みんなのシネマレビュー |
|
|
|
ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
5.《ネタバレ》 傍目には良好な関係を築いていたように見えた於継と加恵が、映画が始まって30分近くなってようやく青洲が登場した途端に息が詰まるようなバトルを始めるところがまた強烈。雷蔵・若尾文子・高峰秀子の壮絶な演技合戦は、もうこれは必見としか言いようがありません。高峰秀子がこんなに怖い女を演じてたなんて今まで知りませんでした、ほんと迂闊でした。華岡青洲という人は努力の天才でエゴイスト、そしてマッドサイエンティストだったんだなと言うことが良く判ります。 新藤兼人の脚本に冷徹な増村保造の演出なんだから、そりゃあ凡庸な映画になるわけがありません。麻酔が効き始めて悶え苦しむさまや二度の出産シーンなど、こういう題材でもきちんと若尾文子のエロティシズムを見せてくれるところは増村保造ならではです。そしてマンダラゲの畑の中に若尾がすうっと姿を消してゆくラストカットがまた素晴らしいんです。 昭和の女優の底力を堪能させてくれる一本です。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2014-10-24 22:29:22) 4.《ネタバレ》 市川雷蔵、高峰秀子、若尾文子、伊藤雄之助、浪花千栄子と、名前をながめているだけで気持ちよくなってくるような豪華キャスト。 見所の一つはやはり高峰秀子さんと若尾文子さんの関係性。 これは中々一口で語るわけにはいかないものでして。 尊敬もありお互いに愛情もありつつ、医者の家の女として争い、嫁と姑としても争い…。 一筋縄ではいかない人間模様を描いています。 冒頭しばらくは本当に幸せな世界なのに、市川雷蔵が家に帰って来ると同時に、よーいドンという感じでねちねちワールドが始まります。 中盤、一つのクライマックスとも言える人体実験を申し出る妻と母の激しい争いのシーンで。 それを仲裁する市川雷蔵扮する華岡青洲が怒る理由が、自分の麻酔薬に対する信頼性のなさからのものだったり。 後半、妻の出産と手術が重なって、どっちも無事に成功するのですが、出産後の妻にひたすら自分の手術の成功だけを喜び、語っていたり。 そういった「初めて全身麻酔による手術を成功させた医者」としての人物造形も面白いです。 冒頭ですが人生二度目となる於継(高峰秀子)と加恵の出会いのシーンの演出がまるで運命の出会いのようで大好きです。そのシーンの音楽が特に素晴らしい。 そしてこの作品における美術。これは溝口健二監督の後期の傑作郡を助監督として支えた宮嶋八蔵さんの仕事。その徹底した仕事ぶりが素晴らしいです。髪型から小道具から生活用具から嘘のない世界を作り上げています。 助監督としてクレジットされています。 それにしてもあの猫ちゃんたちはどうしたんでしょう… 【大経師】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-08-14 13:20:51) 3.10月2日は青洲氏の命日である、とパネルクイズぅ25ぉ~で出題されてて思い出しました。 200年近く?も前に麻酔薬の研究開発がされていたとは、もう驚きやのしぃ・・・(←エセ紀州弁)。 嫁姑、そして妹たちまでもが青洲の為、お家の為に自ら尽くす姿には同性として実に 共感が持てます。目的を果たせるなら他の何かを失ってもいい!という気持ちはよくわかりますんやよし。(←エセ紀州弁) 姑(高峰)が息子夫婦に対して、静かに嫉妬泣きするところ、激しく悔し泣きするところ、この2つの泣き場面がもっとも印象に残っています。 でも私が一番上手いんじゃ?と思たのは役得:妹の渡辺美佐子でして、兄嫁(若尾)に投げかけるセリフが冷静なようで実は青臭く、負け惜しみの哀れさが伝わってきたように記憶しております。 雷蔵氏は・・どうやったかなァ? 居並ぶ演技派女優陣に若干圧されていたような、、 でも言い換えれば研究一途な学者を嫌味なく演じてた?かも・・(忘れた)。 いや、ちょっとイマイチやったかな、、ファンの人いてはったらごめん、、いるの? あ、確か、、(笑)。 新妻の感部(=ちぶさ)を掴んでいた青洲が、クライマックスでは患者の患部(=にゅうぼう)に挑んでいるというところがいいですねっ。 嫁姑バトルは一見嫁の勝ちに見せかけて実はほぼ互角だと思うけど、 興味あるおなごはんはぜひ観よしー。 【かーすけ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-10-03 00:18:18)(良:3票) 2.奥に若尾、手前に高峰が枕を並べるシーン、パンフォーカスで撮られた二人の表情、その冷ややかさには一瞬フィルムが凍りついたような錯覚を受ける。背を向ける高峰を射抜くほどの若尾の視線、若尾には一切目をやろうとしない高峰の視線、この視線の交わらなさがセンチメンタルを排除し、嫁と姑の底流に流る意地を謳いあげる。白く美しくも毒のあるマンダラゲの花畑を、嫁にとっては美しくあこがれの人であった母になぞらえ、好評や美談の危うい脆さを画面に露呈させながら人間の本質へ迫る増村保造の渇いたタッチはここでも健在である。 【彦馬】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2005-04-14 00:37:21)(良:3票) 1.今まで息子を思うあまり自らの体を差し出す母、愛するあまり体を捧げる妻という単純な思いを描いていたが、そんな生半可なものではない本物の嫁姑バトルでした。その根底は家名を守るための保身であり、家名を上げるための名誉であり、全ては”家”のためという世間体を重んじる日本古来の封建的な一家のまさに血みどろの戦い。妹・小陸が兄・雲平を激しくなじる言葉が全てであり、男のズルさを端的に現している。見るからに気の強そうな若尾文子がぐっと堪えて耐える様、一見温和そうな高峰秀子が厳しく嫁に当たる様は身震いするほどの迫力がありました。 【亜流派 十五郎】さん [ビデオ(吹替)] 9点(2005-04-05 22:32:40)(良:3票)
【点数情報】
【その他点数情報】
|
Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS