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【クチコミ・感想(10点検索)】
1.“女”にとって、“男”は、ほんとうに、純粋に、暗く空いた心の隙間を埋めるためだけの、“詰め物”だったのかもしれない。
精神が歪んでいるわけでも、感情が欠如しているわけでもない。
むしろ逆だ。
あまりに真っすぐに、あまりに直情的に、自分に“無いもの”を求めた結果だ。
不条理であり、おぞましさすら感じる。
しかし、その激情を表す言葉はやはり「愛」以外にはあり得ない。
「あれは私の全部だ!」と、“女”は叫ぶ。
もう、この咆哮にすべてが表れている。
文字通りの死の淵から、“空っぽ”の状態で生き延びた少女は、「必然的」に現れた“男”で、その空洞を埋め尽くしていったのだろう。
“女”が“男”で満たされるのにそれほど時間はかからず、同様に“男”も“女”で満たされていく。
「秘密」が誰に暴かれようが暴かれまいが、それを誰に非難されようが非難されまいが、最初から最後まで彼らの世界には、二人しか居なかったのだと思える。
何かがほんの少し違っていれば、辿り着いた場所はもう少しマシだったのではないか……と、僕自身を含めて、他人は思う。しかし、そんな他人の思考はあまりに無意味であることに気づく。
“男”の台詞に表れているように、彼らがほんとうに望んでいたことと、彼らが辿った運命は、少しずつ確実に乖離していったのかもしれない。
それでも、彼らはああやって互いの命をつないでいくしかなかったし、あの先もああやって生きていくのだろう。
ドヴォルザークのメロディーが夕刻を告げるチャイムとして流れる中、“女”が数日ぶりに帰ってきた“男”を迎える。
映画の展開的には、まだ物語が劇的に転じる前の何気ないシーンとして映し出されているが、おそらくはこの映画の中で最も重要なシーンだったろう。
誰も知らない二人だけの世界。孤立感と、それ故の多幸感。
そして彼らの背景に染み渡っているような不穏さと背徳感。
でも、たまらなく美しいこのシーンを忘れることはできない。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-07-21 07:01:22)(良:1票)
マーク説明 |
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《更新》 | :7日以内に更新 |
【点数情報】
Review人数 |
16人 |
平均点数 |
6.44点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 2 | 12.50% |
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4 | 1 | 6.25% |
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5 | 2 | 12.50% |
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6 | 1 | 6.25% |
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7 | 5 | 31.25% |
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8 | 4 | 25.00% |
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9 | 0 | 0.00% |
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10 | 1 | 6.25% |
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【その他点数情報】
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