みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
27.観てる最中に緊張しっぱなしで、手に汗握った 【なますて】さん [インターネット(字幕)] 9点(2019-12-28 06:17:52) 26.《ネタバレ》 アンドリューの勇気、決断力、実行力には驚いた。好きになった子には直接告白できるし、人生の帰路に立ったときも迷わず即決でき、彼女に事情を説明して別れることを選ぶ。一見冷たくて自分勝手に思えるが、本当の自己中なら、会いたいときだけ会おうとし、中途半端に彼女を縛りつけるだろう。事務的な別れの言葉でニコルを傷つけたが、自分を守るような偽善はみじんもなく、結果的に彼女は恋人未満のまま最小の痛手だけですんだ。彼のけじめはえらいと思う。 フレッチャーの指揮するウィップラッシュの出だしが素晴らしかった。全ての楽器がずれることなく爆発するような音を奏でた。彼が出だしの音に異常な執着を示すのもうなずける。アンドリューの鬼気迫る激しいドラムは、そうした師に引き出されたもの。無情なしごきに耐え抜いて奏でる音は、常人の領域を超える。たとえ、問題山積みの師弟関係であったとしても。絵画、音楽、その他何であれ芸術至上主義を貫いて表現されるものは、しばし鑑賞者を黙らせてしまう。 昔読んだ有吉京子の名作コミック『ニジンスキー寓話』を思い出す。不安な心を維持しなければ優れた踊りはできないと、気難しい振付師ジャンが舞踊家のルシファを厳しく指導する。常に変化することを強いられ、安住の地に住むことを許されないルシファは次第に精神を病んでいくが、独自の演奏を決行するアンドリューはフレッチャーに呑まれることなく、薄皮一枚で自己をしっかり掴んでいるように思う。 私には、甘さを徹底的に排除した気迫のみの芸術を、どう受け止めるべきかわからない。ただ、名誉欲に縛られているフレッチャーを、無条件ではやはり受け入れられない。例えば、一糸乱れぬ北朝鮮のマーチングは正確無比で素晴らしいが、心のどこかで何かが反発するのを感じる。強いていえば、そんな感覚だ。 フレッチャーが、故蜷川幸雄氏とイメージがかぶって仕方なかった。容姿も、ものをぶんなげるのも、罵声をとばすのも。 でも、蜷川さんには、底辺に深い愛があった。観客に対して、俳優に対して、何より舞台そのものに対して。 フレッチャーは、果たして音楽を愛しているといえるのか・・・・・・? 【tony】さん [インターネット(字幕)] 9点(2019-03-24 01:43:41) 25.《ネタバレ》 まあ、すごいですよね。見終わった時、映画で過去に味わったことのない感覚を覚えました。 こういう種類のカタルシスがあるのかと… 鬼教官の時折見せる人間らしさが、狂気を引き立たせるだけでなく、この先どうなるんだろうと気になっていきグッと映画に入り込ませてくれます。入り込んだまま、息もつかせずあのラストの展開。 忘れられない1本です。 【ハービィ】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2018-06-10 00:12:16)(良:1票) 24.《ネタバレ》 教え子が自殺したのは、フレッチャーの指導だけが原因ではないと思います。 家は裕福、煌々たる親の七光り、楽器は美相が皮相で演奏。 父さんサラリー、母さん蒸発、血の汗流して貧相が演奏。 どちらに観客が多く集まりますか?どちらに週末の夜ステージを貸してくれますか? 現実という鞭こそ理不尽で厳しいものです。 そら死にたくもなりますわ。 しかしニーマンは負けなかった。 いくら罵倒しても罠に陥れても、 もはや偉大なドラマーになるという執念を挫くことができないのです。 "good job" この賞賛を浴びせる以外には。 【ぱいなぽ】さん [CS・衛星(吹替)] 9点(2017-07-05 23:03:02) 23.《ネタバレ》 最高の音楽学校の、教授と生徒の話。フィッシャー教授がとにかく熱いのだが、それ以上に恐い。見た目も筋骨隆々ですきんへっど、厳しくて口が死ぬほど悪い。これはきょうびの若い奴はついてこれないだろう。生徒でありドラマーのニーマン。彼は根性のあるところを度々見せるが、フィッシャーのムチャぶりが酷すぎて挫折してしまう。