みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
24.《ネタバレ》 もはや語りつくされているだろうが、これほどのものとは思っていなかった。驚愕、奇跡の映画。 人を選ぶ映画ではあるが、邦画関係者が「恋愛」「感動」「家族愛」を要求し、織り込まなければ気が済まない近年の邦画と比べると、そのような要素を一切排除した庵野監督は偉すぎる。逆に言えば、この映画が合わない人は、上記の要素が好みの方と言えるだろう。そうした人ら向けの映画「君の名は。」がゴジラを超える大ヒットを飛ばしている、それもアニメ映画というハンデ付にもかかわらずの大ヒットなので、邦画関係者が上記の要素を入れたがるのも無理はない。 映画通が毛嫌いしている邦画の3点セットについて、せっかくシンゴジラが「そういう要素が無くてもいいんだ!」という流れを作るきっかけとなると思ってたんだが、この結果じゃ「ほれみろ、やっぱ恋愛感動要素があればもっと売れてただろ!」って関係者にいきまかれるやばい状況になりそうなのが気がかりである。 さて、シンゴジラそのものですが、粗やツッコミどころは多々あるが、それを補って余りある素晴らしい映画。 初代愛にあふれており、進化する場面での選曲や、電車が吹っ飛ばされたあとの階段で恐れおののく人々など、初代のオマージュと思われるシーンが満載で、さらに終盤の攻防で流れた曲も、「怪獣大戦争のテーマ(初代にも流れたやつ)」ではなく、「宇宙大戦争のテーマ」だったのは単に怪獣映画好きではわからない「特撮オタ向け」な要素でもあり、この選曲にはニヤリとせざるを得なかった。こんなにオタ向けでいいのかという危惧もしたんだが。 個人に焦点を当てない、状況の積み重ねだけという脚本もまた面白い。特定の主人公1人にフォーカスを当ててないという意味では、クラッシュやコンテイジョンなどの映画が色々海外にもあったが、展開が早く、そのような「フォーカスが当たっていない」という感覚すら麻痺させてしまう。脚本の妙ですね。 特撮の面ではもはや言うまでもない。「全弾命中!」という、これまでの怪獣映画には無かったセリフが連発されており、リアル路線じゃ弾丸は基本的に外さないんだよというこだわりが感じられる。終盤の攻防は多摩川防衛よりテンションは落ちるものの、無人在来線爆弾というパワーワードには思わずなんじゃこりゃぁ!とテンション上げざるを得ない。 ゴジラの熱戦というかビームの破壊も見事。 もうエヴァ作らなくても許します。 これで今後のゴジラ映画はもう作れないだろ 【みーちゃん】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-13 08:59:40)(良:4票) 23. クリストファー・ノーランがバットマンシリーズに全く新しい光を当てたように、ゴジラというコンテンツに全く新しい光を当てた、ということが庵野秀明の一番の功績であるように思います。 僕がこの映画を見終わっての第一の感想は、 「ボクが映画館で観たかったのは、作家が命を削ったこういう創作作品なのだ!」 ということ。 黒澤明、宮崎駿のように、「作家性」を持ったそれらの後を継ぐ「映画作家」であることを庵野秀明は証明して見せたことは日本映画にとって素晴らしいことです。 こういう作品を安野さんには作り続けて欲しい。 私見ですが、安野さんは、今後ぬかるみに足を取られたように見えるシリーズものをすっぱり足を洗い、こういった新しい創作を始められた方がいいのではないでしょうか? 創作者の人生(旬な期間)は、長いようで短いです。 近年はやりの「○○制作委員会」方式にせず、東宝が庵野に全面的に任せたことも素晴らしい英断だと思います。 東宝という会社は「やるときはやる」、「腹をくくるときは腹をくくる」ということがよく分かりました。 この映画は海外の人に見てもらっても恥ずかしくない水準の高い映画だと思うけれど、石原ひとみさんの役は、外国人の方がよかったかも・・・。(笑) それも含めて庵野作品のテイストを感じますが・・。 とにかく、面白く感じようが、面白くなかろうが、「見応え」という意味では、この映画は近来まれに見る「見応え」を提供してくれます。 それは商業ベースの日本の娯楽映画では希有のことのように思います。 