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雨月物語

1953年【日】 上映時間:97分
ドラマホラーファンタジー時代劇モノクロ映画小説の映画化
[ウゲツモノガタリ]
新規登録(不明)【シネマレビュー管理人】さん
タイトル情報更新(2024-05-14)【イニシャルK】さん


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監督溝口健二
助監督田中徳三
キャスト京マチ子(女優)若狭
水戸光子(女優)阿浜
田中絹代(女優)宮木
森雅之(男優)源十郎
小沢栄(男優)藤兵衛
毛利菊枝(女優)右近
羅門光三郎(男優)丹羽方の武将
上田吉二郎(男優)呉服屋の主
香川良介(男優)村名主
青山杉作(男優)老僧
福井隆次(男優)敗残兵
相馬幸子(女優)余吾川の老婆
横山文彦(男優)目代
小柳圭子(女優)遊女
尾上栄五郎(男優)武将
天野一郎(男優)梅津の船頭
玉村駿太郎(男優)鎧武者
堀北幸夫(男優)鎧武者
大崎史郎(男優)鎧武者
三田登喜子(女優)侍女
南原宏治(男優)
伊達三郎(男優)家臣
原作上田秋成「浅茅ヶ宿」「蛇性の淫」
脚本川口松太郎
依田義賢
音楽早坂文雄
望月太明吉(和楽)
斎藤一郎(音楽補助)
撮影宮川一夫
製作永田雅一
大映(京都撮影所)
企画辻久一
配給大映
美術伊藤熹朔(美術監督)
太田誠一(美術助手)
衣装吉実シマ
ヘアメイク花井りつ(結髪)
編集宮田味津三
録音大谷巖
照明岡本健一[照明]
岩木保夫(照明助手)
その他マーティン・スコセッシ(4Kデジタル修復版)
あらすじ
上田秋成作「雨月物語」の「浅茅が宿」を軸に全編の雰囲気を再現する。戦国時代、近江の住人源十郎は陶器を作り新興都市で売って大儲けをし、弟の藤兵衛は侍になるという野心を抱いていた。家庭を大切にする妻たちを振り切って、二人は戦乱の最中に危険を冒して陶器を作り、都市に運ぶ。藤兵衛が陶器を売った金で武具一式を手に入れ、夢を追う間に妻お浜は身を持ち崩し、更なる儲けを目指す源十郎が謎めいた金持ちの若い女に請われるままに、その屋敷に入り浸って官能の日々を過ごすうちに妻宮木は・・・。

かわまり】さん(2005-07-31)
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【クチコミ・感想(10点検索)】

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11.《ネタバレ》 溝口健二、代表作である。
まだ、こんな傑作を観てなかったか、と唸ってしまった。
見事、この一言に尽きる。

田中絹代を本で調べていたら、次のような記述があった。
撮影後、溝口が森雅之に、その演技の見事さにライターで火をつけたという。
田中は「私だってうまいと言わせてみせる」と思ったらしい。
まさしくラストの霊の田中は絶品である。

以後、溝口と田中は映画界で、力をみせつけあうかのように、張り合い、
田中絹代は同年、「恋文」(未見)という映画で監督までしてみせるのである。 トントさん [ビデオ(邦画)] 10点(2021-06-30 23:35:04)(良:1票)

10.《ネタバレ》 観るのは5度目くらい。最初はVHSのvideoで画面もセリフも荒くて良く解らなかったですが、リマスターされた溝口健二生誕祭だったりDVDでも格段に見やすくなりました。カメラワークと光の使い方が凄すぎです。

森雅之と京マチ子の「朽木屋敷」のシーンは衣装・美術・照明・カメラ・音楽を含めての形式美が素晴らしい。溝口のサイレント作品時にはドイツの表現主義(ガリガリ博士等)に影響を受け「光と影」をかなり応用していたのですが、朽木屋敷でも姿を影で隠したりと伺えます。
また台詞を途中でフェイドアウトして流れるカメラで次のシーンを繋いだり、森雅之の入浴シーンでも京マチ子が着物を脱いで湯に入る所を影で描写し、カメラは逆の方向に流れてそのまま広い庭で寛ぐ二人へ繋ぐシーンなど絵巻のようだ。
カメラの連続移動で時空を越えるというのはテオ・アンゲロプロス監督ですが、影響受けたはず。

また、森雅之が故郷に戻ってからのシーンも秀逸で、森が家をグルッと一周するのを追うカメラワーク、田中絹代の陰影、彼女の表情と所作、それらが嵌り最高のシーンだと思います。これだけ計算してやられると俳優さんが大変じゃないかと思います。

