みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
3.《ネタバレ》 オペラがはねてからブルジョアの邸宅の夜会に招待された20人足らずの彼の友人・知人。その屋敷の使用人たちは、主人たちが客を連れてくるのが判っているのに、なぜか制止されても勝手に帰宅してゆき、けっきょく執事だけが残される。夜会も終わり夜も更けていたのに、なぜか客たちは広間から出て行こうとはせずにザコ寝で過ごし、朝になっても広間から出てゆくことができない。屋敷の門前では警察や野次馬が集まる騒ぎになるけど、こちらも誰も門から中へ入って行こうとしないというか出来ない。食料も飲料水も底をついたブルジョワジー男女は、普段のスノッブさが消えてゆき本性剥き出しの集団と化してゆく… 自分が今までで観た中で、たぶんもっとも奇妙奇天烈な映画であることは間違いないです。部屋や門の境界に透明なバリアが存在して物理的に通過を阻止しているという設定なら単なるSFという感じになりますが、どうも心理的な何かが彼ら彼女らに作用しているみたいなんで、不気味感が高まります。冒頭で使用人たちは「明日はここに入れない」みたいなことを言いながら帰っていくのが不可解だし、邸内に羊やヤギそして子熊までもがうろついているんだから、もうわけ判らんです。実はブニュエルの作品はほとんどこれが初見みたいなものなのであまり語れないんですけど、これこそが不条理劇というものなんですね。登場するのがブルジョワジー階級と平民、そして舞台がブルジョアジー邸宅と教会となれば暗喩とすればベタなくらい判りやすいんですけど、室内を徘徊する手首などにはホラー的な要素すら感じます。ラストの教会のミサからのモンタージュも意表を突かれてしまいますが、ブニュエルはこのシュールな物語をホラーでなくコメディのつもりで撮ったんじゃないかと推測します。だとしたら、この人はやっぱ相当人が悪いですよ。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2024-06-01 21:48:35) 2.《ネタバレ》 「皆殺しの天使」・・・いやー聞いただけで「それ何てヴァイオレンスアクション?」と想像してしまうねー。 ま実質タイトル詐欺です。 中身があるんだか無いんだかよく解らない、何を考えているのか、いや何も考えていないかも知れないブニュエルらしい映画。 音、悪夢、手、そしてセクハラ・・・ブニュエルと言えばこの内3つは確実に映画の何処かに入れてくる(セクハラはほぼ100%)。 ストーリーはパーティーに招かれた様々な富豪たちを密室に閉じ込めてしまうというもの。 密室というか、パーティーに招いておいて給仕が大量に辞めたり、何故か居座り続ける富豪たち。 何処までも変な作品だ。 解ったから早く出ろよ・・・。 ウィリアム・ゴールディングの「蝿の王」って本があるな。 あれは逃げ場のない孤島で人々が殺し合うが、こっちは別に鉄格子で閉じ込められるとかそんな話じゃない。 出ようと思えばいつでも出られた。 だが「どうしてここに居続けるのか解らない」という映画だ。 「じゃあ出ればいいじゃん」と言っても誰も出て行かない。 そう、出るのは簡単だ。 だが誰も出ようとしない。 死体遺棄がバレるから? それとも下らない意地の張り合い(サウナの我慢大会みたいな)? まるでボンドを追い詰めておいていつでも殺せるのに、何故か引き金を引けない悪党みたいな連中ばっかり。 かといってボンドみたいに秘密兵器で「テレッテレー♪」してくれる人間も出てこない。 延々と屋敷に篭って我慢大会だ。 屋敷の外で見守る連中も何故か誰も入ろうとしない。 なにこの暗黙のルール。 外から入ったら時限爆弾でも爆発すんのか?どうなんだよ?さっぱり解らん。 水が欲しい? じゃあ壁を崩して水道から飲もう! 腹が減った? それなら山羊を食いつくそう! 死体が出た? 悪夢にうなされる? バカッぷるが乳繰り合ってる? い い か ら 外 に 出 ろ (怒) いい加減にしろよてめえら! 何の我慢大会だよ!? つうかいつになったら「皆殺し」が始まんだー!!(期待するところがおかしい) てっきり食べた食事に毒があって一人だけ生き残る・・・ソイツが“天使”だった!・・・的なオチを期待した俺が間違いだった ・・・だが何故か飽きない。 解ったから早く出ろよ・・・ 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2015-01-10 19:30:43)(良:1票) 1.《ネタバレ》 部屋から出られなくなる、というより、出るのが怖くなる、って感じ。そこらへんの心理描写が緻密なの。みんなが変だなと思いつつ、自分だけ帰るのは失礼じゃないか、と周囲をうかがったりして、やがて全員の固定観念が強迫観念に成長していってしまう。また召使たちが去っていく感じにも不思議な現実感があって、ストライキをしてやろうなんて意気込んでるわけでもなく、けっこう申し訳ながったりしながら去っていく。あんたはどうすんの、なんて会話がすごくリアル。有り得ない世界を精密に構築していくとなると、もうこの監督の独壇場だ。「黄金時代」にも、ブルジョワの生活の外に、岩山やら雪原やらの酷薄な世界が広がっているイメージがあったけど、そういった外部を目にしてしまうことをこのブルジョワたちは怖れたんじゃないか。出るのが怖くなって、立て籠もったとも言えるのじゃないか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-12-27 12:21:35)
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