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【クチコミ・感想(10点検索)】
6.《ネタバレ》 成瀬巳喜男監督作品の中でも一番、観たかったこの映画のDVDが何と私のよく行く本屋さんでたったの千円で売られているのを見つけて、迷わず買ってきた。他にも小津・溝口といった日本を代表する監督のものもあったので買ってきた。そんな中で、観た。観た。もう、何もかもが懐かしくて、懐かしくてたまらん。懐かしさを描くのに、懐かしいと感じるのには普遍性が必要です。そんな普遍性、どこにでもあるような一般庶民の生活をただただ描いているだけで、こんなにも懐かしく、気持ち良く、すっきりと泣けるなんて、この映画を観て感じたことは、必要以上に語らなくても過剰な音楽などなくても、ただアイスキャンディや公園、遊園地といった描写を映すだけでこんなにも良い映画は撮れるんだというお手本のような作品です。田中絹代の母親、いかにも戦後間もない頃の母親って感じが漂う素晴らしさ、娘役の香川京子もこれまた素晴らしい。病死した父親に代わって母親の仕事を手伝う加東大介演じる木村への「べぇ!」てやる時の表情、障子の隙間に隠れてみたり、そっと顔を出す仕草も二人の子供達と遊ぶ時の姿も何かもが観ていて気持ちが良い。叔父さんの家に行くこととなった妹と母の妹の男の子と遊園地で遊んでるシーン、三人に手を振る母親田中絹代の優しげな顔つき、何もかも見ていて本当に癒される。ラストの方で男の子と相撲をとっている田中絹代の表情、それを障子の隙間からそっと隠れるようにして見ている香川京子、あぁぁぁぁ、何て何てこったあ!もう、完全にやられた。それにしてもこの映画に出てくる二人の子供の健気なこと。それだけでもヤバイぐらいなのに、その他の大人達の人間味溢れる演技の前にこんなにも気持ち良く泣ける作品を描けるこの監督さん、病み付きになりそうです。当然のことながら文句なし満点!満点以外は有り得ん! 【青観】さん [DVD(邦画)] 10点(2007-08-26 12:51:46)(良:1票)
5.ドベタなお涙頂戴映画を観るくらいなら衣装がおしゃれな駄作のほうがましという私ですけど、この映画は、笑いながら涙ぐんでしまいました。節目のシーンにうるさいBGMもつけないし、暗い気持ちになる葬式のシーンもなし。でもピクニック、遊園地、夏祭り、映画鑑賞など、そんなにお金をかけなくてもちょっと幸せな気分になれるイベントはたくさん出てきて、なんか生きる幸せをもらった感じ。うん、生きる=幸せなんだろうな、きっと。 【ミカエル】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-01-07 16:27:09)(良:1票)
4.珠玉の作品とはまさにこれのことでしょう。この映画で描かれている下町の風景や家族の日常は、懐かしさを通り越して、すでににどこかアジアの外国映画を見ているような感覚にさえ襲われた。しかし、この人々の素朴さや美しさは紛れもなく、半世紀ほど前の日本人の姿である。時代が変われば、人の価値観や生き方も変わるのは当然だが、失ってしまったものを愛惜するような、心の琴線に触れる大事なモノに出会ったというべきだろうか。家族の情愛というのは人類共通で、日本語がよく分からない外国人も、目に涙を溜めてこの映画を見ていた。 【lafish】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2006-02-19 08:39:05)(良:1票)
3.もうたまりません。子供たちがストーリーを無視して勝手なことばかりしてくれます。そうです、子供ってなんでもないことで口喧嘩するんです。突然意味の無いことをするんです。なにげに面白いことするんです。とりあえずなんでも言い返すんです。部屋の中を映せば絶対に目にする、しかしどうでもいいっちゃあ、どうでもいい光景が常に映し出される。演出で作り上げたものとは思えないほどの素の子供たちの笑顔が、お母さんはけして不幸ではないということを見せてくれます。下の娘を里子に出すとき、お母さんは泣かないし娘も淡々としている。抱き合って涙を誘ったっていいシーンである。しかしドラマチックにしなかったことで、この当時ではごく当たり前の光景なんだと非情な現実感を呼び起こす。それと同時にやっぱり泣けるのである。ドラマチックにしなくたって光を逆光にするだけで涙が出るんです。そして延々と映し出されていた子供たちのバカ丸出しの楽しいシーンがここで効いてくるんです。泣かされて、笑わされて、また泣かされて、また笑わされて、、映画館を出るときには泣きながら笑っていました。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-10-06 13:34:05)(良:1票)
