みんなのシネマレビュー

父親たちの星条旗

Flags of Our Fathers
2006年【米】 上映時間:132分
ドラマ戦争ものシリーズもの歴史もの実話もの小説の映画化
[チチオヤタチノセイジョウキ]
新規登録(2006-02-05)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2022-05-12)【イニシャルK】さん
公開開始日(2006-10-28)


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監督クリント・イーストウッド
演出バディ・ヴァン・ホーン(スタント・コーディネーター)
キャストライアン・フィリップ(男優)ジョン・"ドグ"・ブラッドリー
ジェシー・ブラッドフォード(男優)レイニー・ギャグノン
アダム・ビーチ(男優)アイラ・ヘイズ
ジョン・スラッテリー(男優)財務省大臣 バド・ガーバー
バリー・ペッパー(男優)マイク・ストランク軍曹
ジェイミー・ベル(男優)ラルフ・"イギー"・イグナトウスキー
ポール・ウォーカー(男優)ハンク・ハンセン
ロバート・パトリック(男優)チャンドラー・ジョンソン大佐
ニール・マクドノー(男優)司令官 セヴェランス大尉
メラニー・リンスキー(女優)レイニー・ギャグノンの恋人 ポーリーン・ハーノイス
トーマス・マッカーシー(男優)ジョン・ブラッドリーの息子 ジェイムズ・ブラッドリー
ジュディス・アイヴィ(女優)ハーロン・ブロックの母 ベル・ブロック
ジョセフ・クロス(男優)フランクリン・スースリー
スターク・サンズ(男優)ガスト
デヴィッド・パトリック・ケリー(男優)ハリー・S・トルーマン大統領
ジョン・ポリト(男優)自治長
ゴードン・クラップ〔男優〕(男優)"ハウリング・マッド"スミス将軍
カーク・B・R・ウォーラー(男優)従軍カメラマン ビル・ゲナウスト
デヴィッド・クレノン(男優)ホワイトハウス高官
ベス・グラント(女優)
レン・キャリオー(男優)ビーチ氏
ジョン・ベンジャミン・ヒッキー(男優)キース・ビーチ
ベンジャミン・ウォーカー(男優)ハーロン・ブロック
ハーヴ・プレスネル(男優)
スコット・イーストウッド(男優)
関智一レイニー・ギャグノン(日本語吹き替え版)
森川智之ハンク・ハンセン(日本語吹き替え版)
仲野裕キース・ビーチ(日本語吹き替え版)
小島敏彦バド・ガーバー(日本語吹き替え版)
有川博セベランス大尉(日本語吹き替え版)
井上和彦ジェームズ・ブラッドリー(日本語吹き替え版)
志村知幸アイラ・ヘイズ(日本語吹き替え版)
桐本琢也マイク・ストランク軍曹(日本語吹き替え版)
東條加那子(日本語吹き替え版)
私市淳(日本語吹き替え版)
原作ジェイムズ・ブラッドリー[原作]「硫黄島の星条旗」(文春文庫刊)
ロン・パワーズ「硫黄島の星条旗」(文春文庫刊)
脚本ウィリアム・ブロイルズ・Jr
ポール・ハギス
音楽クリント・イーストウッド
編曲レニー・ニーハウス
カイル・イーストウッド
撮影トム・スターン〔撮影・照明〕
リチャード・ボーウェン(第二班撮影監督)
デヴィッド・ノリス〔撮影〕(空中シーン撮影監督)
スティーヴン・S・カンパネリ(カメラ・オペレーター)
製作クリント・イーストウッド
スティーヴン・スピルバーグ
ロバート・ロレンツ
ワーナー・ブラザース(共同製作)
ドリームワークス(共同製作)
配給ワーナー・ブラザース
特殊メイクヴィンセント・J・ガスティーニ
特撮デジタル・ドメイン社(視覚効果)
美術ヘンリー・バムステッド(プロダクション・デザイン)
リチャード・C・ゴダード
衣装デボラ・ホッパー
編集ジョエル・コックス〔編集〕
ゲイリー・ローチ(編集補)
録音ジョン・T・ライツ
グレッグ・ルドロフ
デヴィッド・E・キャンベル
バブ・アズマン
アラン・ロバート・マレー
字幕翻訳戸田奈津子
日本語翻訳佐藤恵子
その他レニー・ニーハウス(指揮)
あらすじ
太平洋戦争中でも最も凄惨だった硫黄島攻防戦では米軍海兵師団六万余名の一割、日本軍二万余名のほぼ全員が戦死を遂げたが、その最中、日本軍の戦略拠点擂鉢山が陥落した際に米軍の従軍記者が撮影した星条旗掲揚の瞬間の写真は全米の人々の愛国心を掻き立て、旗を掲げた兵士たちは英雄にまつり上げられる。しかし、その「英雄」達にとって、死と隣り合わせだった硫黄島での記憶はあまりに重たかった。有名な写真の被写体となるという偶然によって英雄となった兵士たちの心の葛藤と硫黄島以後の各々の生き方を回想を交えて描く。