【ちゃっぴー】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-29 11:37:26)(良:4票) 22.随分と前に劇場で観賞し、大喜びしたのですが。 さてレビューを書こうと思いこちらで皆さんのレビューを読んで行くと、その造詣の深さ、知識の多さ詳しさ、などなどゴジラ愛に溢れるお話しに感動するばかり。 多くの皆さんが本当にゴジラが好きで、シン・ゴジラの作品に高評価をしている事がとても嬉しかった。 そして、私の単純な喜びを文章にするのがはばかられました。 暫く日にちをおいてじっくり考えましたが、やはり私もゴジラ大好きな気持ちをこちらに書きたくなりました。 伊福部さんの音楽を聴きながら「シン・ゴジラ」を観られた、それは至福の時でした。 感動して涙うるうるになりました。 !!!ゴジラありがとう!!!!! 【たんぽぽ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-11 16:57:34)(良:3票) 21.《ネタバレ》 リオ五輪の閉会式で登場した東京のPR映像に、ドラえもんやキャプテン翼など日本を代表するキャラクターが登場したが、なんか足りないなあという思いが微妙に残っていた。それが、この映画を観てピンと来た。あの映像にゴジラが一瞬でも登場していたら完璧だった。もちろん、登場していただくとしたら初代の御大でしょうけど。と言うわけで、これは映画のタイトルそのままに、新しいゴジラ映画ですね。何が新しいかというと、まず過去のゴジラ映画を引き継いでいないという点。最初に登場するのは何かわからない生物で、徐々に進化するにつれゴジラっぽくなるが、少なくともテラノサウルスみたいなカッコ良い恐竜が原型ではない。そして、無表情で何を考えているのか不明な不気味な容姿に、やたら強くてというか危険極まりない暴れっぷり。キレた時の破壊力は半端ではない。プロレスごっこしていた先輩たちの面影は微塵もない。世界最強の米軍の爆撃機もあっという間に撃墜される。いやあ、怖い。こんな化け物をどうやって退治するのか、と思ったら、血液凝固剤注入という地味な方法。しかも口から入れるというもどかしさ。ああ、これは事故を起こした原発の廃炉という作業も、地味に時間をかけてやっていかなければならないというメッセージだろうな。放射能を撒き散らす原子力という得体の知れない怪物に人類はどう立ちむかっていくのか、日本はどうなんだという問い。この点、初代ゴジラ映画が放った警告と怒りはしっかり引き継いでいる。 【パセリセージ】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-09 17:08:42)(良:3票) 20.《ネタバレ》 ゴジラ (1984年)に続き「原点回帰を目指し、現在にゴジラが現れたらどうなるか」というコンセプトのもと、ゴジラが単体で登場する作品としては32年ぶりとなった第3段。なお、GODZILLA(1998年)も単体での登場作品ですが、製作側が「原子怪獣現わる(1953年)のリメイクを作りたかったが、資金集めのため、ゴジラのネームバリューを借りました」と言っているので除外します。 私は1984年版を「コンセプトは良いのに表現力が伴わず、非常に残念」と思っているので、以下、主に【1984年版との比較】という観点でお伝えします。 まず一つ目。1984年版に比べ、危機的状況の臨場感がはるかに上回っていると思いました。他の皆さんがおっしゃる通り、東日本大震災-2011年-の記憶がまだ遠いものでないからでしょう。ゴジラ1作目(1954年)も、太平洋戦争終結時-1945年-から9年しか(人によっては“9年も”のようですが…)経っていませんでした。その点、1984年版は、こうした生々しい記憶・体験の空白期での製作だったので、どうしても【頭の中でのシミュレーション】に留まっていたように思います。ある意味、当時は、幸せな時代だったのかもしれません。 次に二つ目。1984年版に比べ、シミュレーションとしての情報処理が洗練されていると思いました。1984年版は、膨大な情報量を消化しきれず、説明で一杯一杯で平板な展開になっていました。