2.なんと爽やかに泣ける映画なんでしょう。長女を演じる香川京子が障子の影に隠れてニコッと顔を出す・・・これなんです。戦後のクリーニング屋一家を舞台に、家族が一人また一人と消えていき、その時はみんな障子の影に隠れたように伏せるのですが、次にはニコッと顔を出し未来を覗かせるのです。おかあさんの奮闘ぶりも仰々しくなく、戦後に生きる庶民の生活=働く・着る・食べる・寝るを淡々とユーモラスに、そして愛情豊かに綴られるショットのリズムの心地よさ。“ママの思い出”のように語られる香川京子の独白は、思い出どころではなく、ここからしっかりと生きていくという母への誓願のように聞こえました。涙でしわくちゃになった顔にはどうぞアイロンでもあてて下さい。傑作です。 【彦馬】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-05-09 22:05:53)(良:3票)
1.川本三郎的というか、後ろ向きというか、日本映画を語る際の「ノスタルジック」な文脈、今はなき日本の風景を懐古する楽しみは、とりあえす私が老人になってからでもいいと思う。ただし、この作品は別だ。もちろんこの作品は私が生まれる20年以上前に制作され、描かれた風景はノスタルジーの範疇外のものである。しかし、この作品に描かれる風景のなんと懐かしいことか。銀座のバーや上流家庭、花柳界ではない、どこにでもある下町のごく当たり前の風景の心地よさ。職人さんが上がりがまちに腰掛け焼酎をすする。洗濯物を干す。店屋物を食べる。そんなごく当たり前の風景の中で描かれる「おかあさん」はあなたや私の母の姿のようだ。//もちろん、成瀬の技は冴えに冴えている。狭い室内で、田中絹代は主に目線を下にした立ち姿。絶妙な目線つなぎ、かっちょいい省略、季節の変化。例えば、加東大介と「おかあさん」を嫌悪の表情で見つめる香川京子、第三者の視線とナレーションとの見事な連携。しかし、そんなあれやこれやは途中から忘れてしまう。ただ泣きに泣く。//もし、あなたが成瀬作品を観たことがない幸福な観客だったら、「浮雲」ではなく、この作品や「石中先生行状記」から入るといいと思う。あるいは、「浮雲」を観てどんよりしてしまった若者諸君は、この作品で元気を取り戻して欲しい。この作品はただただ楽しくて愛しい、普通に泣け、普通に笑える極上の絶品だ。//そして香川京子が素晴らしい。香川京子(あるいは司葉子)を三船や自身の分身の添え物としか使うことの出来なかった巨匠に殺意すら抱くほど、成瀬作品の香川京子は素晴らしい。小さく舌を出してはにかむ、花嫁衣装に涙ぐむ、「私はお母さんが大好きです」と独白する…、恋人、岡田英次とたわいないやりとりを繰り返す香川京子の姿は、もしかしたら若い日の私の父と母の姿なのかもしれない。 【まぶぜたろう】さん 10点(2004-03-08 12:29:32)(良:4票)
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【点数情報】
Review人数 |
29人 |
平均点数 |
8.07点 |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 0 | 0.00% |
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5 | 0 | 0.00% |
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6 | 5 | 17.24% |
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7 | 5 | 17.24% |
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8 | 8 | 27.59% |
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9 | 5 | 17.24% |
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10 | 6 | 20.69% |
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【その他点数情報】
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