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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です!
【クチコミ・感想(6点検索)】
7.《ネタバレ》 三船敏郎って人は、こういった物静かで知的な男性を演じても上手いんだなぁ……と、再確認。
ただ、野性味の強い人物を演じた際に受ける「凄い」という印象に比べると、やや薄味な「上手い」という印象になってしまったのが、寂しいところでしょうか。
本作の白眉としては、やはり「主人公の恭二が看護婦を相手に、心情を吐露する場面」が挙げられますね。
それまで溜めに溜め込んだ想いを、一気に爆発させた感があり、圧倒されました。
徹底的に善人であり続けた彼が「破廉恥な男の、穢れた血液」と言い捨てて、椅子を蹴り付ける様も、衝撃的。
そんな人間らしい感情の発露も、すぐに収まって、再び元の「献身的な医者」に戻る姿には、感服の念を抱くと同時に、何処か物悲しさすらも感じられて、非常に味わい深い名場面となっていました。
その後、梅毒の恐ろしさを更に思い知らせるように、あるいは観客の溜飲を下げるかのように「主人公に病原体を感染させた元凶」に罰が当たる展開になったりもする訳ですが、これに関しては、正直蛇足にも思えましたね。
勿論、こういったシーンがあるからこそ、エンタメとして成立するのだという事は理解出来るし「観客の望むものを提供する」という目線を持ち合わせている辺りが黒澤監督の凄さだとは思うのですが、いくら何でも「主人公の目の前で、彼を不幸にした元凶が更に不幸になる」というのは、都合が良過ぎるんじゃないかなと。
そもそも、彼と再会したのも、彼の妻を担当する事になったのも偶然な訳だから「破滅するのを見せ付ける為に、わざわざ再登場させたのだ」という強すぎる作為を感じてしまい、今一つノリ切れませんでした。
観客としては、最後まで婚約者の女性に真実を明かさなかったという主人公の選択に対しても、疑問符を抱かずにはいられない訳ですが、これに関してはラストシーンにて
「アイツはね、ただ自分より不幸な人間の傍で、希望を取り戻そうとしているだけですよ」
と主人公の父に語らせる形で、彼を全肯定せずに終わってみせた為、さほど気にならず。
推測になるのですが、彼の選択は「彼女を思いやっての事」という理由だけでなく「愛する人に、自分が梅毒であると知られたくない」という自尊心も大きく作用していたように感じられるのですよね。
本当に彼女の幸せだけを考えるなら、やはり告白すべきだったと思いますし、それが出来なかったのは何故かと考えると、どうしてもそんな結論になってしまいます。
つまり、彼女に告白しなかった事を自らの「罪」として考えているからこそ、罪滅ぼしの為に「聖者」と呼ばれるような、献身的な医者になれたのじゃないかな、と思う次第です。
「人間って、俯いて歩いたらダメですよ。ちゃんと胸を張って、上を向いて」
という励ましの言葉は、看護婦さんに対する優しさだけでなく、主人公が自らに言い聞かせる気持ちもあったがゆえに、生まれた代物なのでしょうね。
全体的に暗い雰囲気の映画であった中で、最後は前向きな、希望を感じさせるメッセージと共に完結してくれた辺りは、何やら救われる思いがしました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-09-15 21:18:30)
6.感染症という題材とともに、一人の医師の苦悩と葛藤を描いたヒューマニズム溢れた作品。
ストーリーの内容を顧みれば、「静かなる決闘」はとてもいいタイトルだと思うし、
主人公の誠実なキャラもいいんだけど、三船はちょっと激情型のイメージが強く、
多少の違和感を覚えてしまう。それでも映像演出面において目を見張るシーンが用意され、
黒澤の真骨頂は十分伝わるのではないかと。主人公のキャラと相反する看護婦役、
千石規子の好演が光る佳作。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-06-22 08:24:15)
5.《ネタバレ》 軍医の藤崎は野戦病院での手術中に誤まって梅毒に感染した。手袋を途中で脱いでおり、明らかな医療過誤である。婚約者美佐緒と6年間も婚約しているが結婚の意思はない。結婚すれば梅毒が感染ってしまう。それでも真実を言えないのは、もうすぐ完治するではなかというかすかな希望があり、事実をありのままに美佐緒の性格からすれば「いつまででも待ちます」と言うに決まっているからだ。結局父が真相を知り、婚約は破棄する。女性を抱きたくても抱けない懊悩。藤崎は病気と同時に良心とも戦っている。◆長い婚約の理由が知りたい。戦時中は子孫繁栄を第一とし、出征が決まってからあわてて結婚することも珍しくない。五年間も出征していたのか。◆藤崎はどうして梅毒のことを父親に話さなかったのかということ。二人は同じ医者どうしでもある。適格なアドバイスが受けられた筈だ。又それだけひた隠しにしているのに、見習い看護婦峯岸には治療薬を注射している姿を隠さない。二人が話す声を父親が立ち聞いて、初めて知れた。不自然である。藤崎が本当に誠実ならば婚約者に真実を話すだろう。
◆藤崎の苦悩は察してあまりある。恋愛の末、結婚と考えていたら戦争にとられ、結果若い身空で梅毒もち。終戦で帰ってきても、結婚どころか、完治するまで性交渉は出来ない。完治もいついなるかわからない。しかし彼は医者という職業に身をおいていることで救われる。自分を不幸だと思うが、周囲に彼が助けなければならない患者が常にいるからだ。人を救う職業の人は高潔になる傾向がある。◆藤崎と対照的に描かれるのが中田。梅毒の感染源だ。中田は藤崎のアドバイスを無視して、療養に努めず、結婚。妻は感染し、死産となった。死児見せられて正気を失う。◆峰岸はダンサーだったが、客の子を孕む。男には逃げられ、堕胎する金もなく、自殺未遂。藤崎にひろわれ、看護婦見習い。最初は人生に幻滅していたが、藤崎の生き方に心酔。子供を育て、看護婦になる道を選ぶ。◆主題としては、不運にして不幸を背負った場合に真の人間性が問われるということ。良心に則って人間として正しい道を進むのか、自棄を起し、堕落の道を進むのか。藤崎は前者であり、結果として峰岸を立ち直らせた。後者は中田であり、妻も子も健康も失った。美佐緒も不幸だが、結婚が決まり希望がある。ヒューマニスト黒澤監督の面目躍如。ただ演出が大人しく、弾けていない。 【よしのぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-10-02 22:08:20)
4. ところどころ心に残るシーンがあります。ですが、最後まで見て「あー、よかった」という感じにはなりませんでした。うーん、残念。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-11-23 19:22:53)
3.後半の力強い展開は黒澤映画ならでは。
三船の演技は素晴らしいのだが、妙な美徳を押し付けられている気がするからか、どうも感情移入出来ない。
むしろ峰岸看護婦の心の成長の描き方もとても素晴らしく、主役よりずっと人間らしい彼女に深く感情移入出来た。
小ネタですが、タバコの火を譲り合うシーンがとても好きです。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-02-21 22:54:45)
2.《ネタバレ》 西部劇の邦題のようなタイトルだが日本映画である。戦時中の野戦病院で患者に梅毒をうつされた若き医者を描いた黒澤明監督の初期作。冒頭の大雨の降らせ方や野戦病院の暑苦しい雰囲気などはいかにも黒澤監督らしい描写で、主人公の医者を演じる三船の「赤ひげ」とは違う渋みがかっていない若さや「酔いどれ天使」に続いて医者を演じる父親役の志村喬の味わいのある演技も良かった。が、三条美紀演じる主人公の婚約者が何も知らされないまま別れてしまうのはちょっとかわいそうすぎる気がする。黒澤監督は基本的に男性的な作風の監督であるが、女性の心情とかそういうものを描くのは苦手なことがはっきり分かってしまった感じがして、ここはもう少し女性の心理描写のうまい監督だったらとつい考えてしまった。でも、昔は黒澤作品大好きだっただけにやっぱりこれは自分の映画の好みの変化によって思うことかもしれない。ただ峯岸看護婦役の千石規子はすごく良かったので彼女に1点プラスの6点。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2008-08-21 23:42:38)
1.まぁ結婚できない理由を言いたくても言えない恭二の気持ちも分からんではないけど、やっぱあれじゃあ婚約者が可哀想では? で、引くなら引くで、後になってから看護婦にグチグチ泣き言いうんじゃねぇよ!って思っちゃいます。結構湿っぽい映画ですが(終始雨か雪まで降ってるし)、あのダンサー崩れの見習い看護婦がいい感じに全体のバランスをとっていたような気がします。 【とかげ12号】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-04-05 12:18:42)
マーク説明 |
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★《更新》★ | :2日以内に更新 |
《更新》 | :7日以内に更新 |
【点数情報】
Review人数 |
27人 |
平均点数 |
6.37点 |
0 | 0 | 0.00% |
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1 | 0 | 0.00% |
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2 | 0 | 0.00% |
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3 | 0 | 0.00% |
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4 | 4 | 14.81% |
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5 | 6 | 22.22% |
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6 | 7 | 25.93% |
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7 | 2 | 7.41% |
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8 | 4 | 14.81% |
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9 | 2 | 7.41% |
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10 | 2 | 7.41% |
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【その他点数情報】
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