みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
14.《ネタバレ》 冒頭、マックス(G・ハックマン)とライオン(A・パチーノ)の出会いのシーンから、映画らしい息遣いに嬉しくなる。画面奥に長くのびる道路を大男のマックスがスタスタ歩いて行くと、後ろを背の低いライオンがちょこちょこ付いて行く。マンガみたいなでこぼこコンビの2人をカメラがロングショットで追う。風がビュービュー吹きすさぶ中、タンブルウィードが手前から奥にコロコロと転がる。奥行きのある画(え)と忍耐強いリズム。こういう画作りをする映画に最近はとんとお目にかからなくなった。ライターがつかないマックスにライオンが残り1本のマッチを惜しげもなく差し出し、2人の間に奇妙な友情の火が灯る。 2人は一緒に旅をすることになるが、粗暴なマックスは行く先々でトラブルを起こす。「寒いから」と言ってボロを何枚も重ね着しているのは、体ではなく心が冷え切っているのだ。他人を信じられない頑なな心を粗末な布切れで包み、必死で守っている。頑丈に覆われてはいない自我は脆く、些細なことで理性を失い攻撃の衝動を抑えられない。一方のライオンは、繊細な心を守るため「道化」を使う。「かかし(=スケアクロウ)は道化によって相手の信頼を得て危機を回避する」と言うのは彼らしい処世訓だ。そんな卑屈でひ弱なライオンの自我は、旅の途中で見舞われた不運、収容所での暴力によってバランスを崩し始める。 収容所では意地を張って友を守らなかった、その悔恨の思いがマックスを変える。喧嘩騒ぎを起こしかけた酒場で、寸でのところで拳を収めストリップでおどけて窮地を脱したマックス。他人に踏み込まれないよう、後生大事に守ってきた心を開かんと1枚1枚洋服を脱いでいく、不格好な大男の滑稽なダンスに涙が出た。彼はここで古い自分を脱ぎ捨てたのだ。ジーン・ハックマンの無骨な笑顔が眩しい。 マックスが人との繋がりを信じ始めていた時、ライオンは元妻との電話で人との繋がりを断たれてしまう。彼女に拒絶されウソをつかれるのだ。これは身重の身で捨てられた妻の復讐だったのか。不安定になっていた彼にはそれが決定打となってしまった。放心したように噴水の中に入っていくライオン。心理学で水は「無意識」を現わすが、意識の閾を越えて精神の闇に陥ってしまった比喩とも取れる。彼は心を閉ざし廃人のようになってしまう。診断した医師が「州立病院に移す」と言うのだが、当時のアメリカはベトナム帰還兵のPTSDが深刻で、精神病患者が増大し州立病院は軒並み精神病院に転換したというから、そのセリフの意味するところが推し量れる。そんなライオンを助けるためにマックスは開業資金として貯めていた金を、今度は自分の方が惜しげもなく友に捧げようとする。 ラストシーンは忘れられない。空港カウンターでのこの男のふるまいったら。こんなに無作法でカッコ悪い主人公がいるだろうか。「人は変われる」・・・そんなメッセージをこの映画から感じていたのに、最後にこんな姿を見せられたら、本当に彼は帰ってくるのか?と不安がよぎってしまう。人は変われる?そんな甘いものか?分からない。分からないけど信じたい。そんな、観客の祈るような思いを宙づりにして物語は幕を下ろす。ニューシネマは安心なんかさせてくれない(笑)。でも、このツンデレがたまらなく好きだ。 【ポッシュ】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2017-07-24 11:05:23) 13.《ネタバレ》 カカシは鴉を怖がらせているのか、笑わせているのか。どっちにしろカカシであることに違いは無い。それはパーソナルな領域に踏み込ませない、繊細さを隠す壁、本心では受け入れてもらいたいのだけどあまりに不器用。それを道化と気付いても、弱者が素直に生きるには辛過ぎる世の中。夕暮れのカカシの哀しさよ、それでも二人なら、俺とお前がいれば、ちっぽけな夢や希望さえ失ってしまったとしても、この船が泥舟だとしても!涙、涙、涙。 【長谷川アーリオ・オーリオ】さん [DVD(字幕)] 10点(2011-06-12 05:22:46) 12.《ネタバレ》 久々にDVDで見直しましたがやはり何度観てもいい映画です。僕のお気に入りのジャンルにロードムービーがある。そしてそれがバディムービーならなお良い。その2人の男が不器用でカネも無いけどささやかな夢があり、憎めない愛すべき連中ならなお良い。そんな奴らが旅をするのは埃っぽいアメリカの中西部ならなお良い。旅はヒッチハイクや貨物列車のタダ乗りがいい。そんな二人が喉の渇きを癒し、空腹を満たすのは街の中のしゃれたレストランではなく、寂れた町の埃っぽい道路脇に佇む小さな店でなければならない。そんな店でまずは煙草か安葉巻に火を付け、熱いコーヒーかよく冷えたビールを頼む。食事はオートミールやトーストにスクランブルエッグ、ベーコンやポテトがいい。(一度アメリカに旅行してこんな店でこんな食事をするのに実は憧れているんですよね。)つまり本作は僕の大好きな設定がこれでもかと言う位揃っているのです。大男で血の気の多いマックスと小柄で実は繊細なライオン、このコンビも実にいい。マックスが小柄なライオンの肩を抱き語りかけるのですが、これがまたいい絵なんですよね。更にこの作品は最初と最後が素晴らしい。殺風景な田舎の一本道で二人が出会う。お互い意識しながらも微妙な距離感を保っている。そんな様子が可笑しく、そんな二人を結びつけたのが一本のマッチの小さな炎というのがまたいい。デトロイトには悲劇が待っていましたが、「俺一人じゃダメだ。あの電話ボックスに戻ってやり直そう」と語りかけるマックスの姿は何度観ても泣けます。マックスがデトロイトーピッツバーグ間の往復切符を買うラストは2人のこれからに小さいながらも確実に希望を感じさせてくれます。そして靴の中に隠した金を出すマックスを見て寝る時も靴を枕元に置いて片時も離さない理由がよ~く分かりました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-06-29 22:34:13)(良:3票) 11.「成功した映画」かどうかはともかく、ワタシにとっては「好きな映画」であるという、ただその一点。物語だけを取り出してみれば、実は結構、作り物めいたクサイお話なんだけども、2人のクセモノ俳優による自由で気ままな(に見える)やりとりが、違和感を感じさせず、これぞまさに映画の勝利、だと思う。映画冒頭にて、まるでどこか地の底から湧いてきたように登場する、どこの馬の骨とも知れぬ2人の風来坊、最後まで馬の骨に過ぎない2人であるけれども、映画を通じて、我々も彼らにある種の友情を感じずにはいられない。この映画の主人公2人とは、人生の主役(ハックマン)と人生の脇役(パチーノ)であって、この物語は結局、「脇役が最後に主役にさせられてしまった瞬間の悲劇」を描いたものだと思っている。それにしても何と暖かく描かれた悲劇であることか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-05-16 12:00:36)(良:1票) 10.《ネタバレ》 ほぼ同じ時期にゴッド・ファーザーを演じたアルが名もないダメ男を演じる。子供のような大きい眼をして。カミサンと子供がいたり刑務所暮らしであったりして十分世間の垢をまとっている筈だが異常な程に純真無垢な30男。相棒の大男の頑なな心はその厚着と共に一枚一枚はぎとられていく。しかし自分の心の拠り所を失った瞬間、彼は崩壊する。あっけなくも無残に。純真すぎたでくのぼう(かかし)には耐えられない醜悪な世界。この時期のアルだから演じられた一世一代の名演技。 酒場で喧嘩しているジーン・ハックマンを止めて、どこからか潜水服を持ち出しておどける場面を見るたび泣けてくる。そしてかつては純白だったリボン付きの大きな箱。少しずつ汚されてひしゃげて、ついには置き去りにされる大きな白かった箱。あれはライオン自身なのだろうか。 【SIG】さん [映画館(字幕)] 10点(2009-01-18 07:01:03) 9.アルパチーノさいこおおおおおおおお! 