みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
2.《ネタバレ》 とても胸をうつ映画だった。空気人形っていうのは、現代に生きる人々のある種の象徴であり、その実体であり、何のつながりもない登場人物たちの心無き心の純粋な在り様であり、、、まぁいろんな意味にとれそうだけど、そのメタ的な要素以上に僕はペ・ドゥナ演じる生き生きとした「空気人形」の姿に胸を打たれたのである。 僕が一番感動したのは、やっぱり、彼女の空気を抜き、吹き込むところかな。彼は言うのである。「空気を抜きたい」と。それは多分、空気を入れたいということ。空気を抜き、そして吹き込む。また抜き、吹き込む。その時、彼と彼女を捉えた充実感。これは何というコミュニケーションだろうか。彼女の心を捉えたもの。しかし、彼女がそれを手に入れてしまったこと自体がそもそもの悲劇なのであった。。 得られないことよりも、失うことの方が、つらい。 (川上弘美『これでよろしくて?』より) 『空気人形』は、心を持ってしまった空気人形のお話。空っぽなのに、心を持ってしまう、空気人形。心を持つって、一体どういうことなんだろう? 心って何だろう? 空っぽの心って? 空っぽって?? 空っぽな人間と空っぽな空気人形。でも、本当に空っぽなのは、空気で出来ている空気人形だけ。僕らは実体として空っぽなわけではない。もっと得体の知れない機能のかたまりとしてあるもの。でも、人間として、関係としてあるとき、人は空っぽになる、ような気がする。そして、空っぽに耐えられず、それを埋めたいと願う。 人は自分自身が空っぽなのではなく、ただ空っぽに捕まえられるのである。その空っぽを相手にして(格闘したり、哀願したりして)、どうしようもなく空振りしてしまう。この作品の登場人物達は、実は空っぽというよりも、ただ空振りしているだけなのではないか。だから、彼ら(彼女ら)に希望は、、、ある。それに対し、空気人形は失うことによって心が萎み、最後にまた空っぽになってしまった。。 過食症の女性はバットを振り続けていたからこそ、偶然にもボールに当てることができた。窓を開けることができた。そういう類の希望がこの作品にはある。僕らの中に潜在化した「心をめぐる物語」。それが登場人物達の心を通り抜け、空気人形によって語られる。つなげられる。この映画は、そういうファンタジーなのだと思う。 【onomichi】さん [映画館(邦画)] 10点(2009-10-09 23:10:30)(良:1票) 1.是枝裕和は教えてくれる。映画にはまだ仕事があるということを。非常に日本であって、グローバル。映画は国境を越えるのか?それはわからないが、とてもすごい。 メタファー等についてはさんざん書かれているので私が悪い頭で余計なことを書くこともなかろう。 スタッフ、キャストの力によるこの作品。有機的に絡み合って見事な作品として結実した。 結構映像のディテールまでこだわっているのにそれを見せつけるようないやらしさはない。主題ではない「映画・レンタル屋」もなかなか楽しい。話題に上る実在の映画からこの映画の年代をある程度推定できるが、決定的に時期を特定するシーンはなかったのでは。実在のソフトを写すときには焦点をぼかしてある。一方で実在しないと思われるパロディな映画ポスターなども出てくる。いやぁ、これは、映画、愛だなぁ。 私はこの映画を愛しているし、映画も愛している。うん。 【SUM】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 10点(2009-11-11 23:33:41)
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