みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(6点検索)】
7.《ネタバレ》 公開時には3人の女性の物語と宣伝されていましたが、実質的な主人公は神楽坂恵演じるいずみ。夫から女性扱いされず人生の目的を見失っていたいずみが、生の実感を求めて新たな行動を起こしたことから地獄を垣間見る前半部分はなかなか楽しめたのですが、完全にイっちゃった後半は何がなんだかでした。自分の女房を主演にしてここまで激しいことをさせるのだから、この監督は特殊な感性をお持ちなのだと思います。凡人の私では付いていけない部分が多々あって、2時間半という長尺はちょいと厳しく感じました。。。 と、全体としてはイマイチだったのですが、才気あふれる監督による作品だけあって、部分的には魅力的なものもありました。特に興味深く感じたのは美津子といずみの関係性。いずみと初めて対面した時、美津子は「この世界に足を踏み入れるな」と言っていずみを突き放すのですが、いずみから旦那の名前を聞かされると、それまでの態度を翻して彼女はいずみを受け入れました。このやりとりの意味がわかるのはクライマックス近く。いずみの旦那も愛欲の世界にどっぷりと浸かっており、美津子はいずみに”戻る場所”がないことを悟ったからこそ、彼女は地獄の案内人役を引き受けたのです。登場人物達の運命を分けたのは、この”戻る場所”の存在でした。美津子は母親から憎まれており、彼女にとって家は戻る場所ではありませんでした。美津子の母親は、表面的には「血筋が悪い」と言って美津子を疎んでいるのですが、実のところは愛する夫を娘である美津子に奪われたために、殺したいほど娘を憎んでいます。大方斐紗子による怪演も手伝って、老いてなお燃え上がる女の情念には圧倒されました。一方、”戻る場所”の存在によって何とか踏みとどまったのが、水野美紀演じる和子。ラストは曖昧なようですが、よくよく考えれば監督の言いたいことははっきりとしています。一心不乱に走っているうちに家から遠く離れてしまった和子が、「どこにいるのか?」と聞かれて「わからん」と答えるラスト。「わからん」とはその場所に違和感を覚えていることを表しており、この後彼女は愛する夫と娘の待つ家庭に戻ることが推測されます。。。 この映画はドロドロでグロテスクなのですが、込められたメッセージは意外とポジティブ。愛とは厄介なものだが、愛する人との関係性を間違えていなければ、意外と何とかなるもんだと言っているようです。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-09-08 19:00:23)(良:2票) 6.《ネタバレ》 人間は何らかの役割を演じ、多かれ少なかれ抑圧されている。で、「自分とは何か?」がわからなくなって、解放を求める。その自分の体に値段がつけば、「XXXXX円の自分」という定量的、客観的評価に安心できるのかもしれない。あくまでも演技ではなく解放された素の自分である事が前提だが。これは元となった事件があまりにも有名だから、それとオーバーラップして見てしまうのだが、やはりフォーカスすべきは大学助教授の方でしょう。ヒマな主婦が寂しくて・・・なんて話はリアルではあるけど、映画の題材には成り難い。AVじゃあるまいし。本作は刑事には殆どスポット当たらないし、大学助教授の方は中途半端だし、主婦は素人AV女優だしで、配役のバランスが変。ここまで改変せずに、もうちょっと事件に忠実に描いてもよかったのではないのかと。神楽坂恵を使いたくてこうなってしまったのだろうが、折角の題材なのに惜しい作品になってしまった。伝わるものはあるし、悪い作品ではないんだけどね。 【東京50km圏道路地図】さん [インターネット(邦画)] 6点(2017-04-01 02:35:20) 5.園子温の映画は観ることにしている。現実社会でおきているエグい事件は 沢山ありすぎるほどだが、それを超えるフィクションはそうそう無い。 「冷たい熱帯魚」のネタ原作(絶版)を読んでその感は深まった。この 映画も実際の事件にインスパイアされているようだが、社会性よりも、 プライベートでのエロスを追求したかのような内容になってしまっていた のがチッと残念。 【かれく】さん [DVD(邦画)] 6点(2013-04-28 10:22:24) 4.《ネタバレ》 昭和後期の日本映画の雰囲気で、バブル崩壊後の退廃的で享楽的な90年代の姿を園監督独特の淫靡でエログロ満載な作風で描いた作品です。 ただ興味本位なだけではなくて、この作品もやはり園監督作品の継続的なテーマであろう「現代日本の家族関係」が中心にあって挑発的な映像とともに伝わってきました。そして、相変わらず園監督のファザコンぶりも垣間見えます。 ただ、内容的には中々見応えのある作品だったのですが、「東電OL事件」のインスパイアという面がやや強調されているのは何だかなあという感じですね。確かにそれはわかるんですけど・・・・。 【TM】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-09-23 11:13:16) 3.《ネタバレ》 AV(アダルトビデオ)では、男が無理矢理、女の子を蹂躙しようとしても、最終的には「あぁっ、気持ちいぃー」となるのは世の常である。