みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
2.《ネタバレ》 ラストの少し前、お栄が天に召された妹に語りかけるシーンの「どうってことない暮らしだけど、結構楽しくやってるよ」というセリフ、この作品の印象を語るのにちょうどいい言葉ですね。「どうってことない話だけど、結構楽しく観られるよ」みたいな・・・(笑) 当時の江戸文化のにおいまで伝わってきそうな、丁寧な描写と小気味いい演出。町の様子や人々の生活などの日常感の中で、絵師として、娘として、姉として、女性として生きるお栄の姿が、作品全体に彩りを与えています。その象徴が、赤く咲く百日紅の花でしょうか。 庭に百日紅が咲く初夏の昼下がりに弁当を食べる親子、日が落ちてから明るく輝き出す花街の夜など、江戸時代の季節感や時間帯別の空気感などが、さりげなく且つ美しく描かれていましたね。特に、雪が降った冬の日、妹をおんぶしたお栄と北斎とがすれ違うところを、長屋と長屋の間から射す光が映し出すシーンは印象的でした。 ジブリの人気作品のように、次から次へと展開するテンポ感や冒険要素などは一切なく、ストーリーそのものは「どうってことない」地味な話なので、子どもや、ドラマ的な展開を期待する人にとっては退屈かもしれませんね。トトロやラピュタよりも「借りぐらしのアリエッティ」が好きという人にはオススメかも。 ただ、ラストの「現在の東京」の実写シーン、あれは不要だったのでは? なんだか、せっかく心地いい夢の世界に浸っていたのに、突然、アタマから水をぶっかけられて現実に戻されたような、シラケ気分にさせられました。これがなければ最高だったのですが・・・ でも鑑賞した数日後、赤い花がかなり印象に残ったせいか、百日紅の木を買ってきて、庭に植えました^^ 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2019-02-15 08:51:49) 1.《ネタバレ》 「アニメで江戸の空気をどこまで感じ取れるのか」というのがこの作品の要だったのではないかと思います。いかに観客の感覚を刺激し、そこに江戸を感じさせられるか。五感のうち、映画ですから視覚と聴覚にはダイレクトに訴えかける事ができますが、触覚や嗅覚、味覚をも映像と音で刺激できないか、みたいな、そんな挑戦的な表現。今や誰も直接知る事のできない江戸の空気、その再現。 お栄の目の見えない妹は、そのための重要な存在。彼女が「見えない事によって観客が見る」数々の事柄は五感を刺激するような作りになっています。おこしの味、トンボの羽音、橋を行き交う人々の足音、川の水の感触、雪の冷たさ。彼女が得た感覚がいかに観客の記憶を引き出し、そこに江戸という感覚世界を構築できるか、という。 物語はエピソードがお団子状態で繋がっていて、ハッキリと区切られている訳ではありませんがオムニバス状態。ゆえに映画としてのまとまりには欠けますが、数々の人と風景に彩られた、北斎とお栄が過ごした江戸の時間はとても魅力的に映りました。もっとずっとそこで過ごしていたいような、そんな世界。 日頃、アニメーションの可能性について考えるのですが、日本のアニメには、お約束や記号的表現、自ら制限を課したような表現の縛りが世界を狭くしてしまっている作品が多々見られます。 最初から限られた表現の中で何ができるのかではなく、目的の世界をいかに表現するか、その表現法を柔軟に模索している作品、そういう作品が評価されてゆく状況になれば良いのですが。この作品は、そんな摸索が感じられる一編でした。 日本橋のシネコンという、作品にぴったりと合った恵まれたロケーションで見たので、ついでにお江戸散策と洒落込みましょうと、映画が終わった後に日本橋を眺めて、それから銀座線に乗って浅草に出て、雷門から仲見世を通って浅草寺にお参りし、吾妻橋を渡って隅田川を眺めて。映画の中に漂っていた匂いを感じ取る事は難しかったのですが、江戸という街はこの世界から消えたのではなく、形を変えながら今に続いている、その時間の流れをしっかと感じ取る事ができた、有意義なひとときでした。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 9点(2015-05-13 23:05:21)
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