みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
22.《ネタバレ》 なんとかっこ良い映画だろう。一コマ一コマに無駄が無く寡黙にきびきび人物紹介を済ませ、隙の無い脱獄計画を行う。モノクロが映えるパリの巨大地下空間の画も圧倒的。縦横無限につながる通路、トンネルに吸い込まれ小さくなってゆく灯り。地図が作成不可と言われるほどの巨大な異空間が舞台装置として満点。 そしてつくづくと「脱獄に必要なのは根気と丁寧さ」を思い知らされる長ーい固定カメラ。コンクリの壁を破る、鉄柵をヤスリで切る。ひとつひとつの作業をじっと見守るかのように画を動かさない。この我慢強いことは他の脱獄モノの追随を許さない。 ことごとく「しっかり描き切る」んですよね。差し入れの品を検品する場面も然り、散った土砂を刷毛できれいに清める場面然り。外した扉をはめ直す時はがしゃん、と心棒がはまるまでちゃんとやる。熱量の高い描写に、絡め取られるように酔ってしまいそう。 隣の房から反対側の房へと物品を受け渡しする、あそこも鮮やかだったなあ。 各キャラクターの性格も五人それぞれが見事に描き分けられており、だからこそ観てる者はラストにやられてしまうのですね。誰に、ってガスパールに。リーダーのマチュー、ねえやっぱり新人は引き入れるべきではなかったのだよ。完璧に進んでいた脱獄計画。ただ一つの穴が新入りの彼だった。でも、四人の仲間も我々も「ガスパールを入れてやれよ」って思ってたんだ。あの衝撃のラストまでは。 ガスパールは見るからに誠実な好青年。差し入れられた食料も気前良く皆と分かち合い、育ちの良さが滲み出る。 だけど、観客はラストシーンを経てから思い至る。そんなに良い奴だったか?と。相続した財産を使い果たした後は金持ち女のヒモになり、あげく義妹に手を出す奴。痴話げんかの末に刑務所行き。ふと頭をよぎるは所長と面談した時の金のライター。エンドロールを観ながらワタシは叫んでしまった。あああれは袖の下だったのか・・。しょてから抜かりなく権力に取り入ってたなんて。ラストで冒頭の伏線を回収するなんて・・! 脚本も画も役者もなにもかもが凄い。半世紀以上も前にフレンチノワールは完成しているのだなあ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2020-04-25 17:10:21)(良:2票) 21.こいつはすごい映画だなぁ~。 普通なら省略を重ねて掘っていく様を見せるのに、そんな上っ面な技巧などなんのその。 板をはずしてコンクリートに金づちを打ちおろす。え? そんなところから始めるのかよ? とあきれるこちらの思惑などお構いなしに、ただひたすら掘る。掘る。全編掘るだけ。 それでいて全然だれない。 緊張感をはらみながらそれだけで一本の映画に仕上げるとか、並みの手腕じゃない。 最後のどんでん返しがまたにくいほど効いてる。 これぞ映画。 ジャクッベッケルといいクルーゾーといい、昔のフランス映画はすごいなぁ。 【kinks】さん [DVD(字幕)] 10点(2019-09-25 00:51:17) 20.《ネタバレ》 いつまでも耳に残る恐るべき音の映画。 このコンクリート(?)を穿つ音の凄まじい音量よ!それは見る者の想像を遙か に超えている。どうして看守がこの音に気付かないのか?という疑問を誰もが抱 くのだが、しかし、誰もが有無を云わさず納得させられる「現実らしさ」を過剰 に超えた映画的現実。 地下道を手製のランプを光源にして行くシーンはまるでアイリスのような効果。 この画面も必見。全編に亘って見事なサスペンス演出。 【ゑぎ】さん [映画館(字幕)] 10点(2017-03-28 05:47:19) 19.人間関係、リアルな穴掘り、主人公の人間描写、そして最後の苦悩と結末。文句無く面白いです。超オススメ。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-12-27 18:46:25) 18.《ネタバレ》 ジャック・ベッケルはフレンチ・ノワールで数々の傑作を手掛けた。 元々フィルム・ノワールはドイツのフリッツ・ラング「M」やジャン・ルノワールの「十字路の夜」が原型として広く知られているが(知らない?じゃあ今すぐググレ)、アメリカの「暗黒街の顔役」や「マルタの鷹」以来すっかりノワールのお株はアメリカに奪われてしまった。 そんなフィルム・ノワールをフレンンチ・ノワールとしてフランス・・・つまりヨーロッパに復活させた監督の一人がジャック・ベッケルだ。 