うら若き娘を無理矢理どうにかしたいという妄想があっても、正常な男子にとっては拒絶されたままでは、どうにも罪悪感が残ってしまい、自慰行為に支障をきたしてしまう。そんな事情もあって、AVの女優さんは、感じてくれてるように見せてくれるのだ。それは、全てクソ男に都合の良いようにできていて、リアリティは存在しない。そんなことはわかっていた上で、世の男子はシコシコしているのである。だから、その辺りの事情を知らぬ女性が、そういったビデオを観れば、嫌悪感を覚えることは、いたしかたがない事なのである本作は謂わばそういった意味でポルノ作品になっている事に少しびっくりした。出てくる三人の女性は、全て監督の都合のよいように淫乱であり、従順なのである。監督にとって、女性は全て淫乱という解釈にも観える監督は本作を「女性賛歌」と言っているようだが、この内容でそう言っちゃうのはおためごかしか、天然か。どちらかと言えば、女性蔑視に近い表現がされているので、不快に思う女性は多い気がする。 こんなにも乙女心が分かる俺が、そう思うのだから間違いないだろう! 惨殺死体の発見のシーンは、洋画の本格ミステリーっぽくて、ゾクゾクした。そこから、日常の家庭のシーンになっても、妙な緊張感が存在していて、かなり期待できる立ち上がりだった。しかし、あからさまな異常者があからさまで芝居がかったセリフを言ったり、キチ演技しても逆に冷めてしまう。ミツコと、ポン引き野郎?の二人の極端なキャラクターもイマイチだった。お婆ちゃんは怖かったけど。キャラクターを深めるためか、芸術性を高めるためか、ミツコさんの説教も何が言いたいか、良く分からなかった…。 その他の登場人物も、表の顔と裏の顔がありがちで、分かりやすすぎたかも。 【すべから】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-07-03 00:48:50) 2.《ネタバレ》 一言で言えば、「どいつもこいつもどうしようもねぇな~!」って感じです(笑)。相変わらず、観る者を挑発するような内容で、特にあのヘンテコ一家の狂いっぷりはそれ自体が見ていてエンターテイメントだなと感じさせられる。ただ、強引さも目立つ。美津子のシュールっぷりとそれについてくいずみのイカレ具合にはどうにもついていけず。そこについていけないもんだから、全編に渡って失笑してしまう。前作「冷たい熱帯魚 」は主人公に共感出来たのだが、いずみちゃんには感情移入出来ず。女性が見たらまた違う印象になるのかもしれないが。まぁでもいっぱいヌードも出てきたし、佳作の部類かなとは思う。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-07-02 20:32:00) 1.《ネタバレ》 「愛のむきだし」を2009年のベストに挙げるほど園にやられた私としては相当期待していた作品であったため、ハードルがあがりすぎてしまったのだろうか。一言でいえばAVのような映画だった。書いている私自身が男であるという視点の限界は、ここで描かれている女性たちに、「女性として」共感することができないということである。しかしそれは私に留まらず、園自身にもあてはまるのではないだろうか?そこがひとつ、私としてはいまひとつこの映画に乗れなかった理由である。細かいところでは面白い撮り方や相変わらず強烈な禍々しさ、毒々しさがあるのだが(特にあのおばあちゃん)、「城」や「肉体を持つ言葉」の比喩はあまりにも幼稚というか、安易だろう。いずみが客に馬乗りになり、詩を暗誦するシーンは「愛のむきだし」を思い出しニヤリとさせられたが、満島ひかりがコリント書を圧倒的な迫力で吐き出すあの「身体性」には遠く及ばないだろう。そして説明的、より悪くいえばクサい演出が相当に多い。過剰な演出は園の特徴だが、正直ここまで説明的な映画はこれまで無かったように思う。詩の解説などくだらないことはやめて映像で表現してもらいたかったものだ。また、吉田の最後のシーンは完全に不要だろう。前半に出てきた小話を再現させるとは「いかにも」な演出。そして「ノルウェイの森」を思い出させるような「居場所がわからない」というラスト。後輩刑事が言ったように、あそこで彼女がこれまでのぼーっと生きてきた人生を思い返しているとでもいいたいのだろうか? そんな説明的な描写はかえって興ざめである。ところで映画のタイトルは「恋の罪」であり、guilty of romanceである。愛の罪ではない。ということはどこか抑圧されてきた女性たちが恋(のようなもの)に衝動的にのめりこんでいくというのがこの映画の主題だろう。ただし恋が目指しているものが何かは、彼女たちには、そして私たちにも分からない。少なくともそれは愛ではないことだけは確かだ。「不思議なことに、ただでやらせる女より、金をもらってやらせる女の方を男は軽蔑する」というような独白があったが、これにはハッとさせられた。なぜかと考えたが、それは金が介在していなければ、そこに愛が存在すると錯覚するからだろう。あるいは実際に愛が存在するのかもしれない。その僅かな望みに、あるいは幻想に男は憑かれている。 【Balrog】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-11-29 23:47:49)
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