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【クチコミ・感想(10点検索)】
1.マイケル・マン監督の映画に出てくる「男たち」は、常に寡黙でありながら雄弁で、饒舌でありながら静謐だ。何ものかに挑む時、彼らは黙々と行動する。ただ黙って闘い、殺し、愛し、勝利し、敗北し、死んでいくのだ。命を賭けるものがあるなら、「男たち」は迷うことなく“死”へと突き進む。安っぽいヒロイズムや、無鉄砲さとはあくまで無縁の、「運命に挑み、その結果を受け入れる者」としての孤高と諦観を漂わせて。
アリもまた、そんな“マイケル・マン的「男たち」”のひとりとして、マンの世界(マン・ダム!)に召還された。この、蝶のように舞い蜂のように刺す天才ボクサーは、一方で「ほら吹きクレイ」と呼ばれるほど挑発的な言動を繰り返す。試合前のインタビューで、試合中も相手ボクサーに対して、“暴言”を吐き続けるアリ。そこに、黒人である彼の、アメリカの白人社会へのレジスタンスが込められていることは、間違いない(そんなアリの最大の理解者が、白人のスポーツキャスターであったこと。それもまた、アメリカの一面であることを示すあたりの心憎さ!)。が、この映画は、そんな「社会派」風の、あるいは「ヒューマン・ドラマ」風の側面以上に、アリというひたすら饒舌な男のなかにある“寡黙さ”を、ほとんどそれだけを映し出そうとした。ボクシングと言葉によって「アメリカ」に闘いを挑み続けた男の、内なるストイシズム。そこにこそ彼の、真の偉大さがあったのだと。
だからこの映画が、ボクシングを描きながらどこまでも「静か」なのは当然だろう。これはボクサーたちの闘いを通じて、さらには、ひとりの黒人青年によるアメリカへの闘いを通じて、自らの「運命」と対峙し続けた偉大な魂の記録なのだから。そして、偉大な魂とは、常に孤独で、寡黙で、静謐なものなのだ。
繰り返そう。マイケル・マンの映画の「男たち」は、たとえどんなに“反社会的(アウトサイダー)”であろうとも、孤高を生きる者たちだ。本作もまた、そんなマンならではの世界観が昇華された、偉大な映画だとぼくは信じて疑わない。…皆さんの評価があまりにも低いこともあるので、あえて満点を献上する次第です。 【やましんの巻】さん 10点(2004-09-15 13:27:53)(良:1票)
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【点数情報】
Review人数 |
96人 |
平均点数 |
4.82点 |
0 | 1 | 1.04% |
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1 | 1 | 1.04% |
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2 | 8 | 8.33% |
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3 | 18 | 18.75% |
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4 | 14 | 14.58% |
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5 | 20 | 20.83% |
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6 | 14 | 14.58% |
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7 | 11 | 11.46% |
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8 | 7 | 7.29% |
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9 | 1 | 1.04% |
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10 | 1 | 1.04% |
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【その他点数情報】
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