みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(10点検索)】
3.《ネタバレ》 映画の編集は人生の選択が如し。確かにその通りですが、普段私が意識するのは『選んだ方』ばかりです。『選ばなかった方』=切り捨てた可能性に目を向けることはしません。思うにそれは恐ろしいから。己が人生と向き合ってきた自信がないからとも言えます。その点、主人公は立派でした。自身の編集に腹を括っている。捨てたシーンに責任を負っている。それがきっとジーンが映画監督になれた所以でしょう。本当は誰もが自分の人生を決める監督であらねばならないはずなのに。でも意外とできない(できていない)のは、それでも生きられる恵まれた環境にいるからかもしれません。多分エリート銀行員アランの満たされぬ理由も同じです。 ポンポさんは、まるでドラえもんでした。夢を叶えるためのお膳立てをしてくれ道標も示してくれる。多分誰にだってポンポさんは居る(居た)のだと思います。親や先生、憧れのスターだったり、一冊の本だったり。それぞれのポンポさんの助けを借りて若者は我が道を選ぶ。いろんな意見があるでしょう。でも行き先を決めるのは私。行き方を決めるのも私。もちろん全責任は私です。やはり私は私の人生の監督に違いありません。 人生は短い。限りある時間をどう使うかが課題。まさに日々編集の真っ只中であります。人生が80分の映画なら、私の場合50分経過したところ。そろそろエンディングの予想がつく頃合いです。素材は万全、最善の結末を目指す編集で悩み中と言いたいところですが、現実は違います。撮り忘れた素材ばかり。今から撮り直しますか。でもそれが困難を極めるのは劇中でも例示されておりました。そう素材は撮れるときにちゃんと撮っておかないと駄目なのです。じゃなきゃ選びようも、悩みようもない。編集素材のことを人生では『経験』『資格』『技能』あるいは『思い出』と呼びます。我が手にある編集素材の貧弱さに震える50歳の冬。でも悲観することはありません。今だから撮れる、これからじゃないと撮れない画だって必ずあるのですから。今なお素材集めに四苦八苦する計画性のない私ですが、それでも諦めません。一応『監督』ですから。さあ己が作品の完成を目指しましょう。傑作でなくても、誰からも褒められなくても。 今年は年始に『かがみの孤城』へ10点献上したばかり。しかも同じアニメ作品。気分的には採点が辛くなるところですが、どうしても満点を回避する理由が見つかりませんでした。 【目隠シスト】さん [地上波(邦画)] 10点(2023-02-14 18:27:49)(良:1票) 2.映し出されるアニメーションを食い入るように見つめながら、なぜ、涙が出るのかよく分からなかった。 ただ、その「理由」を認識するよりも前に僕は、奮えて、泣いていた。 この世界のすべての映画フリーク、そしてあの世界に憧れ、夢破れ、今なお“表現”することを秘め続けている人たちにとって、このアニメ映画は“唯一無二”になり得る。 映画館を出て、しばし呆然と立ち尽くす中で、かろうじてそういうことを思った。 原作漫画「映画大好きポンポさん」を読んだのは数年前になる。 僕の嗜好性をよく知っていて、誰も知らないようなマニアックな映画漫画(映画を題材にした漫画)をよく貸してくれる友人から、単行本を借りた。 他の映画紹介系漫画とは異なり、ハリウッド(作中では“ニャリウッド”)の映画製作現場を描いたアプローチが新鮮で、とても楽しく読んだ。 キャラクター造形のポップさと真逆を行くような、王道的な舞台裏モノのストーリーテリングが、驚くほどに芯を食っていて興味深かった。 面白い漫画ではあった。ただ、結果的に各漫画賞にも入賞しているとはいえ、元々は漫画投稿サイト「pixiv」に掲載され沸々とビュー数を伸ばした“マイナー漫画”である今作が、まさか“映画化”されるとは思っていなかった。 だから、映画館で大判のタペストリーを見つけて、今作の公開を知った時は、驚きつつも、「酔狂なことをするものだ」と、完全に舐めきっていた。 