最後のセッションの捕らまえ方が難しいのだが、最高にカッコいい終わり方であることに違いわない。魂がぶつかり合う熱い作品だ! 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-02-06 15:03:50) 22.《ネタバレ》 面白い。ただ単純面白い。 特にラスト。フレッチャーの報復が露見して、ニーマンどうなる? この先は、是非見て体感して欲しい。 【あずれも】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-12-13 09:17:27) 21.《ネタバレ》 中学生とか高校生ぐらいの人に是非見ることを薦めたい映画。 この先、生きていくうえで、望まずとも上下関係や師弟関係でフレッチャーとニーマン(自分)のような人間関係が生まれる可能性はいくらでもある。 その時、自分ならどうするのか・・・ニーマンのように一度は折れたけど立ち向かうという選択も有りだし、劇中の生徒のように死んでしまうぐらいなら逃げるという選択も有りだしなんだと、いざとなった時どうとでも立ち回れるぐらい柔軟に考えられるよう、こういう状況に置かれた時の事を一度じっくり考えてみるきっかけとして見るなんてのも有りだと思う。 ぐだぐだ書いたけど、フレッチャーこえ~(笑)って感じで見ても、普通に面白いです。 【Luckyo】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-09-20 00:19:00)(良:1票) 20.《ネタバレ》 「セッション(ウィップラッシュ)」。 ドラムの猛烈な連打に始まり、廊下の向こうでひたすら打って打って打ちまくる青年の演奏からすべてが始まる。 扉は誰かが聞きに来るのを待っているかのように開け放たれており、音に誘われ接近する存在、師と弟子…いや音楽のために争い憎み合う宿敵同士が出会うのである。 男が上着を脱ぐのは暑いのではなく魂に火がついたことを告げるため。 夢が詰まった写真に想いを馳せ、恋人たちを羨み実力が中々認められない方が幸せだったかも知れない日々。 選ばれ勇気を出した途端に笑みがこぼれる手応え。ニーマンはただ音楽が好きなだけだったのに。だがその「音楽」が彼を狂気のドラムマシーンへと変えていってしまう。 クソ野郎は嘘つき、向うからやって来たチャンスは地獄への誘い、薄暗さが息苦しさを伝える練習場所、秒針が揃った瞬間に黙り視線を避け静止する演奏者たち、張り詰める緊張。 機関銃の如くツバと暴言を浴びせまくる鬼教師フレッチャー。打ち震わせながら両手を振り上げ、椅子を投げ付け、平手打ちを浴びせまくり、ドラムを投げ飛ばし蹴り飛ばし、大恥をわざとかかせて精神的に追い詰める。「フルメタル・ジャケット」のハートマン軍曹もここまでしねえ。 かと思うと涙を浮かべて悲しみ寂しげな姿を見せたりもする。その二面性が怒りを爆発させ襲い掛かる恐怖をより引き立てるのである。 ニーマンも青春、友情、恋愛、学生生活…すべてを破壊するようにドラムを叩き続ける。無数の弾痕の様に刻まれたドラムスティックの痕。彼がBフラットで締め、打ち込めば打ち込むほど周囲の人間への関心は希薄になり、恐怖に怯える群衆の一部と成り果てる。 フレッチャーの生徒たちが他人を責めるのも「自分が殺されるではないか」という恐怖からだ。犯人がわからないというのが一番怖い。みんな巻き込まれるのが嫌だから敬遠し、奏者たちの孤独が加速していく。 手や指をマメだらけにし、それを絆創膏で潰すかのように貼り付け、痛みに耐えながら音の一つ一つを肉体に刻み叩き込んでいく。怒り狂いドラムを叩き壊し、血まみれになろうが氷水の中に手を突っ込んで冷やしてまで打って打って打ち続ける。リチャード・ブルックス「最後の銃撃」を思い出すような狂い振り。 家族の団欒も罵り合いで台無し、映画を親子で見ても気分はそれどころじゃねえ(ジュールス・ダッシン「男の争い」の音楽がちょろっと聞こえてくるだけ)、トラックとぶつかり血まみれになろうがこの音楽キチガイを止める事はできない。 不意に現れるライバルと過酷なドラムス争い、喪服のように彼等を包み込む正装、動かない手を無理やり動かし続けようとする痛ましさ、涙、滝のような汗、シンバルに飛び散る鮮血を流し自らを燃やし尽くす壮絶な演奏。音楽を楽しんでいる余裕などない。 