みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
11.《ネタバレ》 雑多に盛り込まれるゲスト出演者やエピソードを巧く消化しきれず空回りすることも多い『男はつらいよ』シリーズだが、本作『寅次郎相合い傘』は、その中にあって桁違いの完成度を誇る奇跡のような一作だ。あらゆる登場人物が挿話が場面がそれぞれ見事に噛み合い、唯一無二のアンサンブルを織り成している。言うまでもなく渥美清がすばらしい。そして浅丘ルリ子がすばらしい。だが、それ以上に倍賞千恵子がすばらしい。添え物のように控えめに画面を彩る彼女はけれど、妹として姪として妻として母として友として、その時々にそれぞれの表情を見せる「さくら」という確固たる一人の人間として、ゆるぎなくそこに存在する。シリーズ全48作を通し、まるで定点カメラで撮影された花のように次第に萎れていった倍賞千恵子だが、スクリーンに刻んだそうした年輪の如き変化をも引っくるめ『男はつらいよ』にひたすら愛された彼女は、日本一幸福な女優だ。おそらくどのマドンナよりも。そして寅次郎を愛すればこそ一喜一憂する、とらやの面々。ある時は近所の人々の心ない噂を悲しみ、ある時はリリーとの夢物語を語る「寅のアリア」に聴き惚れる彼らの、家族としてのその表情の、なんという繊細さ!美しさ!店先で甘えるようにさくらの腰に抱きつく幼い満男や川原で虫を追いかけるその満男をさらに追いかける博の姿が、愛情に満ちた彼ら親子のその有り様をさりげなくも雄弁に語り、柴又の道端や寺の境内で遊ぶ子どもたちを捉えた他愛のないワンショットまでもが、この映画に温かい血を通わせている。さらにはメロンを巡る馬鹿馬鹿しい諍いから「相合い傘」へと至る一連のシークエンスのすばらしさ!子どもじみた寅次郎を一喝するリリーは、いつしか天涯孤独な身の上の客人としてではなく彼ら「すばらしき家族」のその一員として、そこにいる。そのことのなんという幸福感!東京の下町のケチな団子屋の、このささやかな家族たち。市井に暮らすつましい彼らのありふれた、けれどかけがえのないその瞬間瞬間を、映画は斯様に丁寧に切りとる。そうすることで山田洋次は人の世のすばらしき「幸福」を、そしてその美しさを、見事にここに描いたのだ。もしも何も知らぬ外国人に『男はつらいよ』とはどんな映画かと訊かれたら(そんな機会はまずありそうにないが)、私は間違いなくこう答えるだろう。happinessの映画だ、と。 【BOWWOW】さん [DVD(邦画)] 10点(2010-04-23 15:21:25)(良:4票) 10.《ネタバレ》 男はつらいよシリーズで一番好きな作品は何か?と聞かれれば私と全く同じレビュワーの方もおられますが、本作と夕焼け小焼けの2本でいつも迷ってしまいます。相合い傘を見た後に聞かれれば「相合い傘」と答えるかもしれないし、夕焼け小焼けを見た後に聞かれれば「夕焼け小焼け」と答えるかもしれない。「男はつらいよ」には色んな面白さがありますよね。勿論言うまでもなく寅さんと毎回魅力的なマドンナとの恋、寅さんが帰ってきた後に起こるとらやの騒動。(特に本作のメロン騒動は本当に面白いですよね!)そして寅さんと旅先などで出会う、不器用だが愛すべき男たち。本作の船越英二演じる兵頭はその代表格ではないでしょうか。また、寅さんとリリーという、旅暮らしの渡り鳥同士のやりとりには他のマドンナとの間には無い、実にいい味わいがあります。では、相合い傘の中で好きな場面を。やはり寅が雨の中リリーを柴又駅まで迎えに行くところですね。寅を見つけて嬉しそうに駆け寄るリリーがとてもかわいいです。「迎えに来てくれたの?」「馬鹿野郎、散歩だよ」「雨の中を散歩?」「悪いかよ」「濡れるじゃない?」「濡れて悪いかよ」「風邪ひくじゃない?」「風邪ひいて悪いかよ」私の中でシリーズ全作を通して屈指の大好きな場面です。それと、おなじみの寅さんが名調子で夢を語る場面がありますが、本作での「俺にふんだんに銭があればなァ・・・」で始まる、リリーをもっと大きな劇場で歌わせてやりたいと語るあの場面もいいですねえ~。それと・・・もうキリが無いですね。長くなりました。以上、寅さんについて語りだすと止まらなくなるとらやでした。 【とらや】さん [地上波(邦画)] 10点(2008-11-24 18:09:52)(良:3票) 9.《ネタバレ》 まだ全シリーズ観てないけれど、今の所一番好きなのが本作。