なお、溝口監督は出来上がりに不満があったようで『「雨月」はもっとカラいものなんだよ。小沢栄の男ね、あれもラストであんな改心したりしないで、もっと出世を続けて行くように書いたけど、会社から「甘くしろ」と指示があった』と(キネ旬より)。
確かに男二人の欲の渇望からも、最後には見事に改心するという流れは溝口作品からすれば甘いと思ったのが、それでも前述の田中絹代のシーンで観る者を救済したのだからOKでしょう。
いずれにせよ、このような映画はもう作れないと思います。死ぬまで何度も観るのだと サーファローザさん [映画館(邦画)] 10点(2018-01-10 00:49:57)(良:2票)

9.《ネタバレ》 映画を見ていて、「どうしてここでカットが変わるんだろう」とか、「何でこのポジションからの構図なんだろう」などと思う時がある。もちろんぼくは映画を撮ったこともない、ただの観客だ。けれど、この場面ならロングショットで見たかったな、とか、ここはぜひこの女優のクローズアップを見せてほしかった! という、たぶんに勝手な物言いもまた、「映画を見る」者にとっての権利ではあるまいか。 もっといえば、こっちが思いもかけない画面を見せてくれた瞬間から、その作品に惚れ込み、心底から評価したくなるのである。

この、「世界のミゾグチ」の代表作の1本を最初に見たのは随分と昔だけれど、見る前はいささか気負っていたのが、見終わってまず思ったのは「めちゃくちゃ面白い!」ということだった。それまでにも、それ以後にも見た他の溝口作品と比べても、この映画は単純に「面白さ」において際立っている。何よりそれは、ここに実現されているのが、天才的というより職人的な部分において「完璧」な映画づくりだということに他ならない。

・・・映画の終盤近く、森雅之の主人公はようやくわが家へと帰る。妻の名前を呼びながら人気のない家の様子をうかがう夫をカメラは追い、もう一度戸口へとパンした時、さっきまで火の気のなかった囲炉裏に火が入り、そこには田中絹代扮する妻が煮物を炊いているのだ。この場面をワンカットで実現してみせたその技巧は、確かに驚くべきものがある。けれど、それはあくまで、すでにこの世の者ではない妻を描くという「物語」の要請ゆえに実現されたワンシーンワンカットなのである。

その他においても、溝口作品に対して誰もが口にする流麗な移動撮影の長回しというより、この場面を描くならこれしかあるまいと誰もが納得する映像(=ショット)をムダなく編集していく鮮やかさはどうだ。だからこそ、この映画が100分足らずの極めて簡潔な(「B級映画的な」と言いかえてもいい)上映時間におさまったというべきだろう。

『雨月物語』は、溝口健二監督が何より優れた職人的技量をもった「物語映画」の担い手であることを、どの作品にもまして雄弁に告げるものだ。実際、映画の歴史上これほど「面白い」作品も、世界中探したってそうはないのだから。 やましんの巻さん [DVD(邦画)] 10点(2011-04-26 19:02:13)

8.《ネタバレ》 「実は幽霊でした」で終わったとしても、喪失感からくる余韻が相当なものだと思うが、更にその後主人公の再生のさまを淡々と描く。これが蛇足でなく、全く説話調になってない所が凄いと思いました。今時こんな映画を取れる人居ないだろうな…何か白々しくなりそう。 番茶さん [DVD(邦画)] 10点(2008-02-16 20:10:21)

7.海外で賞を取ったからと言って、その映画がとりわけ優れているとは限らない。海外で受け入れられたということは、単なる普遍性の表れに過ぎないのかもしれないのだから。作品の作り手が、ほんとうに自己の内なる声に忠実に、自分が信じ目指したその究極の到達点と、国際的な評価とが、一致するとは限らないから・・・・・・。例えばこの映画。あまりにも日本人にお馴染みの怪談世界(なんつーかその、子供時代に本やらテレビ番組の怪談モノでビビリまくってきた、一種のトラウマですね)、我々にとってはツーカーの世界であるがゆえに、「例えばその、説明ゼリフみたいなのは、もうちっと切り詰められるんでねいのかい」とか思える場面もあったりするわけで(このヘンが、怪談に触れても一人でトイレに行ける、大人の貫禄ですな。笑)。しかしこういうコトを気にしだすともうキリがない。“普遍性”なのか“冗長”なのか?いやそもそも、「曖昧さ」に対する、単なる個人的な嗜好の問題なのか?日本的なものが西洋で受け入れられることの無気味さ、一種の西洋コンプレックスに過ぎないのか?こんな昔に、こんな映画が西洋で賞賛されたことをどう受け止めていいのか判らず、私は右往左往するしかない。ただ、少なくとも、ある種の普遍性が確かにこの映画にはある(文化を超えると共に時代も超えている。幻惑される主人公を現代の「IT長者」置き換えても良い。なんちゃって)。その最小公倍数的?最大公約数的?な要素が、心地よさでもあり、同時にその反動としての後ろめたさでもあったりする・・・・・・。ひとまずよそう。とにかくこの映像だ。濃密であると同時に、何か、天からの解剖学的な視点ともいうべきものが感じられ、人間のあさましさを浮き彫りにする。実に実に充実した鑑賞時間を(イヤでも)過ごさせてもらえる映画だ。 鱗歌さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-08-17 17:47:01)

