みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 伊丹万作の傑作喜劇調時代劇。 この映画は原田甲斐の「伊達騒動」、それに志賀直哉の小説を読んでからの方が楽しめるだろう。 冴えない下級武士の赤西蠣太。しかし実は陰謀の真相を探るべく送り込まれた密偵の一人だった。 世継ぎ騒動で揺れる仙台藩。その真相を暴くべく命懸けの日々・・・なーんてシリアスな空気を感じにくいコメディタッチのやり取り。 かといってドタバタしたものではなく、落語の名人が語るような洗練された流れ。 歌舞伎調のキャラ原田甲斐とブサイクな赤西蠣太を演じ分ける片岡千恵蔵の名演。 顔は悪くとも心は腸捻転を自力で治そうとするほどの肝っ玉。 「脱走」のアイデアや追っ手をけむに巻く手口など大胆不敵だ。 少ない時間だが若いサラリーマンのような武士を演じる志村喬の演技も忘れられない。 「時間がありません」もう結婚しろよおまえら・・・ 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-01-02 23:19:05) 1.優れた映画話法が満載であり、オーヴァーラップの使い方一つとっても洗練の極み。冒頭の小さな迷い猫が居つくまでを簡潔に示す繋ぎ。赤西の恋文書きの微笑ましい苦闘ぶりを紙くずの山によって示す繋ぎ。奥女中である小波からの返信の文面から二人の並ぶイメージショットへの繋ぎ。小波が赤西の来訪に喜び慌てる様と、衣類の散乱した部屋のショット、そこから客間で畏まっている赤西と小波たちの構図への繋ぎ。そしてさらに赤西の長居を示す三段階の繋ぎetc。これらの特長はそれぞれ単なる時間経過表現や、省略という機能にとどまらない。猫の場面ではその肥え太った貫禄ぶりがユーモアを醸し出すと共に赤西の面倒見の良さを、衣装をとっかえひっかえした後を示す部屋と畏まって正座する小波との対比では彼女の内面の動揺と喜びが描出される、といった具合に簡潔明瞭なキャラクター描写ともなり得ている。その上、類似した構図のショットを溶け合わせているので一瞬たりとも画面の安定と調和が崩れることがない。見事な画面連鎖である。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-04-16 20:19:31)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS