みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
22.《ネタバレ》 超スッキリ! 笑っちゃうほど後味もサイコーに良い映画です。 また近いうちに観たいですし観るでしょう。 それから愛情とは何かを確認できました。 少年Aの母親への愛情こそ、「本当の愛」ですね、現実の。 馬鹿馬鹿しい。 爆弾を外したとき、主人公はAを赦すことで救われたかと思った。 が、甘かった! まさかあっちに仕掛けなおすとは(参りました)。 映画って本当にいいものですね。 【余談】冒頭の教室で「能年玲奈?」と思って確認したら、やっぱりそうでした。 ネットで『あまちゃん』以前の顔を知っているので(つまり知らなかったら気付かなかった)。 さて、命の重さのついて。知らない他人の(現実の)死は、目の前の水槽の中の…小魚の死より小さい。 なしとあり、ゼロと1だから。 【激辛カレーライス】さん [DVD(邦画)] 10点(2016-07-17 00:49:15) 21.《ネタバレ》 原作未読。 どんなに復讐しようとも、子を殺された親の心は晴れることはないのに、その復讐さえ叶わない。子を殺した加害者は、特に少年であれば、更生という名の下に、生きることが許される。さて、そこで、普通なら叶わない復讐を、完膚なきまでに、やれたとしたら…。常軌を逸した加害者には常軌を逸した復讐でないと復讐足りえず、それは何が残酷かであるかを知っている大人にしか出来ない、復讐。 さすが邦画!の素晴らしさ。 【なこちん】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-02-03 05:22:01) 20.めっちゃ暗い映画だけど暗さを感じなかったのは監督の腕ですかね。おもろいかった 【どちて坊や】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-18 00:35:10) 19.普段はああまり邦画を観ないんですが、とても評価が高いということで鑑賞。 こんな映画は初めて観ました。 映像・音楽・演出、どれも素晴らしくて、あっという間の二時間でした。 正直、もっとこの世界に浸っていたいと思ってしまった。 R15の作品なので、中学生には観て貰えない作品ですが、中学生にこそ観てほしい作品だと感じました。 【抹茶御膳】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-07-31 19:07:54) 18.《ネタバレ》 内容的にかなりハードな映画で、テレビCMみたいに気軽な感じで「なんてね」なんて絶対にいう事の出来ない内容だと思います。手法としては数幕ものの舞台を見ている感覚ですね。それはそれで悪くないと思います。原作を上手く映像に出来たんじゃないかと思えましたからね。 但し、若干の難点を言わせていただければ、かなり設定に内容に無理や甘さがあるのは否めません。あんな古典的な、おもちゃで賞なんて取れねぇよ!(あのくらいのおもちゃは、簡単な知識さえあれば、小学生にだって出来てしまう)とか、一度解除してしまった爆弾を再度利用するとか、あの規模の爆弾で建物があんなにはならないとか、ツッコミどころが非常に多かったりしてね。結構重要な部分であるだけにあれは無いよなぁ、と映画を観ているテンションを下げてしまうシーンでした。 あと、あのCGの使い方、あれは無いよなぁ。終盤のシーンで爆発のシーンを叙情的に表現したかったのかもしれないけど、あそこだけ、間延びしてるんだよね。時間の長さと感情がイコールであるというのを表現したかったのかもしれないけど、見てるあたしが"長い"と感じてしまったので、あれはもうちょっと抑えるべきだったかな、と。 【奥州亭三景】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-07-12 01:51:48) 17.一言で言って爽快エンターテイメントホラーである。当分三菱東京UFJ銀行のコマーシャルに木村佳乃が出てくる度に背筋を凍らせることになりそうだ。 「観客が喜ぶことを第一に考えた」と称してテレビ局が制作する素人観光映像はもちろん百万光年引き離している。それどころか、世界の北野を軽く抜き去り、クリントイーストウッドをも脅かす出来だ。同じ松たか子出演の映画HEROが、松たか子の素材の味を貶め、映画の筋にすら関係のない韓国観光映像を挿入することをエンターテイメントと称して観客をコケにしているのと比較すると、この映画は松たか子の素材を120%生かし、とにかく観客を画面に釘付けにすることに徹し、見事に成功している。私がこれほど映画に没頭したのは、大げさに言えばエイリアン以来のことだ。イーストウッドのチェンジリングのエンターテイメント性も極上だが、この映画はエンターテイメント性において一枚上をいってる。北野たけしの「座頭市」も「エンターテイメントに徹した」と監督がコメントしていたが、率直にいってこの映画の敵ではない。実に爽快ではないか。映画なんてマーケティングだ、とほざいて鑑賞に耐えない稚拙な映像を垂れ流す人たちは、この映画を観てエンターテイメントを正しく再認識し、顔を赤らめ、謙虚に前進することになるに違いない。日本映画復活の狼煙はあがったのだ。 なーんてね。 【正義と微笑】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-07-11 20:58:26)(良:2票) 16.《ネタバレ》 『告白』は今年の日本映画界の「事件」だ。完全に心を捕えられた。 あとで興味を持って原作も読んだが、湊かなえ氏が心の深い所で抱えながら 文章では描ききれなかったかもしれない、その凄まじいほどの「熱」を この映像は見事に描いてみせた。 原作もショッキングな内容であるため、いくらでもおどろおどろしく描くことが出来たに違いない。或いは「少年法」云々…という社会性の強いメッセージが残るようなリアリティーのある表現法を用いることも出来たはず。しかし中島監督の関心は恐らくそんなところにはなかったのだろう。驚いたことに中島監督はこの『告白』を、ほとんどファンタジーとして描いた。「報復」というテーマをそのままリアルに描いたところで、それは偽善的か偽悪的にしか多分ならないし、報復を「Yes」や「No」で描くことはいずれでも人間を絶望させてしまうだろう。しかし詩的でさえある卓越した映像表現(そして、予測がつかないような見事な音楽表現)によって、観る者の心に自由に語り、観る者を信頼して委ねている、そんな完成度の高いファンタジックな作品だ。 そしてその根っこに見えてくるのは、中島監督の、人間に対する熱い熱い「愛」だ。特に「逆回転時計」(原作ではそれほど多く言及されない)をクライマックスに持ってくる映像には息を呑んだ。「時」は絶対に元に戻らない。そこに人間の悲劇がある。「あの時、あんなことがなかったなら!」と、人は何度過去を呪ったり、後悔したりすることだろう。そんな人間に対して「時よ、戻れ!」と中島監督はやってみせた!スローモーションの多用も、残酷な「時」の流れに対して「待った!」をかけているとも言えるのではないか。また、時折挟み込まれる、空の映像も印象的だ。いつも太陽が隠れている。希望が見えにくい人間の現実。しかし最後の最後、エンドタイトルで、太陽が雲から現れようとしているようにも見える!これは監督の祈りにも似た思いのようにも思えた。他にも、カーブミラーを効果的に用いることによって、自らの姿を相対化して見ることへの促しと、大きな者(神)の存在に映る視座さえも感じる。 松たか子は意外なほど登場している時間は短いが、その存在は圧倒的。ああ、今年も主演女優賞(キネマ旬報等)は松たか子か。だとしたら、去年はぺ・ドゥナ(『空気人形』)に取って貰いたかった! 【ワンス・モア】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-27 21:21:18) 15.最後の場面。生徒Aと対峙した森口先生の表情が、頭から消えません。押し殺してきた幾つもの想いが、今まさにこの瞬間、渾然一体となって発露した。壮絶な心情はある種の美しさを伴い、観客の心を打ち抜きます。先生が口にした最後の言葉が本作の全てだと思う。これほど重い軽口を聞いたことがありません。たった一言の皮肉に、どれほどの意味が込められているのか。その真意を量れるかどうかで、本作の評価は変わると思う。 【目隠シスト】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-24 19:54:02)(良:2票) 14.《ネタバレ》 一言では言い表せられない作品です。後味が悪すぎて、簡単には人にお薦めできないです。でもとにかく凄い!こうも映画化しにくい物語を、忠実に、むしろ映像の良さが表現されていて…。原作では、第六章で成り立ち、とにかくそれぞれの人物が一方的に語っていく訳ですが、映画で表現すると、このような展開になるのか…と、中島監督の手腕に脱帽です。また、役者陣の思わず唸ってしまうような芝居も魅力でした。主役の松たか子は文句なしです。原作ではとにかく冷静な(非情で冷血ともいえる)イメージですが、彼女が演じることによって、どこか柔らかい女性像がみえました。演技指導が厳しいことで有名な中島監督ですが、撮影現場はどのようなものだったのでしょう?(笑)一番感心したシーンは修哉が母親に見捨てられた時に聞こえた、泡が弾ける音。シャボン玉。これは映像でないと表現されませんね。私は、映画を見て、原作を読みましたが、もう一度映画を見ようと思います。 【西川家】さん [試写会(邦画)] 10点(2010-06-19 07:41:39) 13.《ネタバレ》 レディースデーの劇場で鑑賞。周囲は、団体のおばちゃん達がたくさんで、「うるさかったら、やだな・・」と思いつつの鑑賞だったが、そんな心配は全く無用。周囲に人が居ることすら忘れるほどに、冒頭から映画の世界に吸い込まれ、そしてエンドロールが終わるまで、観客全員が息をのんだ状態だったような気がする。ずっと読みたかった原作だったが、未読のまま、先に映画を見ることになった。監督のこれまでの作品と比べてどうかとか、難しいことは一切わからないけど、単純に、すごい映画を見てしまった・・と思う。中学1,2年の頃の自分は、自意識過剰で自己中心的で、ものすごく打たれ弱くて、今の年齢になって考えると心底虫酸が走る嫌な人間だった。大人になって初めて見えてくる、あの年代特有の嫌な部分を、これでもかって程に見せつけられる不愉快さ。自分の子どものことにしか心が動かない、少年B母の狂気。愛するわが子を失ったことで、感情も失ってしまったような森口の顔(妙に眉毛が薄い、松たか子のメークが絶妙!)。さらに、個人的には、牛乳をこぼすと、何度も何度も拭いて、匂い残りをチェックせずには居られない方なので、牛乳のシーンには、かなり不快感を煽られた。そして、憎いはずの少年A の「告白」シーンでは、少しだけ彼に同情してしまったり、森口の復讐行為に、「ちょっとやりすぎじゃ・・」と思う反面、実は胸のすく思いがあったりと、相当に感情を揺さぶられた。そして重苦しい空気に包まれた100分間だった。 【おおるいこるい】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-16 22:11:37) 12.《ネタバレ》 原作未読。映画を見た感想は「お腹いっぱいご馳走様でした!」と数年ぶりに大満足できた一本です!! 冒頭は、私語ばかりで落ち着きのない生徒たちと、それを当たり前にして話をする教師の姿にイラッとしましたが、ラストにはそんな気分もすっかり消え失せてニヤリ&スッキリ。ものすごくスカッとしました! 日頃「子供産んで無責任な育て方してる奴は社会の迷惑だ」と思ってる口なので、不謹慎と思われようと、今回の物語の二人の母親がその責任を取らされたのが気持ち良かったです。少なくとも今回の物語のケースは二人とも母親失格間違いなし(なので「こんなしっかりした親にしっかり育てられて、何故?!」というようなケースならどうなのか気になりますが)。しかし大人の男が全く存在しない世界の話でしたが(ウェルテルもまだ若すぎて「大人」ではない)、これはしっかりした大人の男が不在の社会がいかにして甘ちゃんで勝手な子供たちを作り出すかというのを見せられた思いです。そもそも物語から無視されるほど、男親側も情けない。【追記】以前、少年院の子供たちの手記集を読んだことがあるが、ある程度同情はできても「そんな甘えで人を殺すな!」「ふざけんな!」と怒りたくなるものがいくつもあった。テレビ報道を賑わせた有名事件も含め、犯罪動機のほとんどはバカバカしさに満ちている(大人の犯罪だってバカバカしいのは多い)。なかには自分自身の心理さえつかめなくて真実の動機など本人にも把握できてないケースもあるだろう。現実にバカバカしい悲劇が何件もある。失った命の天秤の向こう側にあったものの質がそういうことなのだ。それだけに主人公森口の放つ「どうしてですか」の末の「バカバカしい!」は印象大。命の重さを表す「パチン」と「ドカーン」の対比もいい。昔は真剣に向き合って叱ってくれる恐い大人というものがいた。今は「子供と同じ土俵に立って大人げない」なんて言われかねない世だが、一方で「子供も大人と同じに法で罰しろ」とも言う。少年法云々の前に、子供たちを作り育てているのは大人たち社会であることを思う。その大人の責任が先。自分の場合、少なくとも命に関わることされれば真剣怒る。反省したふりなんて楽勝でこなしそうな少年Aなど、司法や警察や世間といった他人任せで済ますほど自分は他人の心や力を信じないし、本当に痛みを思い知らせることができるのは当事者だけだと思う。 【だみお】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-14 16:45:53) 11.《ネタバレ》 大賞受賞に偽り無し!面白すぎて一気に読破してしまった湊かなえの原作。 ベストセラーの低脳映画化などよくある事、不安過多で鑑賞したが、この作品の出来栄えは想像を遥かに超えていた。この作品のもつ“あの”異様な空気が存在し続け、鑑賞時間があっという間に感じてしまったほど。 既に内容など分かってるのにここまで面白いと思ったのは稀ですし、この監督と自分はシンクロしてたのかと思うほど想像どおりの映像化なのが怖い。。面白いと一概に言うのは語弊があるけども素晴らしい作品。今後は「告白」の監督と宣伝文句決定か!?(笑) 物語は原作同様に登場人物の告白、各々の主観形式で進んでゆく。それ故、序盤から非常に台詞が多いのも特徴だが、その台詞ひとつひとつがシークエンスとなってる点も興味深い。「人間の失敗作だよ」ではなかったのはアレですが、一語一句に至るまでもほぼ忠実。映画なりに脚本はコンパクトに纏まられているが、全体が青白いトーンであったり、モノローグの挿入方法やカメラの目線や高さがどうしてあの位置なのかなど、映像化への昇華、演出が見事というしかない。 先生の告白で始まるファーストシーンは特に象徴的であり、これから語られる作品の異様さがにじみ出ている。学級崩壊寸前の雰囲気の中、淡々と冷静に淡白に語る先生。そして生徒が興味を惹くキーワードを小出しに話していくにつれ、静まり返っていく教室内。このあたりはホント背筋の凍る怖さを感じました。松たか子のキャスティングは良かったがウェルテルはちょっとイメージ違ったかな。 賛否両論のクライマックス、逆周り時計のエピソードがあんな形ででてくるとは驚き。後味良くないと思われつつも「ドッカーン」で気分スッキリしたのは自分です…なんてね! 【シネマブルク】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-13 12:24:17) 10.凄い映画でした。自分ごときには、うまく感想が書けそうにありません。点数のみで失礼します。 【KAZY】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-12 15:47:37) 9.《ネタバレ》 凄い映画を見た。きっと日本の歴史に残る偉大な作品になるだろう。文句のつけようがない素晴らしい原作。それを映像化する事によって活字では生み出せない、残酷さ、悲惨さ、そして美しさを垣間見せる事ができたのではないだろうか。物語は女教師の告白から始まり、その告白に関わった人物それぞれの視線からの告白で進められる。この斬新なストーリー展開がじわじわと我々に訴えかけてくる。物事は一方的な考えで判断する事はできないと。教育とは何か?あくまで教師と生徒という立場で丁寧な言葉で接し、同じ目線に立って行う教育。はたまた教師という壁を取り払い、身内のような、兄弟のような関係でタメ口で話し、あだ名で呼び合って行う教育。命の重みとは?娘のためなら自分の命を投げ打ってもいいと思うものもいる。自分を認めてもらうためにそれを奪って注目を浴びようとするものもいる。愛するとは?例え殺人を犯した人間であろうとその人を理解しようとするものがいる。ただの暇つぶしで自分の理解者を弄ぶものがいる。そういった物事の多面性を上手く描き、それらが醸し出す人間の暗黒面の姿は見てるものに不快感な衝撃をも与える。う~ん、この作品、文句のつけようがないわ。 【関白宣言】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-09 00:52:41)(良:1票) 8.《ネタバレ》 原作未読。娘を殺された女教師の告白と復讐なのかと思いましたが、関わった人間のそれぞれの視点からの告白という形態で、誤解や偏見による見解の相違や論理感で悲劇を生みだし進んでいく展開は中島監督の演出の巧さもあってグイグイと引き込まれるモノがありましたね。編集や間の取り方、子役も上手いし音楽も良いな。 学生時代を思い出しながら観ましたが、「いるよなぁ、このタイプ」と思うような生徒達と無駄に熱血で話を大きくする先生、現実を直視できない母親、子供が思うようにいかないと切れる母親などリアルを感じました。 