色々な形で過去と現在がクロスする切なさと、未来は決して現在にクロスすることはない、生きることの不安。リリー松岡の再登板によって、これらがうまく描かれていると思います。さて、まず冒頭の寅さんの夢、チープ過ぎる海賊ぶりに苦笑。目が覚めると寅さんは映画館の中。出る時に、モギリのおばちゃんに(眠ってて映画観てないくせに)「面白かったよ、有難う」と声をかける。コレですよコレ! モギリのおばちゃんが映画作った訳じゃなし、それでもこの一言。笑いと感動と反省を呼び起こす場面であります。で本編。離婚したリリー松岡がとらやを訪れる、この場面からすでに、過去と現在が交わり始めます。一方寅さんは旅先にて家出オヤジ(ポリデント船越)との珍道中の真っ最中。しかしものすごーい偶然により、ラーメン屋にてリリーと寅さんは再会できちゃう。これぞ過去と現在を結びつける“運命”の力なり。舞台は二人の思い出の地、北海道。海辺で戯れる場面の3人の童心。初恋の人に会おうと決心する船越。これらすべて、過去と現在との交錯。で彼はこれで目が覚め、無事更生。寅さんとリリーはとらやに戻り今度こそいい感じ。ここで、例のメロン騒動が勃発する訳ですが。寅さんの分を切り分けるのを忘れるという失態から大ゲンカ。この場面もまた、寅さんという子供vs周りの理不尽な大人、という構図で、私にとっての過去である「子供の頃の気持ち」をチクリと刺激します。寅さんにとっては「気持ち」の問題であり、自分のことを構ってくれなかった事へ抗議しているのに、周りのオトナどもはこれを理解せず、あくまでメロンという物質的なレベルでしか捉えない。とらやの面々にわたしゃ怒りを感じたよ(とムキになってしまう自分の子供心に、苦笑もする)。ここでリリーだけが、「気持ち」の面から寅さんを咎めているんですね。で、寅さん出て行っちゃうけど、“相合傘”によって仲直り。大のオトナが相合傘でドギマギする、やっぱり中身は子供。この後、二人はもう一歩で結婚か、という事になるも、見事なまでのすれ違いで、あえなく撃沈。我々の過去も、こういうどうしようもない忸怩たる思いと湿った後悔で、死屍累々、ですわな。観ててタマラン気持ちになります。あの時ああしていれば…。シリーズのどれか一本は満点としたかったので、本作を10点とさせていただきます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2009-08-16 15:54:38)(良:2票) 8.《ネタバレ》 男はつらいよの全48本ある中でどれが良いかというようなアンケートをするとこの第15作をシリーズナンバーワンに挙げる人が大勢、いる中で私もこの作品を後の17作「寅次郎夕焼け小焼け」とどっちをナンバーワンにしようか迷うぐらいこの作品大好きです。個人的には17作「寅次郎夕焼け小焼け」がベストですが、とにかくこの作品も寅さんシリーズの中でも屈指の傑作になってます。浅丘ルリ子演じるリリーと寅さんにそしてもう一人忘れちゃならないのが船越英二演じる兵藤謙次郎の存在、この三人の友情のドラマが物凄く良いわけで、メロン騒動の話などもこれまた良くて、その他良いシーンが沢山出てきます。雨の中での傘をさしながらの寅さんとリリーの会話は名台詞中の名台詞であり、名シーンの一つである。 そんな素晴らしい名シーン、もう、これだけでこの作品のまた、このシリーズのそして、俳優渥美清、車寅次郎という人物像、その全てがここにある。当然のことながら満点です。 【青観】さん [映画館(邦画)] 10点(2005-09-24 18:07:52)(良:2票) 7.《ネタバレ》 描こうとしているテーマ、キャスト、ストーリーの展開、メロン騒動などの小ネタなど評価すべき点はたくさんある。それ以上にこの作品は、リリーの「幸せにしてやる?大きなお世話だ。女が幸せになるには男の力を借りなきゃいけないとでも思ってるのかい?」「もし、あんたがたがそんなふうに思ってるんだとしたら、それは男の思い上がりってもんだよ」「女がどうして可愛くなくちゃ、いけないんだい」というセリフが、言葉として浮いたものとしてではなく、「なるほどリリーならそうだよな」というようなリアリティを持って発信されている、あるいはリリーの人間像をそこまで確としたものに作り上げている、ということだけでも満点をつけたい。 【Let it Snow】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-01-18 11:08:55)(良:1票) 6.《ネタバレ》 心に残る素敵なシーンがたくさんありました、「海岸で遊ぶ寅さんたち3人」「とらやの茶の間でのアリア」「相合傘」。何回も見ていますが、1回くらいはリリーさんが最後に「冗談じゃあないのよ!」っていわないかなあと思います。 【yanasan】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2014-04-12 21:22:27) 5.《ネタバレ》 例によって始まる冒頭の寅次郎の夢だけど、今回は夢じゃなく映画館。それで、寅さんは居眠りして見ていないのだけど、映画館から出るとき「おばちゃん、良かったよ」と言う。海賊船と奴隷船のエピソードなのだが、何かこれから始まる本編もまたすばらしいのではないかという予感がする。そして大当たり、まちがいなく寅さんシリーズの最高傑作、全作品見たわけではないけど、私が自信持って薦められる1本である。 浅丘さん演じるリリーは、旅芸人の苦労がにじみ出ている。そして似たもの同士で心情を心得ている彼女はどこからどう見ても寅さんにぴったりで、めでたしめでたしになるはずだったと思う。それが最終回になるのは寅さんファンが許さなかったのではと感じるくらいだ。 船越さんのパパさんも良かったし、引き立て役十分。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-10-14 23:02:17) 4.《ネタバレ》 マドンナは2回目の浅丘ルリ子。 シリーズでは1,2を争う人気作である。メロン騒動が寅さんのドタバタ劇の中でも秀逸だけど、やっぱり最後の寅さんとリリーが結婚かという場面で、じわっと盛り上がって、すうっと引いてしまう心の機微には悲しくてグッときた。 船越英二を含めた男女3人の旅模様はとても楽しかった。寅さんとリリーは計4作で共演することになるが、本作が2人の若さと勢いがあって、一番いい。 【onomichi】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-04-28 23:22:00) 3.何度見ても、相合傘のシーン、メロンのシーンを定期的に見たくなります。もはや、中毒です。 【孤島の鬼】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-03-04 21:24:49) 2.この作品を観ると、何故寅さんが結婚できないか良く分かります。女心が解らないんだな。というか、自分の気持ちに正直なんだ。引いて、相手の心を受け止められないんですね。自分を通してしまうんだな、肝心な時に限って。自らの立場に対する負い目が、優しさや気遣いに繋がるんだけど、ここという場面で、その負い目が、こんな自分が人並みの幸せを掴んで良いのかという方向に気持ちを持っていくのだ。リリーが自分の気持ちをさくらやみんなに伝え、寅さんの返事を待っている間のシーンは泣けてきた。私だったら、(お前だったらどうするかなんか興味ない?そう言わず聞いてください。)黙って抱きしめて・・・。ほんとにバカだねえ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-10-22 23:42:56) 1.皆さんの評価の通りこれはシリーズ中1、2を争う最高作ですね。リリー(浅丘ルリ子)と寅さんとの愛あるが故の意地の張り合いも見ごたえあるけど、もう一方でさくらとリリーの友情物語としての側面を持つ点でかなり異色なのでは。大体において、さくらは寅さんが恋する相手には一様に寛容な態度を取り続けていたが、リリーとはその他の女性たちとは明らかに違うスタンスで付き合っている。彼女の中でこの人ならお兄ちゃんとうまくやっていけるのでは・・・という肉親的あるいは女性的直感が働いたんでしょうね、多分。リリーのあの大きな瞳には単なる台詞以上の感情が込められていて、彼女なるが故に泣かされたシーンが幾つもありました。よかったです! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 10点(2005-03-29 11:30:39)
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