一方、シン・ゴジラは、前半に【会議や手続きなど諸々の理屈っぽい情報】を集約して【もたつき・まどろっこしさ】として表現し、後半になるに従い【対策実行のシミュレーション】に絞って【シャープ・スピーディー】な展開になっていたと思います。 三つ目として【本筋に影響しない恋愛ドラマ】を挿入しなかったことも気持ち良かったです。1984年版で一生懸命に演じていた田中健さんと沢口靖子さんには申し訳ないですが、登場シーンのたびに映画の流れがもたつきました。一方、シン・ゴジラの、長谷川博己さんと石原さとみさんとのやりとりは【対立から協働へ】とまとまり、恋愛感情も芽生えず、清々しさを感じました。 四つ目として、1984年版の【スーパーX】のような架空のメカを使わなかったことも嬉しく思いました。あれから32年経ちますが、スーパーXと思しきものは未だ自衛隊に存在していません。シン・ゴジラの【血液凝固剤】も架空ですが、スーパーXほど突飛な印象は受けず“あり得る”と思えました。 さらに五つ目。音楽も、1984年版はドキュメンタリータッチにしたかったのか?一部を除いて使い方が控えめで、音楽と共にその都度、映画の流れが途切れてしまう印象を受ける箇所が多々ありました。その点、シン・ゴジラの音楽は【普通】に劇的効果を上げていると思いました。この【普通】が1984年版では【普通】ではなく「音楽を下手に使うと却って展開を邪魔する悪い手本」のように感じていただけに、シン・ゴジラでは安堵しました。 最後に六つ目。これは比較ではなく私の推測ですが…1984年版は製作発表時こそ「現在にゴジラが現れたら…」というコンセプトで出発したものの、途中から「華が無いから、東宝シンデレラ(1984年に発足したオーディション。第1回グランプリが沢口靖子さん)が出演する場面を入れよ」「火山に誘導する対策だけでは地味だから、スーパーメカを出せ」といった会社からの営業上の注文が出てコンセプトがぼやけ、現場は混乱し、映像と音楽を十分にリンクさせる時間もなく…といった事情で、上記のような残念な仕上がりになってしまったのでは…と思ったりしています。そして樋口真嗣氏は当時19歳で、特殊造形助手として1984年版の製作に携わっていました。そうした製作現場の実情(あくまで私の推測ですが…)を痛感した樋口氏は「いつか、会社からの注文に振り回されない、本来めざした現代版ゴジラを作ってやる」と思ったかもしれません。だとしたら、今回、庵野秀明氏という最強のパートナーを得てその宿願を果たした…きっと、今は亡き橋本幸治監督をはじめ1984年版の作り手さん達も「樋口よくやったぞ!」と褒め称えているのではないか…そんな【32年越しのインサイドストーリー】を想像するぐらい、シン・ゴジラには感激しました。 さて、採点ですが…物心ついたときからCG特撮が当たり前の若い人達にはショボいと感じる部分があるにせよ、1984年版をタイムリーに知っている私としては、↓の【どっぐすさん】と同様に「これがずっと望んでいたゴジラだ!1984年版だってこのように作れば傑作になり得たはずなんだ!」と庵野・樋口両監督への感謝の思いで一杯です。私が勝手に想像するインサイドストーリーも加味し10点を献上させていただきます。 【せんべい】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-17 21:20:19)(良:3票) 19.《ネタバレ》 高い発生率の南海トラフ地震におびえる太平洋側の住人としては、この映画は単なる娯楽として鑑賞できなかった。建築物の崩壊シーンはあまりにも生々しく圧倒的で、震災で身内を亡くされるなど、深刻な被災を経験した人がこの映画を観るにはかなりハードルが高い気がして心配になったほど。 巨大生物に善も悪もなく、ただ決して共存できない存在として描かれているため、ゴジラは生物というよりは、まさしく地震やその他の天災をつかさどる荒ぶる神の化身に見える。東日本大震災では、大きな地震や津波が起こったあと、二次被害として原子力発電所の重大事故が発生したが、そうした段階を踏んだ震災の様子が、ゴジラの上陸、建築物の破壊、放射能火炎放射らと重なって見え、考え込まざるをえなかった。何度もくり返された 「生物なら倒せる」 というセリフは、決して避けることができない天災を人類が直接手を下して牛耳りたい、防ぎたいという願望が込められている気がする。 