かわまり】さん(2007-06-04)
全てのをあらすじ参照する

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7.18世紀プロシアの軍人クラウゼヴィッツは、その古典的著書『戦争論』で言っている。戦争の「本領」とは、「憎悪と敵意」を伴って遂行される暴力行為だ、と。

戦場において国民(=兵士)たちは、ただこの「憎悪と敵意」を増幅することだけを課せられ、そのエスカレーションとともに相手国民(=兵士)を殺し・殺される。そして、そんな「憎悪と敵意」をむけるべき〈敵〉としてのみ、本作の日本兵たちは描かれるのだ。だから、彼らは「顔」がない。徹底して得体のしれない“脅威”としてのみ、アメリカ兵たちの前に現れる。その時『父親たちの星条旗』は、これ以上なく端的に戦争の「本領」をぼくたち観客に見せつけているのである・・・。

一方クラウゼヴィッツは、「戦争とは異なる手段をもってする政治の継続である」とも言っている。「憎悪と敵意」をぶつけ合う戦場とは別に、国家にとって戦争とはあくまで政治的な「外交(!)」の手段なのだ、ということか。事実、映画のなかで政治家たちは戦争を継続するために、何とか戦場から生還した兵士たちを、国民が国債を買うための“道具”として利用する。兵士たちは、否応なくもうひとつの戦争の「本領」に巻き込まれてしまう。いわば、彼らは「憎悪と敵意」と「政治」という二重の「戦争」を戦うハメになったのだ。

そう、これまで常に〈体制〉からハミ出した「個人(アウトサイダー)」を演じ・描き続けてきたイーストウッドは、そんな「個」を単なる“道具=消耗品”としてしか扱わない戦争そのものの〈本質〉、ただそれだけをこの映画のなかで表出しようとした。声高に「反戦」を叫んだり、賛美・正当化する「反動」に走ったりするのではなく、いかに戦争が〈個人〉をないがしろにすることで遂行=継続されるものであるかを、ある痛み(と、悼み)とともに観客へと伝えようとしたのだと思う。同時にその時、本作が、ジョン・フォード監督の『コレヒドール戦記』(原題は、「They Were Expendable(彼らは消耗品)」だ…)に呼応し共鳴しあうものであることも、ぼくは深い感動とともに確信する。 

その上で、『硫黄島からの手紙』を撮ることによって、あらためて「兵士たち」を人間として、〈個人〉として追悼しようとしたイーストウッド・・・。この「硫黄島二部作」において、彼はジョン・フォードをすら“超えた。この2作品と「今」出会えたことを、ぼくはただただ幸福に思う。 やましんの巻さん [映画館(字幕)] 10点(2007-01-18 12:09:25)(良:2票)

6.「硫黄島からの手紙」に引続き観たのですが、本当に心に残る素晴らしい映画です。とにかく、この
作品は大画面で見て欲しいですね。戦争というものの姿を迫力ある映像で伝えてくれています。(かなりショッキングな映像もありますが・・・・・。)
この映画を観て「戦争に於いて英雄は存在するものでは無く、作られるものなんだな」とつくづく思いましたね。作られた英雄たちの、「その後」の姿を見てつくづくそう感じました。
しかしながら、本当に良く出来た作品ですね。題材・映像・音楽・ストーリーの流れ・・・・全てが上手く出来ています。

本当に、この硫黄島2部作は、戦争というものについて考えさせてくれる素晴らしい作品でした。本当にイーストウッドに感謝したい位です。これは、是非多くの人に見てもらいたいですね。
TMさん [映画館(字幕)] 10点(2006-12-14 12:59:06)

5.《ネタバレ》 戦争は神話を生む。それは常にある意図をもった物語として、その一面性、その共振性のみがクローズアップされ、形式化される。本来、物語とは多面的であり、ある種のイデオロギーに容易に集約されるべきものではないが、物語をその純粋たる物語として描ききることはとても難しい。『父親たちの星条旗』は3人の硫黄島戦の英雄という個人に焦点を当てることにより、そこから戦争と生死、国家と個人などのタームをその絶対的感情として取り出してみせる。個人という矮小な物語から戦争という壮大な物語を描いてみせようとする。

戦争とは戦闘のみではない。しかし、戦闘は戦場における最も明白な現実であり、それが戦争の狂気そのもの、その由来でもある。戦争という現実は、実際に体験したものしか分かりえないだろう。いくらそれを映像としてリアルに再構築したとしても、戦争の恐怖と高揚、狂気はその場にいたものしか分からない絶対主観的な体験なのである。硫黄島戦は太平洋戦争史上で米軍にとっては多大な犠牲者を出した最も過酷な戦場であり、海兵隊神話にもなった象徴的な戦闘である。その物語を個人の側から再構築し直す。それがイーストウッドがこの作品で行った映画的試みであると僕は思う。

この物語の主人公は3人の硫黄島の英雄たちである。その中でも原作者の父親でもあるジョン・ブラッドリーは英雄という称号を不平なく受入れて政府に協力し、そして、その立場に自らを規定されることなく静かに生活を続けて年を重ね、死の間際に至る。彼は戦争について語らず、その語り得なさを心に保ち続ける。衛生兵として多くの兵士達の死を看取り、自らも過酷な戦場で生存の危機に晒される。しかし、彼が執拗に捉えられたのは彼がコンビを組んでいたイギーの死(その悲惨な死は僕らにも隠される)であった。その一人の兵士の死が一人の兵士の生の、その生きる手綱を握り続ける。そのことの重みを僕らは見せ付けられる。

彼は最後に息子に対して赦しを乞う。赦しとは、「人は誰もが自分と同じように弱い」という人間にとって最も根本的な地平から生まれるものであり、「自分が存在することの原理」への気付きでもある。最後に映画がこのことを描いたとき、僕の心は確実に震えた。 onomichiさん [映画館(字幕)] 10点(2006-11-24 00:06:29)

4.うん、いい映画だった。

硫黄島での壮絶な死闘を見事に描いた迫力の
戦闘、その後の運命を決定付けてしまう
あまりにも有名な写真、そしてその写真に写った
(写ってしまった)三人の運命・・・。
絶え間なく交差する時間軸の中でも飽きる
事無く物語に集中できるのはさすがイーストウッド監督
といった所でしょうか。

「戦争映画」というだけで声高に意味もなく「反戦」を
強制的に押し付ける近年の日本映画とは格の違いを
まざまざと見せ付けてくれる珠玉の作品です。

エンドロールで本当の英雄の姿を見た時
俺には涙を堪える事が出来ませんでした。 一番星☆桃太郎さん [映画館(字幕)] 10点(2006-11-06 12:03:10)

