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2.ホークス『ハタリ!』の遥かな先駆けともなる小象のアクション。 迫力の白煙と放水の中で繰り広げられる列車と自動車の痛快アクション。 加えてキャロル・デンプスターが身体を張って懸命に走る、飛ぶ、よじ登るの クライマックスの大アクション。 そして随所に散りばめられたユーモラスなギャグに、華やかなダンスシーン。 その盛りだくさんのエンタテインメント精神も感動的だが、 それ以上にこの原初的アメリカ映画が胸を打つのは、 その快活なヒロインがふと垣間見せる、人を恋う孤独の表情だ。 南部のカーニヴァルにやってきたデンプスターが街中を一人で歩く。 誰のものとも知れぬ「母を悼む」墓石に彼女は一輪の花を手向ける姿が愛しい。 育ての親W・C・フィールズを慕い、幾度も抱き合い、全身で情愛を示す。 招かれた祖父母の家で、それと知らずに祖母と見つめ合い、触れ合うショットが美しい。 人を恋う、その普遍的・根源的なエモーションとアクションとの一体化が 強く心を引きつけてやまない。 ラスト、一人去りゆくW・C・フィールズに必死にしがみつくデンプスターの 見目はばからぬ懸命な身振りには涙、涙だ。 【ユーカラ】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2014-02-14 13:21:06) 1.グリフィスが素晴らしいのは、1ショットの美しさのために物語を語ることを放棄したこと、1ショットという概念を原初的に提示したこと。初期の短編にみられるドキュメンタリー的な美しさは、失われたアメリカの風景を捉えている、といったノスタルジックな文脈とは遙かに異なり、1ショットの持つ力に拘泥し物語を無視してしまったことによる。物語に奉仕する「クロス・カッティング」と、「リリアン・ギッシュの美しさについ近くに寄ってしまった」から発明された、いわば物語から逸脱するための「アップ」、その相反する技法を共に生みだした作家グリフィス。この映画はグリフィスの一方の集大成であるかのような映画、「アップ」だけの映画、キャロル・デンプスターの美しさだけを描いた映画です。寝床代わりのパン釜に入り、鏡を取り出すキャロル・デンプスター。そのロングショットから同軸上でアップつなぎ、逆光に煌めく髪をとき、化粧する美しい表情を捉える。これは、そんな素敵な瞬間だけで構成され、物語はそれを紡ぐ口実でしかない。それってヌーベルバーグじゃん!物語の作家、「クロスカッティング」の作家グリフィスと、物語を無視する作家、「アップ」の作家グリフィス。その両者の幸福な出会いがエリック・ロメールだ。 【まぶぜたろう】さん 10点(2003-12-08 01:51:11)(良:1票)
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