海外のGODZILLAで描かれる人間ドラマは、怪獣と対比させるためにやむなく必要だったのだろうが(そのため、どうしてもとってつけたような感が残る)、このシン・ゴジラは、擬人化した「震災」に立ち向かう人間ドラマであって、どちらも重要な両輪の役目を果たしていた。核を使わず、ピンポイントでゴジラをしとめる人間の知恵と勇気は、東日本大震災の折、放射能拡散を防ぐため、命がけで発電所に放水をくりかえした東京消防庁の人々、バルブを閉めに行った熟練者たちへの思いに重なる。この映画を観た外国人の中には、退屈な官僚たちの人間ドラマなど不要という感想を持つ人が多いと聞くが、日本人にしかわからなくてもいいと堂々と開き直りたい。 【tony】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-06 01:08:26)(良:3票) 18.「恐怖」が東京を破壊し尽くす。 吐き出された熱焔が街を焼き、四方八方に放出された無慈悲な熱線は人類の英知を尽く無に帰していく。 暗闇の中で、「恐怖」それのみが美しく妖しく光を放っている。その光景はまさに「絶望」そのものだった。 その神々しいまでに絶対的な「恐怖」を目の当たりにして、思わず「嗚呼」と心底落胆し、絶望感に沈んだ。 純粋な恐れに只々慄き、心がへし折られそうになりつつ、それと同時に、人智を超えた「恐怖」と「絶望感」に恍惚となっていることに気づいた。 恐怖と絶望の中に、安堵と歓喜が渦巻きつつ、「これがゴジラだ」と、噛み締めるように思った。 これまでのゴジラ映画全28作品(+ハリウッド版2作)総てを鑑賞して、「シン・ゴジラ」を観た。 世界の映画史上においても大傑作である1954年の第一作「ゴジラ」を再鑑賞した時に感じたことは、60年という年月を経ても色褪せない恐怖感の見事さと共に、1954年当時リアルタイムで「ゴジラ」を体感した“日本人”が、等しく各々の胸の内に孕んだであろう「畏怖」に対しての「羨望」だった。 未知なる巨大生物に対しての畏怖、それにより生活が人生が文字通り崩壊していくことに対しての畏怖、そしてその発端は我々人類の所業そのものにあり、突如として繰り広げられているこの大惨事自体が、総てを超越した何ものかによる“戒め”であろうという畏怖。 映画を観終わった後も決して拭い去れなかったであろう「恐怖」と「高揚」が直結した幸福な映画体験を想像して、羨ましくて仕方なかった。 1954年と全く同じ映画体験をすることは、時代も世界も移ろった現在においてもはや不可能だ。 しかし、2016年、60年前と同じ類いの映画体験を出来得る“機会”を、我々日本人はついに得たのだと思う。 それが、この「シン・ゴジラ」という映画なのだと僕は思う。 この映画が、「3.11」そして「福島」を経たからこそ生み出された作品であることは疑う余地もない。 それは、1954年の「ゴジラ」が、「戦争」と「広島・長崎」を経て生まれた背景と重なる。 それは即ち、ゴジラという大怪獣が、人類自らによる“過ち”と“悔恨”の象徴として描き出されていることに他ならないと思う。 ゴジラは、人類(日本人)にとって究極の恐怖と絶望であると同時に、合わせ鏡の如く存在する己の姿そのものだ。 自らの「業」が生み出してしまった「災厄」に、どう対峙するのか。それが、ゴジラ映画にあるべきテーマ性だと思う。 “初代ゴジラ”は、一人の天才科学者が己の命と引き換えに死滅させた。 そして残された人々が、静かになった海を前に、「人類が核実験を続ける限り、第二、第三のゴジラが現れるかもしれない」と警鐘を噛み締めて終幕する。 “シン・ゴジラ”における顛末は、“初代”と似通っているようで、実際は大いに異なる。 前述した通り、60年という年月が経ち、時代と世界が移ろった現在において、同じ帰着に至らないのは当然だと思う。 “初代”に対して逆流するように“シン・ゴジラ”は、一人の天才科学者が己の命と引き換えに誕生させたと言っていい。 そして、対峙せざるを得なくなった危機と恐怖と絶望を、人類自らが乗り越えなければならない対象=現実として真正面から見据え、必ずしもすぐさまそれに完璧に打ち勝つことは出来なくとも、共存し、対峙し続けなければならないという「覚悟」を、映画世界の内外の“日本社会”に、問答無用に植え付けてくる。 