感情が死んだのかと思わせるような淡々とした口調で告白する森口。彼女は理論的で理詰めで精神的に追い詰めるやり口で怖かったな。最後の「なぁ~んてね。」って台詞は色々なトコに掛けているような解釈ができるので深みが増した。 学級崩壊、いじめ、徒党を組み場の雰囲気に流されノリで悪さを繰り返す少年法に守られた冷めた子供たち。守られていると解った上で軽々しく人の命を奪うのは稀な例だが、命の重みを理解するには自分の大事なモノが壊されないと、ってのは感じますね。全てお遊び感覚なんだろうな。日本の未来はどうなるんだろう。 まぁこの無軌道な子供たちやその親に鉄槌を喰らわすような作品をよく撮ったし、凄いなとしか言えませんわ中島監督。これに対して観た人がちゃんと理解し、向き合うかはその人次第だろうけどね。 【ロカホリ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-08 22:26:59)(良:1票) 7.《ネタバレ》 告白とは主観だ。そこには話者の思い込みや誤解、そして嘘が含まれる。つまり告白とは純然たる真実をありのままに語るものであるとは限らない。少年と少女が睦まじく戯れる同じ光景が、少女の告白においてはまぎれもない恋である一方、少年の告白の上ではくだらない暇つぶしに過ぎないようにだ。いびつな道路反射鏡や防犯ミラー、あるいは姿見に反転させて中島哲也監督が描くのは、そうしたこの世界の不確実さだ。窓外の風景は常に磨りガラスやカーテンにより遮蔽され、リアルから切り取られたその世界の上空には常に不純物としての雲が配置される。時に鈍色に時に茜色に空を蔽う雲は、まるで真実を不透明に彩る彼らの告白=嘘の暗喩のようだ。森口先生の娘を殺した修哉と直樹それぞれの嘘、直樹の母親の嘘、修哉の理解者たる美月の嘘、1年B組の教室に渦巻く嘘、さらには熱血教師ウェルテルの滑稽な存在意義それ自体の嘘。だが、無限の嘘で塗り固められたその箱庭を、中島は最後の最後に容赦なく爆破する。そうしてそこにただ一つの真実を強烈に叩きつける。それは、粉々に魂を砕かれる人間の、想像を絶する痛みと、断末魔だ。中島が『夏時間の大人たち』や『嫌われ松子の一生』で祈るように描いてきた、階段上の一室で両手をひろげて自分を待ち侘びてくれる、大切なだれかの愛情。修哉にとってのその階段が、愛が、木っ端微塵に破壊され焼失するさまは、まさに胸をえぐるばかりの壮絶さだ。愛する人に見せたかったくだらない発明品=逆回り時計によって甦る彼の切望した光景が、針を戻したこの装置に再び跡形もなく焼き尽くされるその地獄。牛乳に血を混ぜたと語る森口の告白を、美月の告白における森口が覆したように、時限爆弾の顛末もまた森口の嘘であったかもしれない。「あなた方は嘘をつくのが実に上手」だと生徒たちを評する彼女にとっては、その嘘こそを彼らへの復讐の刃とすることに大きな意味があるからだ。大切なものが消える音が私にも聞こえたと森口は言う。すさまじい形相で彼女が放つ爆発音は、あの夜プールサイドで彼女自身が聞いた、その音でもあるだろう。そうして森口が突きつける、本当の地獄。想像を絶するその痛みに自らも貫かれた時、少年Aはようやく森口と同じ地平に立つ。リアリズムの映画ではない。正しい映画でもない。だが、ただ一つの真実が、凄まじいその痛みが、観る者の胸をも木っ端微塵に打ち砕く。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-08 12:36:37)(良:3票) 6.《ネタバレ》 公開前に本屋で流れていた予告編があまりに狂気に満ちていて、続けて3回見てしまったけど、気がついたら隣のおっさんも同じように見ていた。本編観賞後、予告編に偽り無しと思いました。オープニングからの緊張感、同時に感じる生徒役たちへの苛立ち、告白は怒濤の展開へ。でもこれで終わらない。メインキャラの存在感はもちろんですが、この映画の真の立役者は生徒役達だと思います。メインキャラ達の周りでドミノ倒しのように動き、あるいはマスゲームのように静止する彼らが、個のなさ、集団になると暴走する姿、狂気が加速していく様子に背筋が冷たくなりました。教室でのキスシーンなんて残酷すぎて直視できなかった。この映画はメインキャラたちの「告白」を繋ぎ合わせて成立していますが、映画本編自体をその他生徒役達からの「告白」だと思って鑑賞すると面白いかもしれません。最後になりましたが、やっぱりレディオヘッド最高。 