野郎を黙らせてやる!俺の音楽で叩きのめしてやる!!ブチ殺してやる!!!…そんな憎悪すら感じさせる。 すべてを失い氷の様に冷め切った姿、思わぬ再会、謎の密告者、悪魔の誘い、席に座った瞬間に戻り出す感覚と手応え、騙し討ち、追いかける者、見守ってくれていた者、クソッたれへの反撃の合図!それに演奏で、シンバルをぶつけて、目玉をくり抜くどころか手助けし、真剣な眼差しを送り、上着を脱いで応える!! 理由なんてもうだうだっていい、誰のためでもない、ただただ音楽が大好きだからこそ笑い、演奏を、指揮を続け、肉体の、魂の、すべてのエネルギーを注ぎ込む。 キャメラはそんな男のドラムスティックを追いかけ回し、楽器が生き物のように力強く動く様を、雨の様に注がれる汗をフィルムに刻む。 ●セッション(短編) 長編「セッション(ウィップラッシュ)」の原型となった短編。 ドラムと無数のスティック痕、扉から近づく者の姿、おもむろにシンバルを撫で椅子に座る。そこには期待と夢を見る青年の笑みが浮かぶ。 雪崩れ込む演奏者たち、挨拶、Bフラット、秒針が合わさるとともに姿勢と視線を正す。 上着を脱ぎ、視線を交え指導が始まる。 唖然としてページめくりに遅れ、水を吹き出す楽器、汗を流す奏者たち。 部屋の白さがまだ息苦しさをあまり感じさせないが、視線を合わせないのは恐怖の現れ、追い付こうと必死に楽譜と睨めっこ、アドバイス、自信を持たせるようなことを言って徐々に苛烈になっていく指導、椅子を投げつけ暴言とツバと平手打ちを浴びせまくり徐々に息苦しく胃のキリキリするような空間に。 厳しい現実の前に涙を流し途方に暮れる青年…しかし本当の地獄はここからだった。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-08-24 16:15:59)(良:1票) 19.《ネタバレ》 ずば抜けた才能を持つ人間は性格や行動に重大な欠陥がある事が多い、と聞きますがニーマンとフレッチャーもまさにそんな感じですね。序盤から最後のシーンまではひたすらフレッチャーが憎らしく、かと言ってニーマンを全力で応援したくなるわけでもなく「主人公の二人演技上手いなぁ」くらいに見ていたのですが、最後のシーンにはひたすら圧倒されました。心境の変化をセリフなしに表現しきったフレッチャーの演技力に脱帽し、最後アレで終わるっていうのも良かったと思います。どうやら背中に力を入れて見ていたらしく終わったらどっと疲れましたが、いい疲労感と爽快感が残りました。音楽にもっと詳しかったらより楽しめたのかな、とも思いますが、素人でもジャズが素敵だなと感じられました。 【forestcrown】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-04-05 01:58:38) 18.《ネタバレ》 ジャズってなんかプレイヤーたちが感性に導かれるままにフリーダムに演奏するものだと思っていましたら、ビッグバンドになるとまるで交響楽団みたいにガチガチの指揮になるんですね、ほんと知らなかった。このフレッチャーという男は鬼教師なんて次元を超越してエゴの塊みたいな悪漢というレベルです。指揮者や映画監督などの巨匠たちは、黒澤明や溝口健二の例を出すまでもなく自分が芸術と信じるものに対しては絶対妥協しないものですが、この映画でのフレッチャーにはストイックさと同時に人間としての嫌らしさが前面に出ていて実にリアルなキャラです。ニーマンを三時間も早く呼びだすなんてもう単なるイジワルとしか思えないし、教え子の死を伝えるにしても自分に都合が悪いとなると自殺を交通事故だと偽るし、実際こういう人よくいるんですよ。この二人は、良く考えると物語の中盤からはもはや師弟ですら無くなってるんです。フレッチャーは復讐のためにニーマンをフェスに呼ぶし、ニーマンの方はもはやスカウトされるという目的などどっかに吹っ飛ばしてフレッチャーにひと泡吹かせるためだけにドラムリズムを機関銃みたいに浴びせかける。これほどムダを削ぎ落して男同士の対決というかケンカを見せてくれる映画というのも珍しいです。ニーマンという男の描き方も、自意識過剰だし酷い仕打ちをした元カノに自分が苦境に落ちるとすり寄ったり、この平凡な弱さがとてもリアルです。 