宇宙刑事ジャン・ギャバンが売れたのもルノワールとベッケル様々です(ギャバンの本体はタバコ)。 そんなベッケルの傑作は「アラブの盗賊」「現金に手を出すな」「モンパルナスの灯」「幸福の設計」「肉体の冠」と豊富だが、最高傑作はやはり「穴」になるだろう。 戦後実際に起きた脱獄事件をモデルに、刑務所内における一大脱獄劇をスリル万点に描いていく。 見張りの目を盗んでのやり取りは終始ドキドキの連続で、何時警備員が飛び出して来るものかと緊張の糸が絶たれない。 土まみれになりながらも穴を掘り続ける男たちの力強さ、鉄格子よりも硬い囚人たちの絆。漢の映画だぜ。 女っ気の無い作品だが、“5人”に会いに来た「あの女」は囚人たちの絆にヒビを入れるファム・ファタールだったのかも。 ラストの壮絶な展開には唖然としてしまったが、最後まで見事な作品だった。もっとベッケルの作品が見たかった。惜しまれる。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-03-11 23:57:55)(良:1票) 17.文句なしの満点。1回目は6人目の脱獄囚として背中に汗をかきつつスリルを楽しみ、2回目はガスパールの立場から究極の選択に苦しんでみる。本作の実直すぎるほどのリアリズムは、いとも容易く観客を映画の中にひき込んでくれる。ところでハリウッドの娯楽映画が大好きで、「ええ~っ、また白黒ぉ~?」と嫌がっていた彼と一緒に鑑賞、途中、彼が「う~っ、胃が痛いっ」と、映画に没頭している様を見て、私はひとり勝ち誇った。これが名作の威力だ。 【poppo】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-09-12 01:03:24)(笑:1票) 16.脱獄映画の傑作です!脱獄のテーマの映画は数多くあるが、これほど話が単純なのは少ない。しかし脱獄というスリル感、臨場感がよく伝わってくる。最後のシーンも何とも衝撃的でした。 【ホットチョコレート】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-08-12 08:17:05) 15.《ネタバレ》 脱獄ものでは一番というのも納得です。 最初の掘るシーンだけでもう釘付け。本当に緊迫したシーン続きですごい。一方でおかしなシーンもあり、手足を作ってごまかすところや、途中の柱を肩車で回るところとかは思わず笑ってしまいました。それにしてもあのラストは・・・ 【θ】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-12-18 17:54:33) 14.《ネタバレ》 脱獄モノは数あれどこの作品を超えるものは永遠に作られないんじゃないでしょうか。語り口、撮影、展開、すべてが完璧に思えます。10点満点以外つけようがありません。しかしまあ、終盤近く、完全に騙されて、油断してました。ぴっくりしました。ベッケル監督の思うツボですね。ともあれ大傑作です。 【藤堂直己】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-07-26 16:08:21) 13.まず、映画でこんなに興奮したのが久しぶりだった。これがあるからやめられない。映画の楽しませ方をすごくよく理解してるし、そんな映画で失われがちなリアリズムもしっかり守る。そんな姿勢に惚れ惚れしてしまった。床ブチ破る過程や鉄柵をぶった切る過程を全部フィルムにおさめる事なんか不可能な訳で、そんな過程をどこまで見せるべきか、どこを見せるべきか、それがここまでうまくいくと、まるで全過程見たような気分にすらなるんやなぁ。長回しで拘ってそんなシーンを見せてくれた事に感謝すらした。鳴り響く音にアドレナリン出るわ。実はそのために色んなシーンが落とされてる訳やけど、落とされてる事が分かる以上要らん訳やしな。動機と結果、表情、セリフで伝わるものの大きさを再認識した。ラスト当然の流れで裏切ったガスパールに対しての、「情けの無いやつだ」の言葉。シンプルなのに身震いするような冷静さと余裕と哀愁と。。。ジャック・ベッケル・・・こんな作品が遺作になるなんて、なんと充実した監督人生哉。 【ハッシーふりかけ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-06-16 03:59:52) 12.《ネタバレ》 終盤の鏡にいっぱい人が映っていたのにはぞくっとしました!あれだけ苦労して掘っていった穴の結末がこうなるとは、、、アメリカ映画では絶対にないエンディングに大満足です! 