みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
9.《ネタバレ》 GYAOの無料動画で30年ぶりぐらいに視聴。初見のときは画面が暗すぎて誰が誰だか判別できなかった記憶があるけど、今回はだいぶクリアな画面で見ることができた。 これが公募による脚本だというのもすごいですよね。脚本そのものがすごいのか、それを力技でまとめ上げた演出がすごいのか分からないけど、公募シナリオだからこそ出来上がった異常な傑作という気もします。 いびつな思春期の、まともに説明のつかない行動原理で動き回り、理性的なコミュニケーションも成立していない子供たちが、台風の夜に裸で踊り狂い、やがて生と死が循環するという物語。この映画の内容を「祝祭」と解釈したりもするけれど、ベルトルッチが共鳴したのも、イタリア人の中に残酷なカーニバルの感覚があるからかもしれません。狂気にリアリティがありすぎて、「シャイニング」や「犬神家」の悪ふざけのパロディも、たんなるパロディでは済まなくなってトラウマになりかねないほど強烈だし、10代でこの映画に出演させられた人たちは、精神に異常をきたすんじゃないかと心配にさえなるレベル。 とんでもない映画だけど、狂気をセンセーショナルな見世物にする制作動機が好きじゃないので1点減点。 【まいか】さん [インターネット(邦画)] 9点(2022-03-30 13:29:07) 8.《ネタバレ》 初めて観たのは、私が登場人物と同年代のときだったから、自分の延長を見ているようで、なんか嫌だったんだな、きっと。 そもそも相米監督作品とは相性がイマイチだから、今回の再見も何の期待もしてなかったんだけど、それがまぁ、すごい映画だったんだわ。 台風、子供の頃は怖くて仕方がなかったけど、中学生くらいになるとワクワクして待ったっけ。ここ(家の中)は安全だけど、明日になったら外の世界や日常生活が吹き飛んでしまうのではないか?という淡い期待。 教室から見える台風直前の揺れる木々。極端に照明を落とした夕方の職員室の暗さ。学校に取り残される心細さ。壊れていく理性。大人の居ない世界。深夜のバカ騒ぎ。 主人公は三上くんだ。勉強が出来て、女の子にモテて、野球部で彼女も居て、優等生でもありバカも出来る。何不自由無い中学生活を送る三上くん。 そんな三上くんに、身近な大人の梅宮は「お前は15年も経てば今の俺になるんだよ」と言い放つ。「僕は貴方にはならない」と言い返す三上くんの出した結論。「死は生きることの前提」。死んだような大人になるより、今の自分のままの死を選ぶ。あぁいかにも中学生な結論。 翌月曜日の明の話から、三上くんは生きているんだと思う。けど、犬神家やっちゃって、社会的には死んだのかも。 中学生。まだ学力で分けられる前の、雑多な集団生活。まだ子供でもあり、身体は徐々に大人になりつつある。ヒョロヒョロの身体にブラジャーを付けた工藤夕貴ほか主演の子達、子供っぽさを残した彼らがとてもリアルに当時の中学生を演じている。清水の「おかえり」「おかえりなさい」「ただいま」。子供にもそれぞれの世界があることを思い出させてくれる。 思春期に起きる副作用。大人と子供の中間。今でこそ中二病という言葉でくくられているけど、この年代の難しさ、脆さ、危うさは、エヴァ辺りがしっかり描くまで、“そんな時期もあるから”と、適当に描かれていたと思う。 教室越しの揺れる木々は、彼らの内面のざわめきを表現し、職員室の暗さは彼らの将来に対する不安感を描いていたのかもしれない。 私の世代には直球ド・ストライクな、中学時代の“何も経験してないのに妙に悟りきった”こっ恥ずかしい過去を思い出させるトリップ映画。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 9点(2022-03-13 17:28:54) 7.ずっと昔にテレビで観た時に、とても胸が高鳴った。今観ると内容は結構めちゃくちゃだけど、(当時の)この年代の危うさと台風接近の高揚感を見事に描いている。 【noji】さん [地上波(邦画)] 9点(2012-07-01 21:23:11) 6.まず言いたいのは、相米監督万歳。見終わってメメント・モリという言葉がよぎった。三上君にとっての台風は、あの純粋すぎる魂を前触れなく奪っていってしまう類の死神だったのか。死でさえも消費の対象になっている時代にとっては彼の決意が遠すぎる(世の中に目を向ければ、死を実感してこなかった子供たちがそれを実感できないままに殺人を犯している)。そして居るはずなんだけど見えない家族。家族の不在というか家族を願望の中でいびつに歪めている感じを受ける。この物話は、都会でなくて郊外を舞台にしたのが大きい。性格がすれてないだけに彼らが味わう特別が日常として当然あるような、そういうあやうさが郊外とはとてもマッチする。台風は時には閉塞を生み出し時には開放的な気分にさせる。これって思春期の子供たちそのまま。台風はそれともつまらない大人になる為の通過儀礼だったのか。自分にも中学3年生という時期があったのだと素直に驚く。大切にしたい映画である。 【Qfwfq】さん 9点(2004-08-05 00:26:23) 5.10代の頃,この映画を初めて観たときは,すごく胸に響きました.思い起こせば,10代から20代前半の頃って,嵐が来ると妙に気持ちが高ぶってワクワクしたものです.桑畑三十郎と化した今となっては,せいぜい大雨災害の心配をする程度ですから,あの高揚感って思春期前後に特有のものだったんでしょうね. 【LB catfish】さん 9点(2003-08-29 00:06:08) 4.《ネタバレ》 これぞ映画です。相当完成度の高い青春映画だと思います。相米監督の個性とでもいいましょうか、このスタイルはまさに映画です。映画とはこういうものだと思います。「台風クラブ」という題もセンスあると思います。この映画はいろいろな意味でとても大切な人から薦められました。出会えてよかった。 【もちもちば】さん 9点(2003-07-15 00:42:57)(良:1票) 3.思春期の危うさがよく出ている。途中で女の子を襲っちゃう男の子なんか最高!台風ってわくわくしますが、とても台風感が出ています。好きな作品です。 【ベル&かず】さん 9点(2003-06-01 05:10:44) 2.故相米監督の最高傑作。台風の接近に伴い、思春期独特の不安感、焦燥感、性的昂揚が爆発する。素晴らしい脚本に恵まれ、相米監督の名はこれ一本で永遠に記憶される事と思う。三上祐一の寂しげな表情が忘れられない。歴代の日本映画でも十指に入る傑作だろう。何故もっと評価されないのか不思議でしょうがない。 【高畑カムバックプリーズ】さん 9点(2003-05-18 07:17:07) 1.この映画の雰囲気が大好きです。”台風”という巨大な存在が自分たちを襲ってくるにつれ、社会の束縛から自分たちを開放し、乱痴気騒ぎを引き起こす中学生たち。そして、そのみんなの姿を眺めては思案にふけり、”生は死を前提にしているものだ”と、言い放ち窓から飛び降りる一人の男子生徒。青春時代の心の不安定さ、脆さを”台風の到来”という媒介を通して描ききった傑作である。 【まさやん】さん 9点(2001-06-27 12:41:20)
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