストレートな青春賛歌として、幸福な90分間をありがとー!と叫びたくなる作品である。 【ころりさん】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2018-06-08 21:52:02) 3.「“偽電気ブラン”を飲みたい」 22時過ぎ。歌舞伎町の映画館で今作を観終えて、そのまま“偽電気ブラン”を求めて当てもなく彷徨い歩きたくなった。 10年前に森見登美彦の原作小説を読んだ時とまったく同じ「衝動」を駆り立てた時点で、この映画化は大成功だと思えた。 大変な満足感を覚えた反面、この映画の面白さを言葉にしようとすると、どれも陳腐な表現になり纏まらないことに苦慮した。 幾晩かを越えて、その理由がようやく分かった。 「先輩」と「黒髪の乙女」のめくるめく“一夜”を描き出したこのアニメーション映画が繰り広げるあまりにも自由気ままなイマジネーションとアバンギャルドな世界観は、まさに一夜で見た「夢」の如き体験だったからだ。 僕は“色付きの夢”をわりとよく見る。 印象的でエモーショナルな夢から目覚めることもしばしばあり、「ああ、昨夜見た夢を映画化すれば大傑作になるかもしれないぞ」と一寸思う。 しかし、次の瞬間、その夢を言語化しようとするととても陳腐で他愛のないものとして表れ、大変がっかりする。 またはそういった夢の中で、とても魅力的な女性に出会い恋に落ちることもある。当然ながら夢から覚めた時点で、その恋も終わり、失恋したような感覚が一日中残ることもある。 「夢をエンターテイメントとして具現化することはできない」というのが、個人的な結論だった。 しかし、この映画は、僕のその持論を呆れるくらいの自由闊達さで一蹴してくれた。 これほどまでに自由で、勝手気ままなご都合主義的で、自己陶酔的で、馬鹿馬鹿しくて破茶目茶でありながら、何とも楽しくエモーショナルで稀有なエンターテイメントとして完成していることに、愉悦を越えて嫉妬すら感じる。 人生は短い。夜は短い。 それはまったくその通りだけれど、「一夜」を四季を駆け抜ける一年間のように濃密な時間にするかしないかは、本人の歩き方次第。 ならば、許される限り長く、愉快に歩かなければ、勿体無いというもの。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 9点(2017-11-08 00:02:01) 2.《ネタバレ》 一歩、いや半歩間違えば、“独りよがりなセンスの押しつけ”あるいは“分かるヒトにだけ分かるゲージツ作品”になりかねない本作。引き合いに出すのは適切ではないかもしれませんが、『ナイスの森』的とでも言いましょうか。しかしながら、その半歩を決して外さず、確実に一般大衆向け『娯楽作品』として成立しているのは、物語の幹を為すのがロマンスシネマの大正義“純愛”だからと考えます。先輩然り、パンツ総番長然り、紀子さん然り。みんな真剣なんです。間違った方向に。そう、誰もが経験した(または現在進行形で体験している)青春時代にありがちな、無様で、泥臭く、気恥ずかしい、完全にどうかしている心理状態を、アーティスティックにデフォルメしつつも、的確に表現していたと思います。詭弁踊り?韋駄天炬燵?時間軸無視?青春の“迷走感”に相通じる素晴らしき“ワケワカラナサ”。正直に告白しますと、20年以上昔、主人公とほぼ同じ年齢でリアルに“ナカメ作戦”を実行した私としましては、本作を否定するわけにはいかないのであります(もっとも私の場合は告白撃沈。未だに瘡蓋が取れません泣)。「これも何かのご縁」嗚呼なんと素敵な響きでしょうか。私も“私の黒髪の乙女”に言われたかったなと。おじさん、ニッコリ笑顔で泣けてしまいました。湯浅氏の傑作処女作『マインド・ゲーム』から実に13年ぶりの劇場監督2作目は、湯浅節のエッセンス健在に、見事に洗練された大人の映画に仕上がっておりました。大拍手を送りたいです(出張ついでに池袋にてレイトショー鑑賞。うん、やっぱり本作はレイトショーで見なきゃね)。 【目隠シスト】さん [映画館(邦画)] 9点(2017-05-05 21:27:07) 1.原作既読です。私も好きな「四畳半神話大系」のスタッフがスライドしての担当なので、演出には懸念なし、「黒髪の乙女」のキャラが魅力的で、「先輩」の空回りぶりがキチンと描かれていたら、成功も同然と考えていました。結果は想像を上回るもので、2時間半くらい観たと感じるほど楽しめました。 【次郎丸三郎】さん [映画館(邦画)] 9点(2017-04-24 22:57:33)
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