みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 「祇園の姉妹」「残菊物語」という大金字塔に挟まれているがこれもまた大傑作。 かよわい女性が、出産を経て何でも耐えられてしまう強い人間にかわって行く過程が描かれています。 やはり女性を描く作家溝口健二! 一つ一つのフレームの作り方が本当に面白いです。 特に清水将夫が山路ふみ子属する一座の楽屋を訪ねるとき。 楽屋を訪ねている清水将夫にフォーカスをあてつつも楽屋の奥で山路ふみ子と河津清三郎が実際に舞台にいて、楽屋ではその主役二人の三味線とアコーディオンの音楽が聞こえていて、清水将夫の会話の中でちょうどいいときに山路ふみ子が演奏を終えて舞台から楽屋に来る行程がきちんとフレーム内におさめられているという荒業。 他に注目すべきポイントとして、田中春男さんが非常にかわいらしい演技をしているところと、数年前の瀧の白糸では普通の女性を演じていたはずの浦辺粂子さんがここでは既に産婆という老け役を演じているというところ。特に浦辺粂子さんは完全に本物の産婆に見える素晴らしい役作り。浦辺粂子さんは一体何十年おばあちゃまを演じていたというのでしょう。 山路ふみ子さんの魅力的なカットも沢山あります。 フィルムの状態が悪いのと一部欠落しているのが本当に残念。 ちなみにこれ宅配のTSUTAYAでレンタルしたのですが、届くのに数ヶ月かかりました。 【大経師】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-02-04 22:23:23) 1.《ネタバレ》 溝口健二と言えば「女を必ず酷い目に遭わすか死に追いやる鬼畜野郎」と考える人も少なくないだろう。 だがそんな溝口作品にもハッピーエンドで終わる作品がある事を貴方は知っているかな? それがこの「愛怨峡」だ。 いかにもドロドロとした愛肉劇と殺し合いが起きそうな物騒なタイトルで、「愛憎峠」と間違えやすい題名だが、本作はそれほど陰惨な最後を迎えない。 むしろ誰がどう見てもアレはハッピーに近いラストだろう。 俺は溝口作品にこういう作品が一つでもあって嬉しい。 溝口健二だって人間だ。 神様でも閻魔様でもない。 たまにはこういう終わり方があるべきだ。 だからこそ俺は溝口に惚れた。 大体オープニングからしてズッコケるような感じがする。 物騒なタイトルと裏腹に楽しげなBGMが流れるオープニング。 クレジットの溝口の名前だけやたら崩れている時点で完全にアレです。 家の中を流すように映すカメラワーク、 走る列車から覗く自然の風景→都会のネオンへの切り替え。 距離感と時間経過を列車の風景だけで見せる。 これぞ映画だね。 子のためを思うからこそ預ける辛さ・・・今回の溝口は母親を描こうとした。 時の流れの解りにくさはあったが、アコーディオン?弾きになった芳太郎とおふみの衝撃的な再会で時間経過を辛辣に描く。 時の流れの残酷さ、だがおふみはこの2年で身も心も荒むどころか見違える程に強くなった(化粧の濃さも)。 2年前は弱々しい感じがあったが、心も面付きもたくましくなった彼女は頼もしく見えた。 熱を出した子を寝ずに看病する“母親”、 タバコ片手の“キャバレーの女”という匂いと二面性を感じさせる。 「ヨッちゃん」も素晴らしいかったね。 自らを「ヤクザもん」と呼び、自分を解っている男なわけよ。 オマケに愛する女のために一芝居を打ってまであえて身を引けるその男気。 本音を打ち明けるのも長年苦楽を共にした親方だけという、溝口作品きっての男の中の男だ。 夫婦漫才は山場でもあり伏線でもあった。 アンタがヤクザもんだって? だとしたら最高の“ヤクザ”もんだぜ兄貴・・・兄貴と呼ばせて下さいヨッちゃん兄貴! 溝口がここまで男を描いてくれて感動してしまった。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-03-23 21:08:33)
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