みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(9点検索)】
4.《ネタバレ》 名画の誉れ高い絵画を発想の原点とした作品としては最高傑作だと私は思う。 史実を齧ってみると、諸説あるらしいが「真珠の耳飾りの少女」を世に残したフェルメールと言う画家の人となり・生涯に関しては未だに謎の部分が多く、 ましてや彼の作品の背景などは謎ばかりらしい。 一枚の素晴らしい絵画を前にしてあれやこれやと想像を働かせる事が絵画鑑賞の醍醐味で有り、 中でも「真珠の耳飾りの少女」は題材とされた少女自身のその何とも表現のし難い儚さや透明感、 複雑な心境で画家に相対しているであろう事を雄弁に物語る目の光など、 鑑賞する人のイマジネーションを刺激するという意味では絵画芸術の最高傑作なのではと私は思っている。 翻って本作、この手の作品に必要不可欠な時代考証を緻密なまでに行った事の表れか、画面からは今にも強烈な生活臭が漂ってきそうだ。 掴みは充分な中、スカヨハ演じる架空の人物である女中のグリートは絵画のそれよりも少々骨ばった感は有るものの、 絵画・そして映画の世界観にはぴったりで絶妙なキャスティングと言える。 コリン・ファースが演じるフェルメールもパトロンに取り入らなければ生活が成り立たない家庭環境の中で、 複雑な思いを抱きながら生きる一人の男を上手く演じていたと思う。 自らの生活に疲れ切り創作意欲も湧かなくなった男が、グリートの様な若いだけでは無い内に秘めたものを持つ女性に出会い、 創作意欲を掻き立てられるのは至極当然な事。 アトリエで一緒に空を見る場面、二人で黙々と絵画用の画材を調合する場面等々、 雄弁なセリフなど皆無ながら二人の間に流れる微妙な空気を表現する「間」がなんとも言えず素晴らしい。 そう、おどろくべき事に二人の間は終始プラトニックなもので、下世話な人間たちが期待する様な事は一切無い。 だからこそ、正婦人の耳飾りを下の身分である女中に身に着けさせる事の意味、それに対する家族の反応、 そして本作の白眉とも言える耳飾りを付けるピアス孔を開けるシーンが、何とも言えず胸に迫る。 ラスト、フェルメールは家を離れ暮らすグリートに真珠の耳飾りを人づてでプレゼントする。 この行為の表す意味を考えると、ただただ私は切なくなるのみ。 半ば強制的に家で過ごさなければならないこの環境下、じっくりと映画に向き合うには最適な作品ではないだろうか。 蛇足 キリアン・マーフィーが何か悪い事をしでかすのではないかと終始ハラハラしていた(笑) 【たくわん】さん [インターネット(字幕)] 9点(2020-05-26 12:00:51) 3.1カットが永遠に見える。濃密な6000秒。素晴らしい! 【k】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-07-13 00:45:43) 2.前々から評判を聞いて見たかった映画でした。どの場面を切り取ったとしても絵になる素晴らしい作品です。この作品にたずさわった人達の衣装やセット、小物などのすべてにいきわたる心配りとこだわりにホントに圧倒されてしまいます。フェルメールの絵は光の使い方が素晴らしいと良く言われていますが、この作品の中の光の使い方もフェルメールの絵画と並ぶくらい美しく魅せられました。セリフは少ないですが、ストーリーを追わずとも映像だけで説得力のある作品で、久しぶりに本当にいい映画を見たなという思いがしました。「真珠の耳飾り~」の絵は、絵の中の少女の表情、しぐさ、様子からお腹の大きな奥さんにはほんとに酷な絵だったと思います。こんな表情をして自分の夫の前に長い間いたこと、そして描くためにじっと凝視していた夫の胸中.....そして自分だってもっとそんな風に見ていてもらいたいのに....という感情と思考がその絵を目にした一瞬で彼女の頭の中をごちゃごちゃにしてしまうほどの名画なのだということがラストの場面で怖いほど思い知らされました。また機会があったらゆっくりと鑑賞してみたい作品です。 【ぱんた】さん 9点(2005-01-20 14:29:44) 1.17世紀のオランダのさり気ない日常を描きつづけた画家フェルメール。寡作家でその大半が室内画であり、また謎の多い人物だったことから、タイトルにもある少女をモデルにした絵が出来るまでを、人間ドラマとして大胆な仮説をもとに綴ったのが本作。作品を魅力的にしているのが、メイドとして雇われた美少女グリートを演じるS・ヨハンソン。 腫れぼったい唇の困惑顔で、いつもどこか不機嫌そうなその表情が男心をくすぐる。C・ファース演じるフェルメールも、彼女をあくまでも絵画の良き理解者という表向きの体裁を繕ってはいるが、彼女の魅力の虜になってしまっているのも事実。この危険な香りを放つ両者の拮抗した演技には魅了されてしまう。二人に果たして男女の関係があったかは、 映画ではついぞ描かれる事はなかったが、耳にピアスの穴を開けるシーンに暗喩としての匂いを嗅ぎとれる。グリートの苦悶の表情のその艶めかしさだけで十分であろう。真実は誰にも分からない事であり、後は個人個人が想いを巡らしてロマンを感じとればいいのである。そしてもう一つの魅力は、フェルメールたちが間違いなく生きていたこの時代を、なんの違和感をも感じさせることなく再現してみせた衣裳と美術そして撮影技術の進歩。湿り気のある空気や柔らかな光と渋めのトーンで統一された色彩処理など、その徹底ぶりには只ならぬものを感じさせ、この作品の雰囲気を余すことなく伝えることに成功している。 【ドラえもん】さん 9点(2004-09-16 15:38:55)(良:2票)
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