そんな“舐めきった”映画に完全ノックアウトされてしまうのだから、まったくもって「ざまぁない」。 コミックの1巻のストーリーをほぼ忠実に描いたストーリーテリングは、やはり王道的な内幕モノ+シンデレラストーリーであり、そこに特別な工夫や斬新さがあるわけではない。 ただそこには、主人公ジーンの偏執的なまでの「映画愛」と、彼がそこに至らざるを得なかった人生模様が、より強く、より深く刻み込まれていた。 なぜ僕たちは映画を観るのか、なぜ私たちは映画を作るのか。 その理由や経緯は、実際様々なのだろうけれど、少なからず僕たちは、スクリーンに映し出された“光”を通じて、自らの人生を「投影」している。 そのあまりに本質的な真理に辿り着いた主人公は、自らの存在のすべてを叩きつけ、削り込むように、“映像”を切り取り、そして“映画”として繋ぎ合わせる。 「ようこそ、夢と狂気の世界へ」 というポンポさんの台詞が、クライマックスの展開と共に、より深く突き刺さってくる。 そして同時に、僕にはそのイカれた世界に突き進む「覚悟」が無かったのだなと思い知った。 ちょうど一年くらい前から、趣味で動画作成をするようになった。 今の仕事とか、コロナ禍の生活とか、様々な状況が重なって始めた趣味だったけれど、やっぱり僕はこの“行為”が好きだったのだなと思い知った。 幸か不幸か、僕はこの作品の主人公のように、映画制作に命を懸けているわけではないけれど、それでも彼がPremiere Pro(編集ソフト)の画面を睨みながら、もはや半狂乱的に編集作業に臨む姿には共感を覚えた。 気の遠くなるような膨大な作業量を目の当たりにして、ゾッとすると同時に、さあどう仕上げてやろうかとほくそ笑む。 ヘタクソで冗長な撮影素材の中から、2秒前後のカットを選び取り、1フレームレベルで調整する。 その作業を延々と繰り返して、「作品」と呼ぶにはおこがましいたった数分間の映像を作り出す。 極めてマスターベーション的な行為ではあるけれど、かつての夢の残り香を追うように、僕は動画を作成している。 「才能」も、「覚悟」も無かった自分には、到底辿り着けなかった世界だったろうし、今現在の自分自身の人生に後悔があるわけではないけれど、漫画であれ、アニメであれ、その世界で「自分」を貫き通した人間の姿には、感動を越え、尊敬をせずにはいられない。 その主人公をはじめとする「映画製作」という狂気的な世界の中で生きる人間たちの様相に対して、僕は、色々な感情が渦巻き、高まり、奮えたのだと思う。 映画館から出た直後、すぐさまこの漫画を紹介してくれた友人にメッセージを送った。 「控えめに言って、傑作だった」と。 【鉄腕麗人】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-06-19 23:23:50)(良:1票) 1.4年前にネットで見かけて記憶に残っていた漫画が映画になったとの話を聞いて見てみましたが、最高でした。鑑賞中に理由の分からない涙が出て、見終わった後にしばらく立ち上がれなかった作品は何年ぶりでしょうか。文句なしの10点満点です。 無駄のないシーンがテンポ良く続き、見所に次ぐ見所でとても90分とは思えないほど濃密な時間でした。映画オリジナルの追加シーンもドカンと盛り上がっていて、これのおかげでオチの重みがグッと増しているので原作既読の方も楽しめる作りになっています。原作は今でもpixivで読む事が出来ますが、映像の楽しさやテンポの良さ、追加シーンや音楽の力も手伝って映画の方が断然良いと感じました。 デフォルメが強い絵柄や子供っぽいタイトルで惹かれない方も居るかも知れませんが、どうか敬遠しないでください。映画が大好きな方、クリエイターとして何かを作っている方、色々なものを切り捨てて夢を追い続けている方に特におススメです。そうじゃない方にも是非見て頂きたい作品です。 ちなみに、私はニュー・シネマ・パラダイス(2時間の方)大好きです。 【alian】さん [映画館(邦画)] 10点(2021-06-13 01:23:42)
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