そして何よりも気に入ったのが、観客の総立ち喝采なんてクサイものをいっさい見せずあのタイミングで暗転させる閉め方です。なにも語ってはいないけど、きっと元カノは観に来なかったろうし二人は決して和解はしなかったんだろうと確信しています。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-03-15 23:18:04)(良:4票) 17.こんなに音楽の心地良さを感じない音楽映画を初めて見た気がする。 まさに音楽を武器に殴り合う音楽バイオレンスとでも言うべき映画。 片時も途切れない緊張感。サスペンスとしても一級品の作品だと思います。 最後の公演でフレッチャーに嵌められたニーマン。しかし、今度はニーマンが逆襲にうって出る。 その武器もやはり音楽しかない。2人の鬼気迫るバトル。 音楽モノのラストによく見られる、奏者への拍手喝采もスタンディングオベーションも無い。 しかし憎み合いながらも認め合う。複雑な感情が入り混じる見事なラスト。不思議な爽快感がありました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-03-11 22:47:08) 16.《ネタバレ》 うーん、凄いね。この作品。見てて自分の大好きな野球、特に高校野球にあてはめて考えていた。実際よく聞く指導者タイプでもあるんだよね。これが正しいのか、そこには踏みつけられた何千の才能もあったわけで。吹っ切れて壁を越えたニーマンを見て、ありかとも思ったし、否定してしまう自分もいた。問いかけが凄い。J・Kシモンズの鬼気迫る表現はとても素晴らしく、これは賞もの!と思ったら、やっぱりの助演男優賞だった。当たり前か。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-03-05 17:55:42) 15.胃が痛い。なにかとんでもないものを見てしまった感覚だ・・・狂気。 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-01-31 23:00:28) 14.《ネタバレ》 これぞセッション! いや パッション!! なりっ!! 【午の若丸】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-10-28 21:36:17)(良:1票) 13.《ネタバレ》 CGオンパレードのドッタンバッタン巨大予算映画の100倍のド迫力! 血と汗にまみれて、最期は最高の演奏で師匠と感動のハグ!というアメリカ人が喜びそうなラスト・・・じゃなかった。 別れた彼女、実は新しい彼氏などおらず、客席のすみでステージを見つめて・・・いなかった。 凄い吸引力!素晴らしい作品! 音楽通らしき人が、あれこれ言うのは筋違い。 若い監督の今後の作品に期待。 【ブタノケ2】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-10-01 18:57:59)(良:4票) 12.かなり面白い。ほとんど熱血スポ根ものと言えなくもないが、スポーツの盛り上がりを描かせたらアメリカ映画に優るものはない。 それと、ジャズがあそこまで精緻なプレイを要求されるとは、知りませんでした。 あらためてバンドの成否の鍵を握るのは、やはりドラマーなのかと実感。ジョン・ボーナムの偉大さも実感。 【風神】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-09-02 22:40:39) 11.《ネタバレ》 なにか頂点を目指すという事とは教わる側も教える側も全て失う覚悟が必要なのかもしれない。 主人公がドラムを叩くたびに、豆を潰し血を滲ませるたびに、焦り、怒り、悔しさが滲み出る。執着と強迫は彼を追い詰め、フレッチャーは彼の未熟な自尊心をどこまでも叩き潰し、最後には罠にハメる。 ひと時もこちらに落ち着かせる余裕を無くす緊張の連続、なぜなら主人公の目つきはいつだって一点しか見つめていないからだ。ドラムの音はいつからか主人公に宿る情念の全てをこちらにぶつけて来る。こちらはもう息もできない。 フレッチャーの心の底は結局どこまで彼に向けたものかはわからない。だからこそあの最後はとても痛快で爽快でカタルシス溢れるものになっていた。素晴らしい映画です。 