みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 ドイツ人資産家老人が殺された。犯人は逃げもせずに捕まるけれど、弁護士にも一切動機を話さない。導入部からして一級のサスペンスの様相。さらにその後の展開は予測不能かつ衝撃的でした。レオパルト戦車並に重量級の、まさにドイツにしか作れない映画です。 凡百の脚本ならば被害者のマイヤー氏が元ナチ親衛隊長であったことが判明したくだりで、状況は急転回し(傍聴席や検察側の動揺ぶりでも空気の変化は手に取るように分かる)‶1942年に何があったのか”を見せることでコリーニ氏の情状が酌量されて終幕となっていたことでしょう。 しかしここから話が二転するのには唸りました。 被告も若き弁護士(移民二世のトルコ人なんですね、これがまた)も観ている我々も、求めるのは「正義」のみ。戦後ドイツがずっと取り組んできた清算すべき課題が事件に大いに絡んでくるとは。ドレーアー法・・、知らなかった。衝撃を覚えました。 話の横糸となるライネン弁護士の人間関係も丁寧に織り込んであって、ドラマに厚みを持たせます。恩人を告発することの葛藤、恋人との亀裂、望まぬ師弟対決、とかなり盛りだくさんで穏やかじゃありません。そのうえ人種差別も顔を出します。 そしてフランコ・ネロの演技が素晴らしかった。台詞がほとんど無いにも関わらず、彼の瞳はあまりに多弁で圧倒的でした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2023-06-14 23:46:39) 1.ナチス高官を祖父に持つ弁護士フェルディナント・フォン・シーラッハのベストセラー小説(未読)の映画化。 殺人犯コリーニの国選弁護人となった新米弁護士ライネン。惨殺された被害者が彼の幼少時から育ての親として面倒をみてくれた恩人マイヤーである事に葛藤を抱えるも、恩師マッティンガーの助言もあって弁護を決意。しかしそのマッティンガーが遺族側について法廷で相対することに。そしてコリーニが黙秘を貫き動機が分からず弁護が困難を極める。マイヤーが大企業社長と言うことで経済的に破滅させられた恨みかと思いましたが、そんな安い話ではありませんでした。調査を進める過程で一瞬映った鍵十字。人格者である恩人の別の顔が明かされ、更に、1968年に発布された法律の存在が明らかになる。迎えた判決が下るその日。 淡々としながらも非常に理路整然とした展開で過去と現在を行き来するカメラワークも実に滑らか。裁判モノによくある胸糞悪さもありません。そして特筆ものの奥歯噛み締めて物言わぬコリーニ(フランコ・ネロ +1点)が発する言葉の重み。あまりにも切ない「ありがとう」が記憶にとどまります。 自国の黒歴史に向き合うドイツらしさを感じた傑作です。 【The Grey Heron】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-04-21 02:38:49)(良:1票)
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