【norainu】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-09-04 00:29:48) 8.アルパチーノの黄金期(70~80年代初め)の作品は外れがないです。 【TVC15】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-02-25 10:50:41) 7.大学生になりたての頃に観て、すごく衝撃を覚えた作品。最初のマッチ擦り擦りの出会いから最後の靴のシーンまで、ストーリーは淡々としたものだし、派手な展開もないけれど、作品自体がとても「向き合っている」という印象を受ける。その当時、凡百のエンターテイメント作品に飽き飽きしていた僕にとって、この真摯なロードムービーはかなり心に堪えました。人が真っ当に生きていく為に大事なものとは何か? 信じることに疑問が生じ、優しさに裏切られ始めたあの頃。人生って、ちょっとしたボタンの掛け違い、ほんのちょっとした思い違いで取り返しのつかない事態を招いてしまう。それは当たり前のことなんだけど、取り返しのつかなさがあまりにも境遇的なところに因っていて、そのどうしようもなさが辛い。。。 誠実さの行く末とはいつもこんなものなのかなぁ、と。ある意味でそれはアメリカ的な現実で、そんな現実の側面に当時の僕はささやかな衝撃的を受けたのだと今では思う。それは単なるニューシネマ特有の青さかもしれないが、僕にとってものすごく切実だったのです。とても思い入れのある映画、故に大傑作です。 【onomichi】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-07-10 19:57:25)(良:1票) 6.それぞれ違った形での孤独に苛まれる二人の男達を名優二人が鳥肌物の熱演で見事に表現。世界観もやカメラワークも大好きです。ジーンハックマンはもちろんだが、病的な孤独感を抱えながらそれを何かで押さえ込んでいる繊細な青年を見事に演じ切っている。この抑制された哀愁は現在の哀愁の塊のような(もちろん褒め言葉です)パチーノにはない魅力ですね。若かりしパチーノの映画では印象は地味ですが、ゴッドファーザーに並ぶ名作と思っています。 【犬】さん 10点(2003-10-30 02:37:47) 5.主役の二人は、どちらも怖いくらいの名演。冒頭、枯れ草転がる荒野の真ん中のフリーウェイで、男が二人マッチの火をきっかけに旅を共にする。この場面だけでも名作の匂いが香水のように漂う。タイトルの込められた意味も切なく、切なく、優しい。 【ひろみつ】さん 10点(2003-10-25 00:03:18) 4.あまりにもせつない物語。情感豊かな淡々とした運び。登場人物から滲み出てくるような生き方の記憶。パチーノさんは勿論ですが、ハックマンさんが素晴らしい。個人的にはパチーノさん出演作の中で一番印象に残った名作です。 【ロバちゃん】さん 10点(2003-07-23 12:36:00) 3.この時代の作品には切なさややりきれなさといった人間の感情がちゃんとありました。そうだからこそ、些細な希望や喜びが大きく印象付けられ感情移入できたのでしょう。スカスカのブロックバスターでは到底味わえない感情です。電話ボックスのライオンの姿は強烈に胸を締め付けられます。 【モートルの玉】さん 10点(2003-06-15 05:42:04) 2.初めは異常な厚着だったハックマンがいつしか薄着になっているところ。アル・パシーノの抱えたプレゼントがいつしか薄汚れていることろ。いつも他人のことに頑張って、いつしか自分が壊れていくライオン。カーウオッシュをやろうと言われて、すぐOKするところ。いつのまにか潜水服姿になってるライオン。思い出すと目が潤む。私のベストワン。 【SIG】さん 10点(2003-01-24 19:16:25)(良:1票) 1.この映画オープニングが全てだよなぁ 【B/67】さん 10点(2000-10-20 07:14:53)
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