【えすえふ】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-08-05 19:51:35) 10.《ネタバレ》 ○まるで映画自体がフレッチャーのように飴とムチ(と言ってもムチメインだが)を巧みに使ってくる。○鬼教授のフレッチャーの厳しさに対し、たまに顔を出す恋愛要素と父親とのシーンだが、そちらも徐々に緩衝材としての役割を失い、どんどんフレッチャーに支配されてくる。○そのフレッチャーに対峙するあか抜けない主人公というのもグッド。○こちらのアドレナリンも全開になりつつあった発表会での失態からどう展開するかと思えばまさかの再会。○再び訪れた発表会でのフレッチャーのえげつない仕打ち。意地とかプライドとかを凌駕するラストの演奏シーン。これほどまでに惹きつけられ、かつこっちまで疲弊してしまうような演奏シーンはかつてあっただろうか。○なかなかオシャレな音楽こそ流れるが、そのおしゃれな音楽を作り上げるまでの泥臭い、汗の滲む努力が感じられる。主演・助演の二人の演技にも脱帽。 【TOSHI】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-07-27 21:39:09)(良:2票) 9.《ネタバレ》 最近の映画界では、「新バットマン」への大抜擢でトップスターへと躍進したあの俳優だろうか。 バットマンの前に撮った作品は低予算スリラーでありながら、危険な役作りを敢行したというエピソードがあった。(もっとも本人にとってはそういった努力への評価は二の次で、役者としてどれだけ作品に貢献できるかを重要視しているだけのようだが。) 「天才」とか「偉人」とか言われる人は、やはり常人とは違う。 そんな人間は、件の俳優や劇中のバードのように、「天才」という記号だけでは片づけられない狂気じみた逸話を持っているものだ。 「ウィップラッシュ」では、そういった人間が作られる過程を威圧的な緊張感と共に描き出している。 彼らを表すにはあまりに稚拙で安い表現だが、「輝いている人」「トップを走る人」は決して、才能のみで今の称号を手にしたのではない。「アマデウス」みたいな化け物もいるかもしれないが、多くはフレッチャーのシゴキのような辛辣な境遇で、闘いぬき、挫折して、そしてなお立ち上がって、道を極めたのだと思う。 フレッチャーの教育方針に100%賛同するわけではないが、絶対に折ることの出来ない信念を持った人間の会話には説得力がある。 上出来なんてクソだ。 鬼教師の放つ言葉がグサリとくる。 こういう会話があったからこそ、ラストのセッションはとてつもないパワーを帯びてくるし、観終わった後には、アスリートや芸術家、各界の巨人たちの凄さを今一度、凡人の僕に教えてくれる。 また、一握りの偉人をフィーチャーする一方で、普通の人々についても描けているのが素晴らしい。 レーズンをよけてポップコーンを食べることのできる優しい青年が、理想にとりつかれ、人を傷付けて、挫折を経験し、そして自分のやるべきことを見つけていく。 あるいは極端なサディスト指導者が、ピアノ少女に気さくに話しかけ、時に自身の教育の悲劇的な結果を偲ぶ。 普通の人間、そして弱さを描くことで、観客もこの異常なドラマに没入できるし、浮き彫りになる強固な信念が、彼らがなぜ一般人より抜きん出ているのかを強調している。 これはとんでもなく強烈な映画だった。この完成度、上出来どころじゃない。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-06-18 23:51:38) 8.《ネタバレ》 鬼先生と努力生徒の2人で進んでいくわかりやすい展開。くるぞくるぞと思うと本当にぶたれたり血が出たり事故にあったりするけど、全てが激しくてこちらもぐったり。最後は「そうきたか~」でした。ラストの演奏は「合わせが一回もなしでぶっつけ本番?そこにのこのこ行くか?他の奏者もドラムが突然変わって疑問だろうし降ろされたドラマーはどうなった?」と見終わってから思いましたが、、野暮というものか。 【Banjojo】さん [映画館(字幕)] 9点(2015-06-16 21:06:40)
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