みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(6点検索)】
11.《ネタバレ》 話としてはSFの側面が強いはずですが雰囲気重視のせいか、どうも”暗い青春恋愛映画”の様相を呈してしまっています。そもそもプロローグでクローン技術の普及発達まできちんと言及されていないがため、ヘイルシャムのパートもあまり可哀そうに見えず、ルーシー先生の告白の衝撃も微妙、コテージで自分のオリジナルにまで話が及んでもあまり衝撃的に感じられないのは残念でした。 詩的な文学作品は大好きですが、雰囲気を重視しすぎたせいで「クローンにも人間の尊厳があるのか」というとてつもなく重大な問題がスルーされてしまっているように感じました。(そこを描きたかったんじゃないのか?って話ですよ) 他の方も書かれていますが主人公達が自分の運命を受け入れてしまっていること自体にも無理があり、「悲しい」を共有できないばかりか、厳しく書くなら「バカなの?死ぬの?」という状態にまで陥ってしまっています。ヘイルシャムの描写からクローンにも”心”があるのは一目瞭然ですが、そこもサラッとスルーされており、あくまで彼らはクローン羊と同じ、物と同じなんだという扱いになっている点にも激しく違和感を感じました。(実際問題、あれだけ素直で素晴らしい若者達と接している看護士の描写もあるが、なんとも思わずにサクッとメスを入れられるものかね?) 映像の美しさは当然ですが「提供」「三回目」「終了」などの言葉の雰囲気も非常に素晴らしく、彼らの絶望感や未来がやってこない感じがよく表現されています。好きなジャンルなので期待していただけに残念な作品でした。余韻があるので点数は少しオマケで。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-02-22 11:39:59) 10.《ネタバレ》 臓器を提供するために生まれたクローン人間。 臓器を摘出されボロボロになって無残な死を迎えることを自らの運命と諦観しているが、真実の恋をしている二人は猶予期間が与えられるという噂にすがる。 結局その噂とは異なる残酷な真実を突きつけられて打ちのめされるのだが、そんな噂に頼って助かろうとするアクションができるのであれば、なぜもっと反抗しないのか?なぜ脱走しないのか?と不思議に思える。 【飛鳥】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-12-26 00:27:22) 9.《ネタバレ》 たしかに原作と大きく話はずれていないし、順を追って映像化すればこうなるのでしょうが・・。残念なことに人間の持つ感情のひだ、逡巡や葛藤といった情感を収め切れなかったせいでカズオ・イシグロの精緻な描写はざっくり削られ、「あらすじで知る名作」になってしまっています。 やはり三人の関係の核になっているヘールシャム時代を描き足りていないことが大きい。キャシー・ルース・トミーが青年期の入り口まで過ごしたヘールシャムでの日々は原作ではそれは瑞々しく、青春期の学園小説として読んでも一級品の「十代あるある」なのです。だから読者は彼らの友人となり得るし、彼らの人生を大きなクエスチョンを抱きつつ見守ることになるのでした。映画ではこの疑問の回答も早々とばらしてしまうんだもんなあ。ああそれにテープのエピソードもざっくりカットされたのにもがっかり。あのテープは本作のタイトルであり、ヘールシャムではルースの性格の多面性に気付かせ、ロスト・コーナーでのトミーとの思い出に繋がる、キャシーの人生にとって非常に大きなアイテムであるのに。 というわけで鑑賞後の感想は芳しくないのだけれど、キャスティングは三人を含め校長もマダムもルーシー先生も原作の世界観を損なわない理想的なものでした。舞台となるヘールシャムやコテージ、ルースのポシブルを探しに行った街角や船が打ち上がった海岸等、映像は原作のイメージそのままに哀しい美しさです。脚本はともかく、キャストと美術スタッフさんには満点を差し上げます。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2019-04-13 23:51:18) 8.カズオ・イシグロの名前に惹かれて鑑賞。生存本能に逆らって教育だけでこんなにも従順になってしまう臓器提供者。長くは生きられない若者の生がテーマのような気もしますが、この不自然さが最後まで気になってしまう映画でした。 【ProPace】さん [地上波(字幕)] 6点(2018-10-13 18:49:48) 7.《ネタバレ》 クローンの臓器提供と言うよくあるパターンですが、 3人とも自分の運命を受け入れているのが悲しいですね。重々しくきれいな風景でした。 【東京ロッキー】さん [地上波(字幕)] 6点(2018-10-13 17:27:42) 6.哀しい物語。あえてSFとして観たほうがいい、と感じた。 その切なさも現実で無い世界のことと考えた方が、意味を考えやすい。 映画全体としては落ち着いたトーンで途中で若干の飽きがくるかも。それでも最後は...悲しい。 【simple】さん [地上波(字幕)] 6点(2018-10-11 21:11:51) 5.臓器移植の医学が急速に進歩して、人類の平均寿命が百才を超えたらという前提。クローンを扱ったSFだが、近未来のSFではなくほぼ現代と設定が異色だ。臓器提供に反発するわけでもなく、定められたルールを歩むクローンたちが痛々しすぎる。「アイランド」と好対照だが・・・・ 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-12-30 16:26:48) 4.《ネタバレ》 面白くないわけではないが、設定にモノマネ感があり、素直に楽しめなかった。【ネタバレ注意】臓器移植のためのクローンという存在で、しかもオリジナルがいるという設定、どうしても別の作品を思い出してしまう(原作が前後しているわけでもない)。