外洋へ追い出すこともしない、火山に蓋をして閉じ込めることもしない、そして消し去ることもしない。 1954年「ゴジラ」を含めた全28作のどのゴジラ映画とも異なる終幕。 当然ながらそこには、怪獣映画としての王道的なカタルシスは無い。 「作戦」を成功させた劇中の日本人たちが起こしたアクションは、ただ“一息”をついただけだった。 ただし、この帰着こそが、今、この国で、新しい“ゴジラ映画”が生み出されたことの「真価」だと思える。 「恐怖」の対象が、己の分身そのものである以上、我々は、それを見据え続けるしかない。 劇場公開直後に鑑賞して、ほぼ一ヶ月間、このレビューを纏めることが出来なかった。 その間、他の映画を全く観たいと思えず、通算3度映画館に足を運んだ。こんなことは初めてだった。 それでもまだまだ書き連ねられていないことは多い。きっとこの後もこのレビューは何度も書き換えられることだろう。 「凄い映画だ」 本当はこの一言で充分だ。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-07-31 23:32:28)(良:3票) 17.《ネタバレ》 ゴジラに敵対する凶悪な怪獣や、スーパーXやモゲラと言ったステキ兵器とのバトルが無い点は、『VS』シリーズで育った私としてはいささか物足りなさを感じてしまった。 しかし、それに関しては予告の時点で初代を意識した作品になることは想定していたし、むしろ思っていた以上に娯楽性があり個人的には良かった。 序盤の政治家たちがゴジラ出現で右往左往するシーンは、本人たちは至って真面目だが端から見ているとどこかドタバタコメディを髣髴させると言った、劇パトを思い起こされるような印象を受けた。 また、登場人物の行動もどこか『アニメっぽい』印象を受けながらそれでいて無理やり感も無く、ここらへんはアニメと実写両方の監督をしている庵野さんの経験が上手く活かされていると感じた。 CGに関しては素晴らしいの一言。特に都心部に現れたゴジラは、これまで私が見たどのシリーズよりも『ゴジラが本当に東京にいる』感が出ていた。アングルや演出も、過去のミニチュアセットやCG技術では難しかったようなものも随所に見られ、とことんシンゴジラの勇姿(?)を堪能できた。 ゴジラの代名詞たる熱線も、最初はただの炎の奔流からバーナーの如く徐々に収束していき、最後はレーザーへと変貌していく様子は実に格好良い。 ストーリーに関して言えば『エヴァや陽電子砲と言った超兵器が無いネルフの皆さんが、ゴジラ相手に知恵を絞ってがんばる』と言った、悪く言えば『ヤシマ作戦の焼き直し』だが、『ヤシマ作戦の演出を対ゴジラ用に上手く落とし込んでいる』と言えなくもなく、不必要且つ過度に類似した演出を加えていることから、庵野さんも確信犯なのだろう。。 後半になるにつれて、シリアスさを増しつつもバラバラだった登場人物達が少しずつまとまっていくので、ドラマパートが多いにも関わらず退屈しなかった。 総評 多少エヴァ成分が強めなのが気になるが、それでも決して独りよがりな演出や話になることなく、どの世代のゴジラファンでも最低限は楽しめる作品に仕上がっており、実際は違うかもしれないが、ゴジラだけでなく、ゴジラファンに対しての気遣いのような庵野さんの愛を感じられる作品だった。 少なくとも、私の人生で数少ない『恐らく全力で殴っても罪悪感を感じなさそうな人』にカテゴライズされている某監督の『ゴジラの名を借りた駄アクション映画』とは比べるだけで失礼に当たる程の良出来であり、そしてその『最終蜥蜴合戦』以降止まっていたゴジラ(日本製)の歴史を進めてくれた庵野さんには筆舌し難い感謝の念しかない。もう10年掛かろうが未完で終わろうが構わないので、お体に気をつけてゆっくりもう一方も製作してください。待ってます。 【ムラン】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-07-30 00:28:11)(良:3票) 16.もうゴジラの次回作は観たくない。 なぜなら・・・ これ以上のゴジラはもう作りようがないから。 誰が監督をしても、俳優がどんな素晴らしい演技をしようが、脚本がどんなに素晴らしかろうが これ以上の「ゴジラ」は誰も作れない。 ここで終わる事に意味がある。 