みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 先に封切りの『ハッピーエンド』を観てしまい、後追いでレンタル。ついつい繰り返し鑑賞3度。観る程にずしんとくる。泣ける。冒頭はドライな現実、そして時間軸を大きく戻して事の始まりから。経済的にも文化的にも、愛情面でも満ち足りた豊かな老後。翳りの兆しは虚血発作、手術の失敗、右片麻痺、車椅子での在宅復帰。先行きの不安。アンヌからそれとなく何度か出されるサイン。終わらせたい。目を背け足搔くジョルジュ。介護する姿を周りは無責任に感動してみたり、高所から傍観して批判してみたり。やがてアンヌは人格も崩壊し負担は大きくのしかかってくる。介護に外部の力を頼ろうにも、所詮育った環境、教育や文化レベルが違う相手のそれは見当はずれ、ある面虐待ですらある。しかしもはや自分の手には負えなくなっていく。破綻は見えている。ジョルジュは諦めず、それ故に追い詰められる。それでも必死にもがき抗う。孤独。娘のエヴァはこのままじゃダメだと言う。それはわかる。ではどうさせたい。ホスピスに送りただ自分が安堵したいのか。それをアンヌは望まない。ジョルジュも受け入れられない。 相手を自らの手にかけることが愛なのではない。愛に追い詰められて、選んだ手段がそれ。愛は命よりも前にあるから(©️オリジナル・ラブかよ)。 終わりに、在りし日のアンヌの白日夢、食器を洗い終えコートを羽織り出掛ける2人。ふたりはずっと一緒。(この後『ハッピーエンド』に続く…のかな。) ハネケ映画だから心に痛い。でもこれは嫌な痛みじゃない。安っぽく音楽で盛り上げたりしないで、ただ淡々と紡がれていく物語。好きだ。 【ごりちんです】さん [DVD(字幕)] 9点(2018-05-04 13:47:35) 1.《ネタバレ》 半身不随になった妻を献身的に支える夫の姿が踊っているようにも見える。本作は過去作に比べて敷居が低く、そして容赦ない。目を背けたくなるほど衰弱していく妻を、事務的にこなす介護師を解雇し、中途半端な態度の娘をも突き返す。長年、苦楽を共にした夫の純粋さと狂気。二人以外の来訪者は聖域を侵す邪魔者でしかないのだ。今までのハネケなら妻の尊厳のために"約束"を果たして、観客を凍りつかせて終わらせるだろう。しかし、映画は愛の到達点を描きだす。二度にわたる鳩の来訪に、一度は拒んできた来訪者を抱き締める夫。鳩が妻の霊魂かは分からない。ただ、夫が綴った手紙が通じたのだろう、具現化した妻が何事もなかったかのように皿洗いをする、ハネケらしかぬ穏やかさに意表を突かれた。そして、二人はまるで散歩でもするような感覚で旅立っていく。妻の何気ない一言に涙があふれた。定冠詞のない"Amour"が象徴するように、開かれた部屋には二人の生きた証が、愛が隅々にあふれている。残された娘はどう感じるのだろう? 第三者から見れば、老々介護の悲劇にしか見えないだろう。しかし、それは悲劇か否かは当事者の二人にしか分からない。如何なる結末であれ二人は安らかに逝けたのではないだろうか。人間をよく知らなければ、このラブストーリーは絶対に撮れない。ハネケにしか撮れない嘘偽りのない純愛にただただ圧倒された。 【Cinecdocke】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-08-24 23:06:27)
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