みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 ルイス・ブニュエル最高傑作の一つ。 ブニュエルといえば何を考えているのかわからない変な映画(それが面白いのだけど)が多いが、本作は明確な社会的テーマを生々しく捉えた作品だ。 リズムやストーリーの密度は確かに凄いし面白い。たった1時間15分とは思えないほど話が詰まっている。 ブニュエル映画特有の音、悪夢、女への欲情もそろい踏み。 この「忘れられた人々」はメキシコの歴史から「忘れられた」名も無き人々の生き様を描いていく暗いストーリーだそうだ。 生活のために必死に金を稼ぐ少年、それをことあるごとに邪魔する不良グループ。 特にそこのガキ大将のハイボ。 盲目の楽士や足のない紳士から金を巻き上げ、さらには少女や子持ちの母親にまで手を出そうと(劇中ではちょっかいを出す程度)する筋金入りのクズだ。 余りにクズすぎるので妙な愛着すら出てきてしまう恐るべきクズ野郎である。「時計じかけのオレンジ」よりも愛すべきド畜生と言える(きっと褒めてる)。 ハイボの妨害に負けるものかと孤独な戦いを続ける少年。 カメラに向って卵を投げつけるほど苛立ちはつのる。 1対1のケンカに挑む少年、落ちたナイフでハイボを敗走させた。それにしても引き際を知るいじめっ子だ。 障害者への差別、躊躇なく動物を殺すシーンなど倫理に訴えかけるような生々しい描写、ラストの後味の悪さも手伝って賛否が分かれる作品だろう。 それでも見て損はしない、ブニュエルの傑作として歴史に残る作品だと俺は思う。他人は忘れても、観客は一生忘れない。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-03-03 06:42:37)(良:1票) 1.《ネタバレ》 メキシコスラムのルポのように始まり、盲人から金を奪い、いざりの車を坂道から滑り落とし、ほんとどうしようもない不良連中。なんかカタワに対する微妙な不快感を目覚めさせるようなところがあって、見てて実にいやーな感じになる。不良のリーダーハイボによるフリアン殺し、真っ当に働いているところを呼び出して、後ろから殴って殺しちゃう。罪を半分着せられるペドロ、さあここらへんから残酷な歯車が回り出す。ペドロの孤独が浮き上がってくる。スローモーションの夢が素晴らしい。舞い散る鶏の羽根。肉の塊は食料だけでなく母の愛でもあろう。ペドロは母に喜んでもらいたく働き出すが、母は「どうせ」と思っている。そしてここぞと言うときにやってくるハイボ。母の手で感化院に送られてしまうペドロ。院長に信頼され、この映画で始めて明るく町を歩くペドロ、しかしまたハイボが来る。ここらへんの、救いを用意したようでいて、それを次々に取り上げていく残酷ったらない。イタリアのネオ・リアリズモのようでいて、あの「最後には心の芯が温まる視線」がない。ただ救いのない現実を記録していく。ペドロが見ただろう現実のやりきれなさを再現することに集中する。もちろんそこにはペドロだけでなく、あのどうしようもないと思われたハイボも含まれるだろう。彼の最期の、路上でゆっくり首を振る動作が忘れられない。それでも忘れられていく彼らたち。映画とはこういう仕事をしなければいけない、としみじみ思わされた作品。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 9点(2013-08-25 09:26:21)(良:1票)
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