3.「最も大事な事ほど、言葉に出すことは難しいものだ」これは、Sキングの「スタンド・バイ・ミー」の冒頭の一部だけど、戦争体験者が戦地での出来事を話したがらないということは、そういう事なのではないかと思うのです。キングがここで言う「最も大事な事」とは、多感な時期の大事な宝物のような思い出の事を言っているのだが、人生で最も影響を受けた出来事が、言葉にするほど、現実に自分の胸の中にある感覚とはかけ離れていくような印象を持ち、感じている事を一つも表現できない苦しさは同じではないかと感じるのです。主人公の一人であるJ・ブラドリーが家族にもほとんど硫黄島での出来事を話さなかったのは、まさに、そういうことだったのだと思います。しょせんどんな言葉を使っても自分の体験を他人は理解できない。あの出来事を表現できるような言葉もない。イーストウッドの真摯な演出が冴えています。英雄を作り出し、徹底的に利用する権力者の派手な演出と、冷めた苦悩の3人の兵士のギャップ。姿の見えない日本軍と対峙し、淡々と仲間が殺されていく戦場。兵士の目線での見たままの表現。決して、押し付けの主張はなく、材料を提供し、さあ、どう思う?と我々に問いかける。戦争に善も悪もない。まして英雄などいない。彼らは国のために戦い、仲間のために死んで行っただけなのだ。 パセリセージさん [映画館(字幕)] 10点(2006-11-05 21:41:12)

2.「ミスティック・リバー」を観た後の脱力感、とんでもないものを見せられた後の、どこに発散するべきか何と言い表せばいいのか分からない時に感じる無力さへの苛立ちが突き抜けて、ただその映画を「見た」という事実だけが残るという感覚。もしかしたら、見てすらいなかったのかもしれない。「ミリオンダラー・ベイビー」で徹底的に打ちのめされた時に味わった感覚とは何か違う、この何ともいえない感覚を「父親たちの星条旗」は持っているように思う。イーストウッドは多分、まったく新しい視点を発明したんじゃないのか。パンフで蓮實重彦が書いていた、有名性と無名性をめぐる関係の新たな形式、というのもあるだろうが、そんな簡単にすっぽりと収まるだろうか、少なくとも自分には納められない。「父親たちの星条旗」は現代映画への重過ぎる宿題だろう。 Qfwfqさん [映画館(字幕)] 10点(2006-11-04 22:47:57)(良:1票)

1.時間軸をバラバラにし、「プライベートライアン」の焼き直しを撮り、誰が誰なのかわからない物語を綴り、嘘みたいな生首が転がり、ジョン・フォードのようなラストシーンを設ける。■そのような形容詞はもう、どうでもいい。■わからない物語はわからない自分が悪いのかもしれない。あるいは、物語のすべてを分かる必要はないのかもしれない。■また、生首や生手首を私は見たことがないので、それがリアルなのか、嘘っぽいのか判断がつきかねるし、本当の戦争を描けば「焼き直し」みたいになってしまうのかもしれない、それはわからない。■ジョン・フォード?多分、脚本家たちは、この物語の収めどころを、ある種のハリウッドの文脈に求めたのだ、と思う。イーストウッドにもそのフシはある。だからと言って、ああアメリカ映画っす、と泣けるのは80年代までだ。21世紀に生きるナウな私に、そんなことは関係ない。■だいいち、死んだ人間、生き残った人間、全員勢揃いの水泳シーンに漲る、感動とか「泣ける」とか、伏線とか回想とか、「長い灰色の線」じゃんとか、そういう文脈を超えた崇高さや歪さ、イーストウッドでさえ信じていないであろう感情を、どう説明すればいいのか。それがわからないから、途方もなく溢れ出る涙の理由を考えて、このような駄文を書き連ねているんじゃん。 まぶぜたろうさん [映画館(字幕)] 10点(2006-11-02 00:23:47)

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【点数情報】

Review人数 149人
平均点数 6.83点
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100.00% line
210.67% line
310.67% line
485.37% line
52114.09% line
63020.13% line
73724.83% line
83020.13% line
9149.40% line
1074.70% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.41点 Review17人
2 ストーリー評価 7.45点 Review22人
3 鑑賞後の後味 6.66点 Review21人
4 音楽評価 7.60点 Review20人
5 感泣評価 6.11点 Review17人

【アカデミー賞 情報】

2006年 79回
音響効果賞バブ・アズマン候補(ノミネート) 
音響効果賞アラン・ロバート・マレー候補(ノミネート) 
音響賞グレッグ・ルドロフ候補(ノミネート) 
音響賞デヴィッド・E・キャンベル候補(ノミネート) 
音響賞ジョン・T・ライツ候補(ノミネート) 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2006年 64回
監督賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 

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