ゴジラよ永遠に・・・ 【N.Y.L.L】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-10-21 22:19:28)(良:2票) 15.今まで見たゴジラ映画の中で、一番ゴジラが怖くて不気味でかっちょよく見えてしまいました。しかも、そのゴジラが口から、放射能火炎をはくシーンで、なぜか涙目、もちろん感動とかじゃなくて、どちらかとゆーと畏怖的な感情で、スゲー・・って感じです。あんなに怖スゲーとゴジラの放射能火炎に感じたのは、このゴジラが初めてです。そして、映画中、何度も体がゾクゾクする感じになって、面白さが途切れませんでした。久しぶりに映画館で、IМAXの大画面で観て、興奮してしまったってのもあるかもしれません。いや、やっぱ映画自体も面白かったんです。とにかく、このゴジラを見てしまうと、アメリカの大迫力のゴジラですら、あれ、なんだったんだろうって思えてしまうくらい、この邦画のゴジラにワクワクしてしまいました。てゆーか、僕はこーゆう雰囲気の映画がなぜかめちゃくちゃ好きなんだと改めて実感しました。 【なにわ君】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-09-07 17:20:42)(良:2票) 14.《ネタバレ》 小学1年の時に観た「モスラ対ゴジラ」以来、このゴジラを観るのに何十年待った事か。まず想像を超えて禍々しいゴジラの造型とその進化。グリズリーみたいなハリウッド版とは圧倒的なセンスの差を感じる。そして着ぐるみの代わりに野村萬斎が歩くというアイデアが光る。ベタベタした家族愛などが入る余地のないハイスピードな展開、日本の政府やアメリカとの関係への皮肉、核への警告も描かれている。 それにしてもこの作品の一番の功労者は庵野秀明に総監督と脚本を依頼したと言われている樋口監督かも知れない。「ローレライ」から「進撃の巨人」までの演出を見て、この人には特技監督がお似合いだ思ったしだい。 そして伊福部昭のメインテーマやマーチがモノラル風に流れた時はトリハダものだった。 唯一気に入らないのは、自衛隊の全面協力という事実。安保法で入隊希望者が減っている自衛隊の宣伝活動にのってほしくはない。むしろ逆手にとって、軍隊のくだらなさを若者に感じさせてほしいと思うのは欲張りか・・・ 2016年。ついに予想を超えたゴジラ映画の完成を祝いたい。 ただ、興行収入につられて、安易な続編を作るという過去の轍だけは、踏まないで欲しい。 庵野監督のゴジラは完成形。 10年後に新たな才能にゴジラを託したい。 【ブタノケ2】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-06 05:32:50)(良:2票) 13.《ネタバレ》 いったい劇場に何度行ったのか、数えてはいないが過去最高なのは間違いない。 ブルーレイ買って、1週間近く毎日見てしまった。 ゴジラの都市破壊シーンが恐ろしく、自分の町が破壊される恐怖で涙を流してしまう。ヤシオリ作戦で「どうか実行してほしい(死んでくれ)」と矢口が演説、それに応えた隊員たちは、福島原発でぎりぎりで戦った人々と重なり涙がこぼれる。 シンゴジラの後半パートは「実現しなかった理想」と評論されているが(特に宇田丸さんに)、これだけは実現した部分だと思う。 作ってくれて感謝します。 【kosuke】さん [映画館(邦画)] 10点(2018-05-20 00:42:30)(良:1票) 12.《ネタバレ》 闇に溶けていくゴジラの禍々しい姿に鳥肌が立ち、光線を放つ前の炎を汚物のように吐き出す描写に心躍る。この場面だけで10点つけてもいいぐらいの凄まじいインパクトがありました。別物の怪獣だとミスリードを誘う奇をてらったゴジラの初期状態も意外性がありいいです。コミカルな容姿ですが実際深海生物って作り物っぽい感じがしますし逆にリアリティを感じられました。この作品を外人に見せたらどういう反応があるかちょっと興味がありますね。怪獣オタクだけでなく一般人でも受け入れられる作品だと思いますね。 【映画大好きっ子】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2017-07-13 01:55:50)(良:1票) 11.