6.何もひねりはいらないね。黒澤「七人の侍」小津「東京物語」そして溝口「雨月物語」。本日、やっと日本映画三種の神器が決定しました。とてもめでたい。 monteprinceさん [CS・衛星(邦画)] 10点(2006-08-29 00:17:47)

5.宮川の映像もさることながら、二人の女房の対比には監督の戦後の混乱期を意識したかのようなフェミニストぶりに新鮮な感動があった。(身は汚されたけれど、命拾いした妹と片や、操を守ったが命を落としてしまった兄嫁。そして前者は、身を持ち崩しているのは、心に痛手を負っているからで、その原因をつくった夫は、彼女の魂を救済する責任があると彼に迫り、夫の積極的関与で痛手は癒され、そのことにより彼の彼女への愛情はさらにふかまり、以前のように何事もなかったかのような夫婦関係がとりもどされているシーンを挿入していたりする。)黒澤作品「羅生門」の京マチ子「白痴」の原節子 に対して今作品の水戸光子の役柄は溝口流の黒澤への返答のように思える。 Waffeさん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-07 06:55:39)

4.僕も初めて見た溝口作品はコレ。それまで黒澤狂いで、邦画の最高傑作といえば「七人の侍」だと信じて疑わなかったからこの映画の凄さには衝撃を受けた。ラストの田中絹代のナレーションによる独白が悲しくて印象的。この映画を見て昔の日本映画を黒澤作品意外にももっと見てみようと思った。 イニシャルKさん [ビデオ(邦画)] 10点(2005-08-02 22:37:26)(良:1票)

3.見方によっては、ただ古くさいのですが、、、ふと考えてみると、恐ろしい作品です。、、、、、日本的な様式美、凄いですね。特に、開け放たれた屋敷の風情、女官の立ち居、そして美事なお亀顔の京マチ子の装束、化粧。、、、それに城下町の賑わい、武士の屋敷の郎等たちなど、、、。また、女に艪を漕がせ、子どもを背負わせ、女郎屋に行き着かせ、現実を生きる女たちが、ここにはしっかりと存在しています。、、、、そして、そうした日本的なものに、金銭欲、権力欲といった古今東西に普遍的なテーマが接ぎ木されている。、、、、、ただし、最も強く感じたのは、これが1953年の作品であること、つまり戦争が終わって7,8年しか経過していないということ。川辺のロケ地の風景は酷く荒れ果てていて、戦後の荒廃を十分に思わせてくれるものでした。、、、、そして、この映画を1953年に見た日本人も、ヨーロッパの人も、身近で親しくしていた人の何人かは必ず戦争で失っていたはずです。、、、、だからみんな、最後に、死んだはずの宮木が出てきたとき、その親しかった亡き人と、宮木とを重ね合わせて見たに違いありません。、、、、、そんな風に思うと、戦後を生きた無数の人たちの悲しみと源十郎の悲しみが混然として、最後の10分ほどは、涙を押しとどめることができませんでした。、、、、、、、日本的な美、日本的な生活、権力と財貨をめぐる普遍的なテーマ、そして戦争を民草の目から告発する強い意思、、、、この目配りはあまりに凄い。 王の七つの森さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-06-01 12:03:49)(良:3票)

2.溝口健二はフェミニストか。男の欲望に振り回された田中絹代がかわいそうですな。田中絹代、森雅之、京マチ子の役者陣が素晴らしすぎる!最後、田中絹代が亡霊となって登場するシーンは死んだ後ですら男を心配する女の哀れさのようなものを感じ泣けてきました。アー、男は馬鹿だー。 たましろさん 10点(2003-09-26 22:45:17)

1.《ネタバレ》 嗚呼、田中絹代や哀れ。いつも、彼女が落武者の槍に背中を突かれるところで胸がキュッと痛くなる。「だから、男の身勝手に女は死んでも苦労させられるのよ」と女房が観たら絶対!言われそうな逸品。 なるせたろうさん 10点(2002-12-29 17:20:10)

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【点数情報】

Review人数 85人
平均点数 7.40点
000.00% line
100.00% line
211.18% line
311.18% line
467.06% line
544.71% line
61214.12% line
71416.47% line
82428.24% line
91214.12% line
101112.94% line

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.00点 Review5人
2 ストーリー評価 8.33点 Review6人
3 鑑賞後の後味 8.14点 Review7人
4 音楽評価 8.66点 Review6人
5 感泣評価 7.66点 Review3人

【アカデミー賞 情報】

1955年 28回
衣装デザイン賞(白黒) 候補(ノミネート) 

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