【maemae】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-02-26 22:55:13) 11.退屈な瞬間など1つもなかった。最後の鏡のシーンは今でもゾっとするし、よくここまで表現できたと思う。 【のりまき】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-09-10 11:52:07) 10.このジャック・ベッケルという監督は、ジャン・ルノワールの弟子で、これが遺作となったそうだが、もう少し長生きして二三本でも撮っていれば、まちがいなく巨匠と呼ばれていたはずだ。惜しい。そう思わせるほど、この『穴』は凄い作品だ。ところで、もし私に子供がいたら、この映画を見せて、「おまえがこの先もし檻の中に入れられるようなことになったとしても、間違ってもこの裏切り者のような人間にだけはなるな」と言ってきかすだろう。 【goro】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-07-29 08:03:39) 9.ジャック・ベッケルにはずれなし。あっという間に見終わった。時間を感じさせない。 【wunderlich】さん 10点(2004-06-04 22:04:25) 8.これはスゴい。 【やぶ】さん 10点(2004-04-19 21:31:55) 7.この映画を観てから、ジョゼ・ジョヴァンニの原作を読んでみました。そしたら敗北感にうちひしがれた、ずいぶんうじうじした文章なんですね。映画では、囚人たちを粗暴に扱うことのない、ヒューマンな刑務所という印象が強かったので、正直意外でした。ジャック・ベッケルはサスペンスを前面に押し出すことで、この作品を、エンターテイメント性の強い脱獄映画に仕上げています。囚人たちの感情は、サスペンス性の下に抑圧されていて、最後の最後で大爆発します。傑作です。レンタル屋でベッケル監督の作品はあまり見つかりませんが、可能なかぎり探して観てみようと思います。 【円盤人】さん 10点(2004-02-09 03:21:03)(良:1票) 6.こんな緩急が抜群に効いた映画は他に思いつかない。正直最初の方は何かとつっこみながら(おいおい、そんなに音たてて大丈夫?とか。)見ていたけど、最後は完全に見入って、沈黙させられました。まったりとした展開に油断させられて、がつんとやられた。 【コーラL】さん 10点(2004-02-05 17:27:48) 5.こういう作品を見せられると、映画って実はなんの進歩もないばかりか、退歩してんじゃないか…と思わざるを得ない。いかにもジョゼ・ジョバンニらしい男の意気と意地に貫かれた”やくざもの”のドラマを、ベッケル監督が、まるでブレッソンの『抵抗』への対抗意識でもあるかのごとくストイックかつシンプルな大胆さで、圧倒的な「脱獄もの」に仕立てあげている。囚人たちが壁をガンガンと大きな音を建てて掘るシークェンスなんぞ、こっちが「聞こえるんじゃないの…」と心臓が縮みあがった。ラストの裏切り者に対する圧倒的な軽蔑の眼差しも、あんな眼で見られるような男にだけはなるまい、と妙に感じいったり。完全無欠な傑作であります。 【やましんの巻】さん 10点(2003-06-30 14:49:18) 4.昔の才能のある監督は皆そうだと思うが、余計なものを描かない。つまり、省略が上手い。掘って溜まった土を棄てるシーンを撮らなかった↓のは、単にこの映画の展開に適わなかったからじゃないでしょうか。この辺の処は、自身の実体験に基づいて原作を書いたジョゼ・ジョバンニに聞いてみない(あるいは原作にそういう描写がある?)と分かりませんが・・・。そういう訳で、この映画の評価が下がることには決してならないのでは? 確かに、『肉体の冠』は傑作です。というより、全部を見たわけではありませんけど「ジャック・ベッケルに凡作なし!」と宣言してしまいましょう。 【なるせたろう】さん 10点(2003-02-07 17:29:04)(良:1票) 3.脱獄映画の最高傑作。脱獄のアイデア、脆い人間関係、衝撃のラスト申し分なし。特筆すべきはカメラワーク、単純な穴を掘るシーンに緊張感を生んだ功績は大きい。脱獄を企てる5人も個性的で、人間模様だけでも飽きさせない作りはお見事!リアルな緊張感を求めるなら「ミッドナイト・エクスプレス」なんかより、断然お薦め!! 【ゆたKING】さん 10点(2002-12-15 16:54:07)
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