年代を“過去”に設定したのは斬新かもしれない。そうして“未来感”をなくすことで、現実には存在しなかった平行世界のような形で、ありえるかもしれなかった身近なものと印象付けているようにみえる。しかし、“バックアップ”にクローンを育てておくというのは、事故に備えることはできても、先天的・遺伝的に似たような内臓が悪くなる可能性がある。そもそも、ひとりの人間が“臓器移植を必要とする機会”なんて滅多にないわけだから、移植するのは“オリジナル”の損傷に限らないのかもしれないが、そうだとしたらクローンである必要がない。そもそも、どんな臓器が提供されるのかわからないが、眼とか足とかまで移植するなら、徐々に3回までと言わず一気に“使い切る”ことを考えるんじゃないだろうか、と思わなくもない。そうしないのは、たんにシリアス、あるいはセンセーショナルなイメージを与えたい感じがしてしまう。 【mohno】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2017-12-15 23:34:33) 3.いつの話なのか。どういった世界なのか。原作はそのことに触れずに淡々と進み、何かが違うという漠然とした違和感を抱かせながら進んでゆく。我々となんら変わらぬ青春の1ページに同居する違和感は不安となり不安が的中したときにはその「我々となんら変わらぬ」が我々に迫ってくるのだ。映画はまずこの世界の説明を最初にする。驚いた。この映画はどうせこの世界がどういったものかを出し惜しみしたサスペンスなのだろうと思ってたから。仮にそうでなくても、ここを出し惜しみしないというのは娯楽映画としてどうなんだろうと。でもこの映画を作った人たちは賢明であった。そんな子供だましよりも、普通でない状況の中で普通に生きる少年少女たちの姿を奇をてらわずに見せることに注力する。そのことで原作にあった切なさを見事に再現しているのだ。透明感のある主要人物たちといい、実に原作の世界観をうまく作り上げていると思う。だからこの映画は素晴らしい、ということにはならない。映画と原作は別物。映画として傑作の域に行くには原作の世界観をこそ壊さなきゃならんのかもしれない。 特に原作が傑作の場合は。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-09-30 15:31:07) 2.《ネタバレ》 原作読了しています。読んでいる最中は物語の中に引きずり込まれるようでした。映画については、原作が金城鉄壁でどう頑張っても越えられない、と言ってしまえば簡単だけれど、やはり観ている私たちを別世界に連れて行くパワーが足らなかったと思います。複雑な話で、物語の中にあるもう一枚の扉を開けて入っていかないとなかなか見えてこないものが多いのですが、映画ではだいたいを端折っているのであっさりと時間ばかりが過ぎていくようでした。画の色は優しく、こちらに忍び寄ってくるような美しい緑とアイボリーの空は原作のイメージそのままでした。彼らにいつも纏わり付く恐怖を表す涙も、なんの前触れもなくあふれ出す様に切なさを感じました。A・ガーフィールドは今後も注目していくべき俳優だと確信しましたが、キーラ・ナイトレーも良い女優に育ってきたと思います。 【のはら】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-06-06 21:42:56)(良:1票) 1.《ネタバレ》 原作(和訳)は既読。最も好きな小説のひとつで何度も読んだ。「原作を読んでいなかったら…」という仮定ができないほど、のめり込んだ小説だ。どうしても原作と映画を比較してしまうため、この点数だが、初見だったらもっと高い点をつけられるかもしれない。 「運命を受け入れ、その中で精一杯生きていくこと」が、この作品のテーマだ。青年でありながら、長くは生きられない残酷な宿命のために、老成した考え方やものの見方を強いられ、次第にそれを受け入れていく3人の人生の軌跡は儚く、脆く、そして美しい。波乱も少なく、静かに物語が進んでいくだけに、余計に彼らの切実な感情が胸に迫る。 映画はこの原作の静謐な雰囲気をかなり忠実に受け継いでおり、そこは評価できる。タイトルや章が変わる際のダルトーンの背景色はとてもしっくり来たし、ヘールシャムやコテージの雰囲気も想像通りだった。主役の3人の演技も素晴らしく、皆原作をよく理解して芝居をしているなと感心した。特にトミー役のアンドリュー・ガーフィールドははまり役だと思う。 一方で残念だったのは原作の繊細な心理描写までは映像化できていないこと。これは媒体の違いということで目をつぶるしかない点かもしれないのだが、やはり原作のファンとしては減点せざるを得ないポイントだ。蝋燭の炎が微かに揺れるくらいのほんの僅かな心の揺れがひしひしと伝わってくる原作にはとても及ばない。いくつかのエピソードが省略されていたり、内容が分かり易く改変されていたのは、映画化というハードルを越える上で仕方がない措置とはいえ残念だ。 特にキャシーとルースの複雑な“親友関係”がこの映画では描けておらず、トミーとの三角関係においてルースに非があるような印象を観客に与える脚本になってしまっているのがいただけない。ルースは「愛されたい」タイプの人間であり、それは決して間違ったことではない。トミーとルースの関係は一種の補完関係になっていたし、二人が結ばれるのは運命だったのだと僕は思う。その上で、キャシーとトミーが自分達の愛こそ真の愛だと信じる(信じ込もうとする)ことが健気で、深く心を打つのである。 願わくば原作を読む前に観たかった。この映画を観ることで、より多くの人が原作を手にとるきっかけになれば良いと思う。 【枕流】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-04-06 23:42:18)(良:3票)
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