《ネタバレ》 なんで観にいくか自分でもわからない映画だった。空想科学大戦を愛読してる人間にとっては巨大怪獣とか、「自重でつぶれるだろ」の一言で切り捨てられる存在だから。にもかかわらず、せっかくスマートパス入ったのに一回も見に行かなきゃ元取れないとか、怒りの前売り券買っときたいとか、ずっと映画観てなくてつまんないとか非常に貧弱な、ほとんどあり得ない動機で観に行ったのだが……… 面白かった、実に面白かった。もちろんゴジラのリアリティに関する疑問(古代生物が放射能廃棄物接取してってアホか馬鹿かと)は解消できないんだが、 それ以外のリアリティがいい! こんな未曾有の大災害が起きても、なお省庁間の根回し、法体制の整備、なんてことをクリアしていかなければ動けない政府、このリアルな政治ドラマが楽しめました。 あと全般的にあまり評判のよくない石原さとみさん、自分的にはすごく魅力的に感じました。(まあ朝の再放送の幼い表情とのギャップ萌えという面はありますがw) 10点はつけすぎかなとも思うけど減点する要素がない 良頂いたの変更するのなんですが、他の方の書き込みに触発されて、どうしても書きたくなって。 この映画のキャスティング、あまちゃんテイストが半端じゃない! 単にあまちゃんと共通する出演者が多いなんて話じゃなくて(ぶっちゃけ、そういうのは流石に飽きを感じる今日この頃。ジヌよなんとかだとかね)、 それぞれの俳優のキャスティングがあまちゃんに愛情を持ってるとしか思えない。 責任を持って行動する政治家に足立先生。 みんなに差し入れをするあんべちゃん。 情報通のジャーナリストの甲斐さん。(これは真逆だねw) 男らしい自衛隊員の梅さん もちろん製作者にそんな意図全然無くて、単なるあまヲタの勝手なおもいこみかもしれませんがね。 それでも首相代行として足立先生が登場した時は嬉しかったなあ 【rhforever】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-15 22:23:28)(良:1票) 10.本日2回目の鑑賞。ロードショー封切中に複数回観たのはいつ以来だろう。とにかくもう一度観たいという思いを抱かせる作品です。2回目ですと落ち着いてストーリーを追えて台詞や字幕がよりわかりやすかった。 本質的なところで、今回のゴジラ映画は災害映画です。更に災害映画、パニック映画にありがちな主人公の私怨や恋愛ドラマがなく、ゴジラ(災害)とそれに対する政府の動きのみを描写することで、間違いなくゴジラ映画になっています。怪獣プロレスやゴジラそのもの誕生にまつわる悲劇的性格が全く描かれないことに、そういったゴジラ映画好きのファンには受け入れがたい映画でもあります。 今回のゴジラは、今回初めて発見されたというシチュエーション、未知の巨大生物による災厄という、第1作と同じ状況を現代でやっているわけで、しかも第1作にあった古生物学者の想いや天才科学者の苦悩、若い娘の恋愛感情なんかをすべて排除して、巨大不明生物対策にのみ焦点を当てている。これまでにないタイプの怪獣映画であることは間違いない。こういう描き方をすると、模倣する作品が出てくるかもしれない。そういう意味でもエポックメーキングな怪獣映画になっていると思う。 【hee】さん [映画館(邦画)] 10点(2016-08-08 22:36:10)(良:1票) 9.《ネタバレ》 日本でも制作費をそれなりにかけて、本気で創れば、海外映画に負けないパニック映画が十分成立するんだな~と、改めて感じ入りました。62年前に公開された初代ゴジラが到達していた境地なのですが、長かったなと。ようやくそれを超えれたなと。ま、ゴジラシリーズはこれまでに初代ゴジラ以外見たことがないんですがね。映像のリアルさ、グロテスクさ、迫力は、怪獣映画の頂点と言って過言ではないでしょう。ただリアルだけを求めると、ハリウッド的になってしまうのですが、リアルさを捨ててケレンを付加しているところもあり、そのさじ加減がたまらんです。話としては国家の災害対策にフォーカスしているのですが、真面目かつ滑稽で、緊張感と笑いのバランスが絶妙です。エヴァンゲリオンを観たことがあれば、さらに楽しめ、終始ニヤニヤすることができます。