【キュウリと蜂蜜】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-08 01:58:12) 5.《ネタバレ》 前回のパコにはがっかりしたが、今回復活。いや、復活どころか、 あらゆる賞を総なめにするんじゃないかというものすごい出来。 今後これ以上のものを監督は作れるのだろうか。 木村佳乃にはきわめて派手な演技をさせ、対して松たか子には抑えに抑えた演技をさせるという演出の妙。 その他大勢の生徒も含めて役者全員がうまい。監督の指導だろう。 カメラは、もう1シーン、1シーン、練りに練りまくった洗練された構図。音楽もいい。 登場人物の誰が一番の元凶なのか、まったくわからない。全員が悪魔であり、全員が天使であるような。 とにかくそこらのホラーの数倍は怖い。 そこはついちゃいけないだろという人の心のタブーに容赦なく切れ込んでいく。 自分は辛くて二度と見たくないが、他人には猛然と勧めたくなる作品です。 見ないと絶対後悔します。でも、見ても絶対後悔すると思う。 こっちの映画館は超満員、でも上映終了後、葬式のようにシーンと静まりかえってました。 【うさぎ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-08 00:55:14) 4.《ネタバレ》 迷わず10点。人物の描き方、冷たい映像の色、テンポ、最後に向かうカタルシス、何をとっても一級品。中島監督最高作だとおもう。満席の映画館で最後のタイトルの時に席を立ったのはほんの数人だったほど。俳優陣のがんばりもすごい。特に松たか子の「抑えた演技」と「爆発する演技」、その落差に心をつかんで揺さぶられました。彼女の天才っぷりを楽しむだけでも1800円に値します。これを見ずして今年の日本映画はきっと語れないでしょう。 【ケルタ】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-07 18:11:40) 3.また一つ”ただ事ではない”映画が誕生したと思う。 映画公開を前にして、湊かなえの原作を読んだ。 「問題作」という評に違わず、すぐ身近に存在し得る人間環境を描写しているにも関わらず、今までに感じたことの無い禍々しさとおぞましさに溢れた非常に後味の悪い小説だった。 しかし、後味の悪さを感じつつ、妙な爽快感も覚える自分がいて、そのことが更に後味を悪くした。 普通、これほど「後味の悪さ」を感じる物語は一方的に拒絶したくなるものだが、この作品はそれを許さない。 圧倒的な後味の悪さで突き放された途端、更に作品の世界観に引きつけられてしまう。 そうして、どっぷりとこの作品が持つ根本的な「悪意」に呑み込まれる。 原作を読む前、この映画化の監督が中島哲也だということを聞き、大いに意外に思った。 ストーリーの粗筋や、単行本の表紙を見る限り、極めて「色彩」のない物語だという印象を持っていたからだ。 「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」の過去作品において、破天荒なまでのカラフルさを見せつけてきた監督が、果たして巧く機能するのかと疑問に思った。 でも、原作を読み終えた瞬間、中島哲也によるこの映画化はきっと成功すると思えた。 読む前の印象の通り、この物語に「色彩」は乏しい。 人間の陰と闇、それらを生む絶望的に眩しい光。そして、牛乳の白と、血液の赤。この原作から受けた色彩はそれらのみと言っていい。 ただ、その限られた色彩を、明確に描き出せる映画監督は、この人をおいて他にいないだろうと思った。 この物語の表現において不可欠な要素は、劇場的なテンションの高さだ。 描き出され、展開されるシーンはどこまでも陰湿で救いがない。 しかし、それをジメジメとした感情で表現せず、乾いた笑いで弾き飛ばすようなテンションの高さで表現する。 それが殊更に憎悪と悪意を膨らませ、爆発する。 その原作が持つ本質的な悪意を、更に増幅させ、映画として爆発させるには、それ相応の悪意を持った映画監督でなければ無理だったろう。 問題作と言われる原作をたとえ忠実に映画化したとしても、普通その映画は問題作にはならない。 もう一度言うが、この映画はただ事ではない。明らかに「問題作」だ。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-06-06 22:26:39)(良:2票)
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