みんなのシネマレビュー |
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ネタバレは禁止していませんので 未見の方は注意です! 【クチコミ・感想(6点検索)】
1.《ネタバレ》 ネタバレ多めなんで、ダメな人はスルー推奨です。 小説家に愛された「山の上ホテル」。この休業の知らせを聞いたのは、2023年の10月でした。老朽化のためという理由で寂しい思いで一杯でした。でも、明治大学が取得し、外観そのままで再整備をしてホテルとして継続していくという嬉しいニュースが舞い込んだのが、2024年の11月。そう、つい先月です。今月この映画が公開されたのは奇運です。きっと、このホテルを愛した小説家たちが後押ししてくれたんですねえ。 さて、原作つきのこの映画、筋は原作をなぞってますが、大胆な改変が加えられています。原作では、舞台設定は現代です。主人公がホテルにチェックインすると、まずやるのは愛用のマックノートのセッティング。東十条宗則も原稿用紙と万年筆ではなく、執筆はWindowsノート(原作ではシャンパン攻撃でパソコンがパー。酷すぎる)。 ところが、映画の設定はバブル直前の1980年代が始まりです。ただ、これがいい味を出しているんですね。やっぱり山の上ホテルには、原稿用紙と万年筆がよく似合います。受賞連絡の集まり会(黒電話の前に、作家と担当編集が集まって連絡を待つ)を撮りたいがために、この設定にしたそうですが、これが本当にいい味を出してます。 これに合わせるため、東十条宗則は、原作の3階建ての打ちっぱなしコンクリートの自宅に住むツイードの背広愛用者から、日本家屋に住む和服愛好者に変更されてます。細かいところだと遠藤役の田中圭の娘も10歳と8歳から、もっとずっと幼く設定変えされてます。なんというか、制作陣の設定力を見せつけられた思いです。橋本忍風に言うなら「原作は何を目指していたのか、それを捕まえる」、天川太陽風に言うなら「魂はあっている」。これは素晴らしいです。原作の主人公の中島の恋愛話と、オーディション復讐話をすっぱりと切ったところも好感が持てます。遠藤が黒幕になってるところも、さりげない描写にとどめている。 だけれども、どれだけ制作陣ががんばっても、原作が荒唐無稽なだけに映画も結局荒唐無稽になっちゃってます。のんのコメディエンヌぶりも、嵌るところより滑るところが多くてちょっと気恥ずかしい。特に文豪コールはあれ・・・。それにラストシーン、あれで終わらせるなら、のんの容姿造形はあれでいいんでしょうか。美魔女どころではないですよ。だから「魔女だと思えばいい」んですかねえ。 あと、超便利な道具であるスマホを使わせないために、年代設定をいじる映画が増えてます。けれど、描写をちゃんとしないと一気に醒める場合があります。細部に神は宿る。本作でも、編集部の場面で当時のワープロを集めて感じを出してますが、そこここにある電卓が(泣)。車窓に時折映る対向車や駐車車両が何故か現代のデザイン、背景ぼかしで胡麻化してますが、80年代のあの辺は・・・ まあ、いろいろ言いたいことはありますが、エンディングロールで山の上ホテルの細かいところを映してくれたり、サービスはあって面白かったです。 ちなみに、制作陣の改変の最大の功績は、カリスマポップ店員を30代の青白い男性店員から橋本愛に変更したこと。これはスマッシュヒットですよ。 さて、みなさま、ご自分の携帯・スマホの電源が切ってあることをシツコイくらい確認して、映画を鑑賞してくださいね。 【えんでばー】さん [映画館(邦画)] 6点(2024-12-30 09:22:48)
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