思いっきりネタバレになりますが、キモカワイかったシャムシエルから、かわいさを引いて、腐ってやがる早すぎたんだ的な生物的なグロテスクさを、とことん突き詰めた造形です(後日修正:かわいさを引いて→かわいさはそのままに)。キャストに石原さとみが入っていることに一抹の不安を感じていたのですが、杞憂でした(これまでCM等で見かける裏が透けて見えるわざとらしい演技が嫌いでした)。今回ちょっと見直してしまいました。カヨコ・アン・パタースンと名乗り、英語混じりの日本語をしゃべる米国大統領特使という、作品内でも随一にマンガチックでわざとらしいキャラがあてがわれていて、ムチャぶりもいいところなのですが(おそらく、香貫花・クランシーのような日系辣腕才女のテンプレートを意識)、熱演が結構ハマっているんですよね。新たな発見でした。制作陣の本気度、熱が役者にも伝わるものなんだなぁと思いました。 【camuson】さん [映画館(字幕)] 10点(2023-03-14 18:23:07) 8.《ネタバレ》 いや~、好きですねぇ。そう言えば劇場で二回と、地上波でも観たので、今回が4回目の鑑賞になりますかね、でも面白いんですよ。最初に見たときは難しいセリフをまあ良くもペラペラと話しますねと、聞き取れない=理解できない部分もたくさんありましたが、それでも日本国政府が巨大不明生物に果敢に立ち向かう事に感動しました。口からの火炎放射と背中からの光線によってビル群をぶった切っていく姿は言葉は悪いが神々しく、ヤシオリ作戦で攻められる姿は何だか可哀想で、やっぱり作り手の皆さんはゴジラが好きなんだなと感じました。何度も見る事により理解も深まり更に面白くなりますし、「有識者会議」なるものを少々揶揄した形などは見るタイミングによって当時は震災対策を皮肉っていたかと思えば、今回は正にコロナ対策を思わせる。この感じは法治国家のあるあるなんでしょうかね。いろいろ考えさせらる内容も気に入っていますが、やっぱり一番の見所はヤシオリ作戦です。在来線爆弾やビルの倒壊で攻め、数台のコンクリートポンプ車で寄ってたかってゴジラの口に血液凝固剤を投与する。可哀想だったけど超クールでした。米国プランの再開もあるという怖い余韻も残している所も秀逸です。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 10点(2021-05-25 14:43:30) 7.公開日に観に行ったけど、語るべきことが多すぎてレビューを書かないままだった。エヴァの庵野監督がゴジラを撮るということで公開前から期待大だったけど高く設定したハードルを軽く飛び越えて行った感じ。今までは平成ガメラシリーズが最高の怪獣映画で、ゴジラ派の自分としてはそれが悔しく、このレベルのクオリティでいつかゴジラを作ってほしい思っていたのだけど、平成ガメラを遥かに上回るリアルな怪獣映画、ゴジラ映画を観ることが出来て、長年の夢が叶ったというか、これこそずっと待ちに待っていた理想の怪獣映画だったのでとにかく最高だった。 【eureka】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-11-19 09:07:49) 6.《ネタバレ》 巨大生物としてのゴジラが本能のままにつき進む!日本の自衛隊の攻撃は軽くあしらい、米国の攻撃には「痛てぇぞ!このヤロウ!!」と光線出しまくりの今回のゴジラは、近年まれにみるカッコよさと恐ろしさがあり、まさに神ゴジラでした。しかしながら、日本と米国の攻撃力の差がこんなにあるとは。。。 【リニア】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-05-07 15:07:19) 5.《ネタバレ》 昨年から映画館で3回、BDで2回鑑賞、やはりこの作品は映画館で、しかも前から3列目までで観る映画だと。 庵野監督の作品ですので監督の色が出るのは当然、でも過去のゴジラ作品(ファン)への敬意も忘れられてはいませんでした。コレを世に送り出してくれた監督他スタッフ、キャストに感謝です。 【ハチロク】さん [映画館(邦画)] 10点(2017-04-19 17:27:53)
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