みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(5点検索)】
2.《ネタバレ》 原作小説が大好きなので、期待を込めて観賞。 絶対に二時間で纏めるのは無理だろうと思っていただけに、ちゃんと物語を完結させている事に感心半分(やっぱりダイジェスト感は否めないなぁ……)と落胆半分、といった感じでしたね。 結構な尺が必要となるであろう「マロリーのカメラ争奪戦」の件を思い切って省略したのは正解だと思うし「鬼スラへの挑戦」「岸との別離」「グランドジョラスからの生還」と、羽生丈二というキャラクターを語る上では外せない場面を映像化してくれた事は、素直に嬉しかったです。 それでも、どうしても「あれも見たかった」「これも見たかった」というモヤモヤが残ってしまうのだから、全く以て困り物。 折角モノローグを多用して小説の文章そのまま再現する演出をやっているのだから「きしよう」や「地球を踏んだ」などの言葉も、心の声として聞かせて欲しかったなと、ついつい思ってしまいました。 主演の岡田准一と阿部寛は熱演されており、特に後者の存在感はお見事でしたね。 凍死した羽生の「死体」をここまで迫力込めて演じられる人は、ちょっと他にはいないかもと感じるくらい。 ライバルである長谷の扱いが軽い事も含め、どうしても原作に比べると羽生に関する描写は薄くなってしまっていたのですが、それでも「これは間違いなく羽生丈二だ」と思えたのは、役者さんの力が大きかった気がします。 中でも、遭難しかけた深町を羽生が助けるシーンは凄く良くて、ここが本作の白眉であるように感じました。 ちょっと原作に比べるとエキセントリック過ぎるというか「羽生の魂を継ぐ者」として、野性味溢れて描写されていた深町であっただけに「もういい、もうやめてくれ……」と弱々しく呟き、自分を見捨てるよう訴えかける姿が、一際胸に迫るものがあったのですよね。 その後に「最初から羽生は最も困難なルートを登るつもりだった」と明かされる展開についても、良かったと思います。 正直、原作と異なる部分に関しては不満も多かったりしたのですが、ここの流れは原作よりも好み。 最後も深町の生還というハッピーエンドで〆てくれる為、後味も悪くなかったですね。 久々に本棚から「神々の山嶺」を取り出して、蜂蜜を溶かした紅茶片手に、ゆっくりと読み耽りたくなりました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 5点(2017-04-11 18:14:38)(良:1票) 1.《ネタバレ》 原作、コミックを読まずに視聴したところ、原作を読まずにはいられなくなった。もろもろ確認の意味で。 本当に、この映画で描かれていたようなセリフ回しやシーンが原作にあるのかという不信感でいっぱい。 羽生の「そこに山があるからじゃない。ここに、おれがいるからだ」というセリフを聞いて、逆に、マロリーの「そこに山があるから」の言葉の素晴らしさを再認識した。 私自身はクライマーじゃないから偉そうな口を叩きたくはないけれど、 山に登るということは、自分が「文明をもった人間」ということを、あえて忘れなきゃいけないんじゃないかと思う。 クライマーは、装備も技術も経験もあるとはいえ、山に棲む鹿や熊、その他小動物などと同様、自然のサイクルに組み込まれた単なる一個の命にすぎない、という謙虚さと自覚を持つべきでは? 獣たちは、バクテリアも棲めない極寒の高さまで登って、決して分解されないフンをまき散らしてきたりはしない。 本来は、エベレストは、人が登るべき山ではないのでは、とさえ思う。 命のサイクルが行われないデスゾーンの高みまで登る。その衝動に駆られる情熱を「おれがここにいるからだ」で説明されてはたまらない。 山を、自然を克服してやろうという気はあっても、それらを少しも愛していないのに、山の神に嫌われている、などと捨て鉢なセリフが羽生の口から出る。もう本当に「はあ?」となった。 嫌われ、山から弾かれるのは、当たり前じゃないかと。 マロリーは、山で死んでも幸せだっただろう。「山がある」という言葉に、羽生とは違う深い愛を感じる。大好きな山の懐に抱かれて死んだ、というイメージだ。 でも、羽生の死は、登頂の栄誉や、相棒・恋人への贖罪や、生きている充実感なんてものを求めて山に入りそれに失敗、山の懐に抱かれることさえ拒む頑固者がのたれ死んだ、という残念なイメージしかない。 「死んだらゴミだ」と自覚しているのだから、自分の体はプラスチックごみであって、生態系の一部とは考えも及ばないらしい。 登頂が叶えば、それは最高の気分を味わえるだろうけど、「登頂してこそ」としか考えられない人は、逆に山に入るべきではないと、この映画で学ばせてもらった。 さらに許せないのは、キャンプ場で深町を待つヒロインが、 「一体何人の命を奪えば気がすむんです。何が悪いっていうんですか。何でこんな目に遭わなければならないんですか!」 とエベレストをにらみつけて愚痴るシーン。こんな恥ずかしいセリフは、逆立ちしたって共感できるわけがない。 彼女が怒るべき相手は、プロの登山家でもないのに、シェルパも酸素ボンベもなしに山に入った深町以外にはない。 しかも彼女のすぐ横には地元民が立っている。例えれば、日本人のすぐ隣で、チベット人が富士山を前にして悪態をついているようなもの。 外国人が地元民の聖山に暴言を吐くなど、相当な冒涜行為だ。 そして、強烈に恥ずかしかったのは、ラストの深町がよろよろと下山してくるシーン。 せっかくの加古さんの壮大な音楽が、こんなところで大げさに使われるなんて・・・。 『ホワイトアウト』のラストみたいにヒロインを抱っこしていない分だけましだけど、いかにも生還してきたヒーロー然としていて、正直「音楽だけでも止めて!」と言いたくなった。 見なければよかったとは思わないが、この映画では誰一人共感できるキャラが出てこなかった。そのモヤモヤ感が今でも気持ち悪い。 【tony】さん [インターネット(邦画)] 5点(2023-05-24 14:39:49)
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